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「憲法改正」をどう考えるか。真の「日本の独立」に向けて [舟山やすえ]

参議院選挙の年。山形県の動きが日本全体の動きにも大きく関わると考えている。舟山やすえちゃんに関わるこれまでのいくつかの記事を「舟山やすえ」カテゴリーにまとめてみた。5本あった。この記事も含め「日本の独立」カテゴリーで書いた記事がいくつかあった。7月の参院選は「日本の独立」が問われる選挙であるべきということなのか。


私の考えをよく理解してもらっている(と思っている)方のところへ新年の挨拶に行ってお酒をご馳走になりながら選挙の話になって、教科書運動との関わりから当然安倍首相支持と思われていたのだろう、話が何となく噛み合わなくなってきて、「舟山やすえちゃんになんとか勝ってもらわねばならない」と言ったところで、怪訝な顔をされた。「いったい右なのか、左なのか」。共通の知人(元市職員)が私のことを「変わり者」と言ったという話が出たりして、そのことから話題は別な方に逸れていったので選挙の話はそれきりになってしまったのだが、新年早々安倍首相が「憲法改正」言い出して、選挙の争点としようという動きがある中で、かつて「憲法改正」を訴えていながら、安倍首相の言う「憲法改正」には断固として反対しなければならないという私の「ねじれ」現象をなんとかうまく説明しなければならないと思いつづけてきたところで、今、田中良紹氏の見事な文章に出合った。

 

《そもそも平和憲法を作った米国の目的は、日本に戦争をさせないためでも平和国家にするためでもない。米国の原爆投下や無差別爆撃に対する報復を防止し、日本を永続的に米国に隷属させるためのものである。占領軍は平和憲法に加え日本人の心に戦争の罪悪感を植え付ける「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を実施した。二度と戦争をさせないための洗脳教育である。》


ほとほと戦争に嫌気がさしている日本人は、「もう戦争はしなくていい」新しい憲法にすんなり乗った。

 

ところが「冷戦」ということになって、「戦争しないんだから軍備もいらない」という憲法を押し付けたはずのアメリカが、軍備をけしかけ出す。


《それを吉田茂は逆手に取った。吉田は軍事で米国に敗れた日本は外交で米国に勝つと考えていたが、9条を盾に米国の要求を拒み、朝鮮戦争で日本人の血を流させる代わりに武器弾薬を提供して米国に協力する道を拓く。占領軍から追放された軍需産業経営者が復権し、朝鮮特需から日本は工業国家として高度経済成長のスタートを切った。》


ここで「軍産勢力」が息を吹き返したのだ。そもそも「冷戦」が先か「軍産勢力」が先かはわからない、阿吽の呼吸、というより表裏一体ということか。以来「軍産勢力」は着々と力をつけて今に至る。しかし表向きには「平和憲法」を建前として、日本人自立の精神の根幹たるべき「国の守り」はアメリカに任せて、日本はひたすらカネを稼ぐことに力を尽くしてきた。吉田首相の引いた路線でその後の日本は突っ走ったのだ。そうしてGDP世界第二位「経済大国」と言われるようにまでなって、それで日本は十分「独立」していたと、思い込んでいた(思い込まされていた)。日経平均株価のピーク3万8915円をつけたのが平成元(1989)年12月29日、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』とか言われて浮かれていたのもここまで、90年代に入るや次第に国際社会の中、日本の置かれた厳しい現状を思い知らされるようになる。


自分自身を顧みつつ、この認識の広がりに副島隆彦氏の果した役割が大きい。副島サイトから「日本はアメリカの属国」の認識が広がり始めるのは平成12(2000)年以降と思う。私が副島氏の本を買ったのは「堕ちよ!日本経済―アメリカの軛から脱するために」が最初。平成12年の刊行だ。その3年前に『属国・日本論』の最初の版が出ている。副島氏は石原慎太郎氏に対して「属国と言ったのはオレが先だ!」と息巻いていた。平成172005)年に『属国・日本論』の改訂版が出ているが、「属国日本」説が広く定着するようになるのはここ10年ぐらいのことではないか。


閑話休題。ゴルバチョフとブッシュの「冷戦終結宣言」が出たのが平成元(1989)年のことだった。


《70年前に日本を永遠に隷属させようと決めた米国は、冷戦の終焉に際しても更に日本の隷属化を考えた。ソ連に代わる北朝鮮と中国の脅威を誇大に宣伝して日米安保体制を強化し、今度は金満国家となった日本からカネを吸い上げる道具に平和憲法と日米安保を利用する。》


「新しい歴史教科書を!」という教科書運動は、すっかり脳天気にされてしまった日本を何とか目覚めさせねばならないという気運の中で生まれた(はずだった)。「日本人の歴史を取り戻そう!」、「日本の真の独立」が旗印(のはず)だった。その目指すところ「押しつけでない日本人の憲法を!」へ行く。「憲法改正」は金科玉条であった。この流れの中に、安倍晋三という政治家もあった。まだ衆議院議員2期目の頃だ。同志と思っていた。山形県支部では教科書運動を、右も左もない、日本人が日本を取り戻す「社会運動」と考えた。少なくとも事務局長を担わされた私はそう考えていた。そうしてそうした広がりができつつあった。それが本部方針によって頓挫させられた。右対左の「政治運動」化してしまったのだ。その時はわからずに本部方針のままに従ってしまった。この辺の経緯については縷々書いたことだ。まっとうな「日本独立」に向けた運動の芽が摘み取られてしまったと、今も慚愧の思いが拭えない。そもそも「新しい歴史教科書」運動の背景には、アメリカのジャパンハンドラーによる巧みな企みがあったのではないかとずっと思っている。それに気づいていた中川昭一は葬られた。安倍晋三は気づけぬ(?)ままに今がある。結果として「売国奴」。


《安倍政権の憲法改正は永久に隷属体制を続ける路線である。かつての自民党が唱えた自主憲法制定とはまるで真逆の路線と言える。そして9条改正反対を叫ぶ人たちも安倍総理と同じ路線の上にある。反対の立場のように見えてそれが米国の隷属を保証する意味で同じなのである。》


安倍政権の憲法改正は永久に隷属体制を続ける路線である——然り、「日本の独立」とは全く相容れないどころか、全く相反する。


以下、田中氏の全文。


   *   *   *   *   *

独立国の「憲法改正」と隷属国の「憲法改正」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20160109-00053261/

201619 1613分配信 田中良紹 | ジャーナリスト 


元旦の毎日新聞は「安倍政権が『緊急事態条項』の追加を憲法改正の出発点とする方針を固めた」と一面トップで報じた。

昨年、限定的な集団的自衛権の行使を可能にする安保法を強行可決させた直後から、「これで安倍政権は憲法改正の本丸である9条には手を付けられなくなった。合意を得やすい『緊急事態条項』から手を付けるだろう」と見られてきたので記事の内容に新味はない。

それが元旦の紙面の一面トップになったのは、今年の日本政治は参議院選挙後に憲法改正が最大テーマになるからというのが表の理由、裏には自民、民主、公明、維新など共産党以外の政党が衆議院憲法審査会で「緊急事態条項」について議論する事をすでに合意しており、参議院選挙で共産党が提唱する選挙協力を分断したい官邸の意向が背景にあるというのが私の読みである。

ともかく今年は憲法改正を巡る議論が多くなると思う。憲法改正の議論と言えばこれまでは9条改正を巡る議論が中心だった。しかし安倍政権は9条改正には手を付けず「国民の理解」を得やすい分野から改憲に着手するという。安倍政権がやろうとする憲法改正の意味は何か。またそうしたやり方を国民はどう受け止めればよいのか。それを考えてみる。

憲法改正に反対する護憲派は日本の平和は9条によって守られ、9条を変えれば「日本は戦争に巻き込まれる」と主張してきた。しかし安倍政権は9条を改正せずに集団的自衛権の行使を容認して米軍と自衛隊が世界規模で協力する事を可能にした。米国は大喜びである。

