SSブログ

TPPに至る歴史的経過と根底的問題点(ポール・クレイグ) [舟山やすえ]

高鳥修一内閣府副大臣が環太平洋連携協定(TPP)に署名。氏はかつてブログで「私はTPPについて国家主権の放棄であり、平成の『開国』どころか平成の『売国』だと考えている」と語っていたという。わざわざ和服姿で「国を売る」署名式に臨んだということか。そもそも石原担当大臣からしてTPPについては明確に「反対」を表明していた。あるいは、野党時代TPP反対の急先鋒だった稲田朋美議員は、第二次安倍政権のもとで行革担当大臣に就任した途端、TPP賛成」派に。国会での追及に「考えは変わっていない。状況が変わっただけだ」と答弁。枚挙に遑がない。一事が万事、すべて目先の損得勘定に踊らされる日本の政治家(屋)の現実。要するに、長いものにはまかれろ。政治家としての「矜恃」の持ちあわせはないのだろうか。

昨日、マスコミに載らない海外記事ポール・クレイグ氏の 欧米は経済的破滅への道を歩んでいる 」の記事を読んで、安西正鷹『お金の秘密』を読む(3)われわれはどうやって「いかがわしさ」に馴れさせられたか(前)のコメント欄にメモしておいた。以下は全文コピーに先立って記した文。

《現在の多くの出来事は、欧米経済の金融化というハドソンの説明と切り離して理解することは不可能だ。》という結論が導かれています。熟読玩味に値します。下記要所抜き出してみました。
      *   *   *
《(超アメリカ帝国主義における)債権者の狙いは、債務返済支払いとして、ある国の経済的剰余を丸ごと獲得することである》《アメリカの債権者とIMFは、債務国に、それで利子を支払うため、更なる金を貸し出すようになった。これにより諸国の外国債務は複利で増えることになった。ハドソンは、債務諸国は債務を返済することはできるまい》と予言し、それはメキシコにおいて現実化した。
《経済理論は、実際は、劣等人種から金をまきあげるための道具である》《経済理論は、世界経済が金持ちと貧乏人へ両極化することへの隠れ蓑として機能している》《搾取の主要手段が、金融体制による、利子支払いでの価値抽出であることに気がつかない。》《欧米経済が略奪的な形で大衆の利益を犠牲にし、金融部門が儲かるよう金融化している》

今日読んだ「自らを略奪するまでに落ちぶれた欧米」は昨日の記事を受けて、1%(さらにその1%)の欧米エスタブリッシュメントがいかにしてTPPを構想するにに至ったかの経過とその根底的問題点の指摘だ。いわく、
《(環大西洋連携協定TTIPと環太平洋戦略的経済連携協定TPPは)全員が恩恵を受ける“自由貿易協定”だとされている。実際には、こうしたものは、入念に隠蔽された、秘密の、私企業に主権政府の法律を支配する力を与える協定なのだ。》

以下は欧米についての指摘だが、そのまま日本にあてはまる。
《ヨーロッパいたるところで、腐敗したワシントンに支配された政府が、その存在自体が、ヨーロッパ政府が、自国民の利益でなく、ワシントンの権益を代表している結果である移民に、国民の注意を向けさせ、“彼らの”政府が裏切って売り渡しをすることから、国民の注意をそらしている。/欧米の国民の知性と認識に対して、何か恐ろしいことが起きていて、もはや“彼らの”政府の策謀を理解することができなくなっているように見える。/欧米において、責任を持った政府など過去のものだ。欧米文明を待ち受けるものは破綻と崩壊以外ない。》

以下全文。

    *   *   *   *   *

マスコミに載らない海外記事
2016年2月 4日 (木)

自らを略奪するまでに落ちぶれた欧米
Paul Craig Roberts
2016年1月30日

私と、マイケル・ハドソン、ジョン・パーキンスと、他のごく僅かの人々が、欧米の経済機関、主に国際通貨基金 (IMF)の支援をえた巨大ニューヨーク銀行による、多岐にわたる大衆略奪について書いてきた。

第三世界の国々は、電化や似たような狙いの開発計画に誘いこまれて略奪されたし、今も略奪されている。だまされ易い人々や、政府を信じている人々は、外国からの融資を受けて、欧米が提示する開発計画を実施し、経済発展で、外国からの融資に返済するための十分な税収入を得られる、豊かになる結果を得ることができると吹き込まれる。

そういうことはあっても、ごく稀だ。実際に起きるのは、計画は、その国が限界まで債務を負い、それが国の外国通貨収入を超えてしまう結果になる。国が開発融資に返済できなくなると、貸し手は、IMFを送り込み、債務を負った政府に、IMFが債権者銀行に支払う金を貸すことで、政府の信用格付けを守ってやると言わせる。ところが、政府がIMFに返済できるようにするため、政府が必要な緊縮政策を実施するというのが条件だ。こうした施策は、公共サービスや政府部門を切り詰め、公的年金を削減し、国家資源を外国人に売り払うというものだ。社会福祉削減で得られた金や、国家資産を外国人に売り払うことで得た金は、IMFへの返済に使われる。

これが、欧米が歴史的に第三世界の国々を略奪してきた方法だ。もし一国の大統領がそうした契約をなかなか承認しないと、ギリシャ政府がそうだったように、その大統領が代表しているふりをしている国家を略奪することに賛成させるため、賄賂が渡される。

この略奪手法を使い尽くすと、欧米は農地を購入して、第三世界の国々に食糧自給を放棄させ、輸出収入のための一種類か二種類の作物を栽培させる政策を推進する。この政策は、第三世界の住民を、欧米からの食料輸入に依存させることになる。典型的には、腐敗した政府や、安い代金しか払わない外国の買い手と、外国人が食料を高い価格で売るので輸出収入は枯渇する。こうして、食糧自給から、負債へと転換させられる。

全ての第三世界が、今や限界ぎりぎりまで搾取されているので、欧米は自らを搾取の対象に変えたのだ。アイルランドは略奪され、ギリシャとポルトガルの略奪は余りに過酷なため、多数の若い女性が売春に追いやられている。しかし、これでも欧米の良心は痛まないのだ.

かつては、主権国家が、自分が返済できる以上に債務を負っていることに気がつくと、債権者は、その国が返済できる金額に評価減額せざるを得なかった。21世紀に、私が著書「The Failure of Laissez Faire Capitalism」に書いたように、この伝統的なルールは放棄された。

新たなルールでは、国家を外国人からの債務だらけにするため、国の最高幹部連中が賄賂を受け取った国の国民でさえ、年金、雇用や社会福祉を削減され、貴重な国家資源都市水道、港湾、国営くじや、保護されていたギリシャの島々など保護された国有の土地を、水の値段を自由につり上げることができる外国人に売り渡し、ギリシャ政府が国営くじからの歳入を得られないようにし、保護されていたギリシャの国家遺産を不動産開発業者に売却させられる。

ギリシャとポルトガルで起きたことが、スペインとイタリアでも進行中だ。政権は国民を代表していないので国民は無力だ。政権は賄賂を受け取っているだけでなく、政権幹部は自分の国は欧州連合に留まらなければならないのだと洗脳されている。そうしないと、連中は、歴史から無視されてしまうのだ。虐げられて苦しんでいる国民自身も同じように洗脳されている。例えばギリシャでは、ギリシャが略奪されるのを防ぐために選出された政権は、どのような負担がかかろうとも、EUに留まらねばならないとギリシャ国民が洗脳されているために無力だった。

プロパガンダ、金融権力、愚劣さと賄賂の組み合わせは、ヨーロッパ国民には希望がないことを意味している。

同じことは、アメリカ合州国、カナダ、オーストラリアや、イギリスにもあてはまる。アメリカでは、何千万人ものアメリカ国民が、7年間も、貯蓄に利子収入が全くないことを黙って受け入れている。疑問の声をあげ、抗議行動をする代わりに、アメリカ人は、考え無しに、自分たちの生存は、ごく少数の人為的に作られた“大き過ぎて潰せない”巨大銀行の成功にかかっているというプロパガンダを受け入れている。何百万人ものアメリカ人は自分たちにとっては、腐敗した銀行が潰れるより、自分たちの貯蓄が減る方がましだと思いこまされている。

欧米の人々を、彼らが直面している本当の脅威について混乱状況に置いておくため、あらゆる木陰に、あらゆるパスポートに、あらゆるベッドの下に、テロリストがいて、政府の包括的権限を無条件に受け入れない限り、全員殺されてしまうと人々は吹き込まれている。これまでのところ、これは完璧に機能した、次から次の偽旗作戦で偽テロ攻撃を激化し、これが、全ての収入と富をごく少数の手に集中するためのでっちあげであることを人々が理解するのを防ぐのに役立っている。

“民主的国民”に対する支配権にはあきたらず、1パーセントは、環大西洋連携協定TTIPと環太平洋戦略的経済連携協定TPPを持ち出した。こうしたものは全員が恩恵を受ける“自由貿易協定”だとされている。実際には、こうしたものは、入念に隠蔽された、秘密の、私企業に主権政府の法律を支配する力を与える協定なのだ。

例えば、環大西洋連携協定のもとでは、イギリス国民健康保険は、連携協定のもとで設置される私的裁決機関によって、民間医療保険に対する障害であると裁定され、私企業によって、損害のかどで訴えられ、廃絶さえ強いられかねないことが明らかになった。

