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mespesadoさんによる1億人のための経済談義(56)「日本衰退論」(11) そもそも「流通業」「小売業」とは [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

mespesadoさんは、「なんとなく」わかったつもりでいることを、言葉できちんと整理説明してくれます。その説明は小学生も十分納得させることのできる説明です。すごいのは、それをふまえたその後の展開です。「小売業」が、消費者がそこで実際の商品を手に入れる場》であると同時に《どの商品を買うか「消費者による選択」がなされる場》であることが提示されます。その上で、これまでは「生産→輸送→消費者による選択」のプロセスが基本的に安定していました。ところが「技術の進歩」と「貨幣経済の本質的な弱点」のために、この平穏が脅かされるようになる》、それがどういうことかは次回のお楽しみというのが今回です。

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170 名前:mespesado
2019/03/12 (Tue) 12:13:15

 お待たせしておりました『日本衰退論』の続きです。
 >>70 で

>  以上のように、「消費者・生活者の観点からグローバル化の善悪を判
> 断する」という方法論こそが、グローバル化問題を考える場合に一番
> ふさわしいように見えます。それでは、この方法論を携えたうえで、最
> 近のデジタル情報化のグローバル化に関する善悪や、最近の欧米で流行
> 中の「脱グローバリズム」の問題を次に考えていくことにしましょう。

と述べ、>>138 の最後で

> 肝心の連載中の「日本衰退論」の方ですが、それに大いに関連するベス
> トセラー『GAFA 四騎士が創り変えた世界』を読んでいましたので暫く間
> が空いてしまいましたが、昨日でようやく読み終わったところです。

