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「置賜自給圏構想を考える会」設立総会(承前) [置賜自給圏構想]

来賓の挨拶の中で、呼びかけ人としても名を連ねる鈴木憲和衆院議員の挨拶を私は際立ったものとして聞いた。

鈴木憲和議員.jpg


「この国がこれから考えなければならないのは何なのか。・・・大企業が大嫌いとか、誰が悪いとか、こういうことは思うことはたくさんありますが、残念ながらそれを言っていても何もこの国は変らないということです。私がこの地域でやっていかねばならないことは何かというと、東京的な価値観をまず否定をすることから脱却しなければいけないと思っています。大企業がけしからん、外国がけしからん、アメリカがけしからん、そう言うのは簡単です。それができるんであればとっくにやっているはずです。だけどよく考えていただくと、自分自身もよく考えますと、衣食住、考えてみて下さい。今日皆さんが着ているもの、どれだけが国内で生産されているでしょうか。公民館に集まった時に出てくるオードブル、どのぐらいのものが地元の物で、もっと言うと、日本の物でしょうか。・・・住む場所、ほとんどの建材が外国産の木材で、現実的にはできています。私たちが山形県に住んでいて、実際にしている生活はそういう生活だろいうことです。そこを先ず見直すところからこの地域がスタートしないと、何を私たちが言っても何の説得力もないと思っています。先ずそれが第一点です。


 その上で、将来の日本を考える時に、太平洋側の東京的な価値観、国際的な競争の中でがんばって勝ち残って行くんだという、それが幸せかどうかはわかりませんが、そういう価値観を私たちは今ここで否定をしてはいけないと思っています。だけどこれ以外にもうひとつの価値観がこの国にはしっかりとあって、それが全国に、全世界に発信ができるんだということを、いま私たちがやらなければ、この国は将来必ず不幸になると、私はそういうふうに思っています。だから、自分の地元から自給圏、食べ物だけではなくて、エネルギーもそうです。着るものもそうだと思います。いろんなものを、地域のものを見直しをして、私たちがこの地域で、どこまで地元のものを使って生活できるのか、どういう価値観を全国に対して発信できるのか、これを新しく作っていくことが、今回の自給圏構想の中で、私自身がチャレンジしてみたいと思っていることです。そうすれば必ず、こういう動きが広がれば必ず、将来全国から東京にはない価値が山形に行ったらあるんだということで、世界中から人が来てくれると思っています。それをこの地域から発信することが、この地域の魅力を高めて、将来この地域で暮らす人が、もっとこの地域で子育てをしたり、他の地域からこの地域へ住み移ってきたり、これは貨幣経済では量れないものかもしれないけれども、こういう新しい価値をもう一度私たちの足もとから見つめ直して実行していく、私はそういう機会にしたいと思っています。」

 

「東京的な価値観をまず否定をすることから脱却しなければいけないと思っています」の部分。「東京的な価値観をまず否定をすることから」のつぎ、「はじめなければならない」と続くのかと思ったら、「脱却しなければいけない」と言われて、「ほう」とあらためて耳を傾けさせられた。巧みな引き込み方だと思う。結論として、東京的価値観とは別の「もうひとつの価値観の発信」だった。

 

なるほど、安倍首相を頂点とする政権与党に身を置く議員の発言である。「価値の対置」と言ってもいい。それに対して地域通貨、ベーシックインカムの考え方は、あわゆけば「超えてやろう」という気概を込めた「価値の対峙」。そうして始めて「燃える」ことができる。正直のところ、昨日の集会にそのエネルギーを感じ取ることはできなかった。見えてくるのは、踏ん張りの利かない守り一辺倒、いずれずるずる負け。そうなってはもったいない。置賜一円から300人も集まってくるあのエネルギーをなんとか活かして欲しいと切に思う。


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めい

実のある報告記事を見つけました。
http://okitamanpo.web.fc2.com/nikki2014/nikki_4c.html
ひとりごとダイアリー
By:おきたまのラジオマン(だがしやのおじさん)

