SSブログ

ロバストネス頼みの時代は終わった [幼稚園]

幼稚園の卒業文集(保護者の文章と園児の絵)に寄せた文章です。

   *   *   *   *   *

 

ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。

近年園児募集の厳しさを痛感させられている中、自分自身やわが子の幼稚園時代をふりかえりつつ、教育のあり方について切実に考えさせられています。

 子どもに備わっている「自分で育っていく力」の力強さをあらわす言葉としてrobust()robustness(名)という英語に出会いました。世界中の子ども達はそれぞれ多様な環境に育っているにもかかわらず、最初の一〇単語が出るのにかかる期間が五ヶ月前後であるのは、日本でもアメリカでも同じ。子ども達の発達は、周囲の環境がどうあれ、それによって大きく進路を狂わせることがなく、人として生きていくための知識とスキルを獲得するように調節されているというのです。子どもは小さければ小さいだけ成長発達の度合いは大きい。それはまわりの教育力というよりも子ども自身に備わったロバストネスによるところが大きい。だから、幼稚園や小学校ではことさら目的意識など云々しなくても教育の結果は出たように見えてしまう。

ハッとしました。教育、教育と言いながらロバストネスに甘えてしまっているのが日本の教育の現状のように思えたのです。その結果、六十三万人(2007)のニートNot in Education, Employment, or Trainingです。

昨年夏、テレビで横峯さんの保育園を知って矢も楯もたまらず鹿児島まで行ってきました。横峯方式はマスコミによってセンセーショナルな取り上げられ方をしたために誤解されている面もあるようですが、私にとっては時間が経つほどに、幼児教育の根幹を押さえた教育法であると思わされるようになっています。その本質は「最後に勝つのは独学の力」と「時機を逃すな」という二つの言葉でくくられます。自分自身を振り返って、学んできたことで身に付いているのは、結局のところ自分自ら関心をもって学んだことです。小さなうちに自分で学ぶ力をつけてやるのです。さらに「臨界期」ということが今後、最新の脳科学研究の成果を受け、今後重要な言葉としてクローズアップされてくるはずです。「脳が一時的に、乾いたスポンジのように、吸収力が非常に高まった状態」の時期です。その時機を逃してはならないのです。

敗戦後65年間、良きにつけ悪しきにつけアメリカの庇護の下にあった日本ですが、もうその時代も終わり独り立ちせねばなりません。教育もロバストネス頼みではこぼれ落ちるものが多すぎます。いま目の前にいる子どもに何ができるか、真剣に向き合い着実に積み上げてゆく努力が求められています。

    
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学校

nice! 0

コメント 2

kimito

日本の教育を誰が駄目にしたのか。私たちが子どもを育てるときに何が間違っていたのか?60歳を過ぎた今私は暗い気持ちで振り返っています。
 私たちの世代が子どもたちの世代に残したものは何なのだろうか?彼らは何とか切り開いてくれるのだろうか?そして私たちに残された命で何かが成せるのだろうか?
 まだ、めいさんのブログを2~3しか読んでいないのでこれからぼちぼちコメントを書かせていただきます
by kimito (2010-04-12 18:11) 

めい

ひょっとして公人くん?
今気づきました。
御意見待ってます。
by めい (2010-05-07 21:54) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。