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mespesadoさんによる1億人のための経済講座Ⅲ(1) 序  [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

年度初めのバタバタに仕事の忙しさも合わさって5日ほど空いてしまいました。4月6日の地区長会総会で、2年間の宮内地区長会長の大役無事修了。いちばんうれしいのが2年間前任者から受け継いだ消防法被を着ての緊急出動が一度もなかったこと。宮内地区に火災も災害も一件もなかった。このことがほんとうにありがたい。おくまんさまに守ってもらった2年間でした。総会冒頭での挨拶「NHKの『ゆく年くる年』、熊野大社元旦祭の大祓詞奏上が全国に放映されて始まった今年の新年、この日の金正恩オリンピック参加宣言から始まって世界は一挙に明るい方向に動き出しています。おくまんさまのおはたらき、御神徳と思っています。」

さて、mespesadoさんの経済講座が再開されました。昨日来4本の記事がアップされていますが、まず序論としての2本を転載させていただきます。理屈でなくふつうの感覚で理解できる、日本国民だれもが納得できる経済講座です。

935:mespesado : 2018/04/08 (Sun) 13:42:54 host:*.itscom.jp
 久々に、経済本の書評を書こうと思います。
 今回は、「一見尤もらしいがダメな本」の例として、明石順平氏の『アベノミクスによろしく』を取り上げます。
 これは昨年の10月に刊行されたかなり新しい本で、統計データも2016年までの数値が使われていて、今までに書評で取り上げたどの本よりも最新の情報が使われています。
 また、著者の明石順平さんという人は、経済の専門家ではなく、弁護士で、労働問題や消費者被害事件を主に担当しているとのことです。
 この肩書きと専門からも分かるように、思想的には反アベで、アベノミクス批判の立場で書かれていますが、一番最初に取り上げた浜矩子氏とは違い、データを駆使してデータに語らせる、という方法を取っているために、見かけ上非常に説得力があるように見えます。なので、アマゾンのレビュー↓
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8D%E3%81%97%E3%81%8F-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%98%8E%E7%9F%B3-%E9%A0%86%E5%B9%B3/dp/4797680148/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8を見ると、星5つが67%、星4つが14%、星3つが9%、星1つが9%(2018年4月8日13時現在)と圧倒的に支持が高く、評価の高い人のレビューを読むと、データに基づいた実証的なアベノミクス批判ということで絶賛している人が多いことが分かります。例えば高評価レビューのいくつかを紹介すると、

> 政治家などがもっと研究して欲しいアベノミクスの内容。なるほどごま
> かしがハッキリとよくわかりました。

> あ〜!なるほど!と納得してしまう説明の数々・・・
> 本当に景気が良いのか?自分はそんな風には感じないけど・・・と感じ
> ている人がいたら、読んでください。
> その理由がはっきりと書いてあります。

> GDPの算出について準拠する国際基準が1993SNAから2008SNAに変更された
> のを奇貨として「その他」の所をかさ上げした安倍政権。不自然としか言
> いようのないアベノミクスを論破した最高の本。

> オフィシャルデータを駆使して現今政府のインチキ、日銀と一体の阿り
> バカ政策など、明快に解説。現政府のウソに暗澹の完。若井明石順平、
> 今後も若い世代向けに正しく分かりやすい解説本をどしどし出し、「イ
> ンチキの安定」が砂上の楼閣であることを認識せしめ、既得権の我利我
> 利亡者を駆逐し、良き政策を実行できる無私善良な方々を支援して若者
> を善導されんことを願う。

> アベノミクスで豊かになっているのは、一部の人(輸出や株で儲けた人
> たち)と、そのおこぼれに預かっている人だけではないかと疑っていた。
> 大多数の庶民にとっては何もよいことはないと感じていた。それどころ
> か、一部の人が豊かになる分、庶民は相対的に貧しくなるはずだと思っ
> ていた。自分の体験と実感としてはそうなのだ。しかし、知識に乏しい
> 私には、ここがおかしいと言い切れる自信がなかった。問題を的確に指
> 摘してくれる人もいなかった。しかし、この本を読んで、自分は大筋ま
> ちがっていなかったと確信が持てた。著者は経済学の専門家ではないよ
> うだ。それでもここまでアベノミクスの酷さの論拠を提示できた。いっ
> たい経済学者や経済記者は何をしているのだろうか。操作と虚構に満ち
> 満ちたアベノミクスの恐ろしいところは、ストップした瞬間にとんでも
> ないことになることだと思う。後処理を引き受ける人は悲惨な目に遭う。
> だから誰も止められないという地獄のスパイラル。恐ろしい落とし穴に
> はまってしまったものだ。

 また、アマゾンレビュー以外でも、

誰か嘘だと言ってくれ、『アベノミクスによろしく』と『異次元緩和の終焉』にhttp://honz.jp/articles/-/44521

みたいに絶賛している人が多く、この本に書いてあること「だけ」を論理的に読み込むと、なるほどと思ってしまう、ある意味「正しい評価が難しい本」の一つといえます。
 ただし、世の中にはよくわかっている人がちゃんと存在していることが、上のアマゾンレビューで最低の星1つを付けたコメント群を見ればわかります。いくつか例を挙げれば、