   *   *   *   *   *

【置賜自給圏構想を考える会】
 “置賜自給圏構想を考える会”の設立総会(主催:“置賜自給圏構想を考える会”設立準備会)が米沢市内(伝国の杜・置賜文化ホール)で開催されました。
 『地域資源を基礎とした“置賜自給圏構想を考える会”』とは、食はもちろんですが、エネルギーや住など幅広い分野において、置賜(山形県の最も南に位置する地域:米沢市・長井市・南陽市・高畠町・川西町・飯豊町・白鷹町・小国町)を1つの自給圏と捉え、置賜圏外への依存度を減らし、置賜圏内にある地域資源を利用、代替していくことで、地域に産業を興し、雇用を生み、富の流出を防ぎ、地域経済に好循環をもたらすという、新たな地域のあり方を考え、実行につなげるための取り組みを行う会のことです。
 この“置賜自給圏構想を考える会”については、数年前から構想があったようです。その後、紆余曲折はありましたが、本日(4月12日)設立総会の日を迎えたのでした。
 呼びかけ人は、星寛治さん(農民・詩人)、鈴木道子さん(山形県立米沢栄養大学・学長)、九里廣志さん(九里学園高等学校・校長)、須藤恭子さん(赤湯温泉いきかえりの宿瀧波)、原田陽一さん(山形県酪農業協同組合・代表理事)、高橋尚さん(生活クラブやまがた生活協同組合・代表理事)、松本政裕さん(共立社生活協同組合・理事長)、近藤洋介さん(衆議院議員)、鈴木憲和さん(衆議院議員・農水省OB)、舟山康江さん(農水省OB・前参議院議員)です。

 さて、きょうの設立総会について、私どもでは、主催者より公式記録(ビデオ撮影)を依頼されました。下の2つの写真は、ビデオ画像から抽出したものです。

  

 設立総会には約300名が出席しました。当初は、同じ伝国の杜でも2階の大会議室で開催する予定でした。ところが、大会議室は80名程度しか入れません。それで、急遽500名収容できる置賜文化ホールに会場を変更したのであります。感心の高さを示した形です。

 設立総会は午後1時に始まりました。はじめに、呼びかけ人を代表して、星寛治さんが挨拶します。続いて、来賓紹介・来賓挨拶と続きます。会には置賜の3市5町すべてが参加していますが、きょうの総会では、内谷長井市長、塩田南陽市長が挨拶しました。
 続いて、祝電・メッセージが披露されました。その中では、加藤登紀子さんからのメッセージが紹介されました。
 次に、設立総会としての議長に江口さん(長井市議会議員・漆工芸家)が選ばれ、議事に入りました。議事では、発足までの経過説明と今後の活動案について、事務局から説明がありました。質疑応答の後、今後の活動案について、承認されました。

 第2部は、北川忠明氏(山形大学人文学部・教授)が“新しいローカリズム〜置賜自給圏構想への期待〜”と題しての記念講演でした。
 そして、会が終了したのは、午後4時20分でした。

 さて、議事では、6月下旬を目標に、法人化に向けて活動していくことについての提案が承認されました。法人形態は一般社団法人です。資料には仮称ですが“置賜自給圏推進機構”という法人名も示されました。
 つまり、きょうの会議にて『団体』を設立することを決定するのではない、ということです。そういう意味では、きょうの会議を『設立総会』と呼ぶことに対しては、違和感がありました。
 『設立総会』とは、任意団体・NPO法人・社団法人・社会福祉法人・株式会社等いわゆる『組織・団体』を設立する際に開かれる会議のことです。『設立総会』では、『組織・団体』を設立する趣旨の説明などが行われた後、『組織・団体』の設立について承認を得ます。設立が承認されますと、組織体制を決めます。理事・役員等を選任します。さらに、活動計画や予算計画等も審議します。
 きょうの会議で、出席者から「仕組みを決めること」という意見や「具体的な事業内容は?」という質問があったのは、このためです。
 事務局からは、法人における組織体制や事業内容の概要が示されました。事業内容では、いくつかの部会を設置して取り組むことが示されましたが、具体的ではありません。具体的な組織体制も示されておりません。
 6月下旬の法人化に向けて、今後詰めていくのでしょうが、それを行うのが、きょうの会議で設立した“置賜自給圏構想を考える会”なのでしょう。つまり、“置賜自給圏構想を考える会”は法人設立に向けての準備会のような『団体』とみました。
 そう考えれば、きょうの会議は『設立総会』と言えますが、準備のための『団体』とは言え、“置賜自給圏構想を考える会”としての組織体制は決めなければならなかったと思います。
 代表者はもちろんですが、具体的に法人化に向けての取り組み・作業を「誰が行うのか」がわからないままでした。おそらくは、呼びかけ人が中心になるものと思われますが、呼びかけ人の皆様はお忙しい方々ですので、実際に動くことになる事務局体制が必要になります。
 その事務局を統括する方法も決める必要があったかと思います。統括するための事務局長を設けるのか、代表者兼任にするのかです。そういう意味でも、“置賜自給圏構想を考える会”の代表者は決めるべきだったかと思います。

