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mespesadoさんによる1億人のための経済講座〈Ⅲ〉番外編(2) 高島康司氏の財政論批判 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

一昨日の「2018年,世界は,大きく変ってゆく」 のコメント欄に、放知技板でロクさん紹介の、高島康司氏記事をリンクしました。南北統一が実現すれば、日本にある15の基地の内7基地1.キャンプ座間 2.横須賀海軍施設 3.佐世保海軍施設 4.横田飛行場 5.嘉手納飛行場 6.普天間飛行場 7.ホワイト・ビーチ地区(沖縄県うるま市))の「国連軍地位協定」上の法的根拠が消滅するのというです第24条すべての国際連合の軍隊は,すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない」)。私自身はじめて知って「超重要!」とメモしたのでした。

放知技板で注目されるようになった高島氏、以前私も読んでいました。その高島氏の財政論に対するmespesadoさんの解説(批判)です。

*   *   *   *   *
487:mespesado : 2018/04/23 (Mon) 21:50:17 host:*.itscom.jp
>>451
> 高島康司氏の論述↓↓
『日本は財政破綻するのか?』http://www.funaiyukio.com/yasu/index_1712.asp
> これは↑↑なんか財政破綻論者みたいな書き方なのですが…
> mespesadoさん,コメントいただけませんか?
 読みました。読みましたが…
 出だしから何かいろいろ問題がありますね。たとえば次のくだり:
>  しかし、こうした楽観的な状況でも企業は、正規から非正規へと従業
> 員の比重を変化させるという、いわば人件費の削減によって利益を確保
> しているのが現状です。
を読むと、正規職員を非正規に挿げ替えていったみたいな印象を与えるんですが、実際は逆です。前にも >>244 でリンクを貼った↓
の最初の棒グラフによると、2012年までは特に女性で確かにそういう傾向があるのですが、2013年以降は、一転して逆に非正規から正規への転換の方が正規から非正規への転換より(特に男性でははるかに)多くなっています。ちなみに正規職員の絶対数も増えていますから、データによる限り、企業は「人件費の削減によって利益を確保」する方向から少しずつ抜け出し始めているように見えます。また
> その結果、非正規の労働力が増大すると同時に、企業の内部留保金が増
> えるというような状況になっています。これが実質賃金を引き下げ、国
> 内の消費を抑制する要因になっているのです。
というのもウソですね。なぜなら最近になって「名目賃金」は増えており、これは「非正規の労働力が増大」したからというのでは説明がつきません。実質賃金の減少はやはり昨今の物価の微増が原因です。
 さて、以上はどちらかというと枝葉の話で、この論文で問題なのは、今までアベノミクスを巡っては多くの危機論が出ては消え出ては消えしてきたと述べた後の、
>  しかし、2016年の後半から2017年にかけて、これまでとはま
> ったく異なった危機論が出てきました。日銀の債務超過による破綻論
> す。この議論の特徴は、これを警告しているのがエコノミストではなく、
> 日銀の出身者や関係者であるという点です。それだけに現実味と深刻度
> がこれまでの危機論よりも相当に高いようです。
というくだりです。その理由として、著者はまず日銀のバランスシートの悪化の話をするんですが、
>  平成28年度末における資産と負債の状況をみると、総資産残高は、
> 国債を中心に前年度末と比べ84兆4,411億円増加(+20.8%)
> し、490兆893億円となりました。また総負債残高は、預金(当座
> 預金)を中心に前年度末と比べ84兆3,250億円増加(+21.0
> %)し、486兆4,234億円です。
>  バランスシートは逼迫しており、わずか4兆4,000億円程度で資
> 産が債務をぎりぎり上回っている状況なのです。
 ぎりぎりとか言っても、総資産残高の増加分84兆4,411億円の方が総負債残高の増加分84兆3,250億円より多いじゃないですか。どこが懸念なんだか…。そりゃ母体がデカくなれば資産負債差額の占める率は小さくなりますが、だから何?という話です。それから
>  さらに資産として計上される国債ですが、日銀は民間銀行が入札した