米国にしてみれば日本が憲法改正などしなくとも、集団的自衛権の「限定的行使容認」で「自衛隊に米軍の肩代わりをさせる」目的を達することが出来た。「限定」を緩める要求をするかもしれないが、安保法の英訳が「限定的」と読めない表現になっているとの指摘もあり、米国にとっては何の問題もないかもしれない。

そもそも平和憲法を作った米国の目的は、日本に戦争をさせないためでも平和国家にするためでもない。米国の原爆投下や無差別爆撃に対する報復を防止し、日本を永続的に米国に隷属させるためのものである。占領軍は平和憲法に加え日本人の心に戦争の罪悪感を植え付ける「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を実施した。二度と戦争をさせないための洗脳教育である。

その洗脳教育と平和憲法が見事にマッチして、二度と戦争をしないために平和憲法はあると日本人は考えるようになり、平和憲法を守れば日本の平和は守られるという幻想を抱くようになったと私は思う。しかし日本を平和国家にするために憲法を作ったのではない米国は冷戦が始まるとただちに真逆の要求をする。戦力不保持の9条2項に違反する再軍備である。

それを吉田茂は逆手に取った。吉田は軍事で米国に敗れた日本は外交で米国に勝つと考えていたが、9条を盾に米国の要求を拒み、朝鮮戦争で日本人の血を流させる代わりに武器弾薬を提供して米国に協力する道を拓く。占領軍から追放された軍需産業経営者が復権し、朝鮮特需から日本は工業国家として高度経済成長のスタートを切った。

しかし米国がアジアの戦争を日本人に肩代わりさせる目的を諦めた訳ではない。9条2項があるために米国は摩訶不思議な存在を創り出した。創設時から米軍が手取り足取り指導した軍隊を「自衛隊」と称して法的地位を警察官と同様にする。警察官は国内法に縛られる公務員だが軍人は国際法に縛られる存在で、両者はまるで異質である、しかし平和憲法がある事から日本には「鵺」のような自衛隊が存在する事になった。

吉田茂は「軽武装、経済優先」を貫くため野党勢力に護憲運動を奨励する。平和憲法を国民の多くが支持するところを見せて米国が要求する軍事負担を減らし経済に特化する国づくりをした。そのためには護憲勢力が一定に存在する必要があり、その勢力と水面下で手を組む事で吉田は米国の要求をかわす「絶妙の外交術」を生み出した。

しかし吉田が平和憲法を盾に外交術を駆使した裏側には、自国防衛を米軍に依存する日米安保体制がある。つまり平和憲法と日米安保体制はコインの裏表で一対のものなのである。これを米国から見れば平和憲法も日米安保も占領当初からの目的である永続的に日本を隷属させる体制を保証する。

1955年に誕生した自民党はこうした吉田路線に異を唱える鳩山一郎や岸信介と吉田派が同居する政党であった。鳩山や岸は米国の隷属体制からの脱却、すなわち民族自立を訴え、自主憲法制定と再軍備を主張した。つまり平和憲法を変える事は日本が米国から自立する第一歩で、再軍備は自国防衛を米国に委ねる安保体制からの脱却である。

しかしながら冷戦体制下で西側陣営の一員である日本は吉田路線と反吉田路線とを同居させつつ、占領時に作られた諸制度の変更にわずかに占領体制からの脱却を試みるに過ぎなかった。そうした日本を取り巻く環境が一変したのは冷戦の終焉である。冷戦があったが故に必要とされた日米安保体制は見直される運命にあった。国際環境は日本に自立する機会を与えていた。

同じ敗戦国であるドイツは冷戦で東西に分断され、西側の一員となった西ドイツは日本と同じく米国の隷属に甘んじていたが、東西ドイツの統一を機に宿敵のフランスと手を組み、米国より欧州の一員としての足場を固め、今ではEUの中心国家として国際社会に大きな役割を果たしている。

日本は冷戦終結にあまりにも感度が鈍く高度経済成長の余韻に浸り過ぎていた。平和憲法を守る事で軍事負担を減らし経済に特化する吉田路線は日本を世界一の金貸し国にしたが、それが国民を目先の経済利益至上主義に走らせ、国際環境の激変を見て自立のチャンスと捉えることの出来ない「平和ボケ」になっていた。

冷戦の終焉で世界を「一極支配」すると決めた米国は、かつてのローマ帝国や中華帝国と異なり、多様な文化や価値観と共生しようとは考えない。あくまでも米国が信ずる価値観を強制して世界を統一しようとする。しかも目的のためには手段を選ばない。

70年前に日本を永遠に隷属させようと決めた米国は、冷戦の終焉に際しても更に日本の隷属化を考えた。ソ連に代わる北朝鮮と中国の脅威を誇大に宣伝して日米安保体制を強化し、今度は金満国家となった日本からカネを吸い上げる道具に平和憲法と日米安保を利用する。

平和憲法がある限り日米安保は継続され、米軍は日本の領土を自由に利用することが出来る。世界最高ランクの駐留経費を受け取り、また日本に兵器を売りつけることも出来るのだから平和憲法はカネになると米国は考える。だからそれを失わせる憲法改正には反対である。ただ平和憲法が邪魔なのは米軍の肩代わりを日本に押し付けることが出来ない一点だった。

従って安倍政権の憲法改正ではない集団的自衛権の行使容認は米国の願いどおりの結果である。米国がもろ手を上げて喜ぶはずである。安倍総理は国民の反対運動を見て9条改正を諦めたのではない。米国が必要としないからやらないのである。

安倍政権の憲法改正は永久に隷属体制を続ける路線である。かつての自民党が唱えた自主憲法制定とはまるで真逆の路線と言える。そして9条改正反対を叫ぶ人たちも安倍総理と同じ路線の上にある。反対の立場のように見えてそれが米国の隷属を保証する意味で同じなのである。

敗戦後、吉田茂が「米国に軍事では負けたが外交で勝つ」と考えた事がはるか遠くになってしまった。冷戦体制が終焉した今、世界は混とんの極みにあるが、そうした時に他国に安全保障を頼る事も、軍事力を強化して防衛を考える事も「持たざる国」日本にとっては愚策である。

何事にも耐えて外交力を極限まで高める事でしか日本の未来は切り拓けないと私は思う。そのためにやらなければならないのは独立国になるための「憲法改正」である。米国への隷属体制を強める事しか能がない安倍総理の「憲法改正」はだから何をやろうとも受け入れる事は出来ない。奴隷で居続けるのか自立するのか、それを国民は心に銘記すべきなのである。


田中良紹
ジャーナリスト
1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、日米摩擦、自民党などを取材。89年 米国の政治専門テレビ局C-SPANの配給権を取得し、日本に米国議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年からCS放送で「国会TV」を放送。07年退職し現在はブログを執筆しながら政治塾を主宰

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めい

舟山やすえちゃん、「無所属で出馬」の意義は大きい。今後どう展開してゆくか楽しみ。まっとうな道、本道を索れ!「損得」判断の政治運動ではなく、「良いか悪いか」を問う社会運動になってほしい。

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●鵺政党 連合と右派に引き摺り回される、小沢・鳩山なき民主
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/9d0c120b2d00aa91c17526a795388954

安倍晋三の頭の中が如何にカラッポかが判る国会答弁がさく裂した。取り巻き官僚や竹中平蔵らが、“どんだけ~”アベの脳味噌に嘘を叩き込んだか窺い知れる答弁だった。前日の、“一億創生”は、言い間違いだと言い訳も出来るが、今回の方は、“ツンボ桟敷”裸のバカ殿丸出しの答弁だった。