ワシントンの傀儡デービッド・キャメロンが率いる腐敗したイギリス政府は、環大西洋連携協定のイギリス国民健康保険に対する影響を示す法的文書を読めないようにした。http://www.globalresearch.ca/cameron-desperate-to-stop-scandal-as-secret-plans-to-sell-the-national-health-service-are-discovered/5504306

あらゆる欧米の国の、大間抜けか、洗脳されていると分かっていないあらゆる国民にとって、“彼らの”政府の政策に対する全幅の信頼は、自分たちの生活のあらゆる側面を貪欲な私益に引き渡すことになるのだ。

イギリスでは、郵便サービスは、政治的につながっている民間会社に名目価格で叩き売られた。アメリカでは、共和党と、おそらく民主党も、メディケアと社会保障の民営化を狙っている、軍や刑務所制度の様々な部門を民営化したのとまったく同様だ。公的機能は、私企業の利益創出の標的だ。

アメリカの軍事経費予算がエスカレートしている理由の一つは民営化だ。アメリカ刑務所制度の民営化で、膨大な数の無辜の人々が、アップル・コンピューターや、ITサービスや、アメリカ軍向け製造をする衣料品会社や、他の様々な私企業のために働くことを強いられる刑務所に送られる結果となった。囚人労働者が得るのは、一時間69セントという安い賃金で、中国の賃金以下だ。

これが現在のアメリカだ。腐敗した警察官。腐敗した検事。腐敗した判事。ところが囚人労働のおかげで、アメリカ資本主義には最大の利益だ。自由市場経済学者は、glorified刑務所が、より効率的になるといって私営刑務所を褒めそやした。そして実際、刑務所は、資本家に対して、奴隷労働による利益をもたらす上で効率的なのだ。

イギリスのキャメロン首相が、イギリスの国民健康保険に対する環大西洋連携協定の影響に関する情報を否定していることについてのニュース報道がここにある。
http://www.theguardian.com/business/2016/jan/26/anger-government-blocks-ttip-legal-documents-nhs-health-service

多少の独立を維持するために、自らの身を売らざるを得ないことが良くある。イギリスのガーディアンが、イギリス国民の福祉に非常に基本的な問題を、政府が秘密にしていることに対し、イギリス国民が感じている怒りを報じている。それなのに、イギリス人は、イギリス国民を裏切った政党に投票し続けている。

ヨーロッパいたるところで、腐敗したワシントンに支配された政府が、その存在自体が、ヨーロッパ政府が、自国民の利益でなく、ワシントンの権益を代表している結果である移民に、国民の注意を向けさせ、“彼らの”政府が裏切って売り渡しをすることから、国民の注意をそらしている。

欧米の国民の知性と認識に対して、何か恐ろしいことが起きていて、もはや“彼らの”政府の策謀を理解することができなくなっているように見える。

欧米において、責任を持った政府など過去のものだ。欧米文明を待ち受けるものは破綻と崩壊以外ない。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/01/30/the-west-is-reduced-to-looting-itself-paul-craig-roberts/

nice!(1)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 11

めい

アメリカ大統領選、残った候補者全員がTPP反対を表明し、TPPは風前の灯となっているようです。ところが日本では、安倍首相が消費増税を先送りする大義名分を得るために招いたスティグリッツ博士もTPP反対を明言したのに、マスコミはそのことを報じない。そんな中で「日本農業新聞」が博士のTPP反対意見を暴露して、ネットで広く拡散しています。http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/898.html

山田厚史氏の説明がよく呑み込めました。

《アメリカの参加で、投資と金融サービスがTPPの主題となった。背景には、成長市場で儲けを狙うグローバル資本がいる。・・・グローバル資本が先導するTPPという構造は、混戦模様の大統領選挙で炙り出されたのである。》《アメリカでは、強者に丸め込まれる政治に有権権者の怒りが爆発した。TPPまで問題にされた。「21世紀の経済ルール」というもっともらしい表書きの裏に「強者による市場支配」が潜んでいることに市民が気づき始めた。日本はまだそこに届いていない。》

     *   *   *   *   *

米大統領選で自壊し始めた「強者のためのTPP」
ダイヤモンド・オンライン 3月17日(木)8時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160317-00088054-diamond-bus_all&p=1

 環太平洋経済連携協定(TPP)が、各国の批准を前に、失速し始めた。「21世紀の経済ルールを描く」と主導してきたアメリカで鮮明になっている。オバマ大統領は残る任期で批准を目指すというが、肝心のTPP実施法案の成立は絶望視されている。

 大統領候補の指名レースで、「TPP賛成」だった共和党のルビオ候補が地元フロリダで負け、撤退を表明。TPPを担ぐ候補は1人もいなくなった。トップを走るトランプ候補は「完全に破滅的な合意だ」と歯牙にもかけない。民主党ではオバマ政権でヒラリー・クリントン候補が「反対」を表明。追撃するサンダース候補はTPP批判の急先鋒だ。

 TPPは2月4日に各国が署名した。この日を起点に、2年以内に加盟国が国内手続きを終えれば、その60日後から発効する。手続きが終わらない国があっても、6ヵ国以上が手続きを終え、それらの国のGDPを足し合わせ全体の85%を超えれば発効となる。

 ということは経済規模が大きい米国と日本の手続き完了が不可欠なのだ。どちらかが批准にしくじればTPPは成立しない。

● 米国のグローバル資本に ハイジャックされたTPP

 「TPPはアメリカの国益につながる戦略的経済連携」と日本では理解されてきた。シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリという「4つの小国」が自国にない産業を補い合う経済連携だったTPPにアメリカが目をつけ、「アジア太平洋市場」を自分のルールで作ろうとしたのがTPPだ。

 「ここでTPPは変質した。投資と金融サービスが新たに盛り込まれ、グローバル資本によるルール作りが前面に出るようになった」

 協定文書の分析をしている和田聖仁弁護士は指摘する。

 小国連合だったTPPはアメリカにハイジャックされ、針路が変わった。操縦桿を握るのはアメリカ発のグローバル資本である。

 「米国でTPP交渉を担当するのは通商代表部(USTR)。ここは商務弁護士の巣窟でアメリカに都合のいいルール作って世界で覇権を目指す戦略的部門です」

 日本の通商関係者はいう。

 TPP交渉は分野が広く、専門性が要求される。USTRの職員だけではカバーできない。企業や業界のロビーストや弁護士が加わって協定の骨格作りが進められた、という。

 協定書は英文で5500ページある。運用を左右する付属文書を合わせるとA4版用紙で数10センチになる膨大な協定だ。

 交渉は戦争と同じで、総力戦になった。軍隊に当たるのが交渉スタッフだ。アメリカには百戦錬磨の弁護士がうなるほどいる。しかも英語による交渉。「戦闘能力」で小国は歯が立たない。

 2国間協議が並行して行われ、TPPは安全保障や援助も含めた総合的外交力が交渉に反映する。アメリカが決めた骨格に各国の事情をどこまで反映するかの交渉となった。

● 大統領選で火がついた 強者支配の象徴・TPPへの反発

 アメリカの都合が優先されるTPPなのに、なぜアメリカで評判が悪いのか。ここにTPPの本質が滲み出ている。

 「アメリカ」と一言で語られるところに盲点がある。アメリカの誰が利益を得るか。アメリカ内部でも利害は錯綜している。

 オバマ政権で国務長官を務め「賛成」のはずだったヒラリーが「反対」に回った最大の理由は、労働組合がTPPに反対しているからだ。自由貿易は外国製品の流入を招き労働者から職場を奪う。1980年代に日米摩擦が吹き荒れたころと同じ論理が持ち出された。当時「雇用の敵」は日本製品だった。今は中国、韓国などアジアからの輸入が心配されている。

 もう一つ異なる変化が起きている。米国資本のグローバル化である。

 自動車ビッグ3の筆頭ゼネラルモーターズ(GM)が存亡の危機にさらされた80年代は、米国の企業と労働者には日本メーカーという「共通の敵」がいた。今は違う。グローバル化した資本は、本国で勝てない、と見れば外国に投資して生産を行う。

 資本は逃げることができる。労働者は取り残され、雇用を失う。グローバル化は、資本には都合がいいが、ローカルで生きるしかない労働者には迷惑である。民主党は労組を支持基盤にしている。不満を吸収し支持を広げたのがサンダースだ。「TPPは1%の強者が世界を支配する仕組み作りだ」と訴えた。

 アメリカは訴訟社会だ。高給を食むローファーム(企業弁護士事務所)の弁護士はアメリカのエスタブリッシュメントの象徴でもある。彼らはクライアント企業の要請を受け「TPPのルール作り」の素案を書く。

 アメリカ政府はグローバル資本の利益を推し進める舞台装置になっている。

 商売はうまくても民間企業のできることには限界がある。グーグルやアマゾンが強くても自力で他国の法律や制度を変えることはできない。外交や政府の出番だ。米国の政治力がなければ他国の市場をこじ開けることはできない。

 アメリカの参加で、投資と金融サービスがTPPの主題となった。背景には、成長市場で儲けを狙うグローバル資本がいる。この構造は、本連載バックナンバー「TPP幻想の崩壊が始まった。交渉停滞、困るのは誰か? 」などで触れているので端折るが、グローバル資本が先導するTPPという構造は、混戦模様の大統領選挙で炙り出されたのである。

