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AIシンポジウム(2)プログラム学習で何を目指すか [IT社会]

3月4日の宮内小学校評議員会でICT教育がひとしきり話題になった翌日の山形新聞コラム「気炎」、日本のITエンジニア不足を危惧する内容だった。

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データとIA

 全ての産業で、取得したデータを人工知能(AI)化する時代となってきた。例えば▽囲碁のAIが人間の囲碁チャンピオンを破った▽自動運転技術が発展してきている▽米IT大手グーグルのAIが動画を見て猫という動物の概念を学習した—などは知られていると思う。ところがビッグデータの解析技術の開発はほとんどが海外でなされており、特に米中が2強化している。最近話題になった中国通信機器大手、華為技術(フアーウェイ)副会長の拘束劇は、この分野での主導権争いによるものとの見方もある。果たして日本はどうなのであろう。
 人数を基に見てみよう。日本のITエンジニアは2014年で84万1千人である。一方、米国は369万2千人、中国は327万3千人となっている。数だけの問題ではないであろうが、心配になってくる。これだけ差がつくのには大きな理由がある。そもそも理工系の学生数が少ないのだ。医学、薬学を含まない工学、科学、数学、物理などの理工系の学生の12年の比率は、ドイツと韓国は63%、英国45%、米国31%なのに対し、日本はわずか23%である。
 さらに15年の学生1人当たりの教育費は米国のスタンフォード大が3700万円、マサチューセッツエ科大が3400万円なのに対し、東大が925万円、京大は787万円である。加えて大学の総支出に占める人件費も米国の同大学が63%と49%なのに対し、日本の両大学は42%と41%にすぎない。これでは優れた教員の確保も、良い学生の育成もできない。これで科学技術立国を支えることは難しいだろう。
 逆に言えば山形で今、ITエンジニアを育てるなら日本をリードできる。産業技術短期大学校で定員を増やすとともに、県立高校で基礎的な教育を行うことを考えてみてはいかがであろう。(高橋楓)

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2020年から、小学校の新学習指導要領の改訂に伴いプログラミング教育が必修化になる。《そもそも、なぜ小学校でプログラミング教育が必修化したのでしょうか。必修化が検討されたのは、学習指導要領改訂に向けた中央教育審議会の議論でした。生活 がどんどんデジタル化し、AIなどの新たな技術が生まれる中で、10年先の未来すら予測することが難しくなってきています。そんな時代の子ども達に望まし い教育とは?と考えると「コンピュータを受け身ではなく、積極的に活用する力」「プログラミング的思考(論理的思考力)」が求められるという結論になったのです。》「プログラミング教育必修化!徹底解説」)という。

パネルディスカッションでもこのことが取り上げられ、それぞれ示唆に富む発言があった。

坂井尚行氏《プログラム習得には1000時間の学習が必要。15時間で何をどこまでやるか。プログラム習得の取組みは個人的、個性的であり、授業としてやってうまくゆく自信はない。文科省の考えはまちがっている。》と指摘。それを受けた山本大祐氏《やる気のある人とない人を分けた方がいい。やりたいことをやるのがいちばん。中学時代、C言語を使ってタマゴッチのようなものを作ってた。学生のうちにしかできないことがある。現在の農業への取組みは、ビジネスとしての農業への関心ではなく、植物を育てる農業への関心。》小池誠氏《プログラム習得自体が目的ではない。プログラムによって自分自分の問題を自分自分で解決すること。まずやりたいことがあって、そこで生まれた課題をプログラム的な考え方でどう解決するか。プログラミングで生活が変わる。》

要するに、これからどう展開することになるか予測のつかないAIに「計画主義」的発想はなじまない。プログラム習得が「資格取得」につながるような考えがあるとすると大間違い。ひとりひとり自らの課題を見つけ出して、その解決をおもしろがって取組んでゆく、そういう姿勢を身に付けさせることこそ、プログラム学習の目指すところ、そう思ったところでした。

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めい

協力企業と連携して総合的な学習の時間を行う小学校を募集します(未来の学び プログラミング教育推進月間)
https://mirapro.miraino-manabi.jp/

by めい (2019-03-16 05:32) 

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