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沖縄「集団自決」問題 [日本の独立]

池田信夫氏が沖縄の「集団自決」問題について書かれました。「正気煥発掲示板」時代にこの問題について関わったことがあり、最近の動きに同意できない思いでいたところでした。池田氏のご指摘に同意です。そっくりコピーさせて戴いておきます。
 
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きょうの産経新聞で、曽野綾子氏が、沖縄の「集団自決」について語っている。私は、この問題については一次資料を見たことがないが、雑誌の企画で曽野氏と対談することになったので、『「集団自決」の真実』を読み返してみた。

曽野氏の調査によれば、命令を出したとされる赤松隊長も隊員も、「上陸した米軍への応戦で手一杯で、自決命令を出しに行くどころではなかった」と証言している。ただし米軍の砲撃が始まって混乱に陥ったとき、(正規の訓練を受けていない)防衛応召兵が、隊長の命令なしに手榴弾を住民に渡したことは事実らしい。

住民の証言では、当時の村長が「軍の命令だから自決しろ」と言ったというのだが、当の元村長は「私は巡査から聞いた」という。その元巡査は、赤松大尉から逆に「あんたたちは非戦闘員だから、最後まで生きて、生きられる限り生きてください」といわれた、と証言した。ではなぜ集団自決が起こったのか、という点について元巡査は「どうしても死ぬという意見が強かったもんで、わしはサジ投げて・・・」と語っている。したがって、赤松大尉を「屠殺者」などと罵倒した大江健三郎氏の記述が誤りであることは明白だ。

もう一つの座間味島についても、当時の隊長だった梅澤裕氏が赤松元大尉の遺族とともに、岩波書店と大江氏らに対して名誉毀損訴訟を起こしている。座間味島については、秦郁彦氏が『歪められる日本現代史』で梅澤氏の手記や住民の証言をもとに検証しているが、ここでも自決するための爆薬を求める村の助役ら5人に対して、梅澤少佐が「決して自決するでない。壕や勝手知ったる山林で生き延びてください」と答えた、と当時の村の幹部が証言している。遺族会の会長(当時の助役の実弟)は「集団自決は梅澤部隊長の命令ではなく、助役の命令で行なわれた。これは私が遺族補償のため隊長命として[厚生省に]申請したものだ」という侘び証文を梅澤氏に渡している。

これに対して沖縄の住民側の主張は、沖縄タイムスにまとめられているが、上のような証拠はなく、「11万人結集 抗議/人の波 怒り秘め/真実は譲らない」といった情緒的な記事ばかり。沖縄戦では、この両島以外にも集団自決の伝えられている島があるが、沖縄タイムスは他の島でも「軍の強制」の証拠を示していない。したがって、これまでの証言・証拠からみるかぎり、末端の兵士の関与はあったものの、隊長の命令があったとはいえない。まして、軍の方針として集団自決が強制されたということはありえない。

今回、問題になった検定では、たとえば三省堂の『日本史A』では「日本軍に『集団自決』を強いられたり、・・・」という記述が「追いつめられて『集団自決』した人や・・・」というように「日本軍」という主語を削除するように求められたものがほとんどである(強調は引用者)。上のような実態を考えると、後者のほうが中立的な表現だろう。

私は教科書検定という制度に反対なので、この検定意見を擁護しようとは思わないが、沖縄タイムスの記事を見ても、軍が集団自決を命じたとか強制したという証拠は他の島にもない。むしろ軍が命令もしていないのに、民間人が自発的に集団自決したとすれば、そのほうがはるかに恐るべきことである。曽野氏もいうように
戦争中の日本の空気を私はよく覚えている。[・・・]軍国主義的空気に責任があるのは、軍部や文部省だけではない。当時のマスコミは大本営のお先棒を担いだ張本人であった。幼い私も、本土決戦になれば、国土防衛を担う国民の一人として、2発の手榴弾を配られれば、1発をまず敵に向かって投げ、残りの1発で自決するというシナリオを納得していた。
というのが本質的な問題だろう。事実関係の検証もしないで「11万人集会」や九州知事会で検定の訂正を求めるなど、政治的な動きが拡大し、それに屈した形で文部科学省が教科書の「自主的な訂正」を認める、という経緯には疑問を感じる。慰安婦問題と同様、ここにも「悪いのは軍だけで、民衆は被害者だった」という都合のいい図式があるが、『日中戦争下の日本』にも書かれているように、当時いちばん勇ましかったのは新聞であり、末端の国民まで「生きて虜囚の辱めを受けず」という気分が蔓延していた。その(山本七平のいう)空気が、戦後は一国平和主義という空気に変わっただけで、メディアの幼児性は変わらない。歴史を政治のおもちゃにせず、冷静に事実を検証することができないものか。

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