 政界で大きな顔をしている政治家が、社会の一握りでしかない強者と結びついていることに有権者は反発し、TPP論議に火がついた。

● 政治をカネで買える国・アメリカで 有権者の反乱が起きている

 米国はカネで政策が買える国である。政治献金は政治家に直接手渡せないが、日本の政治資金団体のような組織を介せば、「無制限」に政治家は献金を受けることができる。「スーパーPAC」と呼ばれる政治献金の自由化が2010年から始まった。この制度で、業界団体は堂々と政治家の買収を行うようになった。オバマ大統領が菅直人首相(当時)にTPP参加を求めたのは2010年だった。

 米国議会では民主党も共和党も評決に党議拘束はない。議員が自分の判断で賛否を決める。そこで暗躍するのがロビイスト。選挙にはカネがかかるのはいずこも同じ。スーパーPACを媒介して「政策とカネのバーター」が行われる。銃乱射が社会問題になっても、銃規制ができないことが物語るように「政治とカネ」は米国民主主義の恥部となっている。

大統領選挙の裏テーマは「金持ちに支配される政治」への反乱だ。

 共和党のトランプ氏もサンダース氏も企業献金を受けていない。これまでの大統領選挙では、産業界やユダヤ人団体など強者からの支援なしに出馬できなかった。資産家であるトランプ氏、市民から小口の献金を集めるサンダース候補の登場が、タブーを破る論戦を生んだ。

 製薬会社が強者の象徴として矢面に立っている。「国民は満足な医療を受けられないのに、製薬会社は高価な薬品を売りつけ大儲けしている」と製薬会社はやり玉に挙がった。ファイザーを始めとする米国の製薬業界は豊富な資金力を使い、TPPを動かす有力ロビー団体だ。交渉の最終局面でも知的所有権問題で、新薬特許の有効期限を長期化するよう圧力をかけ続けた。

 今やTPPは「既存政治の象徴」になった。共和党で本命視されたルビオ候補は「TPP賛成」で票を減らしている。民主党はもともとTPPに懐疑的だったが、共和党は賛成だった。ところが選挙戦で評判の悪いTPPを前面に掲げることができなくなった。

 オバマ大統領は、TPP実施法案で共和党に協力を求めたが、上院の実力者・マコーネル共和党院内総務は、大統領選挙前に法案を議会に出すことに反対した。

 態度を決めかねていた末に「反対」を表明したヒラリー候補は苦しい。「無理して反対と言っているだけだ」とサンダース候補に攻められ「反対」を強調するようになった。

 米国では政治家は発言への責任を問われる。当選して大統領になっても簡単に手のひらを返すことはできないだろう。足元の民主党が「TPP反対」を鮮明にしている。

 国際社会で力が衰えたアメリカは、国内では政治家の在り方が問われ始めた。「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれていた政権とグローバル資本の特殊な関係に有権者が疑問を抱き始めた。「ウォール街を占拠しよう」という運動はその一端だろう。

 既存の政治が自分たちの方を向いていないと気づき始めた民衆が、TPPの胡散臭さにも気づいたのである。


● TPPは「成長戦略の要」とする日本 何を得て何を失ったのかの検証が重要だ

 日本はどうか。政府は4月1日、TPP関連法案を閣議で決定した。4月中に国会で審議し、法案を通す構えだ。米国で「反市民的」と見られ始めたTPPが日本では、「成長戦略の要」として吹聴されている。

 秘密交渉ですべての資料が非公開とされ、協定全文が「公表」されたものの膨大かつ専門的で読めるものではない。議員や専門家が調べても、細部は分かっても全貌は掴みづらい。。政府は都合よい試算を示すだけで、全体像を分かりやすく国民に示す気はない。国民や国会の無理解をいいことに形式的な審議で国会を通してしまおう、という魂胆だ。

 メディアの動きも鈍い。情報や解説を役所に依存している。TPPで得をするのは誰で、損をするのは誰か。農業の問題はいろいろ議論されたが、農業はTPPの中心テーマではない。

 誰が得をするのか、を探るなら、TPPを推進したのは誰かを見れば分かることだ。

 米国の「TPP交渉推進企業連合」に参加するグローバル企業が旗頭である。これらの企業が何を求め、どれだけ実現されたのか。その結果、日本でどんな変化が起こるのか。将来に向けていかなる布石が打たれたか。

 日本に限って言えば、米国の年次改革要望書に沿った市場開放要求がTPPの骨格になっている。ではその見返りに日本は何を取ったのか。防戦を強いられ、大幅に譲歩した農業分野の陰で、日本は何を失ったのか。その検証が必要だ。米国と同じように、日本のグローバル企業は途上国で活動の自由を広げただろう。しかしアメリカ市場では乗用車の関税撤廃が30年後になったように、抑え込まれた分野は少なくない。

 政府がやりたがらないなら、国会とメディアの出番だが、一部を除いて無気力さは目を覆うばかりだ。このことは改めて書く。

 アメリカでは、強者に丸め込まれる政治に有権権者の怒りが爆発した。TPPまで問題にされた。「21世紀の経済ルール」というもっともらしい表書きの裏に「強者による市場支配」が潜んでいることに市民が気づき始めた。日本はまだそこに届いていない。

山田厚史

by めい (2016-03-20 07:08) 

めい

《TPPに署名した全ての政府は、主権を水の泡にしてしまったのだ。大企業は、ただの市民は彼らを訴えようがない世界皇帝連中に変身する。》
この意味するところの恐ろしさを知れ!

   *   *   *   *   *

マスコミに載らない海外記事

2016年3月21日 (月)
TPPは貿易協定ではない。

2016年3月15日
Paul Craig Roberts

TTPの唯一の目的は、グローバル企業に、彼らが事業を行う国の法律からの免責を与えることだ。実際TPPは、私企業が主権国家の法律廃止することを可能にし、国家はもはや最高権力を有するものでなくなる。もし国家の法律によって、企業の利益が損なわれたら、あらゆる大企業は、国家を“貿易を制限する”といって訴えさえすれば良い。例えば、モンサントは、フランスを訴えて、フランス政府にGMOを禁止する法律を廃止するよう強いることができる。

マイク・マスニックが下記で書いている通り、我々はTPPに関する議論が約束されていたが、何の議論もなかった。大企業はたっぷり賄賂を使ったのだ。TPPに署名した全ての政府は、主権を水の泡にしてしまったのだ。大企業は、ただの市民は彼らを訴えようがない世界皇帝連中に変身する。

https://www.techdirt.com/articles/20160203/15151133510/countries-sign-tpp-whatever-happened-to-debate-we-were-promised-before-signing.shtml

各国がTPPに署名..。署名前に約束されていた'議論' は一体どうなったのか?

約一時間前、ニュージーランドのオークランドで、12の国々の代表が環太平洋戦略的経済連携(TTP)協定に公式調印した。公式文書が公表されてから90日後なので、2月4日という日付(ニュージーランド時間)は特筆すべきだ。文書公表から、アメリカが実際に署名して、協定にできるようになるまでに必要な期間は90日だ。公表されているこの90日間の目的は、協定に関する"議論"を可能にすることだ。アメリカ当局が文書を国家安全保障の秘密であるかのように扱って、協定丸ごと、秘密裏に交渉され(もちろん、あなたが業界ロビイストでないかぎり)たことを想起願いたい。そこで、"透明性"のふりをすべく、 文書が実際に公表されてから90日は決して署名しないと約束したのだ。

それで...えー..."議論"では一体何が起きただろう? 何も起きなかったのだ。過去90日、政権はほとんど全くTPPに触れなかった。一般教書演説の際ですら、彼の "遺産"の決定的部分のはずにもかかわらず、オバマは、さっと触れただけで、TPPを、そそくさ通り過ぎた。だが議論は皆無だった。実際の議論に本当の関心は全くなかったのだ。90日の期間は、アメリカ通商代表とホワイト・ハウスが、更なる"透明性"をもたせ、国民が読んで、理解するまで協定には署名しないふりを彼らができるよう、プロセスに盛り込まれたものに過ぎない。

もちろん、調印は全く無意味な場面だ。本当の戦いは、批准をめぐるものだ。協定が発効するには、様々な国々がTPPを批准する必要がある。技術的に、TPPは、全ての調印国が批准してから60日後に発効する..。あるいは、そうならない場合、二年以内に、もし参加12か国中、少なくとも6か国が批准し この6か国が、12か国の国内総生産を合わせたものの85%を占めれば発効する。おわかりだろうか? 要するに、つまり、もし、アメリカが批准しなければ、TPPは実際上終わりだ。承認には、アメリカでは、一般の法案同様、議会の上院・下院両方で過半数が必要だ。しかも、今のところ、これは決して確実にうまくいくと思えるものではない。残念なことに、これは主として、議員連中の集団が、大企業が競争を阻止するのを助けるには、TPPは不十分だと怒っているものの、検討には値すると思っているためだ。

大統領選に出馬している連中は、旧来の大企業ロビイストの狙いを支持するため、自分たちが、国民の利益を進んで売り渡すことを暴露したくはないので、大統領選挙が終わるまでは、誰も本当に議論をしたがっていないことを示唆する噂も多くあるが、必然的に、批准の過程では、何らかの議論があろう。だが、そうした議論さえ、かなり限定される可能性が高く、TPPの本当の話題、本当の問題を避けるのは、ほぼ確実だ。

いずれにせよ、今日の象徴的な署名は、実際は、この過程で、透明性と議論がほぼ完全に欠如していることへの感嘆符であるべきだ。90日間の期間は、TPPの中身が一体何であり、一体なぜ、そこに問題があるのかに関する実際の議論をする好機だったが、政権はそうすることに全く何の関心も示さなかった。そんなことをすべき理由などあるだろうか? 連中は、既に、望んでいた協定を、秘密裏に得ることができた。だが、連中は少なくとも、この90日間を"透明"であるために使ったふりができるのだ。

