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皇統はなぜ男系なのか(4)「女系」が在る理由 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

なぜ縄文時代や海外の王室は「女系」なのか? その明解な答えです。

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384:mespesado:
2019/04/18 (Thu) 21:55:01

>>383
 どうも身に余る評価、ありがとうございます。
 ここで更に調子に乗って、「男系」問題を少し補足したいと思います。
 前々回( >>378 )、「染色体の組み換え」の話をしました。
 この「染色体の組み換え」があるために、「女系継承」は「男系継承」に比べて、前回定義した意味での「尊さ」を引き継ぐには決定的に不利になっているので、まずそのことをきちんと説明しておきましょう。
 仮にこの「染色体の組み換え」という機構が無かったとします。
 この場合、「男系」よりは不完全ならが、「女系」でも「尊さ」を継承することは不可能ではありません。
 その理由は次のとおりです:
  ある「良い」性質を沢山持ったX染色体をもつ女性がいたとします。女性の染色体はXXですから、この2つあるX染色体の一方が「良い」性質を沢山持った方 の染色体(以下これを「良いX染色体」と呼ぶことにします)ですから、この女性が子供を沢山産むと、確率的に、その半数は「良いX染色体」を持っていま す。ただし、どの子がこの「良いX染色体」を持っているかは外見だけからは判定できないので、子供が成人するまでの「振る舞い」や「クセ」などを親が見極 めて、「ああ、この子は母親の“良い”性質を受け継いでいるな」とピンと来たら、その子供に「皇位を継承」します。先ほど「不完全ながら」と言ったのは、 この親による「見極め」は間違えることがあり得るからです。
  ところが現実は、X染色体は「染色体の組み換え」の対象になるため、減数分裂で卵子が作られるとき、もう一方のX染色体と「染色体の組み換え」が起きるた め、この「良いX染色体」の「良い」性質の半分は失われてしまいます。そういうわけで、初代の女性が持つ「良い」性質は、その子には、どんなに見極めを正 確にしたところでその半分しか継承されません。ですから、「女系」の場合は、もともと持っていた「良い」性質が次々に半分、半分と消えて行ってしまいますから、長い間には事実上消え去ってしまいます。
 …というわけで、この「染色体の組み換え」機構のせいで「女系」は「男系」に比べると、「尊さ」を引き継ぐ、という目的には著しく不利になることがわかるわけですが、しかし世界には「男系」でなく、「女系」で継承する習慣も存在していますし、日本も縄文まで遡れば「母系社会」だったという話もあります。これはなぜでしょうか?
 思うに、これは実は全然別の観点、すなわち「子供の母親は明確に判明するが、父親は明確には判明しない」と いう問題があるからだと思います。子供の母親は、その子供を産んだ女性なのですから誰が見ても明らかですが、父親は、特に「一妻多夫性」でなくたって「浮 気」はしようと思えばできるわけですから、本当の父親は実は誰であるかわからないわけですね。だからこそ、江戸時代に大奥とかを作って「男子禁制」にし て、子供の父親が確かに時の将軍であることを保証する仕組みが必要だったわけです。
 こうなると、「女系」というのは、代が変わるごとに「良さ」が50%ずつ減少してしまうけれどもゼロになることは無いのに対して、「男系」というのは「本当の子供」に引き継がれる場合には100%継承される代わりに、一回でも「浮気」により赤の他人の男の血が混じるとそこで継承率は0%になってしまう、というリスクがあるわけです。
 なので、「浮気のリスクが高い」場合には逆に「女系」の「尊さ」の方が「男系」の「尊さ」を上回るこ とになり、そういう社会では逆に「女系」の方が好まれることになるわけです。日本でも縄文時代のような古代に「母系社会」だったと言われるのも、近代の 「大奥」のような「他の男の血が混じるのを防ぐ仕組み」が古代には不完全だったからではないか、と考えられるのです。ということは近代に「女系」を続けている王室は…?ということになりますが、あまりこの「生物学的根拠」だけをベースにした合理性で論じると、他国の王室に対する不敬に取られかねないので、ここらでやめておきます。
  以上のように考えると、少なくとも「日本の皇統は未だに男系を続けていて、男女同権の時代にふさわしくない。見よ、海外の王室には男系にこだわらずに女王が続いている男女同権な王室だってあるじゃないか。」という、いかにもポリコレ的な評価が、いかに軽薄なものであるかよくわかりますね。

385:mespesado:
2019/04/18 (Thu) 22:32:45

>>384
 一か所細かいことですが、誤解を与える部分がありましたので、補足しておきます。
 前回「女系」の継承で「良いX染色体」を持った子を親が「見極める」必要があるという話をしましたが、これは「染色体の組み換え」という機構が存在しなかった場合の架空の話です。
  実際は「染色体の組み換え」という機構が存在するので、その子に継承されるX染色体は、母親の持つ2つのX染色体が「染色体の組み換え」により混ざってか ら選択されるので、どちらが選択されてももとの「良さ」の半分が継承されます。ですから、すべての子は、母親の「良いX染色体」の持つ「良さ」の半分を継 承しているので、「親による見極め」は必要ありません。つまり、実際の「女系」では、母親の持つ「良さ」は、「見極め」などという不確実な要素によることなく「確実に」50%が娘に引き継がれることになります。


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