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「紅花染め教室」(3) [紅花]

さて、実習の段。

夏やすみ 紅花染めrgb.jpgまず、絞り模様をつける作業から。今回は輪ゴムだけで。2006年の夏、宮内幼稚園で小学生に染めてもらったときの写真をサンプルに用意して、「上手下手関係ないので自由にやってみて下さい。」用意した生地は、綿のローンハンカチ2枚、36cmの絹生地2枚。「紅花摘み唄」を流しながらの作業。

紅花摘み歌(唄 伊藤一子)  
千歳山からナァー 紅花(こうか)の種蒔いたヨー(ハァシャンシャン)
それで山形 花だらけ(ハァツマシャレ ツマシャレ) 
紅花を摘むのもナァー そもじとならばヨー 棘(いらか)刺すのも 何のその  
夜明け前だにナァー 紅花摘みのヨー 唄に浮かれて 飛ぶ雲雀(ひばり)          
咲いた花よりナァー 見る花よりもヨー 摘んで楽しむ 花の唄
おらも行きたやナァー 青馬に乗ってヨー 紅の供して 都まで

できたところで、調理室へ移動。

◎紅花の染め方
 紅花には、水に溶ける多量の黄色の色素(サフロールイエロー)と、水には溶けないがアルカリに溶ける少量の紅色の色素(カルタミン)の二つが含まれています。黄色の色素は絹には染まりますが、綿や麻などの植物繊維には染まりません。一方紅色の色素は両方に染めつきます。そのため絹を染めると、黄と紅の色素の案配でいろんな色が出ますが、綿や麻を染めるといわゆる紅色一色で、濃さの違いだけです。今日は、綿のハンカチと絹のハギレを染めることで、紅花の紅色と黄色に出会っていただきます。
 ①紅花500gを水10リットルに浸してしばらく(一夜間)放置し、その後水に溶ける黄色の色素を流し出します。
 ②黄色の色素を流し出したら布で絞ります。(ふつうは捨てる黄色の液も絹染め用に持って来ています。)
 ③絞った紅花に水10リットル、炭酸カリウム50gを加え、3時間ほど放置した後、再び布で絞ります。絞ってできる赤褐色の液が染めの原液です。
 ④原液にクエン酸75gぐらいを目安に少しずつ加えてゆくと泡が出て赤褐色の液が紅色に変わってゆきます。(ここが紅花染体験でいちばんいいところ!) 泡が出なくなったら染液の出来上がりです。
 ⑤染液に染める布を浸けて、かき回しながら布に色素を付着させてゆきます。染液は紅色の色素が布に付着するにつれ、褐色に変わってゆきます。
 ⑥染めあがった布を水洗いし、陰干ししてできあがりです。(日光に当てると変色してしまいますので注意!)
*紅の色素には血行を良くするなどの薬効があります。少し手が紅色になるかもしれませんが、できれば素手で染めてみましよう。
*今日は炭酸カリとクエン酸を使いますが、昔はワラを燃やしてできた灰の汁、梅酢などを使いました。
*今日の紅花は、中国産の乱花(摘んで乾燥させた花びらそのまま)を使いますが、本来山形産の紅花は、黄色の色素を水洗いで流し出して臼で揚き、せんべい状にして乾燥させた紅花餅(はなもち)として出荷されていました。
*紅花染は日光や熱に弱いので、太陽にさらしたり、高熱でアイロンをかけることは避けてください。

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「紅花染め教室」(2) 紅花うんちく [紅花]

明治になって赤の染料としてアニリンが入ってきて紅花は衰退の一途を辿る。ただかろうじて伊勢の御遷宮に際しての調度品新調の伝統がその命脈を保たせた。しかしそれも昭和16年以降姿を消す。紅花の栽培、紅花餅(はなもち)製造は、戦後はほんのわずか山形市漆山の数軒の農家で行われていただけだった。山形における紅花生産の役割は紅花餅出荷までで、実際の染めを行うのは京に届いてからのことだったが、その染めの技術もすっかり忘れられていた。それを苦心惨憺の末復活させたのが米沢の中学教師鈴木孝男(昭和2年生)だった。そこには鈴木自身の情熱もさることながら、妃殿下時代からの皇后陛下の紅花に寄せる並々ならぬご関心がその情熱の大きな支えであったであろうことが、年表からうかがえる。


鈴木孝男氏の父鈴木弥太郎は、東根市出身でかつて紅花を栽培していた家で育ち、染織関係の教育者(東村山郡立染織学校)であった。孝男氏は父の影響で紅花に関心を持つようになり、父の実家の土蔵の中で200粒ほどの紅花の種を発見したことから本格的な研究に取組むようになる。私が鈴木孝男という人を知ったのは高校1年の時だったと思う。というのは、年表に《昭和38年・指導する米沢二中香華クラブ紅染研究作品が第7回日本学生科学賞「学校賞1位」に入賞》とあり、当時米沢二中の3年生でクラブ員のひとりが私の一学年下の従妹だった。山形新聞でしばしば取り上げられ、そのたびに登場していたのを覚えている。その従妹は、2年前に天皇皇后両陛下が河北町の紅花資料館においでの折、招かれて皇后陛下にお会いした4人のひとりになる栄に浴した。その時の記事があった。

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「紅花染め教室」(1) 紅花うんちく [紅花]

01-DSCF6632.JPG一昨日(24日)公民館主催の「紅花染め教室」で講師を務めてきました。9時半からの開始で午前いっぱい、たっぷり時間があるので、染め実習だけでなく紅花についてちょっと話してみることにした。

 

まゆはきimg_1_m.jpg佐藤屋まゆはきmayuhaki1.gif最初に思いうかんだのが「まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花」という、芭蕉が尾花沢で詠んだ句。山形佐藤屋の銘菓「まゆはき」によってこの句は広く知られる。どんな意味かは深く考えもせぬままなんとなくなじんできた句だが、あらためてこのたびわかった。rgbまゆはき9b01c58b311e1e0194ff1e966674c72f-300x290のコピーのコピー.jpg「まゆはき」は、顔におしろいを塗ったあと、まゆについたおしろいを払う刷毛のこと。それが紅花を思い起こさせる。納得。一面に咲きそろった紅花ではなく、ちょっとずれて咲いた「一つ咲き」を見ての句ではないかとどこかにあった。だれか女性を連想していたのは、この時詠んだもうひとつの句「行く末は誰が肌ふれむ紅の花」からもわかる。「俤」の言葉がいい。 

 

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