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mespesadoさんによる経済談義(123)小泉郵政改革は誰のために為されたか [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

小泉郵政改革が誰のために為されたものか》について、mespesadoさんの視点から解明されます。

稲村公望さん(元日本郵便副会長)講演会「あの民営化から12年―郵政民営化の真実」が議論のきっかけです。《「民営化反対の立場になるきっかけは?」との質問に稲村さんは、「一つは郵便の国際会議で民営化推進の説得工作を行なう専従者を知ったからです」と回答。さらに、「日本の郵便事業は明治初めの1871年に前島密(当時の民部省・大蔵省官僚)が米国・西欧列強から日本の利益を守るために篤志家と協力して創設しました。『郵』は『辺地』の意味。4年後に『郵便貯金』、1916年に『簡易保険』が生まれました。この世界最大規模の国民資産を当時の小泉政権は『官から民へ』の題目で有効に使おうとしましたが、これは資産を外国へ投機的に持ち出し、利益を海外移転させる目論見だと私は思ったからです」》《民営化前は約370兆円あった郵貯マネーは今や「毎月1兆円ずつ米国債に消える」との噂もささやかれる。その「被害者」の多くは2005年総選挙で小泉純一郎首相率いる自民党に投票したと思われる。地に墜ちた感の郵便局への信頼を取り戻すにはすべてを白日のもとにさらすしかない。》

mespesadoさんは「民営化」の是非から説き起こします。稲村さんは講演で、「民営化賛成。税金を投じる郵便事業は廃止しヤマト運輸などの民間業者に任せるべきでは」との質問に対し「郵便事業は郵便貯金・簡易保険で補填し、税金は1円も投下していません。民間会社は離島など配達できない地域がある。全国一律料金で郵便を届けるユニバーサル・サービスが他にあるというのか」と答えています。《他の国の例を見るとネパールでは1週間かけてでも、旧ユーゴでは内戦下でも配達する》、「国営事業」だからこそできるサービスです。mesさんは《ちょっと前までは国営事業は殿様商売だからダメとか言われていたけど、本質はそこじゃないような気がする。いかにすればイノベーションが推進出来てサービス内容が進化するのか?個々の企業の一時的な利害衝突とかに影響されずに「収益第一」じゃない方がいい面もあるかもしれない》と言います。

そこから議論は、日本の生命保険業界は「株式会社」以外に「相互会社」があることに及びます。保険業界に身を置くmespesadoさんならではの議論です。「郵政民営化」に際しても、本来「相互会社」化の道も検討されるべきだったのに、その形跡が全くなかったことから小泉郵政改革が誰のために為されたものか、明らか》なわけです。稲村さんが「郵政民営化」のいかがわしさを嗅ぎ取ったのは、国際会議における民営化推進の説得工作を行なう専従者》の存在でした。その手に絡め取られていたのが小泉純一郎という存在だったのです。

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440:mespesado:2019/09/22 (Sun) 17:36:48
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190920-00010000-kinyobi-soci
元日本郵便副会長が古巣を批判 「郵政民営化」を見直せ

↑8月16日に埼玉で行われた稲村公望さんの講演だそうです。

 ちなみに郵政事業ってのは「郵便」「貯金」「生命保険」なわけですが、「郵便」は通信のデジタル化で「書簡」の役割は風前の灯。残る二者も金融の世界であり、今やその金融業界自体が資金需要の極限までの低下によりオワコン業界になりつつあります。
 なので、これらの事業について、民営化のまま進むのがいいか国営に戻すのがいいかを考える場合、今のままの内容でどっちにするか考えるんじゃなくて、これらの業界をどう変革していくかを考える方が先決だと思うのですね。例えば郵便事業は「デジタル情報伝達」+「ドローンによる配送」的な方向へ、「貯金」あるいは「銀行」は「決済」+「投資情報提供」の方向へ、「生命保険」は今までのような死んだり病気になったらお金を払うってだけじゃなくて、AIを使って逆にオカネを払うと健康や長寿になるようなサービスへの転換とか。
 こういうのを推進するのに、国営の方がいいのか、他の民間会社と同じにするのがいいのか?ちょっと前までは国営事業は殿様商売だからダメとか言われていたけど、本質はそこじゃないような気がする。いかにすればイノベーションが推進出来てサービス内容が進化するのか?個々の企業の一時的な利害衝突とかに影響されずに「収益第一」じゃない方がいい面もあるかもしれない。そんな観点も交えながら、広い視野で考えて欲しいものです。そういう観点で今後の稲村さんの活動が発展していくことを願っています。

