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mespesadoさんによる経済談義(146)自分の中にイメージとして定着させたい! [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

「『生産や供給』と『オカネ』の違いは何か」から始まり、国家財政についての本質理解まで、mespesadoさんならではの、感覚的理解を迫るすごい議論です。何度も読んでイメージとしてしっかり定着させたい。

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806:mespesado :2019/10/26 (Sat) 09:48:52
>>792
>> 金は借金から生まれるんじゃない。
>> 労働から生まれるんだよ。
>>【後略】

>↑一般の人が陥る典型的な間違いの例。
>  労働から生まれるのは「生産」あるいは「供給」であって、「お金」
> ではない。

 どうして一般の人がこのような間違えをするのかを改めて考えてたら、別の観点に気が付いた。
 モノやサービスの生産や供給では、全体の量が増える。
 なのに、販売・購入というプロセスではオカネの全体量は増えない。
 「生産や供給」と「オカネ」はこの1点において決定的に違うのに、何で生産や供給をオカネでやりとりできるのか?
 その答は、「生産や供給されたものは『消費』されるから」
 つまり、生産されたものはやがて買った人によって消費される。公共財のような「建造物」も、会計上は「減価償却」という形で、この「利用」という「目に見えない消費行為」が「見える化」される。
 つまり、モノやサービスの総量は、生産から消費までのサイクルが完結すると、プラスマイナスゼロに戻る。ここで初めて「オカネは増えない」ことと整合することができる。
 ただし注意が必要なのは、オカネの総量は「取引のプロセスを通じて終始不変」なのに対して、モノやサービスの方は「生産供給されて『一旦増えたのちに』消費されてプラマイゼロになる」ということ。つまり、この生産・供給における「タイムラグ」こそが大事なのだ。
 ところが、オカネの方には、この「タイムラグ」が存在しない。
 ただし、個々の人にとって、オカネは稼いだら、全部使ってしまうのではなく、将来のため、あるいは大きな買い物をするために一部を「貯金」する。この「貯金行為」のことを、オカネの側の「タイムラグ」と考えることもできるといえばできないこともない。
 ところが、貯金されたオカネは「死蔵」する。昔はこれが企業への貸し付けに回って循環する、などと言われていたけれど、実はそんなのはウソであり、銀行は預金者の預金を原資に貸し出しているわけではなく、単に企業の通帳に数字が書かれるだけで貸付終了(万年筆マネー)であることがバレてしまった。つまり高度成長期は「信用創造」でオカネが増えていたのであり、預金として銀行が預かったオカネが企業に循環していたのではなかったのである。でなきゃ、オカネの単なる「循環」でオカネが「増える」わけがない。
 で、今は企業がオカネを借りないから信用創造も無くなり、その結果、オカネは貯金によって「死蔵」され、市場のオカネは「消えた」も同然となる。
 つまり、モノやサービスの方は、「タイムラグ」の間は「一時的に増えている」のに対し、オカネの方は、上でオカネの世界に対して無理やり考えた「タイムラグ」の間は、逆に「一時的に減っている」のだ!
 この「タイムラグ」の「ミスマッチ」こそが、今日のデフレの最大の原因なのだ。
 だから、この「タイムラグ」による両者のミスマッチを防ぐため、貯金され、死蔵されたのと同額のオカネは、(統合)政府が無から刷って市場に追加供給しなければならないのは当たり前なのである。

808:mespesado :2019/10/26 (Sat) 10:54:57
>>806
> 死蔵されたのと同額のオカネは、(統合)政府が無から刷って市場に追
> 加供給しなければならない