国会予算委員会において、民主の山井議員から「民主党政権に比べて、第2次安倍政権の方が実質賃金の減少率が高い」と指摘されると、「ご指摘の実質賃金の減少についてでありますが、景気が回復し、そして雇用が増加する過程において、パートで働く人が増えれば、一人当たりの平均賃金が低く出ることになるわけであります。私と妻、妻は働いていなかったけど、景気が上向いてきたから働こうかということで(パートで)働き始めたら、(月収で) 私が50万円、妻が25万円であったとしたら、75万円に増えるわけでございますが、2人で働いているわけですから、2で割って平均は下がるわけです」

ハァー? 女房が、パートで働きだして25万円。亭主の僕が50万円。〆て我が家は月収70万円。それを2で割るから、平均賃金は下がるわけです、と何らのてらいもなく答弁したのには、腰が抜ける。この例示は、竹中平蔵が、派遣社員やパート労働が増えると、一人当りの賃金は下がるが、一家庭を単位としてみた時、雇用機会が増加するので、一家庭単位の合計収入は増加すると云う、詐欺まがいの屁理屈とまったく同じパターナルなレクチャーに乗っかったのだろうが、説明した人物は、きっと8万と30万くらいで説明したのだと思う。それを聞いた安倍は、収入の例示が低すぎると思い、答弁のようなイケイケな数字に置きかえたのだろう(笑)。ど田舎の村長でもやらないような笑い話だ。

まあ、安倍晋三の事実認識なんてものは、概ねこんなもので、特に驚くには値しない。それよりも、重要なことは、ここまで「無知で無恥な政権」をのさばらせている元凶である、嘗ての政権政党“民主党”の自堕落、体たらくは、これに輪をかけて悲惨である。最近、民主党と維新の党が統一会派を作った。そのこと自体が、既に無意味なのは当然だが、その統一会派に至った合意文書と云うものは、読むに堪えられないシロモノで、白紙にサインした感じだ。

何ということはない、この統一会派までもが、おおさか維新に限りなく近い、自公政権の補完勢力的な合意を確認しているのだ。あまりに合意文書が寂しいので、基本的政策合意(案)なんてものまで作ったが、この中身がメチャクチャなのだ。民主党内の右、左、中間派に配慮しているので、どっちにでも転べる建てつけの霞が関文学になっている。安保法制も内容により是々非々。憲法改正は時代の要請もあるだろうから……。つまり、一部改正はあってもイイかも?TPPもあってもイイかも?原発再稼働も、あってもイイかも?公務員改革は放棄なんちゃって、もう救いようがない有様なのである。

こんなものでは、安倍自公政権を容認した「野党勢力」に等しいわけだ。違いを無理やりに探せば、俺たちの政権で実行はOKだけど、安倍政権での実行は反対だ。そういう本音を暴露したような統一会派なので、これは相当に悲惨だ。おそらく、ほとんど、安倍自公政権に対峙するポジションを認知されることはない。現状を見る限り、民主も維新もおおさか維新も元気にする…も、総じて“親安倍自公政権”。出来たら、僕たちも閣内協力って感じになっても良いのですが……、とアピールしているようにさえ見えてくる。

気がつくと、自公・民主・維新・おおさか維新・元気の大連立政権誕生なんて、トンデモナイ、第二次・大政翼賛会の誕生に至る。今回の腰が引けた、おっつけ仕事紛いの弥縫策で、国民の要請に応えている野党の姿勢だと、万が一にも思っているのであれば、これは、救いようはない。安倍ファシズム政権以上にリスキーだ。ナチュラルに鵺な体質を抱え込んだ、コウモリ以下の政党と云うことになる。考えれば考えるほど、民主党と云う政権は、小沢―鳩山ラインがあって成り立っていたわけで、それが抜けたのだから、烏合の衆以外の何者でもないのだろう。

ここまで、民主党の惨状を見せられると、今後の展望など、考えること自体がナンセンスと云うことだ。松野・江田・前原ラインで“アベ湯党”でも作ればいいだろう。中間派は“連合党”でも作り、左派連中がいるなら、“社民・民左党”でも作ったら如何だろう?結局、解党的出直しじゃなく、解党が正解なのだ。このような流れが見えてくると、安倍の化けの皮が、どれ程剥がれようとも、政党らしいカタチになっているのが自民党だけだから…となり、政権政党の選択肢を国民に提示できない事態も想定されてしまう。まさに、最悪だね(笑)。

こうなると、小沢一郎(生活)、志位和夫(共産党)+市民連合(SEALDs、立憲デモクラシーの会、安全保障関連法に反対する学者の会等々15団体)による、安倍自民政権カウンター勢力が、社民や民主党の一部を吸収して、安保法制廃案を中心に据えた候補者選定作業に入るべきかもしれない。今回の安保法制の廃案を目指すことは、結果的に、辺野古新基地建設、原発再稼働問題を飲みこむことになるわけで、敢えて旗印にしなくても良い。風が吹けば桶屋が儲かる、の論理で行けば、中央集権の弊害の改革(地方主権)に繋がるし、戦後日本の体制の総ざらいに至るものと考える。当然のことだが、外交姿勢も世界の多極を視野に入れたものになって行く。

善いか悪いか、様々な議論があるところだが、世界的な潮流としては、「白か黒か明確に」と云う傾向が強くなっている。おそらく、現在の世界状況は、白か黒かハッキリさせろ!結果的論を見て、白が正しいか、黒が正しいか、為政の状況を見て判断するので、先ずは、旗幟を鮮明にしてくれ。そのような要望が、民主主義的手続きを踏んでいる国も、そうでない国も、国民の要望がそうなっている事実が重要だ。多面的グローバリズムの蔓延が惹き起こした、この人々の要望を満たせる勢力に、最終的には陽が当たるのではないかと筆者は考える。

なにも、今夏の参議院選が最終戦争ではないわけで、安倍の改憲行動にしても、そう易々と動けるものではない。必ず、その間に、中東の勢力図が大きく変わる。ユーラシア大陸自体の趨勢も変わる。アメリカ経済や中国経済にも、悪化材料が、出てくる。勿論、アベクロミクスは真っ黒けの黒焦げになっているのだから、自民党カウンター旗幟鮮明なグループに、国民の目線が向かう可能性がある。経済の疲弊と、まさに生きていけなくなる社会不安の蔓延は、既得権勢力にとって、末期の膵臓がんに罹患したようなものになる。そう云う意味では、今夏の選挙に絶対勝たなければならないと云う悲壮感を持つ必要もないだろう。

by めい (2016-01-10 11:56) 

めい

《最低限の人間の共同体意識が成り立つコミュニティーの真似事程度のものは育む努力はする。そう云う範囲において、自助と共助のコミュニティーに如何に醸成し、そこで小さく包摂の原理で生きながらえるか、そういうレベルで専守防衛しておく程度が関の山の時代》
この認識、よくわかります。昨日のコメントに引き続き「世相を斬る あいば達也」の記事です。
《成長を餌にして成長した資本主義経済を一時成立させたのだが、あくまで、これが例外的だったと云う問題が、今最も世界の人々が考える点である。この例外的時期のお陰で、国民の中に「中間層」と云う人種が生まれたわけだ。この「中間層」の成立により、衣食足りて礼節を知る時代が100年程度続いたに過ぎないと云う事実を、本来噛みしめて、次のフェーズに思いを馳せるのが、21世紀の人々の知恵である。 》
シビアですが、重要な指摘に思えました。

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●経済成長あり得ない先進国 「青い鳥」は足元に転がって
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/034e4e16a9a3fea3cebe999962cffb61

昨夜は、NHK特集が、ロシア・プーチン大統領像をどのように伝えるのか、皮肉な目と耳で視聴してみた。解説に出てきたキャスターは、どこの田吾作かと思いきや、よくよく見ると、NHKニュース9キャスターを安倍官邸圧力で更迭された大越健介であった。日夜、人の目に晒されていないと、人間とは、ここまで容貌が変るものかな?と、先ずは奇妙なことに感心した。