記事原文のurl:https://www.techdirt.com/articles/20160203/15151133510/countries-sign-tpp-whatever-happened-to-debate-we-were-promised-before-signing.shtml

by めい (2016-03-21 06:23) 

めい

「パナマ文書」をめぐる重要記事。ここにメモっておくことにします。
ロシアの内部確執の詳細、よく見えてきます。プーチンさんがんばれ!です。

《現在、支配層は巨大資本が国を支配する仕組みを作り上げようとしている。TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)によって巨大資本が世界を直接統治しようというわけだ。現在の西側支配層は生き残りをこの仕組みにかけているようだが、その中にはオフショア市場の推進も含まれている。》も重要な指摘。TPPに関連します。

《麻薬の年間売上高は8000億ドル以上という推計もある。アメリカの巨大金融資本にとって、こうした麻薬業者も大事な顧客。》の指摘は、「『大麻以上!』と言われて、どうする!? 青苧」http://oshosina.blog.so-net.ne.jp/2016-03-27 の記事に関連します。

   *   *   *   *   *

櫻井ジャーナル
2016.04.06
ICIJが公表した文書に登場しないプーチンを西側メディアは攻撃するが、米国こそが巨大租税回避地
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201604060000/

 巨大資本や富豪が自分たちの資産を隠し、租税を回避するためにオフショア市場/タックスヘイブンを利用していることは常識。世界銀行やIMFといった支配層に支配された機関などの推計でも、そうした形で隠されている資産は21兆ドルから32兆ドルに達するとされている。アメリカの情報機関には世界を移動する資金の流れを調べられるシステムが存在、西側支配層の一部はその詳細を知っているはずだ。

 4月3日にはパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部文書、いわゆる「パナマ・ペーパーズ」が公表され、オフショア市場の口座に関する情報が明らかになった。ICIJ(国際調査ジャーナリスト協会)などの手を経て表に出たのだが、その背後には投機家のジョージ・ソロス、フォード財団、ロックフェラー家やCIA系の基金が存在していると言われている。

 ICIJは入手した文書の大半を公表せず、WikiLeaksから批判されているが、公表した文書にはウラジミル・プーチン露大統領の名前が出てこない。それにもかかわらず、プーチンの家族が何らかの不正な手段で儲けているに違いないと西側の有力メディアは宣伝している。意味不明なのだが、それが現在の西側メディアでは通用しているのだ。実際に名前が出てくるイギリスのデイビッド・キャメロン首相について西側メディアはさほど興味を示していない。

 2013年にもICIJはロシアに関連したオフショア市場の口座を明らかにしたが、その際にロシアでは政府の主要ポストについていたり議員になっている人物やその家族などは国外で銀行口座を持つことを厳しく規制することにした。オフショア市場に作られた銀行口座はアメリカ支配層が各国の「エリート」を買収するためにも使われているため、規制は当然だ。

 ロシアには現在でも西側支配層に従っている勢力が存在し、その中心にはボリス・エリツィンの娘、タチアナがいる。エリツィン自身、西側巨大資本の傀儡だったが、飲んだくれの父親に代わり、クレムリン内外の腐敗勢力と手を組んでロシアを食い物にしていた人物だ。プーチンの体制を倒した後、西側支配層はタチアナをはじめとする勢力に実権を握らせようと考えているのだろう。

 タチアナは「実業家」のアレクセイ・ドゥヤチェンコと結婚、ウラジミル・プーチン政権になって結婚相手が捜査の対象になると離婚し、エリツィンの側近だったバレンチン・ユマシェフと再婚した。

 ユマシェフの娘、ポリナ・ユマシェバが結婚したオレグ・デリパスカはイスラエル系オリガルヒ。ロシアのアルミニウム産業に君臨、ナット・ロスチャイルドから「アドバス」を受ける一方、ロスチャイルド系の情報会社ディリジェンスの助けで世界銀行から融資を受け、政治面でも西側との関係を強めている。こうしたロシアの勢力が今でもロシアの再属国化を目論んでいる。

 イギリスの支配層は遙か昔から有力メディアを宣伝機関として利用してきた。セシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、ウィリアム・ステッドを中心にイギリスで「選民秘密協会」が創設されたのが1891年2月だが、この団体はタイムズ紙をはじめ多くのメディアを支配し、情報操作に使っている。

 ローズは南アフリカに渡り、ダイヤモンドの取り引きで財をなした人物で、その資金を出していたのがNMロスチャイルド&サン。ローズは1896年にレアンサー・ジェイムソンを使ってボーア人が支配していたトランスバールへ軍事侵攻を試みたが、目的はそこで発見された金にあった。

 この侵略は失敗、ローズはイギリスに戻ってナサニエル・ロスチャイルドに会い、ロスチャイルドはステッド、ブレット、そしてアルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)と緊急会談を開いて対策を練る。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013)つまりジェイムソンの侵略は選民秘密協会が黒幕だったと言える。その後、イギリス本体が戦争に介入、1899年から1902年にかけてボーア人と南アフリカ戦争を戦い、トランスバールとオレンジ自由国は併合された。そして、すでにイギリス領になっていたケープ植民地とナタールと合体させ、南アフリカ連邦を作りあげるわけだ。

 イギリスの支配層は1970年代にロンドンを中心とするオフショア市場のネットワークを築き上げた。それまでの有名な税金避難地はスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどだったが、ロンドンのシティを中心に、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなど、かつで大英帝国を構成していた国や地域を結びつけたのである。

 ロンドンに対抗するため、アメリカは1981年にIBF(インターナショナル・バンキング・ファシリティー)を開設、これをモデルにして日本では86年にJOM(ジャパン・オフショア市場)をオープンさせたが、ここにきてアメリカが租税避難の主導権を握ったとされている。

 ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーは昨年9月、サンフランシスコ湾を望む法律事務所で講演した中で、税金を払いたくない富豪は財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語ったという。アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけだ。ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているという。シティを中心としたオフショア市場からアメリカのネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどへ富豪たちは口座を移動させたと言われている。

 ドルを発行するしか能がなくなったアメリカ支配層はペトロダラーという回収システムを1970年代に作り、金融の規制緩和を推進して投機市場へドルが流れ込むようにし、アメリカをオフショア市場化することでドルが還流するようにしているように見える。が、そうした仕組みはアメリカの腐敗を促進、この国は早晩朽ち果てることになるだろう。

 現在、支配層は巨大資本が国を支配する仕組みを作り上げようとしている。TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)によって巨大資本が世界を直接統治しようというわけだ。現在の西側支配層は生き残りをこの仕組みにかけているようだが、その中にはオフショア市場の推進も含まれている。

 ところで、「パナマ・ペーパーズ」を流出させた法律事務所を創設したひとりはジューゲン・モサック。その父親は第2次世界大戦でナチスの武装親衛隊に所属、1960年代にパナマへ移り住んだという。第2次世界大戦後、ラテン・アメリカへはアメリカ支配層の支援を受けてナチの元高官が逃げ込んだ。モサックの法律事務所はCIAやメキシコの麻薬組織ともつながっていると伝えられている。

 麻薬は世界の「主要産業」になっている。UNODC(国連薬物犯罪事務所)のアントニオ・マリア・コスタによると、2008年に世界の金融システムが揺らいだ際、麻薬取引で稼がれた3520億ドルの大半が経済システムの中に吸い込まれて銀行の倒産を救った可能性がある。

 また、2010年には麻薬取引の利益が年間6000億ドルに達し、金融機関でロンダリングされている資金の総額は1兆5000億ドルに達するとも言われ(UNODC, “Annual Report 2010”)、麻薬の年間売上高は8000億ドル以上という推計もある。アメリカの巨大金融資本にとって、こうした麻薬業者も大事な顧客。アメリカ上院では1999年の時点で、銀行が行っている違法資金のマネーロンダリングは年間5000億ドルから1兆ドルに達するという話が出ていた。(Minority Staff Report For Permanent Subcommittee On Investigations (Senate Committee On Homeland Security & Governmental Affairs) Hearing On Private Banking And Money Laundering, November 9, 1999)アメリカが巨大なオフショア市場になったということは、こうした資金も呑み込もうということだ。

by めい (2016-04-07 04:10) 

めい

《社会の不信を導くことによりロシアをより従順にする試みがとられている、とプーチン大統領。》

   *   *   *   *   *

プーチン大統領、「パナマ文書」の汚職非難に反論 © Sputnik/ Michael Klimentyev
ロシア
2016年04月07日 21:17(アップデート 2016年04月07日 23:00)
http://jp.sputniknews.com/russia/20160407/1921940.html

プーチン大統領はサンクトペテルブルクにおける全ロシア人民戦線メディアフォーラムでオフショアスキャンダルに言及した。

「あなたの謙虚なしもべはこのリストにはいない、話すことは何もない」。リア・ノーヴォスチが伝えた。
社会の不信を導くことによりロシアをより従順にする試みがとられている、とプーチン大統領。

大統領によると、ロシアの反対派が何より恐れているのは、ロシア民族の団結と連帯だ。

オフショア調査で大統領の友人らの名が挙がっていることについて大統領は、そこには汚職に関わる内容などない、と指摘した。

ドミートリー・ペスコフ大統領報道官によれば、大物政治家の秘密オフショア口座に関する報道はロシア国内の視聴者向けのものであり、しかもロシアのプーチン大統領に対する言及はなく、クレムリンはオフショアに関する調査報道の質に失望していると指摘した。

by めい (2016-04-07 23:33) 

