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mespesadoさんによる1億人のための経済講座〈Ⅱ〉(4) 戦後「ユダヤ的」支配下ゆえの日本の左派 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

「てげてげ」での指摘の通り「◆2018/01/18(木)現在と過去を比較すれば,現在が見えてくる」「◆2018/01/20(土)売国議員は,311の時は亡国議員だった」左派の存在意義低下に歯止めがかからない。これはとりもなおさず、日本が「両建て支配」の軛(くびき)から脱しつつあることの証しにほかならない。

「両建て支配」を説明するにいい文章を見つけた。根底的左派批判としてだけでなく、戦後教育批判としても急所を衝く極めて重要な文章だ。30年も前に書かれている。『日本人に謝りたい』モルデカイ・モーゼ著 日新報道/1979)

《ユダヤ人の思考法で最も基本的なものに、二元論と呼ばれるものがある。論理学的には二値論理といわれるものである。ユダヤ人は両建て主義ということが多いようである。・・・この二元論というのは、絶対に相容れない両極端の対応物を設定することから始まる。しかも宗教民族らしく、この二元論は多くの場合、倫理的要素が混入されているのである。したがってこの二元論は、善悪二元論、時によっては明暗二元論など、いろいろいわれよう。》《戦後、教育界に最初に持ち込まれたものに、○×式思考法がある。この思考法も見て分る通り、二元論の典型的なものである。》《教育界へ本格的に持ち込まれたのは、日本が最初である。・・・そこでつけた理屈が、主観主義の排除ということであった。つまり、科学的、客観的ということである。/しかし、その裏に創造的能力を奪うという大きな問題点を含んでいることは、何故か表面には出なかった。》《GHQを支配していたニューディーラーはいろいろな二元論的思考を戦後の日本へ植え付けたのであるが、教育界へ持ち込まれたこの○×式思考法により育てられた現在の中堅クラス以下の多くは社会、政治、経済その他あらゆる面でこの○×式教育を忠実に反映した思考法により諸現象を分析することにすっかり慣れているようである。/「保守」か「革新」か、「大企業」か「国民大衆」か、「戦争」か「平和」か、「経済成長」か「社会福祉」かなど、二元論花ざかりである。これらを持ち出しているのが共産党、社会党といったマルクス主義を絶対的な世界観、あるいはそれに類する思考をする政党であるからには当然というべきかも知れない。・・・マルクス主義は二元論から成り立っている虚構論理なのである。この○×式思考法なくしては、「革新」政党たるもの、今日まで生きのびることは不可能であったかも知れない。》ユダヤ長老が明かす戦後病理の原像)。

こう言われてからさらに30年、「革新」政党は「左派」として生き延びた。アメリカによる「ステルス支配低被発見的・隠密的支配)」が効いていたのだ。それが「トランプ大統領就任→緑・網の影響力失墜」によって、ようやく「日本独立」の光が差してきた。まさに「イハトビラキ」の始まりだ。暗い未来しか思い描くことのできない勢力は消えてゆかざるを得ない。