まあ内容は、一見中立性を演出しているが、重要な要件を二つ、見事にスルーしていた。この二つのファクターを抜くことで、西側陣営にとって、プロパガンダ報道としての価値は出てくるが、事実誤認を日本国中に広めることにもなるわけだ。一つは、「国際社会」と云うワードだ。NHKが駆使するところの“「国際社会」とは何ぞや!”この部分の説明がない。簡単に解釈すれば、未だにパックスアメリカーナ唯一神と思い込む以外に方法論を見出せない、迷える子羊軍団、欧米先進国の群れを、NHKは「国際社会」と言っている。この点が、視聴者に、重大なバイアスを掛けるのである。

考えてみてくれ!「国際社会」と云う以上、その中に、中国やロシアやシリアやイランやブラジルやインドやサウジも含まれているわけだ。敢えて言うなら、イラクもイエメンもリビアも北朝鮮も、本来の「国際社会」には含まれているのだが、印象的にはNATO諸国及び、日韓豪加程度の枠組みで印象操作されてしまう。つまり、パックスアメリカーナな世界における「国際社会」であって、世界中の国際社会ではないと云うことだ。これは、トテツモナイ間違いを、端から大前提条件にして特集は組まれていた。

次に、クリミア併合においての、NHK大越の言草がベラボーに面白かった。ウクライナ政府の承認を得て、私はクリミアに飛んだと云うわざとらしい外務省の硬直指導ソノマンマな言葉尻だ。ロシアが完全実効支配しているのだから、現在のアメリカ的領土解釈から行けば、まさに、クリミアは、ロシアが実効支配しているのだから、ロシアの領土だ。そんなことを言ったら、竹島を訪問して、竹島特集をする場合は、日本政府の承認を得るのか?そう突っ込みたくなるわけで、取って付けた奇妙な立ち位置の表明だった。

この大越の奇妙な発言は、ロシア・プーチン大統領が、如何にも世界の大国となろうとして、積極的に西側諸国、特にNATO地域にちょっかいを出しているような建てつけになっているが、事実は、真っ逆さまじゃないか!パックスアメリカーナ信仰に毒されている、西側諸国にとって、ソ連邦が崩壊し、ロシアと云う国が再生したにもかかわらず、プーチン率いるロシアは、ソ連邦そのものだと云う短絡的印象操作で、国民をミスリードしている。歴史的事実経緯から、ロシア国境に、チョッカイを出したのは、米国務省であり、NATOなのは紛れもない事実だ。

誰が好きこのんで、年金もまともに支給されていなかったロシア系住民が多いクリミアを乗っ取りになど行く理由がない。ロシアにとって、財政支援を増大させるだけの厄介な飛び地である。無論、軍事拠点としての重要性があるから、ウクライナ・クーデターが起きてしまったので、致し方なく併合、実行支配に踏み切ったに過ぎない。筆者はプーチンフリークだから、良く理解しているが、彼は受け身な立ち位置にいたわけで、積極的に動いたのは、為にする危機を演出しないと、立ち行かない米ネオコンらの策謀に、オバマが不要に乗っかった結果に過ぎない。

国家財政を疲弊させるような経済制裁を受けるために、国土拡大を狙うだろうか。このような状況は、日韓に隣り合わせている北朝鮮の脅威と云う作り話と同様で、ロシアはソ連邦だ。プーチンは大国としてのし上がろうとしている言説を、ドイツはじめとするEU諸国に、脅威として提供したわけである。つまり、ロシアも北朝鮮も、場合によると中国も、当初はパックスアメリカーナの世界で、それなりの地位を目指したのだが、どうも、本質的に仲間として扱われる可能性はないと判断した帰結が、今のような現状を生んでいる。彼らが態度を硬化させ、米国にとって扱い難くなった結果、現状の西側では、彼らを悪魔化したがる(笑)。

それでは、日韓にも、それなりの経済力、軍事力があるのに、なぜ中露や北朝鮮のようにパックスアメリカーナからの離脱、独立を望まないのか、と云う点である。この辺が、非常に微妙なのだが、一つには、中露は国連常任理事国であり、先の戦争の戦勝国である。そして、双方ともに核保有国である。北朝鮮は、その二大国に糞の糞みたいな国だが、どこに飛んでいくか判らないミサイルと、ちゃんと爆発するかどうかわからないが、核保有国である。このような対立を先鋭化させることは、日韓も核保有を考えるべし、と云う輩の説に追い風が吹く嫌いさえある。

しかし、NHKが特集している、EUを襲ってる難民問題も、ロシアプーチンの動きも、レームダックのオバマ政権も、第一次大戦、二次大戦で惹き起こされた「戦時経済」と「復興経済」の中で、地球規模で「経済成長」が幸運と偶然の産物として生まれた。そして、その僥倖的な一時代が、経済成長を餌にして成長した資本主義経済を一時成立させたのだが、あくまで、これが例外的だったと云う問題が、今最も世界の人々が考える点である。この例外的時期のお陰で、国民の中に「中間層」と云う人種が生まれたわけだ。この「中間層」の成立により、衣食足りて礼節を知る時代が100年程度続いたに過ぎないと云う事実を、本来噛みしめて、次のフェーズに思いを馳せるのが、21世紀の人々の知恵である。

現時点で、このような考えを力説してみたとて、ほとんど意味をなさないのも承知だ。しかし、ネットと云う言論空間らしき世界もあるのだから、黙々と語って行くのも、一つの方法論なのだろう。見通しは極めて暗い世界しか見えてこないように思えるのだが、意外に、失い切った時、光を感じると云う事もあるのだろうなと思う。いずれにせよ、成長は、宇宙のマーケットでも探しに行かない限り、パイは縮むばかりなのは自然の成り行き。先進諸国が、ここまで飽食の極みにあって、裏側では餓死者が出ている。こう云うシステムは、上手くやっていく分には良いのだろうが、一握りの勝者を生むだけで、多くの人々を不幸にするシステムだ。

経済成長が中間層を生み、資本主義と民主主義を偶然成立させただけなのだが、この二つの世界大戦の「戦時経済」と「復興経済」が生み出した、資本主義と民主主義の大繁栄時代はもう来ない。正直、次世代のフェーズに関して、強く言論界が生まれることもない。マスメディアが死んでいるのだから、人々に周知する手段も途切れている。ネット情報の短絡的な氾濫は、混乱と極端化は醸成するだろうが、オピニオンリーダーとはなり得ない。望むべき状況ではないが、行きつくところまで行ってしまう国や地域が、世界の彼方此方に生まれ、それこそ「国際社会」などと云う造語を言ってはいられない状況が生まれるのを待つことになりそうだ。

正直、このような大時代的難局を乗り切る処方箋を提供できるパワーは現在見当たらない。成り行き本意と言わざるを得ないのは寂しいことだが、それらしき処方箋を書ける勢力の力は弱い。最近の筆者は以前からコラムにも書いているが、生来の個人主義者なので、自助の予防線を、自分なりに作っている。ただし、最低限の人間の共同体意識が成り立つコミュニティーの真似事程度のものは育む努力はする。そう云う範囲において、自助と共助のコミュニティーに如何に醸成し、そこで小さく包摂の原理で生きながらえるか、そういうレベルで専守防衛しておく程度が関の山の時代に突入している。

by めい (2016-01-12 05:58) 

めい

《極右から労働組合、年金生活者に至るまでもが、今まで信じられた資本主義経済と民主主義のベーシックなフェーズが変っているのに、旧フェーズの論理で、出来事を解釈し、その処方箋を描くと云う無為な行為に出ている》
その中での「ねじれ」と考えられます。

3日連続で「世相を斬る あいば達也」さんの記事です。

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●時代の変わり目で起きる重大な歪み 厄介すぎる歴史的ひずみ
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/584f18864a72d96d2637c4c30a289d83