> 水準よりも高い価格で国債を買っているのです。そうではないと民間銀
> 行の利益にはならないので、量的金融緩和のためにはそのようにせざる
> を得ないのです。つまり、買ったら買った分だけ含み損が出ることにな
> ります。すると、債務となる当座預金の増大とともに、含み損も拡大す
> る状況なのです。だから、日銀の量的金融緩和策の継続はバランスシー
> トをどんどん悪化させることになります。
と言ってますが、この手前に
> (前略)銀行は、国債の売却から得た資金を日銀の当座預金に預けてい
> るのです。これには0.1%の金利がこれまでついていたので、銀行
> としても格好の運用先でした。
>  昨年の1月に、当座預金の一部にマイナス金利が付き、逆に手数料の
> 支払いが要求されるようになっていますが、当座預金は減少していませ
> ん。
と書いています。当座預金は一応金利がついてるから民間銀行も喜んで預けていた、と書きながら、次の段落では当座預金の金利がマイナスになったのに当座預金は減ってない、と言ってるんですから、国債の購入を民間銀行が落札した水準より高くしなくても銀行は喜んで売るんじゃないですかね。
 それから、一番ナンセンスなのは次のくだりです:
>  そして、このバランスシートの悪化を加速させるのが、インフレ率が
> 目標の2%に近づき、量的金融緩和策を縮小するときなのです。量的金
> 融緩の縮小はテーパリングと呼ばれますが、いずれはこれを実施し、金
> 融政策を正常化しなければなりません。
>  すでにFRBやECBがテーパリングを実施していますが、これは購
> 入する国債の規模を縮小すると同時に、ゼロ金利政策を脱却し、金利を
> 上昇させなければなりません。そして、そうするためには、日銀が民間
> 銀行から預かっている膨大な当座預金に金利を付ける必要がでてきます。
 いったい、今の情勢でどうやったらインフレ率が2%に近づくというのでしょうか?そのインフレが生じる環境とは具体的にどんな状況になった場合を想定しているのかも述べないで、「ゼロ金利政策を脱却し、金利を上昇させなければなりません。」などと言われても、「何で?」としか言いようがありません。そもそも金利が上昇するためには資金需要が必要で、あれほど内部留保を溜め込んだ企業がどうやったら借金する必要が出てくるのかも理解できませんし、実際、今までゼロ金利を脱却しようとしても、肝心の資金需要が無いのでちっとも脱却できなかったじゃありませんか。更に
>  これは悪性のバブルの発生を防ぐためにも必要な処置です。テーパリ
> ングは、2%までではないにしても、目標のインフレ率は達成されつつ
> あるときに実施されます。インフレ率が上昇しているときに当座預金の
> 金利が低いままだと、当座預金は急速に取り崩され、不動産などの投機
> 資金に回されてしまいます。すると、バブルが発生します。当座預金の
> 金利の引き上げは、これを回避する目的もあります。
 ですから、「不動産神話」が崩壊した現代では、不動産に投機するなどというリスキーなことを誰がするんでしょう?不動産では儲からないからこそ、ビットコインのような怪しげなシロモノに手を出す人が日本では異常に多いんではないでしょうか?まさか民間銀行のようなカタギの金融機関がビットコインに投機するわけないですよねw。ですから今の日本でバブルなど発生しようがなく、従って当座預金の金利を引き上げなければならない緊急性は無いと考えられます。
 以下、当座預金の金利を上げざるを得なくなり、日銀が破綻するかもしれない、日銀が破綻したら…、と妄想に近い記述が続きますが、ンなわけないだろ、としか言いようがありません。
>  これが日銀出身者が警告するシナリオです。河村小百合、早川英男、
> 白井さゆりなどの人々が警告しています。このようなシナリオを、聞く
> とにわかには信じられないかもしれません。よくある陰謀論のひとつと
> して切り捨ててしまいたくもなるでしょう。
 ここに名前が挙がった日銀出身者って全部緊縮財政派の人たちばかりじゃないんですか?例えば河村小百合『中央銀行は持ちこたえられるか ──忍び寄る「経済敗戦」の足音』
> 内容(「BOOK」データベースより)
> 今や政府の債務残高は一二〇〇兆円を超え、名目GDP比の二五〇パーセン
> トに迫る勢いだ。その増加傾向にブレーキはかからず、安倍政権が目標
> とする「二〇二〇年プライマリー・バランス黒字化」の目途はまったく
> 立っていない。
 ほらね、やっぱり。背後に財務省の黒子が見え隠れしますw

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