 ただし、実際には、事務局は動いております。会議で説明を行ったのも事務局です。私どもに記録依頼をされたのも、事務局のIさん・Mさんでした。ですから、法人化に向けての取り組み・作業は、Iさん・Mさんらが中心になって動くものと思われます。
 ほかにも、長井市・レインボープラン市民農場のMさんら、蒼々たるメンバーが事務局あるいは裏方として動いていることも、きょうの動きからわかりました。

 会場からは「かけ声倒れにならないのか」など心配する発言が数人からありました。まさに、これが今後の最大の課題と言えます。
 趣旨については、私も共感できます。また、予想を遥かに超えた約300名が集ったことも高く評価できます。分野を越えて、これだけの人たちが集まったことも、素晴らしいことです。
 今後の取り組み・活動において、大切になるであろう「分野を越えた協働」が生まれていく可能性が高くなります。事務局からは「中間支援的な役割も果たします」という説明がありました。

 この取り組みを推進するには、様々な課題を乗り越えなければなりません。そのための覚悟も必要です。
 そもそも、この取り組みは、グローバル金融システムなど、世界を1つにした経済社会が勢いを増す中、地域経済、いや地域そのものは、先細りの一途をたどっている、ということが背景にあります。このため、例えば、置賜でも、農業人口は減り続けるばかりです。これでは、自給圏構想は実現できるはずもありません。
 では、なぜ農業人口は減り続けるのでしょうか。よく言われる担い手不足・少子高齢化などが要因なのでしょう。しかし、それだけでしょうか。私には、本当に『置賜自給圏構想』を進めるのであれば、そしてかけ声倒れにならないためには、制度や地域性といった課題にまで踏み込む必要があると思います。

 いずれにしても、ぶれない信念と、綿密で実効性のある事業計画をもって、取り組むことが大切です。約300名という大勢の人たちが集ったことを、関係される方々はきちんと認識され、責任をもって取り組んでほしいと思います。

by めい (2014-04-18 07:31) 

めい

さきほど6時からのNHKもTPP決着に必死でした。地方の声などまったく無視です。
いつもながら田中良紹氏の正論です。

   *   *   *   *   *

グローバリズムの先兵となるナショナリスト
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20140418-00034619/
2014年4月18日 17時43分 田中 良紹 | ジャーナリスト


安倍総理がTPPの妥結に意欲を示した。TPPには「数字を越えた意味がある」と述べ、「聖域なき関税撤廃が前提なら参加しない」としていた態度を180度変えた。

ワシントンでは日本側が聖域とする農産物の関税や自動車問題を巡る閣僚協議が山場を迎えており、関税をどこまで下げられるのか、その数字に関心が集まっている。しかしTPPの本質は安倍総理の言う通り「数字を越えた意味」を持つ。

それはアメリカが推し進めるグローバリズムの中核的役割を担っている。冷戦に勝利したアメリカは、世界を自分と同じ価値観で覆う事を正義と考え、その使命を果たすために様々な仕組みを作りだした。

「21世紀はグローバリズムと情報の時代」と言ったのはクリントン大統領だが、1993年の宮沢総理との会談で日米が「年次改革要望書」を交し合う事を決めた。「年次改革要望書」は「規制改革に関する双方の要望」をやり取りするものだが、これまで日本からの要望は全く実現されず、アメリカからの要望だけが次々に実現している。

その中の郵政民営化は有名だが、それ以外にも建築基準法の改正、労働者派遣法の改正、裁判員制度の導入、法科大学院の設置、独占禁止法の強化などがアメリカの要望に従って実現された。かつて霞が関の官僚は「天の声」である「年次改革要望書」を、最優先の課題として取り組まなければならなかった。

アメリカと異質の日本を解体し、アメリカ流の日本に作り替える事がアメリカの正義である。しかし郵政民営化を巡る政争の中でそれまで知られてこなかった「年次改革要望書」の存在が明るみに出た。「年次改革要望書」は鳩山政権の誕生で廃止され、それに代わってTPPが登場した。