筆者が好きなコラムニストの一人、山田厚史さんも、いくぶん混乱気味になっているようだ。それもその筈だろう、筆者は、そう思う。何せ、極右から労働組合、年金生活者に至るまでもが、今まで信じられた資本主義経済と民主主義のベーシックなフェーズが変っているのに、旧フェーズの論理で、出来事を解釈し、その処方箋を描くと云う無為な行為に出ているのだから、それは、相当に苦痛な行為だと思う。

筆者は安倍晋三と云う人物を、常々こき下ろしているのは、実は生理的に受けつけない体質を、彼が有している所為だと思っている。九分九厘、旧フェーズの上で、一定の地位を得た人々は、多かれ少なかれ、頓珍漢な論理を振り回すしかなくなるジレンマに陥る。それはそうだ、100年続いている既存のパラダイムに、生き方をアジャストして来たわけだから、“ありゃ、こりゃ糞詰まりだな”と今さら気づいても、“今日から考え方を変えました”と宣言することは、明日の生活の糧を失うことになるのだから、決断できる人は滅多にいない。 新しいフェーズ情報を取り入れるのも、それ相当に難儀なことだから…。

そう云う意味で考えれば、安倍晋三も菅義偉も、切り替え時期にある時代のフェーズの上で、のたうち回っている被害者だとも言える。ただ、理性的に考えると、このような時代のフェーズの変わり目において、被害者であるにも拘らず、旧フェーズな振舞いに拘泥しないと、自己否定に繋がる立場の人たちは、劇的にのたうち回る。そして、その努力が、過激であればあるほど、周りの人々を傷つけ、無理心中に誘い込む。おそらく、現状、社会的に一定の地位を得ている人々の多くは、旧フェーズの中で成功している人々なのだから、今さらパラダイムシフトしたので、生き方や考えを変えますのでヨロシク、と云うわけには行かないわけだ。ゆえに、こう云う時代においては、傍系に位置する人々の知恵に接することがポイントだ。

多くのエリート層は、俺は嘘を言っているようだが、嘘をつき通すのが、社会的要請であって、俺の人格とは関わりなく、職務職責と云う地位によって語らせられているだけなのだと、社会的機能における分身を幻想的に祭り上げる。凡庸な悪の典型的人々の振舞いを沢山見聞き出来る時代、それが現時点の歴史上のポジションなのだろう。アンナ・ハーレントがアイヒマンを評して「悪の陳腐さ」「悪の凡庸さ」と表現し、未だに論が戦われされているが、立場主義で生きる現代社会には、少なからずアイヒマンに象徴される人々は、実は非常に多いのである。居酒屋談義でも、立場主義を守って話しているオッサンを見ると笑いたくなる。

第一次、二次世界大戦を通じて醸成され作り出された「戦時社会」と「復興社会」が生み出したユートピア、パックスアメリカーナの象徴される西側先進諸国の、資本主義と民主主義は、その時代背景の効用が失せた後も、たゆまぬ努力と知恵で、グローバル世界を創造した。結果論として、陰謀論的「新世界秩序(NOW)」と重なり合う世界の実現に、全エネルギーを費やすことになっている。ポスト冷戦に対応する努力と知恵であったろうが、富の偏在化が異様な状態にまで達しており、誰のための生産であり、消費なのか。誰のための富なのか、どう分配すべきか、それが判らなくなっているのが現状だ。安倍晋三の論理矛盾は、ここから来ている。まさに、”角を矯めて牛を殺す”思想で世界は自殺願望に追い込まれているのだろう。

おそらく、誠実に語るか、レトリックに語るかの違いがあるだろうが、ポピュリズム化した民主主義においては、どの政党が、政治家が、為政を担当しようとも、根本的には、実は似たり寄ったりの事しかできない筈だ。しかし、個人的には、どちらにせよ、原理原則的な部分で、ボタンの掛け違いが起きているだけだとしても、上手くやる政治よりも、正直にやる政治の方が、結果が同じでも、気持ちの面で救われる。世界的に、ピケティ、トッド、ラトゥーシュデイリー或いは国内的に水野和夫、藻谷浩介、平川克美、内山節らが存在するがメジャー論陣とまでは言えない状況だ。

by めい (2016-01-13 06:23) 

めい



《安倍首相の「挑戦」は、あくまでアメリカに従う立場からこの国民世論と対決する 宣言に他ならず、議席数だけで暴走体制を保ってきた浮き草のような安倍政府に鉄槌を下す全国的な世論と行動の大結集が求められている。》

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政府好き放題の緊急事態条項 安倍改憲が目論む戦争体制 7月参院選が重要な焦点 長周新聞
http://www.asyura2.com/16/senkyo199/msg/606.html
投稿者 お天道様はお見通し 日時 2016 年 1 月 13 日 20:35:55:  
 
年明け早早から通常国会が始まったが、安倍首相は年頭会見で「1億総活躍・元年」「新しい国づくりへの新しい挑戦」などといいながら、7月に予定されてい る参議院議員選挙で自民・公明を含む改憲勢力で3分の2の議席を確保し、憲法改定を含む戦争国家づくりをさらに加速させる姿勢をあらわにしている。また、 3月の安保関連法施行、6月1日までのTPP承認、辺野古基地建設をめぐって攻防が続く沖縄では1月下旬には宜野湾市長選、7月には参院選が控えており、 各分野で対米従属の暴走政治に対する全国的な反撃世論が盛り上がっている。安倍首相の「挑戦」は、あくまでアメリカに従う立場からこの国民世論と対決する 宣言に他ならず、議席数だけで暴走体制を保ってきた浮き草のような安倍政府に鉄槌を下す全国的な世論と行動の大結集が求められている。年頭にあたり、安倍政府がうち出す政策の中身を改めて見てみた。

 安倍首相は、年頭の会見でアベノミクスの成果や安保法案の成立を昨年の成果として自画自賛し、「戦後最大のGDP600兆円」「希望出生率1・8」「介 護離職ゼロ」という「新3本の矢」などの経済政策を強調しながら、7月の参院選では、「憲法改正をしっかり訴えていく」と強調した。自民党候補者の全員当 選を目標とし、自・公で過半数を確保することを明言し、改憲勢力である「維新」なども含めて憲法改定の発議に必要な衆・参それぞれ3分の2の議席確保に全 力を挙げる構えを見せた。昨年は、集団的自衛権の発動を容認する「解釈変更」の閣議決定という強引な手法で、地球の裏側まで自衛隊を送って武力参戦できる 安保法を強行可決したが、この機に乗じた「数の力」で憲法の条文そのものを変えてしまおうというもので、全国的に盛り上がる戦争反対世論と真っ向から対抗 する姿勢を見せている。

 一条ごとに発議しなければならない憲法改定において、昨年から安倍政府がこだわっているのが「緊急事態条項」の新設であり、内閣が必要に応じて非常事態 を宣言し、すべての法を超越して国民の権利や経済活動を制限できるという戦前の国家総動員体制の焼き直しである。九条の改定よりも手っとり早く戦争に向け た国権を発動できる条項で、これを憲法改定の突破口に掲げている。

 緊急事態宣言は、2012年に自民党が発表した憲法草案に新設されたもので、内閣総理大臣が「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序 の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、 緊急事態の宣言を発することができる」とし、国会を超越して首相判断で宣言できるものとしている。

 また、「緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣 は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」とし、国会の権限を停止でき、事後報告による承認だけでよ いとする。

 さらに「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行 われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」と国民には無条件の服従を強い、その場合には基本的人権は「最大限に尊重さ れなければならない」とわざわざ付け加え、基本的には侵害することを逆に物語っている。政府の恣意的な判断で、平等権、思想、信仰、学問、集会・結社・表 現の自由などの自由権、生存権、労働基本権などの社会権、請求権、参政権などのあらゆる人権が制限できることになる。そして、「緊急事態の宣言が発せられ た場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を 設けることができる」とし、国民の審判を受けることなく内閣の意志で国会議員の任期を無期限で延長できる(100日を越えるときだけ国会承認が必要)な ど、「緊急事態」とさえいえば憲法で定められた秩序は停止し、内閣にはなんでもできる莫大な権限が与えられる法整備である。

