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mespesadoさんのによる1億人のための経済談義(83)マンデル=フレミング・モデル講座(1) [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

怯まずに頑張って読みすすめると、頭が少しずつ整理されてくるような気がします。正直のところ、「意外とおもしろい!」です。mespesadoさんにあらためて敬服です。

*   *   *   *   *

642 名前: mespesado2019/06/08 (Sat) 13:18:10
 それではマンデル=フレミング・モデル講座の第1回です。
 計量経済学の議論では、数式と同時によくグラフが出てきます。
 経済を表す2つの指標を、一方は横軸に、他方は縦軸に取ったとき、ここに2つの曲線を描いて、その「交点」が実際に実現する「平衡点」である!とかいうヤツです。
 いわゆる需要/供給曲線なんてのが有名ですが、これって「未知数が2個ある連立方程式を解く」という作業を図を使って直感的にわかりやすくするための便法なんです。
 今回説明するマンデル=フレミング・モデルにおいてもこの手法が用いられ、「財」の均衡を表す方程式に対応する「IS-曲線」と呼ばれる曲線と、「貨幣」の均衡を表す方程式に対応する「LM-曲線」と呼ばれる曲線を引いて、その「交点」を求める、という作業をします。
 では、まず「財」の均衡を表す方程式と「IS-曲線」の説明から始めます。
 と、いきなり「財」などという経済学の専門用語が出てきました。
 今は便利な時代なので、すぐググることができますが、Wikipediaで「財」について調べると、
 財(ざい、英: good(s))とは、経済学において物質的・精神的に何らか
 の効用を持っているもののことである。
 ハハハ。「財」を調べようと思ったら「効用」という新しい言葉が出てきたw。こういう、特に文系の世界で専門用語の定義を調べようとすると、大抵その数倍の新しい専門用語が出て来て、酷い場合だと「循環定義」になってたりします。
 こういう場合は、言葉の定義よりも、その言葉がどういう使われ方をしているか、ということで「間接定義」した方がよい場合が多いのです。なぜなら、計量経済学で扱う概念は、どのみち数式に載せて論じるのが目的ですから、その概念が出てくる数式でどういう「使われ方」をしているかを見た方がわかりやすいからです。
 で、「財」という概念がどういう「使われ方」をしているかを見ると、これはもう簡単な話で、「オカネで取引されるモノやサービス」のことを言います。どうです。Wikipediaよりはるかにわかりやすいでしょ?
 ここで「オカネで取引される」というところが肝心で、単なる「モノ」や「サービス」というだけだと、例えば「自動車1台」とか「リンゴ2個」とかは、確かにモノですが、これらを数式に放り込んで何らかの議論をしようとすれば、「モノ」を何らかの形で「数値化」しなければ数式に乗せることはできません。まさか「個数」を使って数式に入れても、自動車を  、リンゴを  と数値化すると、もし自動車とリンゴが共に2個あったとすると、C       ですから、C   なので「リンゴ1個と車1台が同等」ということになってしまって、これでは経済の議論としては意味がありません。そこで、モノやサービスのうち、オカネを使って取引されるモノやサービスだけに対象を限定すれば、特定のモノやサービスを、その取引されたときの「価格」で数値化することができます。これなら経済の議論として意味がありますね。だから、「オカネで取引されるモノやサービス」のことを「財」と定義する、という定義は、計量経済学の議論をするのに十分な定義となるわけです。
 それでは「財」に関する方程式に進みます。
 話を分かりやすくするために、まず最初は貿易の影響を無視することにします。これは国内だけの閉じた経済である場合を考えることを意味します。まあ、江戸時代みたいに「鎖国」している状態だと思ってください。
 ここで国内のあらゆる家庭や企業、政府などの組織が、ある一定期間(たとえば昨年度1年間、など)に、それぞれオカネを払って獲得した「財」を「価格」で金額換算したものの合計のことを、「支出」と呼んで  という変数で表すことにします。財を獲得するときオカネを支出するから「支出」と呼ぶわけです。