 現在の国家予算(政府支出)は100兆円。対する税収(政府収入)の方は60兆円。その差額である40兆円が、要するに「貯金で死蔵されたためにミスマッチを起こしているオカネの量」に該当する(本当はそうではないのだが、それについては後述)。
 日本政府は、この差額をどうしているかというと、「国債発行」で賄っている。一方、>>806 で述べたことは、「ミスマッチを起こした分はオカネを刷って追加しなければならない」と言ったのだから、この40兆円は、要するに単純に、その「追加しなければならない額」なのであって、「借金」のように「将来返さなければならないモノ」であるはずがない。この観点から観ても、「国債」は「借金」ではない。というか、「国債の償還金」を、「税収と『対消滅』させてはならない」。
 それと同時に、今「40兆円がミスマッチ」と述べたが、これは実は過小評価であって、ミスマッチの額は本当はもっとデカいはずである。だからこそデフレになっているのだから。
 それなのに、予算額と税収の差額を計算して「不足分は100兆マイナス60兆で40兆だね」などと考えてしまうのは、「プライマリーバランスの呪縛」に囚われているからに他ならない。プライマリーバランスなんて、個人や企業のような「貨幣を発行していない組織」に対する制約条件、あるいは「金本位制だった頃の国家財政」の話であって、今日のような「管理通貨制度下の国家財政」では何の意味もない。だからこそ、市場に不足しているはずのオカネの量は、市場金利の動向やら、潜在GDPなどの経済統計を使って推計し、そうして推計された「経済を潤滑に回すのに必要なオカネの総量」に不足する分だけをオカネを刷って予算に回さなければならない。そのためにも、国家予算の「歳入・歳出表」など誤解の種なんだから、さっさと廃止すべきだろう。
 ちなみに高橋洋一氏等は、一般会計の歳入・歳出表が企業会計の「損益計算書」に当たり、複式簿記ではこれに加えて「貸借対照表」が必要で、企業はこれを作ってるんだから国家の一般会計にも作るべきだ、という趣旨のことを主張しているが、実は全く逆である。一般会計の貸借対照表が必要ないどころか、現在公表している損益計算書ですら実は不必要だ、と主張しなければならないはずなのである。

809:mespesado :2019/10/26 (Sat) 11:46:12
>>808
> 現在公表している損益計算書ですら実は不必要

 ↑こうは書いたが、ちょっと誤解を与える可能性があるのに気が付いたから補足。
 政府の一般会計の歳入歳出対比表は、実際の税収や予算支出や国債発行がいくらだったかというファクトを報告するから必要といえば必要だ。
 ただし、これを「企業会計の損益計算書に対応するものだ」と考えるのが間違いだ、というべきだった。
 企業会計では収入と支出を見比べて、赤字にならないように、支出を絞ったりする。いわゆる「コストカット」だ。かつて一世を風靡したトヨタのカンバン方式も、このコストカットをいかに効率よく行うかが焦点だった。
 これに対して、国の会計は、まず「経済が潤滑に回るにはいくらの予算総額にすればよいか」を先に決めるべきである。それには前発言にあるように、潜在GDPや予測内部留保増加額などを参考にして算出する。
 次に、国税の「税率」を、経済の活性化に支障が無いようにすることや、納税者間の不公平感を防いだり、社会に害があると思われる行為をやめさせるための懲罰的課税をどう決めるか、などの観点から「予算総額とは一切独立に」定める
 そして最後に予算支出予想総額から、上で定めた税率によって算出された予想税収を差し引いた額を、淡々と国債発行で賄う
 以上だ。
 国の歳入歳出表は、企業会計の損益計算書のように、「赤字を減らすために支出をしぼる」目的のために用いるのではなく、収入も支出も別々の観点から定め、差額の国債発行額は、これら2つが定まってから、単純に引き算するだけで作成するべきだ。「財政破綻しないように(←するわけないだろうw)国債の発行額の上限を定めて」から、それを見て「予算総額を絞る」とか「税率を引き上げる」というような、企業会計と同じような発想で行ってはいけないのが国家予算を作成するということなのである。

810:mespesado :2019/10/26 (Sat) 12:00:39
>>809
 おっと大ポカ。囲碁将棋で言えば大落手。
> 次に、国税の「税率」を、【中略】「予算総額とは一切独立に」定める。

 そうじゃなくて、「予算総額マイナス税収を、経済が潤滑に回るにはいくら貨幣を追加発行が必要か」という基準で定める、と言うべきだった。
 つまり、正しくは、国家予算や税率は次のような手順で定めるべき。

(1)潜在GDPや予測内部留保増加額などの経済統計や経済予測などによ
   り、経済が円滑に回るのに必要な貨幣の「理想貨幣流通量」を推計す
   る。
(2)現在の市場の貨幣流通量(要するにマネーストック)を計算し、(1)
   の結果からそれを差し引いたものを「理想貨幣追加量」とする。
(3)徴税される家計の消費行動が経済の活性化に支障が無いようにするこ
   とや、納税者間の不公平感を防いだり、社会に害があると思われる行
   為をやめさせるための懲罰的課税をどう決めるか、などの観点から、
   「理想的税率」を定める。
(4)上記の(2)と(3)の合計額を「理想予算支出額」と定め、その内
   訳を、理想的な政策判断で各種支出に割り振る。

 以上である。企業の経理と根本的に発想が異なることは、明らかだろう。企業会計では「会計が赤字になること(正確には赤字が慢性化すること)が最大のタブー」である。これに対して国の一般会計では「赤字」とか「黒字」という概念に意味は全く無い。



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