 安倍政府は、「東日本大震災は緊急事態条項がなかったから救援が遅れた」と理由を並べているが、同条項が想定しているのは災害にとどまらない。真っ先に 想起されるのが満州事変以降、日中関係が泥沼化するなかで制定した国家総動員法である。天皇が主権者だった戦前の憲法には、天皇が「戒厳」を宣告すれば、 統治権限を軍に移行することができ、国家総動員法では一切の人、カネ、モノを政府の統制下に置いて戦争遂行のために問答無用で動員した。その結果、戦地に 送られた数十万人という「邦人」は玉砕を命じられて遺骨すら帰らず、日本全土は空襲や原爆で焦土にされ、320万人の無辜の国民が殺されたことを忘れるわ けにはいかない。安保法制で明らかになったように、これを今度はアメリカ主導の戦争のために適用し、ふたたび国土と国民を問答無用で戦争の渦中に叩き込む というものに他ならない。

 直近では、連続テロ事件が起きたフランスのオランド大統領が「非常事態宣言」を発令して当初の12日から3カ月に延長。国民監視のための警察を2年間で 5000人増員し、政府が「公の秩序と安全を破壊する」とみなした団体や個人に対して監視や、裁判所の令状なしの家宅捜索や自宅軟禁を可能にし、一般市民 の移動を制限し、集会・デモを禁止。COP21開催に合わせた環境保護の集会にも弾圧に乗り出して数百名を逮捕して騒ぎにもなった。また、興業場や商店、 集会場、イスラム教礼拝施設であるモスクの閉鎖、政府が危険人物と見なした国民の国籍剥奪など、政府を批判するだけで「テロ犯」と見なす徹底的な監視、弾 圧体制を敷いている。日本ではかつての戦争の反省から憲法で三権分立とともに基本的人権の尊重が定められ、国による緊急発動権は削除されていたが、これを ふたたび合法的に可能にするというものである。

 平和主義覆し軍隊保持

 安倍政府は「国民の安全を守るため、国家、国民みずからが果たすべき役割を位置付ける」などといっているが、そもそも改憲によってどのような憲法を目指しているのか、自民党の憲法草案に見ることができる。

 自民党草案では、第一に、本来、国家権力を制限して国民の人権を保障する、つまり、国民が国家に遵守させるものである憲法の本質を逆転させ、憲法の遵守 義務を「全国民が負い」、国家が定める「公益及び公の秩序」を害する人権は制限され、国民の義務を大幅に増やして、「国家」の方針に国民の権利を従わせる ものへと変貌させている。

 とくに、人権を制限する主要な根拠をこれまでの「公共の福祉」ではなく、基準が曖昧な「公益及び公の秩序」とし、誰の人権と衝突しなくても政府の判断で「公の秩序を害す」と見なした場合はあらゆる人権を剥奪することが可能になる。

 前文では、「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を頂く国家」を挿入し、基本的人権を尊重する義務を負うのは「国」ではなく「国民」に変わり、平和的生存権の根拠となる「平和のうちに生存する権利」も削除されている。

 第1章は、明治憲法に習って天皇を、「日本国の元首」と規定。新たに日章旗(日の丸)を国旗、君が代を国歌と定め、日本国民は「尊重しなければならない」と義務を課している。

 さらに「安全保障」の章では、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とい う九条の規定から「永久に」を削除し、これらは「自衛権の発動を妨げるものではない」を追加して平和主義を空文化させている。

 内閣総理大臣を最高指揮官とする「国防軍」を保持し、PKOや集団的自衛権をはじめとする「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に強調しておこ なわれる活動」にあたると同時に、「公の秩序を維持し、国民の生命もしくは自由を守るための活動」つまり軍による治安維持活動を可能とする。「国は主権と 独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」とし、国民が国防にあたることを前提としているのも特 徴。

 現行では「この憲法が国民に保障する自由及び権利」は「常に公共の福祉のために利用する責任を負う」と規定されている「国民の義務」は、「国民は、自由 及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」へと変更し、常に政府が定める「公の秩序」に従うことを強要。人 権そのものの概念が、人が生まれながらにして有する権利ではなく、「国家が与えた権利」で、常に「責任と義務」が伴うものとしている。

 この人権に対する概念の違いは全項目に貫かれており、思想及び良心の自由も「侵してはならない」から「(国が)保障する」へと変わり、個人情報は「(国 民が)不当に取得し、保有し、又は利用してはならない」と国民の義務だけを課している。人権の尊重は「個人として尊重」から「人としての尊重」へと変わ り、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由については「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をす ることは、認められない」と新たに制限を設け、活動の目的が「公益及び公の秩序を害する」と政府から判断されれば禁止させることができる。生命、自由及び 幸福追求に対する権利も同様に「公の秩序」に反するか否かが基準となっている。

 地方自治体を従属下に

 また、「文民」と規定していた内閣総理大臣やすべての国務大臣は現役の軍人でなければ就任が可能になり、権限として新たに緊急事態条項を盛り込んだ。地 方自治体に対しては国との協力義務を新たに規定し、地方公共団体に保障されていた機能のうち、「事務を処理する機能」だけを残して財産管理や行政を執行す る機能を削除して、中央集権化を強めている。現在、辺野古への米軍基地建設において地元の総意を無視した政府の強権発動に対して、沖縄県が地方自治の理念 に立って真っ向対決をしているが、憲法自体からこの権限を奪いとり、「地方は黙って従え!」という従属関係に貶めるものとなっている。

 さらに、憲法改正の発議の要件を従来の「各議院の総議員の3分の2以上」から「過半数」へと緩和し、国民投票も、分母を有権者数や総得票数ではなく「有効投票の過半数の賛成」で改憲を可能とする。憲法の公布名義も「国民」が「天皇」へと変わっている。

 さらに現憲法が定めた「国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であ」り、「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできな い永久の権利として信託された」とする最高法規規定を全面削除。102条では、憲法尊重擁護義務を負うべき対象が「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、 裁判官その他の公務員」から「すべての国民」に変わり、名実ともに国家が遵守すべき憲法を国民に遵守させ、国家が定める「公の秩序」に縛り付けるものへと 変質させている。

 このうち、安倍政府が最優先に掲げる緊急事態条項は、この政府権限を絶対化させる憲法改定の象徴的な内容である。内閣にすべての権限を集中させ、チェッ ク機能も置かず、歯止めのかからない暴走を可能とするものであり、法律家や学者からも「大日本帝国の権限とナチスの全権委任法を組み合わせた内容」である こと、戦前の非常事態宣言下では、戦時はもちろん関東大震災などの災害でも天皇による「戒厳」が宣告され、「治安維持」の名目で反政府的な人物や朝鮮人な どが大量に殺害、拘束された事実を告発している。

 70年前にさかのぼるまでもなく、4年前の東日本大震災では「パニックになる」といって避難や救援のライフラインである高速道路を封鎖して被災者の逃げ 場を奪い、原発事故で放射能がまき散らされ、次次に原子炉建屋が爆発しているにもかかわらず「直ちに影響はない」といって放射能の拡散予想のデータも、放 射線量も公表せず、数万人の住民を被曝にさらしたことは記憶に新しい。国民の義務意識がなかったからでも、政府の権限がなかったからでもなく、政府の都合 で権限を振り回して国民を統制したからに他ならない。

 かつての戦争による深刻な反省を覆して国民の権利を奪いとり、アメリカに従う政府に従属させる憲法改定を「国民の安全を守るため」ということ自体がペテンであり、その姿はすでに広範に暴露されている。

 安保法制の強行可決と同様に、安倍政府が寄って立つ基盤は国会内の議席数だけである。参院選を前にして軽減税率などのニンジンをちらつかせているが、野 党の体たらくに依存した低投票選挙で過半数を確保しようとしているに過ぎない。しかし実行しようとしていることは段階を画した戦時国家づくりであり、それ は国民生活の貧困化と一体のものである。