めい

《TTIPは関税や割り当てを廃止することが主眼ではない。・・・・・核心は、国家主権を国際企業による世界独裁に引き渡すことだ》

   *   *   *   *   *

マスコミに載らない海外記事

« 大西洋横断 および 環太平洋“パートナーシップ”大企業による完全な世界征服 http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/ttip-d9c9.html

2016年4月11日 (月)

イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対

Eric ZUESSE
2016年4月9日
Strategic Culture Foundation

まるで、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ大統領の共和党政権時代に、前大統領、共和党のロナルド・レーガンのために国際貿易協定交渉をしていた人物が、同党の仲間ブッシュ大統領が、熱心に承認を得ようとしている巨大‘貿易’協定反対を公言したようなものだ。大変な造反行為だが、それがまさに、日曜日にイギリスで起きたのだ。

(1990-92、マーガレット・サッチャーと、ジョン・メージャーのもとで)元イギリス貿易産業大臣をつとめ、現在も保守党議員(国会議員)のピーター・リリーが、4月3日、保守党のウェブサイト“Conservative Home”にブログ記事を書いて、そうしたのだ。

“私は自由貿易を信じている。常にそうだったし、今後もそうだ。成功した自由貿易協定(ウルグアイ・ラウンド - 1990年代、貿易産業大臣として)を交渉した唯一の現役議員として、現在アメリカとEUの間で交渉されている環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)を、自由貿易協定だと思って、私は自動的に支持していた。

私がより子細に見ればみるほど、益々多くの部分が心配になってくる。自由貿易を信じている保守党議員は、TTIP支持には極めて慎重になるべきだ。EU残留派、離脱派双方の運動も、イギリスのEU加盟に対する、環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の含意をじっくり吟味すべきだ。

なぜかを説明させて頂きたい。

TTIPは関税や割り当てを廃止することが主眼ではない。ヨーロッパからの商品に対してアメリカが課している平均関税は、わずか2.5パーセントだ。それを無くすのは価値があるだろうが - 大したものではない。

主な狙いは、製品の仕様調和させ、投資用の特別な体制を作り出すことだ。こうしたことには原則として特に反対はない。製品の調和というものが、国内生産者をこっそり保護するために導入された規則を廃止することを意味する限りは、結構なことだ。だが、我々は、有害な添加物などから、国民を保護する議会の権限放棄すべきではない”

オバマのヨーロッパとの‘貿易’協定TTIPも、アジアとの‘貿易’協定、TPPも、その核心はまさにこれだ。有害な添加物や、毒の入った水や食品や空気、安全でない自動車から有権者を守り、自分たちと将来世代のために環境を保護するといった議員の権限を譲り渡すことなのだ(リリーは特に、イギリスの称賛されている公共医療サービスを廃止しかねないことを大いに懸念している。お考え願いたい。イギリス保守党議員が、イギリスにおいて大成功した社会主義者の制度を守ると断固決めているのだ! 突拍子もないことだが、事実だ。)

核心は、国家主権を国際企業による世界独裁に引き渡すことだ(大企業に対する説明責任を負った三人の‘裁定’評議員、裁定は不服申し立てできず、どの国の法律を忠実に守ることも要求されていない- 衝撃的なことだが、事実だ。)

しかも、あらゆる保守派にとって - イギリスであれ、どこの国であれ - これに反対するのは大変な事だ。特に、元貿易産業大臣が反対するに至っては。

彼は更にこう言っている。

“私の主な三つの懸念は、投資家-国家紛争調停制度(ISDS)に関するものだ。これは巨大外国企業が、彼らの投資を損なう政策を推進したかどで政府を訴えることができる(しかし、逆はない)裁定委員会制度 - 特別裁判所 -を作り出す。

民間企業がNHSや、教育、その他でサービスを提供しているものを、イギリス政府が、公営に戻そうとしたり - あるいは、私企業に対し、参入を許すサービスを減らしたりしようとすれば、アメリカ企業は、イギリス政府を訴えることができる。EUやイギリス政府は、そういうことはありえないと否定している。だが、説得力のあるCounsel’s Opinionは、こうした裁定委員会は、無制限の罰金を科することができるので、政府の意思決定に対する“萎縮効果”を行使できると主張している。左翼はこれについて特に激怒しているが、保守党議員も懸念すべきなのだ。私や他の国会議員 - 全て保守党議員だが - ロビー活動をして、悲惨な運営をされていた民営の(トニー・ブレア政権が作った)Surgicentreを無事NHSに再度併合し、国民のためになるようにした。TTIPの下で、外国企業は、NHSを犠牲にして、莫大な補償を求めて訴えることが可能だ。この保守党議員は、私企業が行う範囲、特に医療に関し、当然のことながら、慎重で、プラグマティックだ。もし我々が、裏口から民営化を持ち込むことがわかった制度を支持すれば、政治的に破滅的なことになる。

こうした裁定委員会は、小規模外国企業にとっては余りに高価で(平均経費は800万ドルだ)、そこからイギリス企業が除外されている、特権的法体制を、外国多国籍企業に与えるのだ。しかも‘裁判官’は、裁定委員会で、仕事をしていない時は、大企業のために働いている商事弁護士で、それゆえ大企業に好意的だ。訴訟は大半秘密裏に行われる...

要するに、政府は(さほど説得力はないが) TTIP裁定委員会は、多分、危害を与えないと主張している。裁定委員会が何らかの良いことをする - つまりイギリスに、さらなるアメリカの投資を引き寄せたり、その逆だったりと、主張する人などいない。イギリスの法体制を信じなかったり、収用を危惧したりするがゆえに、アメリカ企業がイギリスに投資するのを恐れているなどという考え方は到底信じがたい。まさにそれが最も信頼できるから、世界中の企業が、イギリス法に従って、契約することを選んでいるのだ。もし政府が主張するように、こうしたISDS裁定委員会が、イギリス裁判所と同じ結果をだすのであれば、彼等は全く不要だ…

EU内部でも外部でも、20年間、安定化条項を拒否し NHSを協定から除外するよう主張し(フランスが映画を除外したように)ISDS裁定委員会が必要なのかどうか問うべきなのだ。もしイギリスがEUを離脱して、並行協定を交渉すればより容易となろう - 残った関税を廃止することに限定した純粋な自由貿易協定を交渉するのが、一番単純だろうが”.

何百万人ものヨーロッパ人が、反対デモや、無数の世論調査で、既に、TTIPがEUで成立できる唯一の方法は もしEUが既に独裁制なら - 決して本当に民主的な手段によるものではないことを、明らかにした後、遅ればせながらの彼の登場だ。だが、悔い改めるのに遅過ぎることはない。

ISDSを含む貿易協定を成立させようとして、常に影で仕組んでいて、オバマの‘貿易’協定反対を公に表明したナンシー・ペロシに続けと議会の民主党議員に言いながら、実際には、協定が法律として成立できるよう、大統領がファスト・トラックを勝ち取れるようにしろと、アメリカ下院を駆り立てたアメリカのヒラリー・クリントンとは違い、リリーには、公にはあることを言って、実際の政策決定の舞台裏では逆のことをしているという評判はない。

彼の発言は本物だ - 単なるスローガンや言葉ではない。そして、この発言は、政治家たちや、(保守党の予備選挙で勝利するため)彼自身の党に投票する支持者以外にも影響を与える。

もしオバマが彼の‘貿易’協定を成立させれば、彼は、社会保障や、他の多くの現存する制度(そして、FDRのお仲間ながら、エセ‘民主党員’の、ビル・クリントンが廃絶してしまったグラス・スティーガル法)を導入し、世界ファシズムを打ち破るため、チャーチルとスターリンと協力したFDR以来、遥かに巨大な影響を及ぼすアメリカ大統領となる。オバマの影響は、そうなれば、おそらく、FDRが良かった以上に大きな悪となるだろう。しかしながら、もし彼が‘貿易’協定を成立させるのに失敗すれば、たとえ彼が、来るべき巨大崩壊を(彼はそれに対して政策を構成している)次の人物が大統領になるまで、先のばしにできるくらい充分幸運だったことがわかったとしても、彼は単に、ジョージ・W・ブッシュと同じか、ほぼ同じ位ひどいだけで終わる。オバマは、ジェームズ・ブキャナン以来、最も保守的な民主党大統領で - それは実にまずいことだ。たとえオバマが、後継者が次ぐまで、先のばしにしている崩壊を押しとどめることができたとしても。

対照的に、保守党議員のピーター・リリーは、ISDSを終わらせるのか、それとも拡張するのかという、第二次世界大戦以来最も重要な公共政策問題を論じているのが確実なので、比較すれば、熱烈な進歩主義者だ。もしISDSが拡張されれば、例えば最近の地球温暖化対策のパリ協定は、事実上、おしまいになる。この協定は実に巨大なものなのだ。民主主義のみならず、我々にとって住みやすい地球の継続が、今や全て危険な状況にあるのだ。オバマは、あることを言っても、実行するのは、それと全く違う可能性がある。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/04/09/british-conservative-breaks-ranks-opposes-ttip.html

----------

先に公開したPaul Craig Roberts氏の下記記事で言及、紹介されていた記事の翻訳。

「大西洋横断 および 環太平洋“パートナーシップ”大企業による完全な世界征服」

Paul Craig Roberts
2016年4月9日

こうした“パートナーシップ”が最初に発表された際、私が強調したように、狙いは、大企業に、事業を行う国々の法律から免れる権利を与えることだ。 この免責の基本的な仕組みは、大企業の利益を侵害する法律や規制を施行している政府や、政府機関を、大企業が訴える権利を与えることだ。例えば、フランス のGMO食品禁止は、“パートナーシップ”のもとで“企業利益を損なう、貿易に対する制限になる。