ここでのmespesadoさんの議論は、欧米の左派(リベラル)に比して日本の左派がいかに役立たずかの指摘である。

   *   *   *   *   * 
210 名前:mespesado 2018/01/20 (Sat) 19:08:26 host:*.itscom.jp
>>139
 また間が空いてしまいましたが、松尾匡氏の本の書評の続けます。
 さて、次は第4章、「躍進する欧米左派の経済政策」です。
 この本は、もともと「はじめに」にもあったように、安倍政権に対抗する野党に正しい経済政策を提案する、というのがその趣旨でした。ところがこれまでの議論は、金融緩和を是とする、という意味で安倍政権の経済政策であるアベノミクスの第1の矢をそのまま支持するような内容になっていて、パッと目には何か「敵に塩を送っている」ように取られかねません。そこで著者は、世界を見渡したとき、緩和政策はむしろリベラルの政策であり、緊縮財政は保守政党の政策である、という事実を指摘します。
 著者はこの章の第1節で、1994年から2006までのスウェーデンを例に取り、それ以前に政権を担っていた保守中道政権がクローネ高を維持しようとして金融引締め策を取っており、そのためにスウェーデン経済が大変な不況に陥り、その後を継いだ社会民主党政権が金融緩和策を採用し、クローナ安、実質金利の低下により設備投資が増加したことを解説します。
 次いで通貨統合後のEUにおける南欧諸国の急進左派の経済政策について、
①ギリシャの急進左派連合が、選挙前に「欧州中央銀行は、量的緩和政策を使って直接に国債を買い入れるべきである。」という声明を出したことや、
②スペインの新興左翼政党「ポデモス」が欧州中央銀行を議会による民主的なコントロール下に置くべしと主張したこと、
更に
③39ヶ国で6千万人の組合員を擁する欧州労働組合が、欧州中央銀行が債権を買うことを歓迎するだけでなく、まだまだ不十分である、と警告し、ベロニカ・ニルソン欧州労連書記長が「ヨーロッパを停滞させているのは緊縮政策だ」とはっきり述べ、実際2014年の11月に欧州労連の主導で全欧で反緊縮のデモやストライキが吹き荒れ、これを欧州左派党が「断固支持」したことに言及します。
 またイギリスで2015年5月の選挙で「スコットランド国民党」という名の左翼政党が党首討論で反緊縮を訴え、党首たちの中で支持率1位につけたという世論調査や、イギリス労働党のコービンが反緊縮の世論の中で急速に支持を広げて党首選を制し、「イングランド銀行は人民のための量的緩和をすべし」という政策を掲げたことに触れます。
 また、欧州の中央銀行についても、日本の財政法第5条のような中央銀行が政府の発行する国債を直接買い入れることがリスボン条約で禁止されているものの、この制約をなくしてしまおうという意見が今の欧州の左翼で共有されていると説きます。
 そして欧州左翼党や社会運動団体が2015年に採択した「バルセロナ宣言」を解釈して、財政赤字の中で福祉や医療や教育等への政府支出を拡大すべきであり、その財源はどうする?と問われたら、財源は「無からオカネを作ればいい」と平然と答えればよい、そのためには中央銀行の独立性を否定しなければならない、ということである、と解説します。
 次に、イギリス労働党のコービンの経済政策がマスコミ、労働党の旧勢力、保守党政権からトンデモ論であるかのように批判を浴びており、ジョージ・オズボーン財務相からも「紙幣増発による公共投資は物価上昇の火種となり、懸命に働いている多くの国民の実質賃金を目減りさせることになる」と厳しく批判していることを挙げ、しかし左翼の経済学者がコービン氏の経済政策(コービノミクス)を支持していると述べています。
 そしてこの章の最後にアメリカの民主党サンダース候補(当時)に言及し、彼も反緊縮で、経済学者クルーグマンやスティグリッツを高く評価していることに言及しています。 
 かくのごとく、欧米では「左派勢力」こそが緩和政策を主張し、緊縮財政を主張するのはむしろ保守勢力である、というのが常識であるというわけですが、ふと日本のことに目を向けると全く逆になっていることに唖然としますね。そこで、次稿ではちょっとこの本の書評を離れて、現代ビジネスでかの長谷川幸洋氏が書いた記事を紹介し、その理由について解説したいと思います。     (続く)
225 名前:mespesado 2018/01/21 (Sun) 21:21:50 host:*.itscom.jp
>>210
 前稿では日本における保守政党とリベラル政党の緊縮財政と金融緩和への立ち位置が欧米と逆であることを指摘しましたが、長谷川幸洋氏によるその理由の分析を紹介する前に、欧州のその後の状況を解説する記事がありましたので、先にそちらを紹介します。

ユーロ圏経済の担い手は、ドイツに逆らうポルトガル
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/01/post-9258.php
 ドイツのメルケル政権は長らく金融緩和に反対(すなわち緊縮財政の傾向を持つ)でした。これはドイツの利害からすれば当然で、前にも解説したように、ドイツは生産力が強いので、EU内の国々に輸出攻勢をかけ、しかも相手国と異なる通貨を採用していれば自国通貨が通貨高になることにより貿易黒字が緩和されるはずのところが、通貨統合によりそのような仕組みが存在しないため、ドイツは空前の好景気を謳歌することができ、高度成長期の特徴として「財政黒字」になったため、そのオーバーヒートした景気を冷ますために緊縮財政が正当化されます。しかもドイツの消費者にとってもユーロ高になって欧州圏外からの輸入品が安くなる方がハッピーなので、国民も緊縮財政を支持します。
 このドイツの好景気は他の生産力が低い国の犠牲の元に生じているのですから、これらの国々にとっては緊縮財政はたまったものではありません。
 そこで、