 憲法改定をはじめとする戦時国家づくりを中心に、TPP、米軍再編、増税、原発再稼働など亡国に導くあらゆる強権政治に対して全国に充満する怒りを各分 野で行動にしていくこと、安倍政府と沖縄県民の正面対決となる1月24日の宜野湾市長選を前哨戦にして、七月の参院選では、独立と平和を売り飛ばす安倍政 府に鉄槌を下す強烈な意志を突きつけることが全国共通の政治課題となっている。

by めい (2016-01-14 06:52) 

めい

《安倍首相と菅官房長官の声明は、日本の主な政治家たちが、日本独自の利益よりも、米国の利益を優先しているのではないかと考えさせる。》
諍いを求めるかのような日本の姿勢をロシアは的確に見抜いています。
http://jp.sputniknews.com/politics/20160122/1470486.html

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日本は、北朝鮮と台湾と始めたゲームの危険性を理解していない © AP
2016年01月22日 00:05

日本は最近、北朝鮮と台湾に関する重要な声明をいくつか発表した。もしこれらの声明が善意に駆られて表されたものだとしても、地域の緊張を高め、さらには地域の不安定化を助長する恐れがあるとの疑いが生じる。

モスクワ国立国際関係大学国際研究所主任研究員のアンドレイ・イワノフ氏の私見をご紹介する。

安倍首相とオバマ政権は、北朝鮮は地域の安全保障上の重要な脅威であるとし、国際社会に断固とした対応を取るよう呼びかけた。またその前日、日本は北朝鮮とのハイレベル対話を望まないとする声明を表した。また菅官房長官は、台湾総統選で蔡英文(ツァイ・インウェン)主席が勝利したことに祝意を表し、「地域の安定と繁栄」のためとして、事実上、台湾に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を呼びかけた。

日本は米国の忠実な同盟国であるだけでなく、ソ連時代には「米外交政策の方針に従っている」と言われたジュニアパートナーでもあるものの、アジアに独自の関心も持っている。日本が、朝鮮半島の緊張緩和、中国との関係改善、また台湾との協力から利益を得ることに関心を持っていることは明らかだ。一方で、先ほど触れた安倍首相と菅官房長官の声明は、日本の主な政治家たちが、日本独自の利益よりも、米国の利益を優先しているのではないかと考えさせる。

例えば米国は、ずいぶん前から、経済的、さらには軍事的手段など、あらゆる手段を用いて北朝鮮を排除するのを夢見ており、北朝鮮とのハイレベル対話を拒否している。そのため2002年、当時、風変わりで独立した首相だった小泉純一郎氏は、北朝鮮を訪問するという真に勇敢な行動に出たのだ。小泉氏は北朝鮮で金正日総書記と会談し、北朝鮮との関係正常化に向けた重大な一歩を踏んだ。しかし残念ながらこのプロセスは、日本の人々にとって実際に重要である北朝鮮による日本人拉致問題の解決に、日本人があまりにも期待しすぎたことから、頓挫した。また米国側が安全を保障しなくとも、北朝鮮が人道支援と引き換えに核開発を放棄するのではないかという、米国の不当な期待は、北朝鮮を核保有国にしてしまった。そして米国は今、北朝鮮を制裁で締め付けようとしている。日本は米国のこのような動きを事実上支持している。もしさらに中国も支持するようなことになれば、状況は悪化する恐れがある。一方で、もし中国が支持しない場合、日本は北朝鮮だけでなく、中国とも問題を抱えることになるだろう。特に、もし今後も台湾の新総統にTPP参加を吹き込んだ場合など、そのような事態に陥る恐れがある。なおTPPに参加する利点は、まだ明らかではない。特に国土が非常に小さく、加えて中国本土と非常に緊密な経済関係で結ばれている台湾にとっては、まだ分からない。TPP参加国の議会で、TPPが批准されるかも不明だ。TPPに招かれたものの、参加条件を協議する機会を奪われた中国が、TPPに対してどのような立場を取るかも分からない。そのため、菅官房長官による台湾へのTPP参加の呼びかけは、中国と台湾の間にくさびを打ち込むことを計算した、露骨な挑発のようにも思われる。もし中国が最終的に自らTPPへの参加を決めたとしても、中国は日本のこのような声明や行動を、まさに挑発として受け止めるだろう。
つまり日本は、台湾と非常に危険なゲームを始めつつあるということだ。このゲームは、北朝鮮を滅ぼそうとすることと同じであり、これが「地域の安定と繁栄」に寄与することはないだろう。

by めい (2016-01-22 06:21) 

めい

《小沢一郎は久しぶりで、自民党幹事長時代のフィクサー感覚に目覚めたのでは》《小沢一郎の動きは、「国民連合政府構想」の縁の下の力持ちになり切り、志位と岡田のつなぎ役に徹し、日夜、隠密活動を続けている。》
「やっぱり小沢さん」です。一見絶望的政治状況にあって。小沢さんの存在は「希望の星」。
↓あいば達也さんの「世相を斬る」です。

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●表向き「野党5党の共闘、暗礁に」  水面下の成り行きは?
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/eb5da81946d265fce13d08ff6976fd66
2016年02月15日

現在の野党5党(民主、共産、維新、社民、生活)の参議院選に向けての、統一候補擁立戦術(国民連合政府構想―共産党提示)の進捗は、表向き、はかばかしくないものになっている。問題は、民主党の議員の間に、保守対リベラルと云う反目があることだ。表向きだが、到底融和できない体質が、党内にあるので、理論上絶望的だと云うのが、各マスコミの通り相場な解釈になっている。話し合いの状況が、各メディアから漏れ聞こえるような情勢であれば、菅官房長官も、高枕で熟睡出来るに違いない。

しかし、情報筋の話によると、菅官房長官は、夏の参議院選が一強多弱の構図のまま雪崩れ込むとしても、不安を払拭出来ないでいるらしい。世論調査の結果を見ても、安倍一強は盤石に見える。どの角度から分析しても、負ける要素を探すのが大変なくらいだ。しかし、それでも、無残な敗北をきしてしまう不安にさいなまれているようだ。まあ、完璧に勝ち戦との前評判くらい、当事者たちに、圧力を加えるものはないのも事実だが、疑心暗鬼の元は、どうも違うところにあるのではないかと云う憶測情報だ。

その存在は痩せても枯れても、“カノ人”であることは言うまでもない。“生活の党代表小沢一郎”と表現すると、迫力がなくなるのだが、“小沢一郎”とだけ表現すると、実は永田町では未だ神通力が残されていると意識される政治家なのである。昨年末、日本共産党・志位委員長が、日本の政治史に残るような「国民連合政府構想」誕生の陰の功労者であった事は、周知の事実である。小沢一郎の選挙スタイルは、どぶ板スタイルの田中角栄流の継承者として知られているが、今回の動きは、その小沢流から脱皮した動きを見せている。選挙の王道とは異なる動きが目立ちはじめている。

この、今までと異なる小沢一郎の動き方が、菅官房長官には、目障りなようである。正攻法の戦術を、完全に封印している。本来であれば、小沢信者を相手に、昔ばなしに花を咲かせるところだが、そのような動きを一切見せていない。「変わらずに生き残るためには、 自ら変わらなければならない」と云う格言を、改めて、もう一度噛みしめたように、今までの想定内の動きとは違う動きをしている。想定外のことなので、動きが読めない。ウォッチングしている記者連中も少ない。小沢一郎は久しぶりで、自民党幹事長時代のフィクサー感覚に目覚めたのではと云う疑惑である。

日本共産党の志位を立て、民主党を最大野党と持ち上げ、どんな形でも構わないが「国民連合政府構想」により接近した、政治勢力の結集に、奔走してる。この動きが、官邸の神経を逆なでしている。現在の5野党の結集状況は、マスコミの情報を総合する限り、煮ても焼いても食えないような「国民連合政府構想」になっている。下手を打てば、安倍自民党は、衆参W選を選択、おおさか維新を抱き込み、憲法改正に踏み出す国会が誕生する勢いだ。事実、メディアの話題は、その方向になった場合の、警鐘などを鳴らすにとどまっている。