“パートナーシップ”は、主権政府の裁判制度外の大企業が要員を配する“裁定委員会”を設定する。訴訟が行われるのは、この大企業裁定委員会なの だ。言い換えれば、大企業が、裁判官で、陪審員で、検事なのだ。連中が負けるわけがない。“パートナーシップ” は、選挙で選ばれる政府より上位で、そうした政府を支配する力を持った、秘密の責任を負わない政府を作り出す。

この制度の“ファスト・トラック”を成立させた国会議員連中が一体どれだけの金を大企業からもらい、議員連中が協定を批准すれば、一体どれほど賄賂 をもらえるかお考え願いたい。アメリカ、イギリス、ドイツや他国の官僚連中が、大企業による支配を代表して熱心に動いているの目にしているが、彼等はたん まりもらっていることがわかるだろう。

マーガレット・サッチャーの保守党政権で、貿易産業大臣をつとめ、現在もイギリス議会保守党議員のピーター・リリーが、わざわざ、大西洋横断パート ナーシップを検討し、警告してくれている。政治家ゆえに、本人が思うほどの強い物言いはできていないが、彼の説明で概要はわかる。それに関するEric Zuesse記事はこれだ。http://www.strategic-culture.org/news/2016/04/09/british-conservative-breaks-ranks-opposes-ttip.html 該当記事の日本語訳イギリス保守党議員が造反し、TTIPに反対。

いささかでも品位と愛国心のある国会議員なら、誰も決してこのような協定を認めるはずはなく、完全には堕落していない、どの立法府も、自らの権限と機能を世界的企業に引き渡すはずがあるまい。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/04/09/trans-atlantic-trans-pacific-partnerships-complete-corporate-world-takeover-paul-craig-roberts/

ほぼ終日、大本営広報部電気洗脳箱の前にいた。スイッチはほとんどつけていない。つけたのは「のど自慢」。そして、ムヒカ大阪訪問。この司会者、TPPを扱ったことはあるのだろうか。

一番上の写真の左に、「トロイの木馬」があり、トロイの条約という文章もある。直接の武力攻撃ではなく、不思議な置き土産の形で、城門前に置かれた巨大を木馬を、トロイ兵が、油断して、城門の中に引き込むと、夜陰に乗じ、その巨大な木馬から、兵士がでてきて、城門を中から開け、味方を引き入れたことにより、トロイは滅亡する。

"大企業版トロイの木馬": オバマが推進する秘密TPP貿易協定は、多数のアメリカ法規の書き換えにつながっている 2013年10月 9日
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/tpp-b219.html

TPP関連主要翻訳記事リスト http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/tpp.html

完全なTPP報道管制状態の中、詳細情報を報道している唯一の組織による報道のリストが下記。

【特集】IWJが追ったTPP問題 http://iwj.co.jp/wj/open/tpp

by めい (2016-04-12 04:58) 

めい

《「いまのところ、そのような心配はない」ことを、TPP参加推進の根拠に上げる。/しかし、いま直ちにそのような懸念が現実のものにならなくても、将来、そのような懸念が現実化する可能性があることが問題なのだ。》
たいへんよくわかる植草氏の議論です。

   *   *   *   *   *

ISDS条項は主権放棄・究極の売国条項であるー(植草一秀氏)
http://www.asyura2.com/16/senkyo204/msg/346.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 11 日 23:10:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU 

ISDS条項は主権放棄・究極の売国条項であるー(植草一秀氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1soi4m9
11th Apr 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks

4月10日のNHK「日曜討論」ではTPP問題がテーマにされた。
国会では、安倍政権がTPPの交渉過程について、全面黒塗りの資料を提出した。
他方、衆議院TPP特別委員会委員長を務める西川公也氏が出版予定であった
『TPPの真実-壮大な協定をまとめあげた男たち』(中央公論新社)
には、交渉の内幕が記述されていた。
守秘義務があると言いながら、交渉に関与した公務員が、
西川氏の著書政策のために交渉内容を記述あるいは、情報提供した疑いがあり、
これを民進党議員が国会審議で問い質した。
ところが、石原伸晃TPP担当相は質問に対して真摯に答弁をせず、
西川公也氏ものらりくらりの対応を繰り返した。
民進党と共産党の議員は委員会から退席し、委員会審議は長時間中断した。
その後、民進党および共産党議員が出席しないまま、
西川公也委員長は職権で委員会を再開し、大阪維新の議員が質問を行った。
TPPは日本の根幹に関わる極めて重大な条約である。
野党議員がこの重大な条約の交渉過程について質問するのは当然のことだ。
TPP参加を拙速に推進する安倍政権は、この問題について真摯な姿勢で審議に応じるべきである。
石原伸晃氏や西川公也氏の誠実さに欠ける審議姿勢で国会審議が滞るなら、
安倍政権は今国会での条約批准を断念するべきである。
また、4月24日には、衆議院補欠選挙が北海道5区と京都3区で実施されるが、
主権者は、安倍政権の姿勢をこの選挙で断罪するべきである。
TPPの何が問題なのか。
自由貿易を推進する条約なのだから、日本は賛成するべきだとの意見があるが、
問題の本質をまるで理解しない見解だ。
日本がTPPに参加するべきでない重大な理由が三つある。
第一は、TPPによって、日本が主権を失うことだ。
第二は、TPPの問題は短期ではなく、中長期で考察するべきであるからだ。
第三は、農業=食料、医療、食の安全・安心という、三つの面で、国民生活の根幹を破壊するからである。
「自由貿易の枠組みだから賛成するべきだ」
などという、軽薄で乱暴な議論でこの問題を論じるべきでない。
日曜討論で、主権を損なうISDS条項についての論議があった。
野党議員からISDS条項により、主権が侵害される点の指摘があった。
これに対して自民党の小野寺五典政調会長代理が、ISDSのメリットを強調した。
他国に投資を行う際に、その投資先の政府が、
投資者に多大な損失を与える一方的な措置を取ることに対して、
ISDS条項は、その損失を回避させる重要なツールになるから、
ISDS条項は日本にとってプラスなのだという主張を示した。
この主張に対して、野党議員から目立った反論が示されなかった。
TPPの問題の最重要部分の誤解が、そのまま放置されたまま流される結果が生じた。
野党議員は、ISDS条項の問題点を、小野寺氏の発言を否定するかたちで、
分かりやすく示すべき局面だった。
ある国に投資を行う際、その投資先国家の法体系が不安定である場合、
ISDS条項のような取り決めが、投資者のリスクを減免する。
投資した財産を、投資先の国家が一方的に没収してしまうような理不尽な対応を示したときに、
ISDS条項があれば、投資者は裁定機関に訴え、
裁定機関がその投資先の国家に対して命令を下すことができる。
投資家は蒙った損害を賠償してもらうこともできる。
小野寺氏は、ISDS条項はこのような意味で投資者の利益を守るものだと強調したのである。
この発言に対して、明確な反論を示しておかないと、
視聴者は、ISDS条項は日本の投資者にとって利益をもたらすものであると勘違いしてしまう。
TPPの問題のなかで、これが最重要であるから、私たちはこの点を正確に理解しておかねばならない。
それは、法体系が不安定で、制度が、いつ、どのように改変されてしまうか分からないような国に
投資を行う際には、このような条項を用意することも必要な場合があるかも知れない。
問題は、この取り扱いが日本にも適用されるという点だ。
日本が日本の法体系でさまざまな措置を講じたときに、
日本に投資をした海外の投資者が、その体系によって損失を受けたと、
日本の外の裁定機関に提訴するのである。
そして、その裁定機関が決定を示すと、日本はこの決定に逆らえなくなる。
これは日本の主権の喪失そのものなのだ。
ISDS条項を受け入れるということは、
日本の諸制度が未熟であることを日本自身が認めるということなのだ。
だから、日本のことを日本が決められなくなる。
外資が日本の制度によって損失を受けたと裁定機関に提訴し、
日本の外にある裁定機関が、日本の制度が悪いと決定すると、日本が制度を強制的に変えさせられる。
そして、日本政府が賠償金を支払わされる。
日本が先進国であると自負するなら、
このような主権を投げ出すような条項を受け入れるべきではないのである。
この、もっとも重要な論点についての野党側の反論が十分にはなされなかった。
第二の論点も重要である。
TPPの恐ろしさの本質はISDS条項にある。
ISDS条項の本質は、「強制性」にある。
日本の諸制度、諸規制が、日本の外で最終決定されてしまう。
裁定機関が決定を下すと、日本の意思は無視される。
つまり、日本のことを日本の国民が決められなくなるのである。
公的医療保険制度では、
「いつでも、どこでも、だれでもが
必要十分な医療を受けられる体制を堅持したい」
と日本の主権者が考えても、ISDS条項の影響によって、その制度が破壊されてしまっても、
それを日本の主権者の意思で元通りにすることができなくなる。
食の安全・安心については、有害性が完全に立証されていなくても、
危険がある可能性のある物は、できるだけ排除しておきたいと、
日本の主権者が希望しても、ISDS条項などの要因によって、
それらの危険性のある食品などを排除することが制度的にできなくなると、
日本の主権者は、食の安全・安心を確保することができなくなる。
このような事態が発生する可能性が極めて高いのだ。
ここで重要なことは、これらの変化がいま直ちに生じるというわけではないことだ。
日本がTPPに参加して、TPPが発効する、その日からこのような事態が生じるわけではないのだ。
だからこそ、TPP推進者は、
「いまのところ、そのような心配はない」
ことを、TPP参加推進の根拠に上げる。
しかし、いま直ちにそのような懸念が現実のものにならなくても、
将来、そのような懸念が現実化する可能性があることが問題なのだ。
なぜなら、将来、そのような問題が生じたときに、
ISDS条項で主権を失う日本は、日本の主権者の意思で、制度改変を拒絶できないのである。
これがTPPの最大の落とし穴なのだ。
そして、TPPによって影響を受ける日本の諸制度、諸規制は、ほぼすべての分野にわたる。
農業の問題も極めて重大だ。
安倍政権は農業で打撃を受ける農家に目先の金を配る「TPP対策」を講じるが、
長期的な視点に立つ政策運営スタンスではない。
札束で農民の頬を叩いて、農民を黙らせようとしているだけだ。
このような傲慢な姿勢が問題なのである。
日本社会の根幹を支えている、もっとも大事な柱の一つが、
病気になったときに、
「いつでも、どこでも、だれでも」
必要十分な医療を受けられる体制である。
これが壊れる可能性が極めて高いのだ。
そのことを、日本の主権者は、冷静に、そして、じっくりと考えるべきだ。
食の安全・安心の問題も極めて重大である。
安全な食品、安心して食べられる食品だけを食べたい、
あるいは子供に食べさせたいと考える主権者は多い。
しかし、TPPのISDS条項が影響して、食品表示義務が改変される、
あるいは、食品添加物の制限が緩和される、などの変化が生じると、
食の安全・安心を守れない状況が生まれるのだ。
そのことを真剣に考えて、
「TPP断固反対!」
を訴えている主権者が多数存在する。
ISDS条項は国の主権を損なう。
だから、自民党も2012年12月総選挙で
「国の主権を損なうようなISD条項に合意しない」
と公約に明記したのである。
TPPのなかの決定的な核心が
ISDS条項
である。
これさえなければ、主権者の意思で、制度の改変は可能になる。
ラチェット条項など、ひとたび受け入れてしまうと、
元に戻せない条項も、ISDS条項と並んで「毒素条項」と呼ばれるが、
それでも、最大の核心はISDS条項である。
ISDS条項が盛り込まれたTPPは明らかに安倍自民党の公約違反なのだ。
これに、もっと光を当てて、TPP批准を絶対に阻止しなければならない。