 さて、この「支出」は、その獲得した「財」を単なる消耗品として会計処理するか、「資産」として資産計上するかという違いで2とおりの財に分けることができます。例えば「企業」という組織において、購入した「機械設備」は「設備投資」と言って、会計上は資産計上します。他方、「家計」という組織では、同じオカネを使って何かを購入しても、食料品などはもちろん、洗濯機や冷蔵庫のような値の張る買い物でも、単なる「消耗品」扱いですが、例えば「住宅」などは「資産」扱いします。自分の家を売って広い家に引っ越すとかあるからですね。自動車もまあ「資産」扱いの対象でしょう。
 これに対して「政府」による支出だけは、たとえそれが「道路」とか「橋」のように資産計上するべきものだよな、と思っても、政府の支出に関してだけは消耗品と資産の区別をしません。これは、政府の会計が企業会計に従う必要が無く、貸借対照表を作らなくていいから、というのもあるのですが、あとで説明するように、例えば「金利」の情勢に応じて、企業や家計ならどれくらい投資するかが違ってくるのですが、政府の支出の場合は「国民にとって必要だからやる、不要だからやらない」のであって、金利動向はほとんど影響を受けないから、というのが計量経済モデルを考える場合は実は一番の理由で、要は「考えているモデルの仮定が成り立たないものは除外する」という計量経済学側の勝手な都合ですw。
 さて、ここで全「支出」を「政府」の支出  とそれ以外の組織の「支出」に分けます。そして、後者を「消耗品」への支出  資産計上する財への支出  に分けます。
 そうすると、定義と単純な足し算引き算によって、次の数式が成り立つことになります:
 E      I ……… ①
 ここで、C を「消費」、G を「政府支出」、I を「投資」と呼びます。次にこれらの変数の動向を決めるパラメータとなる変数を考えます。もちろん      も様々な経済指標が影響を与えるのですが、ここは「市場金利」「国民所得」のみが経済指標に影響を与えるものと仮定します。ずいぶんと大胆な仮定ですが、数理モデルを作るときは、最初は思い切って簡単なモデルから始めて、必要に応じて細かな調整をしていくわけです。
 さて、市場金利(年利)を  という変数で表します。それから「国民所得」の定義ですが、これは、個々の組織が財の売却により得たオカネの合計額のことを意味し、 で表します。まあ、早い話がGDPのことですね。
 すると、誰かが支払ったオカネは誰かの収入ですから
 E  Y ……… ②
という等式が成り立つことになります。
 それから  の右辺に出てくる消費  は、国民所得  と税金  の差額、すなわち「可処分所得」Y-T に依存するので、これを
 C  C(Y-T) ……… ③
と書くことができますが、更に税金(所得税)    に依存するので、
 T  T(Y) ……… ④
と書くことができます(ちなみに「消費税」の場合は消費に比例するので別の式になりますが、ここでは簡単のため消費税は無視します。この近似は最終目標のマンデル=フレミング・モデルでは影響を与えませんからとりあえず消費税を無視する近似で行きます)。
 また、投資  は、金利  に依存するので
 I  I(r)  ……… ⑤
と書くことができます。この ③~⑤   に代入すると、
 E  C(Y-T(Y))    I(r) ……… ⑥
となります。ちなみに政府支出      の影響を受けない「独立変数」(経済用語では「外生変数」)とみなします(これに対して他の変数によって値が定まる    は「内生変数」と呼ばれます)。
 さて、以上のような問題の定式化によって何をやろうとしているのかというと、方程式    から
 Y  C(Y-T(Y))    I(r) ……… ⑦
という方程式が得られますが、ここで政府支出  を所与とした場合に、この中には    という二つの未知変数が入っていますから、例えば Yに特定の値を代入すると、これは⑦を満たす  を求めよ、という  に対する方程式になります。そこで、その方程式を解いて求めた答をやはり rで表すと、これをグラフに曲線の形で書くことができます。つまり、横軸にY 、縦軸に  を取ったグラフを書くと、横軸の各  に対して方程式⑦を解いて求めた  に対する縦軸の値の所に点をプロットすると、Y を動かすと  の値も変化して一つの曲線ができあがります。これを「IS-曲線」といいます(リンク先の3番目の図)
643 名前: mespesado2019/06/08 (Sat) 19:51:46
 続きです。その前にちょっと訂正。GDPの定義において、投資  には企業の支出分しか含まれないようです。
 さて、前回のリンク先のWikiの3番目のグラフでは「IS-曲線」は右肩下がり(つまり所得  が増えると金利  は減少する)になっています。今回は、この事実を前回( >>642 )紹介した数式を使って「証明」してみましょう。まず方程式⑦を再掲しておきます:
 Y  C(Y-T(Y))    I(r) ……… ⑦
 まず、この左辺は「所得」を、右辺のうちの最初の2項 C(Y-T(Y))と  は国以外の消費と政府の消費を表しますから、両方合わせると、国全体の消費を表します。通常の言葉で「所得」から「消費」を差し引いたものは「貯蓄」と呼ばれますから、所得  から消費 C(Y-T(Y))   を差し引いたもの、つまり
 S(Y)    C(Y-T(Y))  G ……… ⑧
で定義される S(Y) のことを「貯蓄」と呼ぶことにします。すると、⑦と⑧により、
 I(r)  S(Y) ……… ⑨
という方程式が得られます。実はIS-曲線」という言葉は、この方程式に由来するものです。
 ところで、この「貯蓄」を表す S(Y) は所得  に依存しますが、所得Y が増えると貯蓄 S(Y) もそれに応じて増えます。それは常識で考えても明らかですが、S(Y) の定義式⑧を使って確かめることもできます。
 つまり、所得  が増えると当然可処分所得 Y-T(Y) も当然増えますが(実際の所得税も当然のことながらそうなるように定められています。)、税金の控除も増えるために  の増え方よりは少なくしか増えません。
 そして消費 C(Y-T(Y)) も増えますが、その増え方は、可処分所得Y-T(Y) の増え方より更に少なくしか増えません(そうならない人は金銭感覚がおかしいw)。
 つまり、C(Y-T(Y))   が増えると増えるけれども、その増え方は、Y の増え方よりは少なくしか増えないことがわかります。このことから、⑧で定義される貯蓄 S(Y)   が増えると、減る要素が増える要素より少ないので、差し引きの結果、増えることがわかるわけです。 
 さてここで、方程式⑨によると、所得  が増えると S(Y) も増えるので、I(r) も増えることになります。ところが投資 I(r) というのは借金をして増やすので、金利が低い方がオカネを借りやすいので投資が増える、という関係があります。
 ということは、I(r) が増えるということは、r が低くなる、ということを意味します。
 以上で「財」に関する方程式⑦のもとでは、所得  が増えると金利 rが小さくなる、言い換えるとグラフ表示したとき、横軸を Y、縦軸を rとするIS-曲線」は右肩下がりになることが証明されました。    (続く)
647 名前: mespesado2019/06/08 (Sat) 22:04:56
 次の「LM-曲線」の話に行く前に、「IS-曲線」だけからでも説明できる経済政策があるので、そっちを先に説明します。
 それは、日銀による金利の上下による金融政策です。
 IS-曲線によれば、所得 Y(=GDP)が増えると金利  は減少し、逆に所得  が減ると金利  は上昇します。
 ということは、日銀の金利政策で、金利  を上昇させるとGDP  は減少し、逆に金利  を下降させるとGDP Y は増加する、ということになります。
 景気の良し悪しとは、要するにGDPの上下のことであると言っても過言でないですから、これは、日銀が金利政策で、金利を下げれば景気は向上し、逆に金利を上げれば景気を抑えられる、という事実を理論的に証明していることになるわけです。      (続く)
649 名前: mespesado2019/06/09 (Sun) 00:12:10
 LM-曲線の話に行く前に、もう一つ、曲線の「シフト」について説明しておきましょう。
 Y   の間に成り立つ方程式:
 Y  C(Y-T(Y))    I(r) ……… ⑦
には、政府支出  が出てきます。IS-曲線を考えるときには  は固定して議論するのですが、もしこの定数  を別の値に置き換えると、IS-曲線それ自体が動いて別の曲線へと「シフト」します。これは
の図で IS1 及び IS2 と書いてある2つの曲線がそれです。
 問題は、例えば  を増やしたとき、IS-曲線が左右どちらにずれるか、です。この問題を考えるには、方程式  を次のように書き換えるところから始めます:
 I(r)    C(Y-T(Y))   ……… ⑩
 ここで  を固定しながら  を増やしていくと、右辺の最初の2項、すなわち   C(Y-T(Y))   を固定しているため変化しません。したがって、右辺は   という項のおかげで  が増えると反対に減少していきます。つまり、Y を固定すると、G が増えれば左辺の I(r) は減少します。従って、r は逆に増加しなければならないことがわかります。
