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置賜地域の合併ビジョン私案 [置賜自給圏構想]

「米沢日報」目安箱

 置賜地域の合併ビジョン私案
   ――目指せ、経済的・精神的な貧困のないまち
  「NON-POOR CITY 置賜」――
                

 総務省によると、合併に至るにはその20~22ヶ月前には法定合併協議会を設置する必要があるという。平成21年3月の新合併特例法期限内実現にはこの5月から7月が目途となる。齋藤弘山形県知事の強い意向を受けて、最近、合併に関して置賜3市5町の首長が色々な形で議論をしようという雰囲気が多少なりとも出てきたことは喜ばしいが、まだ「本気さ」には隔たりがある。


米沢日報の平成19年元旦号に、合併を果たした富塚陽一鶴岡市長のインタビュー記事が載っていた。その中に「これから20年後、30年後先のことを描いて合併を行った。御身が大事で、子孫に何故あのときに合併をしなかったのかと後ろ指を差されたくない。近隣の首長も合併には自然の流れがあった」とあった。自分中心に過去からの成り行きに拠っていたのでは到底合併など覚束ない。今あなた方は20年、30年先の未来に対する責任が問われているのですよ、富塚市長はそう置賜人に対して語りかけられたのではなかったか。
「地方分権」が「地域間競争」の激化を招来することは目に見えている。自治体の体力と未来への構想力が問われる時代であることを深く認識しなければならない。わが置賜は、一つの歴史・伝統・文化を共有する日本でも有数の地域のひとつである。時代はまぎれもなく3市5町の合併による「置賜市」の実現を求めている。この時期にあっての大河ドラマ「天地人」の実現は実に天恵としか言い様がない。この機を逃してはならない。
しかし、ただ合併すればいいというものではない。合併することで何を目指すのか。明確なビジョンを打ち出せるかどうかが鍵である。
世界の経済が大きく揺らぎだしたことで誰にも時代の変化が感じ取れるようになってきた。十七世紀以来の近代合理主義、「個」を原理とする社会の限界が見えてきた。その先にあるのは「共感」を原理とする社会である。その方がずっと人間の自然の理にかなっている。若者が「おれが、おれが」を「ウザイ」と言い、また「KY(空気が読めない)」が流行語になったりするのもその流れに置くことができるのかもしれない。いずれにしても、「個」を原理とする市場社会から、「共感」を原理とする地域共同社会重視へと重心が移りつつある。
 そうした中で、現代日本の最大の問題は、市場社会が生み出す必然としての「貧困」である。OECD(経済開発協力機構)が行った貧困に関する統計では、日本の相対的貧困率は15.3%で、G8の先進国の中で米国に次いで「堂々たる世界2位」という。採算の合わない仕事に追われるワーキングプア、年収200万円以下の労働者は、1千万人を超え(2006年)、フリーターは201万人(2002年)、ニート62万人(2006)、そして非正規雇用はますます増大。貧困率の高い母子家庭122万世帯(2003年)、高齢者世帯や年金不受給者の増加、さらに自己破産者が約16万人(予備軍は60万人とも言われる)。経済的貧困に連動した社会的排除の問題もある。社会からの孤立はそのまま心のレベルでの貧困問題である。
 私は、以上のような現状認識に立って「NON-POOR CITY 置賜」を構想してみた。今日本が抱える問題を「置賜市」を実現することで先陣を切って解決してみようではないかという提案である。
 北欧の貧困率の低さが際立っている。スウェーデン5.3%、フィンランド6.4%、ノルウエー6.3%、デンマーク4.3%等である。『日本の貧困研究』(橘木俊詔・浦川邦夫)によると強い共同体意識があるからという。参加型経営組織、連帯感と助け合い、民主主義の浸透、非格差社会、福祉国家観の啓蒙、公共機関への信頼、公正・平等を優先する心性などが挙げられていた。それがヒントとなった。その骨子を提示してみよう。
≪戦略≫
 「棒杭の商い」精神による地域づくり
(1) 豊かな置賜の歴史に根ざす「地域共同体」としての再生。
(2) 農業生産を重視した地域内自給(千人共働き→置賜24万共働き)。
(3) 「助け合い」「譲り合い」をキーワードに損得感情の超克。
≪戦術≫
地域通貨(藩札)の活用によるベーシックインカム(基礎的所得保障)の導入。
(1) 最低時給保障(時給格差の是正)による農林業等保護。
(2) 最低生活保障(高齢者への一律配布)。自主返納制。
(3) 期限付き地域通貨。使用税徴収による財源の確保などがある。