> ヨーロッパ全体で緊縮経済体制を取るべきだ、というドイツのメルケル
> 首相の信念は揺らいだようだ。ドイツがユーロ圏財務相会合の新議長に
> 強く推したのは、ポルトガルのセンテーノ財務相だったからだ。

ということのようです。そして、前任者のオランダのデイセルブルム前財務相は

> ここ数年、ドイツと歩調を合わせて、浪費傾向が強い南欧諸国を非難。
> ユーロ圏の北部と南部の分断を招き、その亀裂は今なお続いている。

のだそうです。そして、新しいセンティーノ財務相とその出身国ポルトガルというのは、

> ポルトガルは10年からのユーロ危機に際し、ユーロ圏から780億ユーロの
> 緊急ユウシを受けた。センテーノはそうした国の代表であり、さらに注
> 目すべきなのは、共産主義政党の後押しを受けた左派政権の一員でもあ
> るということだ。

ということだそうです。そして

> 2年近く前、ユーロ圏きっての緊縮財政派であるドイツのショイブレ財務
> 相(当時)はポルトガルに対し、ユーロ圏の規制に従うことを拒めばポ
> ルトガル経済は停滞して追加の国際ユウシが必要になるとクギを刺した。
> だが、ポルトガルは警告に従うことを慎重に拒否しながら、ショイブレ
> を含む緊縮財政派から称賛される結果を出した。

> ポルトガルは南欧で先陣を切って債務危機から抜け出した。近年は急速
> な経済成長を続け、失業率も13年の17.5%から8.5%にまで低下している。

というのです。一体どんな手を打ったというのでしょうか。それは

ポルトガル政府は着々と債務を返済する一方で、年金や公務員給与の削
> 減措置を撤回。水道局や鉄道会社などの民営化を停止し、祝日数も元通
> りにした。さらにトロイカから非難されながらも最低賃金を上げ、増税
> 案を破棄し、貧困世帯への社会保障を増やした。

 そしてその結果、

> EU幹部の脅しめいた忠告もあったが、これらの措置によってポルトガル
> の内需と投資は16年によみがえった。経済成長も安定し、17年9月には国
> の信用格付けは5年半ぶりに投資適格級に復活。まさに不可能と言われて
> いたことを成し遂げたのだ。

 ここで「年金や公務員給与の削減措置を撤回」とありますが、これこそ日本人が見習わなければなりませんね。日本人はすぐルサンチマンで自分の境遇が浮かばれないと感じると、自分たちの収入を増やすような政策を主張するかわりに「楽していい目を見ている(と思っている)人を引き摺り下ろす」ことで「解決(実は単なる憂さ晴らし)」しようとします。だから、「公務員は貰いすぎだ!報酬を下げろ!」というのです。しかし、これにより公務員の収入が減った分だけ公務員家庭の消費も減り、企業の売り上げも減るので、企業に勤める会社員の給与も減り、…という悪循環になる(更に、一般の会社の給与水準も人材確保のために公務員給与と競合関係にあるので、公務員給与が下がれば、一般の会社も“安心して”給与水準を下げられる)、というところまで考えが回らないのです。
 さて、このような「楽していい目を見ている(ように見える)人を引き摺り下ろそうとする」という日本人の特徴について、脳科学者の立場からの面白い見解を見つけましたので紹介します。

貴乃花親方がいじめられ、小泉進次郎氏がいじめられない理由
https://www.news-postseven.com/archives/20180104_640244.html
>  猛獣と比べて脆弱な肉体しかもたない人間が地球上で生き残ってこら
> れたのは、集団を作って高度な社会性を持ってきたからである。

>  この集団が存続するうえでもっとも脅威となるのは、自分だけ楽をし
> たり、集団に協力しなかったりする「フリーライダー(タダ乗りする人)」
> だ。放置すると集団が崩壊するので、人間の脳には、フリーライダーに
> 制裁を加えて排除しようとする「裏切り者検出モジュール」という機能
> が備わっている。

