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mespesadoさんによる1億人のための経済談義(55)「日本衰退論」(12) 「グローバル化」仕訳法 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

「グローバル化」について、頭の中がきちんと整理されます。

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70:mespesado:
2019/02/27 (Wed) 00:10:12

>>59 【日本衰退論の続き】
 さて、金融と軍需のグローバル化の波が終焉を迎えたあとに来たのはデジタル情報化のグローバル化であり、これは今も進行中、というか大盛況の真っ只中ですが、このグローバル化について論評する前に、今まで解説してきた範囲のグローバル化について、功罪をどう評価するべきかという問題を整理しておきましょう。
 今までの生活に必要だった産業分野については、グローバル化は攻める国の生産者側にとっては有利ではあるものの、侵入される受けて立つ側の生産者側にとっては厳しいものがありますが、たとえ侵入される側であっても、その国の消費者にとっては、もちろん品質に対する賢い判断力が必要であるという条件付きではありますが、むしろメリットがある、と言えるのでした。
 これに対してマネーゲームとしか言いようのない金融業(弓月恵太さんがいうところの「巨大なレバレッジを利かせた投資」がその典型ですね)や、カラー革命で「無理やり」対立を引き起こして引き起こす戦争ビジネスなどは、大多数のまっとうに生きようとしている一般国民にとってはまさに百害あって一利ナシのビジネスと言えるのでした。日本でも「ホリエモン」だの「村上ファンド」だの「ビットコイン」だの、一時もてはやされましたが、最後は見放されてしまいましたよね。
 こうして見ると、グローバル化は良い面と悪い面があることはわかりましたが、ではその個別のグローバル化のどれが良く、どれが悪い、あるいは同じグローバル化でもどの部分が良くてどの部分が悪い、と考えればよいのでしょう?
 こういう問題を考えるとき、私がかねがね言っているのは「オカネを消去して見るとよい」という方法論です。
  グローバル化を引き起こしたのは企業であり、彼らの目的はもちろん「オカネを稼ぐこと」です。しかし、そこから「オカネ」を消去すると、グローバル企業の 活動の「動機」は消え去って、結果として「消費者」が受けることのできる「モノやサービス」と、地域の「生活者」にとっての安全や治安や公害などの「環境 問題」だけが残ります。
 そうです!グローバル化の個別の事象の良し悪しは、「それが消費者・生活者にとってメリットがあるかどうか」ということで判断すべし、 ということです。もちろん、消費者・生活者にとってのメリットの最大化を追求した結果、他の部分に「副作用」が出てくることは当然あり得ます。しかしその 場合でも、「だからグローバル化はだめなんだ」と考えるのではなく、どうしたらその副作用を克服できるか、と考える方が建設的です。
  なぜなら、オカネを消去したら、消費者へのモノやサービスの提供や生活者への環境への影響しか残らないのですから、もしこの過程で何らかの副作用が生じた としたら、それは「オカネにまつわる話」でしかあり得ず、オカネというのはそもそも「特定のルールに基づく人工的な概念」なのですから、ルールの変更によ り何とかなる可能性が高いからです。
 この方法論で考えると、カラー革命による戦争ビジネスが全面的に悪であることは明らかですね。なぜなら地域の安全や治安が極限まで脅かされるからです。しかしそれでは軍需産業がすべて悪かというと、正当な自国の自衛のための軍備増強なら問題は無い、というよりも、戦力の役割分担などによる「グローバルな防衛戦略」は積極的に必要であり、同盟国間での軍事技術の共有などはむしろ望ましいことだと言えます。
 それから金融ですが、レバレッジを利かせ過ぎた金融のグローバル化はそれこそマネーゲームに他ならず、あおりを受けて金融知識の弱い人が破産の憂き目に遭うという点で全面的に悪と言ってよいと思いますが、ベンチャービジネスを奨励するための投資に関する規制緩和や国際標準の設定という意味でのグローバル化は、リスクを十分回避するような法整備をしっかり行うという条件付きでむしろ奨励すべきものと考えられます。
 そして従来型の生産活動のグローバル化の象徴ともいえるTPPですが、これは、当初米ネオコンの肝いりで日本に加入を迫った時のような、様々な制度が消費者の権利を無視したり生活環境を脅かすような権利を企業に付与するような形で発足するなら大問題ですが、「チーム甘利」などの大活躍で「日本流」の、根が「生活者を尊重する」国がイニシャチブを取った制度として生まれ変わったあとであれば、消費者や生活者を脅かすようなことなしにモノやサービスのメリットを享受できるのではないかと期待できます。
 以上のように、「消費者・生活者の観点からグローバル化の善悪を判断する」という方法論こ そが、グローバル化問題を考える場合に一番ふさわしいように見えます。それでは、この方法論を携えたうえで、最近のデジタル情報化のグローバル化に関する 善悪や、最近の欧米で流行中の「脱グローバリズム」の問題を次に考えていくことにしましょう。 (続く)

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