※ 「棒杭の商い」:上杉鷹山公の時代の無人販売所。街道の途中に暮らしや旅の必需品が棒杭に下げてありました。鷹山公の善政は人心をも立て直し、いつも金額はぴったり合ったという。旅の人もこの地に入ればおのずとそれに倣ったとのこと。
※ 「千人共働き」:「昔から千人人がいればお互い助け合いながらなんとか生きてゆけたもんだ」という古老のことばが強く心に残っている。

戦略レベルでは置賜人にとってとくに目新しいことではない。すでに置賜にある「持続可能な豊かさ」を、先人に感謝しつつ大切に守りつづけていこうというにすぎない。戦術レベルの「地域通貨」については、世界経済の危機が言われる中で大きくクローズアップされつつある。併せて「ベーシックインカム」についての議論も進みつつある。「まず置賜から」の気概をもっての衆知の結集が求められる。タイムリミットは迫っている。( つづく
 


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めい

今朝(6/12)の山形新聞、「安部米沢市長/『3市5町』打ち切り」の記事にがっくり。安部市長と会見時の「気の無さ」をあらためて思い起こす。しかしその記事の下に「『2市2町』の協議呼び掛け/原田川西町長」。米沢、南陽、高畠、川西の枠組みで原田町長がリーダーシップをとるという。原田俊二町長の本気さには信頼が置ける。逆襲に期待したい。ただ、「置賜」市へのこだわりがどこまで通用するか。悩まされることになりそうな気がする。 
by めい (2008-06-12 07:07) 

めい

今朝(8/7)の山新、原田町長、動き出しました。

   *   *   *   *   *

◎2市2町で対等、新法期限内 合併で川西町長が私案

 米沢、南陽、高畠、川西の2市2町による広域合併協議を呼び掛けている原田俊二川西町長は、この枠組みによる合併プランの私案をまとめ、6日開かれた町議会合併に関する特別委員会に示した。私案は、新設方式により新法期限内(2010年3月)の実現を目指すとした。

 原田町長は、合併プランについて「わたしなりの考え」と前置きした上で▽歴史、文化、地理的一体性▽生活圏としての優位性▽都市と農村が共生する“まち”づくりが可能-の3点を挙げ、東南置賜2市2町での合併が「町民や置賜全体の発展にとって最良」と説明した。

 合併の方式と期日、新市の名称、事務所の位置の「基本4項目」では、新設合併(対等合併)により、新法期限内を目指すことを前提条件に示し、新市の名称、事務所の位置については「合併合意の過程で決定する」とした。

 また新市のイメージを「日本の原風景 米沢盆地を守り 歴史を育(はぐく)み 農・工・商の調和ある郷土の発展をめざす」とし、具体的には▽豊かな自然、歴史を生かし、誇りあるまちづくりを進める▽それぞれ特色ある農業の発展をめざす▽広域化を図ることにより、持続的な行政サービスを提供する-など6項目を掲げた。

 合併協議のスケジュールでは、ことし9月中旬に任意の合併協議会、12月に法定協議会を設立し、来年10月の合併調印を目指すプランを提示。協議の実現性については「2市1町の首長の考え方をうかがっている段階だ。一両日中に方向性を見いだしたい」と語った。

   *   *   *   *   *

期待を込めて見守っています。

by めい (2008-08-07 07:18) 

めい

今朝の山新。

   *   *   *   *   *

◎2市2町の合併物別れ
 東南置賜首長ら懇談/枠組みや時期に難色

米沢、南陽、高畠、川西の2市2町の首長、議長などによる懇談会が7日夜、川西町フレンドリープラザで開かれた。原田俊二川西町長が、2市2町による合併協議を呼び掛けたが、枠組みや合併時期について自治体間の考え方の溝が埋まらず、合意に至らなかった。