「年次改革要望書」が二国間の「線」の交渉だったとすれば、TPPは多国間の「面」の交渉になる。冷戦後に「敵性国家」とアメリカが考えたロシア、中国、日本、ドイツのうち、日本の解体が最もうまく進んだことによって、日本を手先に使い、経済成長著しい地域を「面」としてアメリカ流に作り替え、アメリカの利益にすることを考えたのである。

冷戦が終わった時、アメリカには二つの考えが生まれた。アメリカの勝利はアメリカの正義を証明したという考え、それとイデオロギー対立がなくなれば世界は混乱するという考えである。フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』は前者を代表し、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』は後者を代表する。

前者の考えはアメリカにグローバリズムを推進させる根拠を与えた。後者の考えはナショナリズムの台頭と宗教対立や民族対立を予想し、ソ連を対象としてきた諜報機関が拡充されることになった。軍事のみならず経済分野にまで幅を広げ、同盟国も対象とする情報収集活動にアメリカは力を入れる事にした。

冷戦後の現実はナショナリズムの高まりによって世界各地に民族紛争が勃発した。一方、アメリカが正義と信じて推進するグローバリズムもまた、民族の伝統的価値観を破壊するものとしてナショナリズムに火をつけた。

グローバリズムによって生み出されたアメリカに対する敵意、その反米ナショナリズムが9・11のテロを生み出したと私は思う。それをアメリカは民主主義という普遍の価値を持たない野蛮な行為だとして「テロとの戦い」を宣言した。アメリカの「テロとの戦い」は民主主義の価値を広めるための戦いなのである。

イラク開戦の前後には、「カミカゼ」攻撃をやった野蛮な日本を、アメリカの占領政策で民主化させたという成功例がワシントンでは繰り返し語られた。しかしイラクは占領されても日本にはならなかった。「鬼畜米英」を叫んだ日本人が一夜にしてアメリカの真似をするようになったのとは訳が違ったのである。

現在問題になっているウクライナ情勢もグローバリズムとナショナリズムの対立と捉えることが出来る。日本のメディはもっぱらロシアのプーチン大統領を強権的なイメージにし、ロシアの軍事介入を批判しているが、私には冷戦後のアメリカのグローバル戦略がウクライナの西欧化を図り、先にロシアを挑発したと見える。

各国の事情などお構いなしに「民主主義という正義」を押し付け、反発すると「民主主義に逆らうのか」と言って制裁を課す。制裁を課された方は力で跳ね返さざるを得なくなる。冷戦後の世界が不安定な理由は、もちろんナショナリズムの台頭もあるが、グローバリズムに挑発されてナショナリズムが目を覚まさせられている側面が大きいと私は思うのである。

冷戦が終わるとナショナリズムの台頭はアジアにも波及した。台湾に独立の気運が生まれ、分断されていた朝鮮半島にも民族を意識する傾向が生まれた。1994年、クリントン政権が北朝鮮の核施設を爆撃する決断をしたとき、韓国政府は「日本の自衛隊機が領空を飛んだら撃ち落とす」と言った。北朝鮮以上の敵が日本という訳だ。

冷戦が終わっても日本にナショナリズムの高まりを感じさせる動きはなく、それを私は不思議に思っていたが、最近になって安倍政権というナショナリズムを標榜する政権が誕生した。中国や韓国と歴史認識や領土問題で激しく対立している。ところがこの政権はナショナリズムを標榜しながら日本の伝統的価値観を破壊する側に回るのである。

私は10年余アメリカ議会を見てアメリカの価値観をそれなりに知っているつもりである。それを否定するつもりはない。国民が納得して生きているならばそれは一つの生き方である。しかし日本という国を見て、その伝統的価値観を考えると、日本がアメリカのような国になれるとは全く思わない。

むしろ日本はアメリカのグローバリズムに反発する中東やヨーロッパ諸国と価値観を共有する国だと思うのである。古来からある日本の価値観を思うと、グローバリズムのお先棒担ぎをやるのは全く美しくない。しかもナショナリズムを標榜する政権がやるというのでは訳が分からない。所詮、強いものにペコペコするだけの似非ナショナリズムだと見られるのではないか。

by めい (2014-04-20 19:21) 

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