 横軸の  を固定すると縦軸の  が増加する、ということは、IS-曲線上の点が、縦方向に上にシフトする、ということを意味します。つまり
の図で言うと、G を増やすと IS-曲線は IS1 から IS2 にシフトする、ということになります。
 ちなみにリンク先では  を増やすと「クラウディングアウト」が起きるということが書かれていますが、これも実は誤りで、クラウディング アウトは起きません。その理由はマンデル=フレミング・モデルそのもの が誤りであることの説明の時に解説します。
650 名前: mespesado2019/06/09 (Sun) 07:29:57
 さて、「財」に関する方程式をグラフ化した「IS-曲線」の話はこのくらいにして、今度は「貨幣」に関する方程式をグラフ化した「LM-曲線」の話に進みます。今度は「貨幣」が考察の対象ですから「財」とは違って最初から金額として数値化されているのでそのまま数式に持ち込むことができます。
 そこでまず貨幣の総量を  で表します。
 次に、貨幣のうち、「財」の取引のために用いられる貨幣を 、用いられない貨幣を と表します。
 前者 の方は、国民所得  に依存しますから、
 L 1(Y) ……… ⑪
と書けて、しかも国民所得Y が増えると取引も増えますから、Lも増えます。
 一方後者は、要するに使わないで溜め込む貨幣ですから、資産として保有する貨幣、つまり俗に言う「タンス預金」の量ということです。これは、将来金利上がったらそこに投資してやろうと思って待ち構えている資金ということでもありますから、これは金利  に依存し、
 L 2(r) ……… ⑫
と書け、しかも「現在の」金利である  が小さいほどタンス預金 2(r)は大きくなります。
 ここで、貨幣量    の合算ですから
 M  1(Y)  2(r) ……… ⑬
という関係が成り立つことがわかります。これが貨幣に関する方程式です。
 この左辺の貨幣量は、外生変数として議論の前提として与えられたものとして考えますから定数で、右辺には国民所得  と金利  が出てきます。この    が変数として出てくる点は、財に関する方程式⑦と一緒です。ですから、⑬の方程式を満たすような    の関係をグラフに表すと、IS-曲線を描いたのと同じところに描けるわけです。これを⑬の両辺に文字L   が出てくることにちなんで「LM-曲線」と呼びます。前稿でリンクを貼ったサイト
のグラフの青い曲線が「LM-曲線」です。
 さて、この「LM-曲線」は、リンク先のグラフを見ればわかるように、IS-曲線とは逆に、右肩上がりの曲線となっていますが、このことは、方程式⑬の帰結として証明することができます。
 その証明のために、方程式⑬を次のように書き換えます:
 L2(r)    1(Y)  ……… ⑬
 ここで、国民所得  が増加すると、上に述べたように、L1(Y) も増加します。ところが⑬の右辺は、これにマイナスの符号が付いているので Yが増加すると⑬の右辺は減少します。従って等式⑬で結んだ左辺の 2(r)も減少します。すると、やはり上で述べたように、L2(r)   が減ると増える(逆の場合は逆)という関係にあると言いましたから、L2(r) が減るということは、r は逆に増えなければなりません。
 以上により、LM-曲線は  が増えれば  も増えるという右肩上がりの曲線になっていることが証明されたわけです。                              (続く)
651 名前: mespesado2019/06/09 (Sun) 07:44:36
 IS-曲線のときに、定数である政府支出  を動かした場合の曲線の「シフト」について考えたのと同じように、LM-曲線についても「シフト」を考えることができます。
 ただし、今度の動かす変数は貨幣の総量  です。
 この場合も、問題は、やはり  を増やしたとき、LM-曲線が左右どちらにずれるか、この問題を考えるには、前稿の方程式  の方を おっと!、前項で番号⑬を2回使ってしまいましたね。これは失礼しました。後の方の式⑬は式⑭の間違いです。そこで改めて式番号を訂正しながらその式を再掲させていただきます:
 L2(r)    1(Y)  ……… ⑭
 ここで  を固定しながら  を増やしていくと、右辺の 1(Y) の方は  を固定しているため変化しません。したがって、右辺は  を増やすと増加します。つまり、Y を固定すると、M が増えれば左辺の 2(r)も増加します。従って、前稿で説明した の性質により、r は逆に減少しなければならないことがわかります。