関係者の話によると、原田町長が、2市2町による合併プランを示して他首長の意見を求めたのに対し、新法期限内(2010年3月)の合併を目指した協議の開始に難色を示す首長や、この枠組み自体への反対意見も出て、物別れに終わった。

懇談会は2市2町から各首長、議会代表者が出席し、非公開で行われた。

   *   *   *   *   *

慙愧の思い。

なぜ非公開なのか。合併反対の背後にある自己保身への後ろ暗さからだとすると、住民として実に辛い。


by めい (2008-08-08 07:34) 

めい

9/10山新。

   *   *   *   *   *

◎2市2町での合併協議合意
 長井、南陽、飯豊の首長

内谷重治長井市長と斎藤正三郎飯豊町長が10日、南陽市役所を訪れ、塩田秀雄南陽市長に対し置賜広域病院組合(長井、南陽、川西、飯豊)の枠組みで合併協議を始めるよう要請した。塩田市長もこれに同意し、2市2町の合併協議開始に向けて一歩前進した。

会談を終えた内谷市長は「任意協議会の設置に向け前向きに検討するテーブルに着こうということで合意した。川西町の意向も確認して慎重に進める必要があるが、できれば10月中に任意協議会を立ち上げたい」と述べた。また、新人二人による争いが見込まれる飯豊町長選が10月16日告示、同21日投開票の日程で行われることについて「任意協議会から法定協議会に移行する段階で(新飯豊町長から合併の是非を)判断していただくことになるのではないか」との見解を示した。

一方、塩田市長は「合併協議をするのであれば、できるだけ早く行動に移すべきだ。任意協議会の設置に向けて大きく前進したと認識している」と述べた。内谷市長と斎藤町長は12日、原田俊二川西町長と会い、2市2町での合併協議開始をよび掛ける。

◎特例期限内の広域合併は困難
     川西町長

川西町の原田俊二町長は10日、長井、南陽、飯豊、川西の2市2町で構成する置賜広域病院組合の枠組みでの合併について「特例法の期限内(2010年3月)は時間的に難しいと思う」との認識を示す一方、「期限や枠組みを問わず、(他首長などから)具体的な呼びかけがあれば拒否する理由はない」と語った。町議会一般質問で高橋輝行議員の質問に答えた。



by めい (2008-09-11 20:25) 

めい



今朝の山形新聞に『2市2町の合併物別れ』という記事が掲載してありました。

川西町の原田町長の呼びかけで非公開で行われた合併協議において、米沢・南陽・川西・高畠それぞれが
『枠組み』や『合併時期』についての自治体間の考え方の溝が埋まらず合意に至らなかった…と言うものです。

この件について報告を兼ね緊急に全員協議会が行われました。

   報告によると、協議会の席上でのそれぞれの自治体首長の意向は…

    『2市2町の枠組みで期限内』 ・・・米沢・川西
    『米沢抜きの1市2町で期限内』・・・南陽
    『期限内に拘るべきではない』 ・・・高畠


   各議会の議長も参加していた訳ですが、懇談会の中では…

    『うちは議会も住民も米沢嫌いだから2市2町は無理だな…』などの声もあったとか…

by めい (2008-09-11 20:27) 

めい

相田かっぺい米沢市議の8/8付ブログに先の合併協議の物別れの中身に関する記事がありましたのでコピーしておきます。
http://blogs.yahoo.co.jp/jboy1103/42325305.html

* * * * *

今朝の山形新聞に『2市2町の合併物別れ』という記事が掲載してありました。

川西町の原田町長の呼びかけで非公開で行われた合併協議において、米沢・南陽・川西・高畠それぞれが
『枠組み』や『合併時期』についての自治体間の考え方の溝が埋まらず合意に至らなかった…と言うものです。

この件について報告を兼ね緊急に全員協議会が行われました。

   報告によると、協議会の席上でのそれぞれの自治体首長の意向は…

    『2市2町の枠組みで期限内』 ・・・米沢・川西
    『米沢抜きの1市2町で期限内』・・・南陽
    『期限内に拘るべきではない』 ・・・高畠


   各議会の議長も参加していた訳ですが、懇談会の中では…

    『うちは議会も住民も米沢嫌いだから2市2町は無理だな…』などの声もあったとか…

by めい (2008-09-11 20:30) 

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