> データや図を使っているわりにはロジックが雑です。失業率は民主党時
> 代から下がっていたからアベノミクスは関係ないとか、正直ロジックに
> なっていません。正社員の増加は労働契約法が原因という部分に至って
> は完全に憶測でデータの裏付けが全くありません。マネーストックの増
> 加についても重要なのはマネーストックの伸び率なのに全く言及してい
> ません。はっきり言って経済学の素人を騙そうとしているようにしか見
> えませんね。
> まあ、人口減少デフレの藻谷さんと民進党の党大会に呼ばれるような井
> 手さんが推薦しているので推して知るべしです。

> データを打ち出せば客観性を担保されたことになるとは限らない。デー
> タというものは論理を組み立てるプロセスとして使われる場合は有効だ
> が、結論が先に有りそれを示す為に取捨選択された場合は無効だ。経済
> 政策の場合理解をしておかなければいけないのは各政策の波及にはタイ
> ムラグが生じるし、その国の経済構造により反応は様々だ。しかも、消
> 費増税をしてしまった。だから2014年から失速したし、決算ベースで言
> えば緊縮だ。これが一番の理由だろ。少なくとも対外資産で世界一位と
> なり、財政再建などする必要のない国になっている今の現状をみず不安
> を煽るのは滑稽だ。

> 久々にかなり酷い・・・安倍批判がしたいなら「松尾匡」のほうが100
> 万倍よい

> アベノミクスはアメリカの先例(量的緩和)があるものの、壮大な実験で
> ある。日銀理論を捨てさせ、政治が主導権を握って金融政策を根本から
> 変えさせた、ということだけでも、すごい事だと思う。もしアベノミク
> スが実行されなければ、日本は終わっていた。それだけ重症だったのだ
> から、すぐに効果が出る訳でもないし、副作用も当然出る。しかし、中
> 小企業の経営に携わる者の実感として、現在景気が良いのは間違いない。
> 本書は、推測ではあるが経済学をきちんと学んだ事のない弁護士が、反
> 安倍の「結論ありき」で書いた本だと思う。客観性を持たせるためにデ
> ータを前面に出してはいるが、都合の良い解釈、切り取りが目立つ。怖
> いのは、このような本書が高いレビューを受けている事。きちんと経済
> 学を学び、自分の頭で考えようよ。高橋洋一氏や浜田氏の著作も読み、
> アベノミクスの理屈や目的、政策波及の期待されるプロセス、現状とそ
> の期待との乖離など、客観的に調べてみようよ。マスコミの安倍嫌いや、
> 出版社の「売りたいがための」センセーショナルなキャッチコピーに踊
> らされるのはやめましょう。

 あの浜矩子氏の本でさえ、賛否双方の主張にはそれぞれ頷ける部分があったのに、この本ほど、絶賛してる人が全部誤解に基づいていて、批判する人の方が100%正しいというのも珍しいです。ですが、これらのレビューだけだと、具体的にこの本のどこがおかしいのかまでは書いてないので、人によっては単なる難癖のように取られてしまうかもしれないので、なぜこれらのレビューの方が正当なのかという理由も含めてもっと理解しやすい言葉で書評をつづっていこうかと思いますので、よろしくお願いします。    (続く)

947:mespesado : 2018/04/08 (Sun) 20:12:44 host:*.itscom.jp
>>935
 それでは『アベノミクスによろしく』の目次構成から始めましょう。

 まえがき
 第1章 アベノミクスとは何か
 第2章 マネーストックは増えたか
 第3章 国内実質消費は戦後最悪の下落率を記録
 第4章 GDPかさ上げ疑惑
 第5章 アベノミクスの「成果」を鵜呑みにしてはいけない
 第6章 「第3の矢」は労働者を過労死させる
 第7章 アベノミクスの超特大副作用
 第8章 それでも絶望してはいけない
 あとがき

 以上です。これらのうち、資料に基づいて一見尤もらしく見えるので騙されやすいのが第5章です。
 それ以外は、経済学の定説的見解や財務省の主張に乗っかってアベノミクスの欠点をあげつらうような議論になっていますが、実は経済学の定説的見解や財務省の主張そのものが間違いだったりするので注意が必要です。
 「まえがき」で著者は言います:

> アベノミクスについては、疑問を呈する意見もありますが、概ね結果を
> 出しているという論調が世の多数を占めているでしょう。しかし客観的
> なデータを基に分析してみると、それが大きな誤りであることがわかり
> ます。この本を読めば、良い結果を出すどころか、アベノミクスが空前
> 絶後の大失敗に終わっており、さらに出口も見えないという深刻な状況
> に陥っていることがよくわかるでしょう。
(中略)
>  この本は、できれば全ての国民に読んでいただきたい本です。読み終
> わった後、厳しい現実に直面することになります。それでも、現実から
> 目をそらさないでください。現実をありのままに見つめることから始め
> なければ、この国の未来は開けないでしょう。現代日本の最大のリスク
> は「アベノミクス」なのです。

 えらい自信ですが、本当に筆者の言うように「アベノミクスが空前絶後の大失敗に終わって」いるのかどうか、それでは一つ一つ確かめていくことにしましょう。    (続く)

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