by めい (2016-04-12 15:34) 

めい

《「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」》フランクリン・ルーズベルト
《 巨大資本という私的権力が各国の政府、議会、司法を支配する仕組みがTPP/TTIP/TiSAであり、参加国をファシズム化することになる。新自由主義はファシズムの一形態だとも言えるだろう。》

   *   *   *   *   *

2016.04.12
参加国をファシズム化するTPP、TTIP、TiSAに反対する声が高まる中、批准を目指す安倍政権
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201604120001/

 2月4日にTPP(環太平洋連携協定)へ署名した安倍晋三政権は批准に向かって驀進中である。TPPはTTIP(環大西洋貿易投資協定)やTiSA(新サービス貿易協定)とセットになった協定で、アメリカを拠点とする巨大資本が協定参加国の政府、議会、裁判所を支配するための仕組みだ。

 早い段階から指摘されていたことだが、最大の問題はISDS(投資家-国家紛争調停)条項。巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作ったなら企業は賠償を請求でき、健康、労働、環境など人びとの健康や生活を守ることは困難になる。すべて巨大資本の「御慈悲」にすがるしかない。

 支配者は憲法に拘束されないという考え方が表面化したのはロナルド・レーガンが大統領に就任した直後だ。そうした動きの中心的な存在が1982年に創設された「フェデラリスト・ソサエティー」。エール大学、シカゴ大学、ハーバード大学の法学部に所属する「保守的な」学生や法律家によって創設された団体で、富豪や巨大資本をスポンサーとして持ち、大きな影響力を持つようになった。創設当初からプライバシー権などを制限、拡大してきた市民権を元に戻し、企業に対する政府の規制を緩和させるべきだと主張、フランクリン・ルーズベルト時代にニューディール派が導入した規制を廃止していく。

 ところで、法律家の説明によると、TPPには法律体系の問題もあるという。TPPを推進しているアメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは判例法を基本とする英米法の国だが、日本は国会で制定された法律が基本の大陸法を採用している。この両体系を統一することは不可能だが、調停はアメリカの巨大資本と結びついた法律家になるとみられ、日本の法律は意味をなさなくなりそうだ。

 しかし、イギリスの保守党に所属する有力議員からもこうした協定に反対する意見が出ている。同国の国会議員でマーガレット・サッチャー、ジョン・メージャー両政権で貿易産業大臣を務めたピーター・リリーがその人だ。彼も「TTIPは関税や割り当てを廃止することが主眼ではない」としたうえで、ISDS条項の危険性を指摘している。

 TPPの「交渉」がどのように行われたかをアメリカのシェロード・ブラウン上院議員とエリザベス・ウォーレン上院議員が明らかにしている。両議員によると、アメリカ政府が設置しているTPPに関する28の諮問委員会には566名の委員がいて、そのうち480名、つまり85%が大手企業の重役か業界のロビイスト。交渉をしているのは大手企業の「元重役」だ。

 アメリカから交渉に参加していた人物には、バンク・オブ・アメリカのステファン・セリグ商務省次官補やシティ・グループのマイケル・フロマン通商代表も含まれていた。セリグはバラク・オバマ政権へ入ることが決まった際、銀行から900万ドル以上をボーナスとして受け取り、フロマンは銀行からホワイトハウスへ移動するときに400万ドル以上を貰っていると報道されている。金融資本の利益のために頑張れということであり、成功報酬も約束されているだろう。

 何度も書いてきたことだが、ニューディール派を率いていたフランクリン・ルーズベルトは大統領時代の1938年4月29日、ファシズムについて次のように定義している。

「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」

 巨大資本という私的権力が各国の政府、議会、司法を支配する仕組みがTPP/TTIP/TiSAであり、参加国をファシズム化することになる。新自由主義はファシズムの一形態だとも言えるだろう。

 1920年代までのアメリカは新自由主義的な政策が採用され、投機が盛んになり、富は一部に集中、貧富の差が拡大した。そうした状況に対する庶民の反発もあり、1932年の大統領選挙ではウォール街が支援していたハーバート・フーバー大統領は再選されず、巨大企業の活動を規制、労働者の権利を認めようというルーズベルトが当選したわけだ。

 ちなみに、フーバーはスタンフォード大学を卒業した後、鉱山技師としてアリゾナにあるロスチャイルドの鉱山で働いていた。利益のためなら安全を軽視するタイプだったことから経営者に好かれ、ウォール街と結びついた。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013)

 この選挙結果に驚いたウォール街の巨大資本が反ルーズベルト/親ファシズムのクーデターを計画したと議会で証言したのは海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将だった。ここでも巨大資本とファシズムの関係が示されている。

 証言直後、クーデター計画の調査は曖昧なまま幕引きになったが、1944年12月にドイツが略奪した金塊、いわゆる「ナチ・ゴールド」の調査を目的とした「セイフヘイブン作戦」を利用し、ルーズベルト大統領はナチス時代のドイツと違法な取り引きをしていたアメリカの有力企業やナチスに同調していた有力者を調査しようとした。そのターゲットにはトーマス・ラモント、ジョン・D・ロックフェラー・ジュニア、ヘンリー・フォードなどが含まれていた。(ジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアは1943年3月に死亡)この追及が不発に終わったのは、1945年4月にルーズベルト大統領が執務室で急死したからである。この時、ファシストは逆転勝利を収めたと言えるだろう。大戦後、アメリカの支配層がナチスの高官や科学者を逃がし、保護し、雇用したのは必然だ。日本では天皇制が維持され、戦前の治安機関はタグを付け替えながら生き残った。今では軍も復活しつつある。

 第2次世界大戦後、巨大資本とファシズムとの関係から人びとの目をそらすために使われた呪文のひとつが「全体主義」だった。大戦前は社会主義やコミュニズムの立場からファシストを批判するために使われていたが、途中から「左翼」がソ連を批判するために使われるようになり、戦後はコミュニズムとファシズムを同一視させるため、巨大資本とファシズムとの関係を隠すための呪文として唱えられている。この呪文に縛られている限り、TPP/TTIP/TiSAがファシズムなのだということを理解できないかもしれない。

by めい (2016-04-13 06:14) 

めい

甘利氏は生け贄?