と書きましたので、まずは GAFA( Google, Apple, Facebook, Amazon )に関する「サクセスストーリー」+「その評価」を論じた上記書籍や関連するサイトなどを参考にしながら、いろいろ考えていきたいと思います。
 さて、これらの G・A・F・A のうち、実経済活動に直接関与するのはAmazon と Apple で、前者が「流通」と「小売」に、後者が「製造」にかかわる分野となっており、彼らがそれらの分野でいかにしてグローバルな規模で圧倒的なパワーを得て多くの中小規模の会社を絶滅させ、大規模なライバルの中でも勝ち残って独占に向かってまっしぐらに突き進んでいるのかが、アメリカ人の好きなヒーローをたたえる論調で述べられています。ただ、これらの記述は様々な視点からの評価が入り混じった記述になっていますので、頭の整理のために、まずは最初の「流通」の問題について、「消費者から見てどのように環境が変化してきたか」ということを整理することから始めたいと思います。
 まず太古の昔の「狩猟・採取」の時代には、「消費者」は自分の欲しいものをすべて自分で自然から「取得」していたので、このような時代には「流通」も「小売」も存在しません。その後、農業・牧畜・漁業の時代も基本的には同じですが、ただ消費財が複数ジャンルあって、生産活動が「専門分化」していますから、お互いの消費財の「物々交換」はあり得ます。しかしそれでも「小売」とか「流通」という概念はありません。
 次に、個別相対で取引したのでは、自分の欲しいものが常に交換で得られるとは限らないので「市(いち)」が発達し ます。この場合、「生産拠点」から「市」までと、「市」から「消費地点」までのモノの運搬は発生するので「流通」という概念は発生しますが、生産者が直接 市までモノを運び、消費者も市まで自分で出かけていくので「流通業」という商売は存在しません。ただ、生産者が市まで運んでも、それを買う人が現れるまで にタイムラグが生じますから、あらかじめ交換レートを決め、そのレートで消費者が来たら交換行為を管理する役割を専門に行うビジネスが発生します。これが 市における「小売業」の誕生です。ここまで来て初めて交換の尺度を表す指標である「貨幣」というモノを利用することのメリットが生じて「貨幣経済」が発達します。
 その後、特定の「大規模生産者」や、「消費専門である貴族階級」や「生活にかかわりのある大きな宗教施設」のまわりには、近くに住むことによる利便性を選んで人々が集まり、「都市」が誕生します。すると、都市というのは生活の拠点ではあるけれど、生産活動は行われないので、ここで初めて「郊外」における生産拠点から「都市」における消費拠点までどうやってモノを運搬すればよいのかという問題が起こります。
 一番最初、まだ便利な運搬道具が一般消費者に普及していなかった時代は、生産者からモノを買い付けて、これを一大消費地である都市の「店舗」に運び入れる部分までの役割を「流通業者」が担い、消費者は店舗まで出かけて行ってモノを買う、という手順となります。
 ここで重要でありながらあまり自覚されていなかった行為が隠れています。それは消費者による「商品の選択」と いう行為です。もともとあらゆるジャンルのものを集めて陳列しているのが商店ですが、同一使用目的の同一種類の商品を複数の生産者が作っているときにそれ らの中から消費者が好むものを選ぶ、という概念が存在するわけですが、これ、実は消費者にとってはそのような「選択の余地がある」ということになかなか気 が付きにくいシステムになっています。なぜなら、どこの「店舗」に商品を卸すかというのは、基本的に生産者に決定権がありますよね。また、店舗の方だっ て、売り場面積は限られているので、どこの生産者から購入するかを決める権限は店舗にあります。ということで、消費者は「生産者」による選択と「店舗」に よる選択という二重のフィルターを経たうえで近所の店舗に並んでいるものから商品を選んで購入するしかないわけです。だから、消費者にとって、同一種類商品の選択の幅は非常に小さい。た だ、一部例外的に選択できるモノもあるにはありました。それは値の張る家電製品などで、この場合は一つ売れれば売り上げが大きいので、特定の生産者とだけ 専売契約を結んだ「特約店」というのがありました(日立特約店とか東芝特約店とか)。こういうケースでは、どこのメーカーの特約店を選んで買いに行くか、 ということで消費者に選択の余地はありました。しかしすべてのメーカーがすべての都市に特約店を展開しているわけではないのであくまで限定的ですが。
 さて、「流通業」と「小売業」の発展の流れを古代から見てきましたが、「流通業」の本質は商品の「輸送」にあるのは考えなくても明らかですが、一方の「小売業」の方は、消費者がそこで実際の商品を手に入れる場であることは考えなくても明らかですが、実はこの機能に加えてどの商品を買うか「消費者による選択」がなされる場で もある、ということが本質です。そして、上で解説してきたところまでの段階では、生産者から消費者に商品が渡るまでの流れとして、まず「輸送」してから 「消費者による選択」がある、という順番である、ということが重要なポイントです。そして、この順番が守られている限り、生産、流通、小売に携わる人たち には安定が保たれており、もちろん個々の業者には栄枯盛衰があったでしょうが、業界全体としては平穏な時代が流れていたと言えます。ところが「技術の進歩」と「貨幣経済の本質的な弱点」のために、この平穏が脅かされるようになるのです(続く)

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めい

野崎氏判断:《GAFA+Windows帝国の崩壊の始まり》
http://grnba.jp/index.html#aj05291

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◆令和01/05/29(水) ファーウェイが独自OSを発表

ファーウェイへの供給をAndroidとWindowsが中止する決定を受けて、ファーウェイは独自開発のARK OSを発表した。

中国では漢字で表記するため「鴻蒙」OSと呼ばれるようだが、「鴻蒙」は中国神話で天地開闢前のカオス状態を意味する。

ただ英語表記がARKとなったのは、洪水から身を守るための箱舟を意味するのか、「失われたアーク」を意味するのかは不明である。

いずれにせよ、これで中華圏はWindows·Google·AppleのIT支配から逃れる準備が整ったわけで、これは国防上で重大な意味を持つ。

何となれば、バックドアや位置情報追跡やハッキングなどで情報を集めているのはWindows·Google·Appleの方だからだ。

中国からはすでにAmazonが撤退を表明し、Facebookは最初から禁止されているから、GAFA+Windows帝国の崩壊の始まりだ。
野崎晃市 (44)

by めい (2019-05-29 06:13) 

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