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mespesadoさんの経済談義(11)政治の要諦は「いかに気持ちよく国民が働けるか」 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

《通貨「円」の価値は、「金gold)」のような現物ではなく、「日本の生産力」で裏付けられているのですから、日本の労働者が労働をやめたとたんに「円」は大暴落して一切のエネルギー資源の輸入ができなくなるので日本は破綻します。》は、前回記事665中の《経済問題の究極はオカネじゃありません。国民が十分なモノやサービスを享受できるかどうか、がすべてです。》に対応します。バランスシートのどうこうは二の次、三の次。mespesado理論の肝、思わず気持ちが熱くなります。上杉鷹山公を思い起こしつつ、この記事の題を「政治(国家運営)の要諦は『いかに気持ちよく国民が働けるか』」としました。

*   *   *   *   *

651:mespesado : 2018/06/09 (Sat) 19:23:56 host:*.itscom.jp
 またまた黒木玄ネタです。

黒木玄 Gen Kuroki@genkuroki
> 松尾匡さんの経済政策について支持したい人は、必然的に高橋洋一さん
> がどれだけ良い仕事をし、良いアイデアを出していたかを素直に認める
> ことになります。

> そうならない人は是々非々で議論ができない人であり、個人的に相当に
> 問題があると思う。

 そんなことないんですけどね。
 まあ、その説明はちょっと長くなるので、シリーズもの的に解説していきましょう。  (続く)
 
652:mespesado : 2018/06/09 (Sat) 19:39:02 host:*.itscom.jp
>>651
 まず黒木さん的には、松尾さんのどういう主張に対して高橋さんのどういう主張が呼応しているのかについて次のツイートで明らかにしているので引用します:

黒木玄 Gen Kuroki@genkuroki
> 松尾匡さん曰く【財政危機論はデマ】
> 日本政府が財政危機から程遠いことを理解するためには、最低でも日本
> 政府のバランスシートがどうなっているかについて知る必要があります。
> 日本政府のバランスシートを作ったのは高橋洋一さんです。

 つまり黒木さんは、松尾さんが財務省が主張する「財政危機論」なるものがウソであると主張していることについて、高橋さんが「日本政府のバランスシートを作った」ことによって明らかにした、と考えていることがわかります。   (続く)
653:mespesado : 2018/06/09 (Sat) 21:07:12 host:*.itscom.jp
>>652
 まずは松尾さんの「財政危機論」がデマだ、というものがどういう内容なのかを解説したサイトは以下の通りです:

左派・リベラル派候補がアピールすべき要点 松尾匡 / 経済学
「財政危機論はデマです!」
https://synodos.jp/economy/20583/2
 まずはこの記事を一通り読んでください。その中で「財政赤字」に言及している箇所は確かにあります。例えば

> このかん、財政赤字が拡大した原因の第一は、税収が傾向的に減ってい
> ることです。それは、消費増税や雇用流動化で人々の購買力を抑制して
> 緊縮政策を続けたために、長期不況が深刻化したことも一因ですが、法
> 人税減税や累進軽減で税収が減ったことも大きな要因です。このつけを
> 庶民にまわすような政治をこれ以上続けてはならないと、大いに宣伝し
> てください。

などです。しかし、この引用部分も含めて政府の財政の「バランスシート」について言及している個所は一つもありません。上記の引用部分でも「税収」と書いてあるところを「通貨円の回収」に読み替えても何の祖語も生じません。つまり、松尾さんは、日本の国家財政について「バランスシート」の健全化という概念について、一切何も主張していないのです。  (続く)
662:mespesado : 2018/06/10 (Sun) 10:19:58 host:*.itscom.jp
>>653
 一方、高橋さんのバランスシートに関する主張は以下のとおりです↓

「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156
> 借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。

> 第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。今から20年近
> く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバラン
> スシートを作る必要があった。当時、主計局から余計なことをするなと
> 言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消
> するために、国のバランスシートを初めて作った。(中略)
> その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。
> そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66
> 兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有
> 形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

> 負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、
> 借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の
> 見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債
>(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490
> 兆円を占める。

> 先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資
> 産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身
> についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特
> 徴的だ。

 高橋さんは大蔵省(財務省)に勤めていたとき国家財政のALM,すなわち「資産と負債の統合管理」を断行したので資産と負債のバランスシートに拘る気持ちはわかりますが、国家財政の場合、負債に見合った資産があるかどうかというのは財政の健全性と何の関係もありません
 そもそも私企業ですら、資産と負債がバランスしているだけではキャッシュフローが滞って「黒字倒産」する可能性だってあるんですから、「資産と負債がバランスしている」ことは、財政の健全性の「十分条件」にすらなっていません。いわんや政府の財政をや、です。例えば、極端な想定ですが、明日から日本の労働者が一斉に怠け心を起こして「働くのやーめた」と言ってすべての労働を放棄したとしたらどうなるでしょう?
 資産は確かに今までどおり存在しますから、バランスシートは健全ですが、通貨「円」の価値は、「金gold)」のような現物ではなく、「日本の生産力」で裏付けられているのですから、日本の労働者が労働をやめたとたんに「円」は大暴落して一切のエネルギー資源の輸入ができなくなるので日本は破綻します。
 では、資産と負債がバランスしていることは、財政健全性とどういう関係にあるのでしょうか?
 これは、家計や企業の場合、「将来的に破綻の心配が少ない」ことを意味するだけです。ただし「心配が少ない」だけであって、将来の環境変化次第で破綻することはありえます。ただ、目安にはなるので、家計の場合であれば将来の計画を立てるのに参考にするでしょうし、企業の場合は株価に反映します。
 これに対して国家の財政の場合、上に見たように、資産と負債のバランスは、将来の国家破綻の可能性の目安にすらならないし、逆に財政が健全であるからと言って自動的に資産と負債がバランスするわけでもありません。
 日本の場合、①外貨建ての負債がないこと、②国内生産力が著しく過大なこと、の2点があるがゆえに国家が破綻しないのであって、「財政赤字」や「資産と負債のバランス」は一切関係ありません。さらに言えば、貿易収支が赤字であっても影響ありませんし、①と②の一方だけが満たされなくてもやはり破綻しません。
 以上高橋洋一さんの議論をあまり過信するのも問題だということを解説させていただきました。と同時に、黒木玄さんも、経済の根幹がやはりわかってないのでは、と疑わざるを得ません。そして松尾匡さんは、政治イデオロギー的にはどうかと思うけど、さすがに真っ当な経済学者だけあって、もちろん他の経済学者と同様に西洋かぶれなところはあるけれど、基本的なところで大きな誤解はしていないと思います。
 さて、↑とはいうものの、黒木さんも高橋さんも松尾さんもみんな緩和派で、財務省の悪だくみへの批判者なので、ここは大同小異、一致団結して政府を突き動かしてほしいものです。   (おしまい)

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