しかし、小沢一郎の動きは、「国民連合政府構想」の縁の下の力持ちになり切り、志位と岡田のつなぎ役に徹し、日夜、隠密活動を続けている。松野・維新の党との解党的合併などの話は、実際問題、カエルの面に小便のような話で、インパクトもなにもあったものではない。問題なのは、現時点で、民主党と共産党中心の「国民連合政府構想」の枠組みが成立したなどと云う情報が流れてしまえば、安倍は4月解散に打って出る可能性があるわけだ。4月に、衆議院解散など打たれたら、小沢一郎のステルス戦術も灰燼に帰す。その意味では、民主党岡田はグズな党首として行動するのがベストである。地を出して行動すれば良いのだから、演技と云う程でもない。民主党シンパの支持者から、「岡田をぶん殴りたい!」と言わしめておく必要がある。

政治日程の本命は、最近では7月の衆参W選挙が、最も可能性があると永田町スズメの説であった。しかし、ここに来ての、世界経済全体の流れの中で、アベノミクスの神通力は剥がれかけている。もうひと押しされたら、日銀黒田もギブアップ状態になるだろう。マイナス金利政策でひと泡吹かせてやるつもりが、市場から総スカンを食い、逆に一泡吹かされているのが現状だ。この円高株安の流れを変えるために、為替介入に出ているようだが、その効果は、精々数日で、再び「円高、株安」の流れは、執拗に安倍政権を揺さぶるだろう。

この世界的金融の流れを、一気に解決できる状況はゼロに近く、更に混沌を増す可能性の方が大である。期末決算を控えた輸出大企業は、安倍政権の大優遇政策にも関わらず、減収減益の来期見通しを出さざるを得ないくなるわけだから、4月解散はかなり打ちにくくなってきた。世界経済や欧米対中露の対立が鮮明になる中、経済の好転は、ほぼ絶望的状況になるので、7月のW選の可能性も低くなっている。経済を知らない“経済政策通首相”の化けの皮が剥がれるわけだ。安倍自民は、実質的に低空飛行を余儀なくされるはずである。

それまでに、安倍内閣の醜聞が固定化されていけば、参議院選だけを乗り切るだけでも、赤信号は充分想定できる。ただ問題な点は、レームダック状態になる安倍自民党政権に変る野党勢力が、国民に見えていないとなると、消去法で安倍自民が、現状維持程度の結果を残し、衆参過半数は維持すると云う、国民的には最悪な政治が続くわけである。本来であれば、「国民連合政府」の実体を提示すれば、世論も大きくスイング出来るのだが、早い時期に「国民連合政府」を見せてしまうと、4月の破れかぶれ解散もあり得る。

まだまだ、流れは流動性があるが、民主と共産中心の「国民連合政府」の真の姿を見せるのは、5月に入ってからと云う線だろう。なにせ、法律に反することを趣味にしているような政権だから、今までの常識が通用しない。無知にも、矜持にも無関心で、仲間内で、脱法行為研究に余念のない政権なのだから、ギリギリまで、「国民連合政府」の構想が現実化している事を悟られてはならない。ただ、不安もある。それは、、「国民連合政府」構想で行くと、安保法制廃案臨時政権になり、経済スタンスが置き去りになる。民主と共産では、経済政策で一致を見るのは相当困難な部分である。まあ、参議院選前までに、アベノミクスにより、円が100円、株価が12,000円割れにでもなっていれば、民主の経済政策の修正も可能になるのだが……。

現状の有権者の心理としては、民主党と元民主党みたいな連中(維新の党)程度に、政権を任せる気に、国民がなるとは思えない。そのくらいの事は、岡田も枝野も知っている。共産党とタッグを組むことで、リベラル政党に凄味が生まれる点で、有権者の目は変る。若者層は、日本のバーニー・サンダースを待っている可能性は充分ある。ただ、あまりにもブラックな政権なので、事前に情報が洩れて、09年同様に、東京地検特捜などに活躍されては堪らないわけで、5月までは、野党再編はお茶を濁すに違いない。筆者は、そのように読んでいる。でなければ、民主党は大大敗するのだから。出来得れば、有権者が納得できる、アベノミクスの破壊的失敗が衆目一致になるのが理想だ。


≪ 野党5党で安保法廃止法案 民・維は対案も
民主、共産、維新、社民、生活の野党5党は、安全保障関連法を廃止するための関連2法案を19日にも共同提出する方針を固めた。4日の5党幹事長・書記局長会談で確認した。これとは別に民主、維新両党は安保法制の対案を共同提出する方針で、共産党と連携に難色を示す党内の保守系に配慮する姿勢を示 す。  5党が共同提出するのは、集団的自衛権の行使を容認する平和安全法制整備法の廃止法案と、自衛隊の後方支援を定めた国際平和支援法の廃止法案。提出を予定する19日は、安保法廃止を求める市民団体「市民連合」が国会前で集会を予定しており、連携して廃止機運を盛り上げる。
 一方、民主、維新両党は党内保守系に根強い「廃止法案だけでは、安保法制に反対一辺倒だと批判される」との声に配慮し、廃止法案の提出に先立って安保法制の対案を出す構えだ。
 予定するのは後方支援の対象国を限定する周辺事態法改正案、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案、領域警備法案の3法案。領域警備法は有事でも平時でもないグレーゾーン事態に対処するため、自衛隊と海上保安庁の連携を強化する内容だ。 ≫(日経新聞電子版)


≪ 野党共闘 真剣な協議を BS番組 笠井政策副委員長が強調
日本共産党の笠井亮政策副委員長・衆院議員は13日、BS朝日「激論! クロスファイア」に出演し、参院選にむけた野党共闘の行方や、憲法改定を掲 げる安倍政権とどう対峙(たいじ)するかをテーマに、ジャーナリストの田原総一朗氏、情報誌編集長の歳川隆雄氏らと討論しました。
 田原氏は「野党のなかで最も注目されているのが共産党だ」と紹介。歳川氏も「(共産党の)存在意義は今の日本政治のなかで非常に高い」と語り、日 本共産党の政策や主張について質問しました。笠井氏は、党がめざす未来社会の姿、党名に込められた理念や理想、さらに今度の国会で党として初めて天皇出席の開会式に出席したことなどについて、丁寧に質問に答えました。
 日本共産党が提案している「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」構想が話題に上ると、田原氏は「アイデアがおもしろい」と述べ、参院選1人区での野党共闘の現状を尋ねました。
 笠井氏は「安倍政権に正面対決する日本共産党が比例でも、選挙区でも躍進することをめざして全力をつくす」と表明。そのうえで、戦争法廃止と立憲 主義回復を掲げ、当選後も無所属で活動する統一候補を擁立した熊本の例を挙げて、「こういう形を大いに広げたい」と強調しました。
 一方で、選挙協力を実現するために真剣な協議と、しっかりとした合意を呼びかけている党の立場を紹介し、「率直に言って、まだ民主党はその呼びか けに応じていない」と説明。5野党が戦争法廃止法案を共同提出することについては「廃止法案を一致して出せるというのは良いこと。だがそれがイコール選挙の共闘とはならない。選挙の共闘は真剣な協議としっかりした合意をつくる必要がある」と強調しました。
 安倍首相が憲法9条の明文改憲に突き進もうとしていることが話題になり、笠井氏は「憲法を敵視し、戦争する国づくりを進めるのは絶対に許されな い。国民の多くの声にこたえて、正面から反対していく」と表明。歳川氏は「共産党が議席を伸ばしてくれることを切に望んでいる」と語りました。  ≫(しんぶん赤旗 2月14日)

by めい (2016-02-16 04:45) 

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