 「ねたみ」も昔の環境の下では生存に必要な人間の本能だった、というわけですね。で、それが何ゆえに日本人に強いのかというと、
>  人間の脳内では安心感を抱かせ、やる気を出させるセロトニンという
> 神経伝達物質が分泌されているが、日本人はセロトニンを再利用するセ
> ロトニントランスポーターの量が少ない人が極めて多く、世界一不安に
> なりやすい民族といえる。そのため、「裏切り者検出モジュール」の感
> 度が高く、フリーライダーとはいえない人までも「将来的な不安の種」
> と認識し、過剰に排除してしまう。これが「いじめ」のメカニズムだ。

 う~む。分子レベルでのファクトとしてはそのとおりかもしれないけれど、「ではなぜ日本人だけセロトニントランスポーターの量が少ない人が極めて多くなったのか」という問には答えていないような気がする…。
 そこで、ここからは私の想像ですが、日本以外の国では、異なる民族がぶつかり合い、すぐに戦闘になった。その場合、優れたリーダーがいないと戦いに負けてしまう。ところでリーダーとしての才能を発揮するには、皆と同じ労働はさせずにその時間を使って独自の能力を鍛える必要があり、優れた人を見つけたら、その人を「ねたまず」に、特別扱いを許す必要があり、この仕組みのために「ねたみ」の感情が抑えられるようになった…。こんなところではないでしょうか?

 ちょっと話が脱線しました。次稿で日本のリベラルと保守がなぜ欧米と逆なのかという疑問に対する長谷川幸洋氏の考察を取り上げることにします。      (続く)
226:mespesado : 2018/01/22 (Mon) 00:16:55 host:*.itscom.jp
>>225
 さて、長谷川氏によるその考察です↓

2018年も、結局日本の野党は首尾一貫間違え続ける「その根拠」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53906
 既に松尾氏の本にも書いてあった「欧米ではリベラルの方が金融緩和を志向する」という事実を長谷川氏も指摘し、その理由を
> そもそもリベラルとは何か。英語で「liberal」と言えば「自由で偏見が
> ない、開放的」といった意味になる。政治の世界では自由主義だろう。
> 個人の自由と多様性を大切にした社会を目指す立場である。

> 具体的な政策に落とし込めば、個人の自由を基礎にしているから当然、
> 市場経済重視だ。そして多様な人々が差別や偏見なく暮らせるように、
> 雇用と社会福祉重視になる。社会保障を充実させるために「大きな政府」
> を目指す。雇用を創出するためには金融緩和を志向する。これが世界標
> 準だ。

(中略)

欧米のリベラルは、基本的に以上のような「大きな政府と金融緩和志向」
> である。たとえば、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン
> 教授は一貫した金融緩和論者で知られているが、教授がニューヨーク・
> タイムズに連載しているブログのタイトルは、その名も「The Conscience
> of a Liberal(リベラルの良心)」だ。

と明快に説明しています。そして、日本のリベラル(左派系マスコミを含む)は全く逆で、緊縮財政を主張しているという事実を指摘します:

> たとえば、民主党政権時代に消費増税を決めた「社会保障と税の一体改
> 革」はどうだったか。増税分を社会保障の充実に回せばいいのだが、多
> くは財政赤字の縮減に使われた。2015年度に消費税8%への増税で得た増
> 収分8.2兆円のうち、社会保障の充実に充当されたのは、わずか1.35兆円
> にすぎない

> 代表格である朝日新聞や毎日新聞は一貫して増税による財政再建、すな
> わち緊縮財政を唱え、金融緩和を強く批判してきた。東京新聞も私が社
> 説を書いていた当時は金融緩和を唱えていたが、最近は「早く緩和を手
> 仕舞いすべきだ」と主張している。

> 野党の中でも、日本共産党は増税に反対だが、金融緩和を批判するのは
> 旧民主党勢力と同じである。

 そして、逆に保守であると言われる与党自民党の方がアベノミクスという金融緩和をしていると指摘します。
 それでは、野党は「リベラル」ではない(もちろん「保守」ではない)とすると何なのか、というと、それは「自民党に反対する」ことのみが存在目的であるというのです。それなら金融緩和を是とする自民党に反対なら、自動的に緊縮財政ということになるわけですね。
 さて、長谷川氏は別の論考で、野党である民進党を支持してきた労組(日本労働組合総連合会。以下「連合」)の矛盾を指摘します:

民進と希望「統一失敗」で見えた、能力も見識もない野党のアホらしさhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/54178?page=2