 横軸の  を固定すると縦軸の  が減少する、ということは、LM-曲線上の点が、縦方向に下にシフトする、ということを意味します。なお、LM-曲線自体は右肩上がりなので、この曲線が下にシフトするということは、右にシフトする、と言っても同じことですね。                           (続く)
652 名前: mespesado2019/06/09 (Sun) 08:07:44
 さて、いよいよIS-LM分析」とは何か、について説明できるところまで来ました。
 今までは、政府支出  が外生変数として与えられた場合には「IS-曲線」あるいは同じことですが、「財」に関する方程式:
 Y  C(Y-T(Y))    I(r) ……… ⑦
を、貨幣総量  を外生変数として与えた場合には「LM-曲線」あるいは同じことですが「貨幣」に関する方程式:
 M  1(Y)  2(r) ……… ⑬
を考えることにより、国民所得  と金利  は自由に動かせるパラメターのように考えてきました。ところが政府支出  と貨幣総量  を同時に外生変数として与えると、方程式⑦と⑬を同時に考えなければなりません。
 これは、いわゆる「連立方程式」であり、変数    は、方程式が2本、変数も2個ですから、これら    のペアーは、連立方程式⑦と⑬の解として一意的に求められることがわかります。
 これをグラフの方で解釈すると、IS-曲線」と「LM-曲線」の「交点」として    が同時に求まる、ということになります。これをIS-LM分析」と言います。  (続く)
653 名前: mespesado2019/06/09 (Sun) 08:21:27
 さて、ここで「IS-LM分析」の応用例として、「財政出動」の効果と金融政策のうちの「量的緩和」の効果について、どのように理論的に正当化されるのかを見ていくことにしましょう。
 まず最初は「財政出動」です。
 これは、2つの外生変数である「政府支出」G と「貨幣総量」M のうち、G の方を増やすとGDPである  はどう変化するか、という分析です。
 既に >>649 で「IS-曲線」のシフトのところで述べたように、この場合は「IS-曲線」は「上に」シフトします。つまり、
の図で言えば、IS1  IS2 にシフトするわけです。これに対して  は変えないので「LM-曲線」の方は変化しません。
 そうすると、GDP  はどうなるか。つまり、この曲線のシフトにより、「IS-曲線」と「LM-曲線」の交点の  の値はどうなるか、ということを考えるわけですが、リンク先の図で言えば、IS1 と書いた赤線のグラフと LMと書いた青線のグラフの交点の  の値は Y1 で、G を増やした後の IS2と書いた赤線のグラフと LM と書いた青線のグラフの交点の  の値は Y2 ですから、論より証拠、G を増やした後の Y2 の方が増やす前の Y1 より大きくなっていますね。これは、財政出動で政府支出を増やすとGDPが増える、つまり景気が良くなることを示しているわけです。
 以上が「IS-LM分析」を用いた「財政出動すると景気が良くなる」ことの理論的な根拠、ということになります。   (続く)
654 名前: mespesado2019/06/09 (Sun) 08:50:12
 次は「金融緩和」のうちの「量的緩和」の効果についての「IS-LM分析」です。
 今度は2つの外生変数    のうち、貨幣総量  の方を増やすとGDPである  はどう変化するか、という分析です。
 既に >>651 で「LM-曲線」のシフトのところで述べたように、この場合は「LM-曲線」は「下に」シフトします。この様子を、今度は次のサイト:
の右側の図で見てみましょう。今度は「LM-曲線」の濃い青の線が水色の線にシフトするわけです。これに対して政府支出  は変えないので「IS-曲線」の方は変化しません。
 そうすると、GDP  はどうなるか。つまり、この曲線のシフトにより、「IS-曲線」と「LM-曲線」の交点の  の値はどうなるか、ということを考えるわけですが、リンク先の図で言えば、「IS-曲線」と「LM-曲線」の交点が E1 と書いた点から E3 と書いた点に移動するわけですから、論より証拠、M を増やした後の Y3 の方が増やす前の Y1 より大きくなっていますね。これは、金融緩和の「量的緩和」で貨幣総量を増やすとGDPが増える、つまり景気が良くなることを示しているわけです。
 以上が「IS-LM分析」を用いた「金融の量的緩和をすると景気が良くなる」ことの理論的な根拠、ということになります。    (続く)

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