442:mespesado:2019/09/22 (Sun) 19:19:20
>>440
 生命保険の話を出したついでですが、郵政事業を民営化したとき。当然のように、これらは「株式会社」として民営化されました。で、多くの人は、「そんなの当たり前じゃないか?民営化=株式会社化だろう?」と思うかもしれませんが、それは、こと生命保険事業について言えば「間違い」です。
 というのは、日本の生命保険業界に限り、「株式会社」という形態の他に、「相互会社」という形態が許されているからです(まあ、米国でも一部存在するんですけどね。ただし規模は限りなく小さいです)。
 これは何かというと、株式会社だと、資本を集めるとき株式を一般に募り、株券を購入した人の支払うオカネを資本として会社を運営します。これに対して相互会社の場合は、その保険会社の商品を購入した人を「社員」と呼んで、その「社員」たちが会社の経営に対して基本的意思決定を行う、という仕組の会社を言います。ですから、相互会社では株式会社における「株主総会」のかわりに「社員総代会」というものがあります。まあ、現実にはこの仕組みは形骸化していますが、それでもどこのウマのホネともわからない連中が株主になって経営を支配するのではなく、その会社の保険商品を買った消費者が会社を支配するってんですから、ガバナンスとしてはこっちの方がはるかに健全なハズです。で、実際業界最大手の日本生命は「相互会社」なんです。
 しかも、保険事業ってのは、株主に対する「配当」だけでなく、保険商品を購入した契約者に対する「契約者配当」というのがあり、これは、保険商品を設計したときに想定した利回りより実際は多く運用収益が得られた、あるいは商品が設計されたときに想定した予想死亡率や予想入院率より実際は少ない死亡や入院しか発生しなかった場合に、その予想値と現実値の差額を「契約者配当金」という名目で契約者に支払う制度のことです。
 つまり、逆に考えれば、株式会社だと、本来なら「契約者配当」で受け取れるハズの金額が、一部は株主に支払われることになるので、保険契約者は損をする、ということになるので、そういう観点からも相互会社の方が株式会社より「合理的」なわけです。
 ところが、郵政民営化のとき、少なくとも「簡易保険」については、これを同じ民営化するんでも「株式会社」にするかわりに「相互会社」にする民営化もあり得たわけです。しかもその方が、簡易保険加入者にとっては株主に配当金が流出するより有利なわけです。なのに、そのような検討、つまり株式会社にするか相互会社にするか、という議論はされた形跡が皆無です。つまり、これは最初から、時の米金融マフィアが日本の国有資産を手に入れるために、簡易保険の資金を株主になって自由に処分したい、という思惑があったからに他なりません。これに対して「いや、郵政事業は生命保険だけではない。だから他の郵便事業や郵便貯金を民営化するときに、これらの業界は相互会社という形態が無いのだから方針をそろえただけなんじゃないの」という疑問を持つかもしれませんが、実はもう一つの金融業である「郵便貯金」も、他の市中銀行と異なる部分があります。
 それは、郵便貯金だけが販売している「定額貯金」という最大10年まで預け可能でしかも貯金時に金利が決まっている貯金商品の存在です。
 そもそも何で生命保険業界だけそんな相互会社という制度が存在しているかというと、まあ歴史的経緯もありますが、生命保険商品というものが、他の製造業と異なるところは、満期を迎えて満期保険金を受け取るまでの間にもしその保険会社が倒産してしまったら、購入したはずのサービスが受けられなくなる、という特質を持っているからです。他の製造業の場合は、一旦商品を購入してしまえば、すぐそれを使えるので、購入後に会社が倒産しても消費者は別に困らない(もちろん故障した時の修理では問題が生じますが、故障はレアケースだし、修理専門業者もあるから本質的な難点ではありません)のに対し、生命保険商品というのは死亡したとき保険金を支払うという約束こそが商品内容の全てですから、商品購入後も会社が存続していなくては商品価値そのものが無くなるわけです。なので、商品を購入した人が会社の経営に口を出す、というのは実に合理的な制度なわけです。
 こういう観点で郵便貯金の「定額貯金」を眺めると、10年という長期にわたる預け入れで購入時の利息と元本の支払を約束しているわけですから、生命保険と同じで、商品購入後も会社が存続していないと困るわけです。というわけで、郵便貯金も民営化するときに特例で「相互会社」の形で民営化するということは合理的な選択肢として当然あり得たわけです。
 ね?深く知れば知るほど小泉郵政改革が誰のために為されたものか、明らかでしょ?
 そういうわけで、稲村さんには、そこも含めて大いにウラを暴いて欲しいと願うわけです。まあ、DSの勢力が衰えたとはいえ、逆に窮鼠猫を噛むの状況ですから、あまりやり過ぎると暗殺の危険とかがあるのかもしれませんけどね。

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