 そこで、長谷川氏は麻生副総理兼財務相の発言:
https://www.asahi.com/articles/ASL1G61VCL1GUTFK00C.html
>  企業の利益の割に、(労働者の)給料が上がっていない。給料や賞与
> を上げてほしいと今の政権が経団連に頼んでいるが、本来は連合や野党
> ・民進党の仕事だ。連合は、陳情は自民党、選挙は民進党。あほらしく
> てやってられない。

>  こんなやり方、いつまでやってんだと。私のことですから、会うたび
> に連合の方やら何やらに申し上げてきています。全然おかしいですよ。
> 何であんたの労働組合は民進党をやっている? 我々の方がよっぽど労
> 働組合のためになっているんじゃないですかね。

をとりあげ、全く尤もだ、と同意します。
 で、なぜこんな変なことになっているのかという理由を、連合の「倒錯した現状認識」にある、と指摘します。すなわち昔の労働組合が経営者側と対立していた時代の意識をそのまま引き継いでいて、経営者側が自民党を応援していたのに対抗して労働者側が野党を応援する、という構図を今でも続けているだけだ、というのです。
 なぜ昔と今で、労組と政治団体のあるべき本来の関係が変わってしまったのかについて、長谷川氏はこれ以上踏み込んでいませんが、私がかつて書いたように、「必ず儲かる会社の利益を経営者と労働者でどのように分配するか」という高度成長の時代が終わり、「業界全体でパイの食い合いになり、必ずしも利益が出るとは限らない中で、経営を維持することが労使共通の第一目的」という低成長の時代に変化したとき、労働組合がその変化に気付いていれば、この段階で経営者と同じく自民党支持に“鞍替え”すべきだったのです。
 ところがそこでもたもたしているうちに、政権交代により、かつての野党であった民主党が政権を取ってしまい、この民主党が旧社会党のような単純な「労働者の味方」の政党では本来なく、自民党以上に「新自由主義」を標榜する政党であったものが、新自由主義のお株を自民党の小泉政権が奪ってしまったために、急遽「国民の生活が一番」という形で昔の社会党のような立場を取ることになったわけです。ですから、当然労働者の味方という立ち位置が板についておらず、小鳩政権が失脚すると、財務省による洗脳もありますが昔の新自由主義的な体質が顔を出すようになり、この段階で民主党が経営者の味方なのか労働者の味方なのか、はたまた労使協調の立場なのか、わけがわからなくなり、労働者も本当に民主党を応援して意味があるのか迷っていたような気がします。
 そうこうしているうちに、安倍政権のアベノミクスにより「企業の」景気が回復すると、増えた企業の利益の分配をどうするか、という問題が再び俎上に上ることになります。
 これは一見すると、昔の高度成長期に戻ったように見えるかもしれませんが、実はかなり違います。
 というのは、昔の高度成長期は株主への配当性向も低く、しかも来期は今期より必ず儲かるという時代でしたから、将来の不安のために内部留保を貯め込むという発想もなく、純粋に当期の利益を経営陣と労働者でどう分配するかだけが問題でした。
 ところが今は、経営は右肩上がりではないので将来の倒産を防ぐために内部留保を溜め込まないといけない上、配当性向も強くなり、単純に経営者側と労働者だけでどう配分するか、という時代ではなくなっています。つまり、労働者への分配方法は、単純な「労使対立」の構図では決められなくなっているわけです。
 このことに麻生さんも長谷川さんも本当に気付いているのか、私はやや疑問を感じている部分があるのです。
 なぜなら、麻生さんが企業が内部留保ばかりやっきになって労働者に還元しないのを“守銭奴”よばわりしたり、労働組合に代わって企業に賃上げを要請したりしていますが、企業の経営者は、昔のように「自分の取り分が減るから」労働者の賃上げを渋るという構図ではなく、「企業の倒産を防ぐために」労働者の賃上げを渋っているわけですから、このような政府による圧力はあまり意味が無く、単なるパフォーマンスに過ぎないと思われるわけです。
 つまり、長谷川氏が主張するような、「今日、労働組合が野党を支持するのがおかしい」のではなく、「最早、(経営者と闘うという意義を持つ)労働組合の存在意義自体がなくなった」と見るべきではないのか、そしてその事実に労組自身はもちろん、野党も与党も皆気がついていないのではないか、と思われるわけです。      (続く)

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