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「スマート・テロワール」(4)「最も美しい村」 [置賜自給圏構想]


美しい村logo.gif

松尾さんはNPO法人「日本で最も美しい村」連合副会長の肩書きをもつ。『スマート・テロワール』を読むと、そもそもこの運動を日本に持ちこんだのが松尾さんのようだ。《地域社会を愛し、支えたいというのは、私の強い思いでした。日本の地方には美しい農村がたくさんあります。北海道の美瑛町もそうです。しかし、その美しい景観が経済発展のために壊されていくのを見て、大きな憤りを覚えていました。そんなときに「フランスで最も美しい村」運動を知り、そこに日本の村を再生させる可能性があるように感じたのです。》(96-7p)松尾さんが早速連絡をとったのが「パッチワークの丘」美瑛町浜田哲町長でした。2005年10月、浜田町長を中心に立ち上げたのがNPO法人「日本で最も美しい村」連合です。(「パッチワークの丘」のリンク先、写真家菊地晴夫さんは南陽市の出身でした!)

サッカーJリーグの立ち上げにはカルビーが大きな役割を果したとのことで、松尾さんは「スマート・テロワール」をJリーグに対比させています。印象的な箇所があったので写しておきます。
《地域のサッカーを構成しているのはプレーヤー、地域のチーム、サポーターです。優秀なプレーヤーは広く世界を目指して切磋琢磨し、引き抜かれては他のクラブチームヘ異動します。それをまた地域のフアンが応援します。そうした地域に根ざしたクラブチームとしての連帯感がある一方で、ワールドカップ国同士の戦いです。世界中に雄飛していたプレーヤーが帰国し、祖国の栄誉を担って代表チームを編成します。ローカルとナショナルとグローバルの融合の姿がそこに見られます。
 一九九八年に初めて参加したフランス・ワールドカッブでは、日本はトゥールーズでアルゼンチンと戦い、残念ながら○対一で敗れました。しかし、試合後のトゥールーズ市庁舎前の広場には、戦いを終えた後の国やチームを超えたサポーターが同士の幸福な一体感が満ちあふれていました。ワールドカッブに出場できるとは、こういうことかと知りました。》(99p)そして言う。《ワールドカップがもたらす一体感は「最も美しい村」運動に通じるのではないか。そう私は直感しました。》(99P)

ここでの結論はこうです。

《スマート・テロワールは、サッカーと同様、地域の可能性に地域住民が力と英知を結集するところから始まります。その力は、地域の生態系が生みだす力を源にした持続可能なものでなければなりません。なぜなら、持続的に地域に貢献できる仕組みをつくることが地域社会の自立の原点になるからです。農村の人々は、地域の生態系の一員として共生することで持続可能性の実現が可能になります。》(100p)

地域の生態系の一員としての共生=持続的に地域に貢献できる仕組み=地域社会の自立の原点

この図式が重要です。

さて、松尾さんはいろんな意味で「日本で最も美しい村」連合の中心的役割を担ってきた方であることがわかりますがその肩書きは副会長で、会長は美瑛町の町長さんです。ここに意義を感じます。スマート・テロワール実現に向けて実際の実行段階に入った時、いちばんの大問題がゾーニングです。書評には《自給圏で水田を畑地に転換するのは、今から、15年程度を目標に進めます。その間に後継者を得られず離農する農家は相当数に上るでしょう。そこを引き取るのは専業農家や都市から帰還した元気な若者になります。30年後には加工場が仕事を増やして女性が活躍し、子どもたちの元気な声も聞こえる農村になっています。》(74p)とさらっと引用しましたが、実はその前に《ゾーニングは、行政側が責任を負う分野です。しかし、強制して進むものではありません。》とあるのが重要です。行政が本腰を入れてこその運動です。

1-DSCF0824.JPGスマート・テロワールに向けて置賜は他地域よりも一歩も二歩も先んじています。とりわけ「美しい村」連合の最初からのメンバーである飯豊町の存在が大きいです。松尾さんとのつながりも飯豊町あってのことです。置賜自給圏構想のはじまりの経緯についてはわかりませんが、後藤幸平飯豊町長が大きな役割を果していたのかもしれません。8月の「置賜自給圏構想を考える会」設立総会に置賜の首長さんがずらり揃っていました。基盤はできている。あとはどれだけ本気になれるかです。
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めい

飯山一郎さんもフランスに注目しだしたようです。

   *   *   *   *   *

◆2015/02/12(木)  鷲の立ち位置について
「私」を「鷲」と書く理由

鷲になって空を飛び…、空から見える映像。それは 鳥瞰図だ。
世界を観察する場合、先ずは「鳥瞰図」で、次に「虫瞰図」で見る。
そうして次は、蟻みたいに地面を這いまわって、必死に生きていく。
たくましく、したたかに、しなやかに、生き抜いていく! 生き残る!
これが鷲の生き方であり、ものの見方であり、世界観だ。
「上から目線」は排除し、先ずは「鳥瞰図」で世界を見わたしてゆく…。
そういう自分を呼称する場合、鷲は、「私」ではなく、「鷲」をつかう。
だから鷲が書いてきた世界の見取り図は、実際の生活=実践には
おおいに役立つはず。少なくも世界の動きを見誤ることはないです!
鷲は…、
今後しばらく、「鷲」の立場で、欧州の政治を見ていきます。
欧州政治の動向が、日本人の生活にも、モロ影響するからです。
鷲は先日↓次のように書いた。

 ロシア、中国、北朝鮮、ドイツ、フランス。
 この5ヶ国が世界の五大国になり、米国は衰退。日本は滅亡。

鷲が「フランス」をノミネートしたことには、沢山の異論がでている。

しかし、おフランスに関して、鷲は、持論を譲らない!
これは、次回にバッチリ書く。

きょうは、『鷲が 「私」を「鷲」と書く理由』をみっちり説明した次第。
どうか、どうぞご理解のほど。>同志諸兄・諸君
(飯山一郎)

by めい (2015-02-12 05:41) 

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