   *   *   *   *   *

新ベンチャー革命2016年4月12日 No.1361
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/35827624.html

タイトル:悪名高い東京地検特捜部が甘利氏追及開始?:TPPの実態を知った日本国民の怒りが爆発するとき、甘利氏にすべての責任を押し付けて、ホンモノの悪が高笑いするシナリオができているからか

1.国会でTPPが審議され始めて、TPP担当大臣だった甘利氏への東京地検特捜部の追及がようやく始まる

 国会で民進党が政府与党にTPPの交渉内容開示を要求していますが、TPPに関して、とりわけ日米間の交渉については、途中経過も交渉内容も日米両国民に非公開という原則になっていますから、案の定、政府も安倍自民も民進党の要求に応じる気は全くありません。これだけとっても、TPPはもうムチャクチャであり、到底、民主主義国家のやることではありません。にもかかわらず、国民から怒りの声は上がっていません、なぜなら、マスコミが全く騒がないからです。

 こうして、今、国会でTPPの是非に関して与野党間でもめている真っ最中に、あの悪名高い東京地検特捜部はTPP担当大臣であった甘利氏の政治とカネのスキャンダルにようやくメスを入れ始めました(注1)。かつて、米国戦争屋を裏切った小沢氏が東京地検特捜部に攻撃されていた時に比べ、地検による甘利氏攻撃の動きは非常に鈍いわけですが、それでも重い腰をやっと上げたという感じです。

 ちなみに、本ブログは日本を乗っ取っている米国戦争屋のウォッチをメインテーマとしていますが、上記、東京地検特捜部は戦後から今日まで一貫して、米戦争屋CIAの日本支部と観ています。

 その見方から、今回の地検の動きは、当然、CIAジャパンハンドラー担当からの承認を受けていると本ブログではみなします。

 本件、CIAがもしNOと言ったら、いくら日本国民が求めても、東京地検特捜部は捜査する振りをするだけで、実際は見逃します。要するに、この組織は日本国民の利益を守るために機能することはまったくないと言ってよいでしょう。

なお、上記、米国戦争屋(世界的寡頭勢力の主要構成メンバー)およびそのロボット・悪徳ペンタゴンまたは悪徳ヘキサゴンを構成する日本人勢力の定義は本ブログNo.816の注記をご覧ください。

2.日本を乗っ取っている米国戦争屋の傀儡政党である安倍自民の甘利氏のスキャンダル追及をなぜ、米戦争屋CIAがOKしているのか

 今の安倍自民は日本を乗っ取っている米戦争屋の完全なる傀儡政党であると本ブログは観ていますから、その安倍自民の一味のひとりである甘利氏への失脚工作を米戦争屋CIAはなぜ、許しているのでしょうか。

 本ブログの見方は、ズバリ、甘利氏は2013年にTPP担当大臣に就任した時点で、いずれ、生贄にされると決まっていたというものです。

 要するに、TPPが日本に適用され始めて予想されること、それは、不平等条約の典型であるTPPに対する日本国民の不満が爆発することです。そのときのために、TPP締結の責任をすべて甘利氏に集中させる手口が当初から取り入れられていたということです。

これと同じような手口は9.11偽旗テロの際も適用されています、すなわち、9.11偽旗テロの罪をすべて、オサマ・ビンラディンに集中させる手口です。その意味で、甘利氏は日本のオサマ・ビンラディンの役回りに相当します。

 なお、本ブログでは、上記のような甘利氏の悲惨な運命を今年1月時点で予測していました(注2)。

 近未来、TPPが日本に適用され始めたら、日本国民の怒りが爆発することが明白なのです。なぜなら、TPPは徹底的に日本に不利な不平等条約だからです。だからこそ、TPPの交渉内容は日本国民に一切開示できないのです。米国サイドのTPP仕掛け人は初めから、TPPが日本に不利だとよくわかっているため、2013年、日米交渉開始時点から、日本国民の怒りをかわすための対策がTPP日米交渉シナリオに入っているということです。

 TPPは米国戦争屋を含む米国寡頭勢力配下の米グローバル企業にのみ有利な取り決めですから、日本政府にとっても、日米国民にとっても有利なことはほとんどないのです。さらに言えば、日米TPPに関して米国民より日本国民の方が圧倒的に不利です。にもかかわらず、今の日本は米国グローバル企業の一部とつながる米戦争屋に乗っ取られていますから、日本政府も安倍自民も米国の言いなりなのです。さらに、米戦争屋に牛耳られている日本のマスコミも一切、TPPを批判しないのです。

3.TPPとパナマ文書暴露はリンクしている、それはコーポレートクラシー社会到来の証し

 本ブログにて、最近起きたパナマ文書暴露事件(タックスヘイブンの実態暴露)をすでに取り上げています(注3)。この事件で暴露されたタックスヘイブンの実態とTPPは相互に関連しています、ともに、米国寡頭勢力に支配される米グローバル企業が好き勝手に大儲けできる環境づくりなのです。ちなみに、これらの活動はコーポレートクラシーと呼ばれています(注4)。

 彼らはすでに米政治家を買収して、彼らに有利なビジネス環境づくりの実現を目指しています。その結果、米国では超格差社会が生まれて一般庶民の不満がうっ積しています、そして、同じ傾向が日本でも起きています。

 現在のグローバル化社会では、デモクラシーは形骸化させられています。今の日米両国はもはや、民主主義国ではなく、グローバル企業の利益を最優先する社会となっています。

 この変化に日本国民より、米国民の方が先に気付き、それが、トランプ旋風を起こし、また、民主社会主義者・バーニー・サンダースの台頭を実現させています。

 しかしながら、日本国民の意識は米国民ほど変化していません。

 その証拠に、一般庶民の味方ではまったくない安倍自民(国民ではなく財界を利する政党)を能天気に支持する日本国民が相当数、存在しています。

 みんな、世界中で起きている一般庶民の怒りのデモを観て、もっと覚醒しましょう、決して他人事ではありません。

注1:日刊ゲンダイ“甘利疑惑 このタイミングの強制捜査をどう見るべきか”2016年4月11日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179227

注2:本ブログNo.1304『罠に嵌められた甘利氏は、日米TPP批准に足かけ7年もかかったことを米国寡頭勢力から責められたはずのフロマンの代わりに犠牲にされるのか』2016年1月26日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/35627256.html

注3:本ブログNo.1359『パナマ文書リークは失業率の高い欧米の若者の不満エネルギーを爆発させる:次期米大統領選にてバーニー・サンダースが極めて有利になるだろう』2016年4月7日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/35814008.html

注4:本ブログNo.726『日本の政官財の推進するTPPは単なる貿易自由化協定ではなく、“1%”寡頭勢力の謀略なのか:デモクラシー国家からコーポレートクラシー国家に転落させられる日本』2013年3月3日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/31548528.html

by めい (2016-04-13 06:23) 

めい

《ウオール街が大統領に据えたバラク・オバマ以上に、TTIPを強力に支持している人物はいない。》!!

   *   *   *   *   *

ヨーロッパに押しつけられているアメリカの“トロイの木馬”TTIP
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/ttip-0379.html

Wayne MADSEN
2016年5月8日
Strategic Culture Foundation

グリーンピース・オランダが漏洩した環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に関する秘密交渉文書の一部、240ページによれば、ヨーロッパ自動車に対するアメリカの輸入関税緩和と引き換えに、成長ホルモンにまみれた肉や遺伝子組み替え食品輸入を認めるよう、オバマ政権は欧州連合に圧力をかけている。国家の法律や超国家的な法律を無視する無限の権限を、多国籍企業に認めることに関する限り、片割れの環太平洋連携協定(TPP)の強化版に過ぎないと、TTIPを批判する人々は主張している。個々のEU加盟国と欧州連合自体が対象なのだ。

強欲で、腐敗し、比較的規制をうけずに済んでいるアメリカ大企業が、潜在的消費者として目をつけている、5億800万人のヨーロッパ諸国民に対するTTIPの悪影響に、EU加盟諸国は益々批判的になりつつある。TTIP文書暴露後、フランスの新聞シュド・ウエストのインタビューで、TTIPに批判的なフランスの貿易大臣マティアス・フェクルが、“ヨーロッパは、非常に多くの譲歩をしているのに、見返りはほとんどない。これは受け入れられない”と述べた。フェクルは更に言った。“現在の状態のままでは、これはまずい協定だ”。もしアメリカ大企業が、ヨーロッパの既存の環境、食品安全や、公衆衛生の保護を全く無視することが認められれば、ヨーロッパの健康や環境規制が最初の犠牲者になるだろうと、フェクルも他のヨーロッパ当局者も懸念している。

アメリカ合州国が、国家の裁判制度ではなく、民間の仲裁陪審員団に貿易紛争を任せようとしている事実も、フェクルは嫌がっている。

フェクルやマニュエル・ヴァルス首相を含むフランス当局者は、TTIPの現状の諸問題や、アメリカの頑固さゆえに、アメリカ政府との自由貿易交渉を、フランスは中止するかも知れないと警告している。

ウオール街が大統領に据えたバラク・オバマ以上に、TTIPを強力に支持している人物はいない。共和党の有力大統領候補ドナルド・トランプや、民主党大統領候補バーニー・サンダースが、それぞれの政党の階層構造をひっくり返すのに、これほど成功を勝ち得た理由は、右であれ、左であれ、中道であれ、アメリカ国民が、オバマが推進する自由貿易協定を拒否していることにある。体制派の民主党大統領候補ヒラリー・クリントンや、ゴールドマン・サックスや、モンサントのようなTTIP推進派の巨大企業や大企業の政治活動委員会からの財政支援を享受しているテッド・クルスや、ジョン・ケーシックや、ジッブ・ブッシュや、他の連中を含め共和党候補者全員に、明らかに過半数の反自由貿易のアメリカ国民が幻滅しているのだ。

EUとのTTIPにかかわる秘密交渉における、アメリカ合州国政府の主要標的の一つは、5億人のヨーロッパ市民き動物を、食品や他の製品中の有害な化学物質や、他の物質から保護している欧州消費者センターだ。例えば、鉛や他の1296種もの発癌性物質が化粧品に入っていても、アメリカ合州国では全く問題にならない。EUは、化粧品中のそのような毒物を禁じている。EUは、化粧品のテストで動物を使用することを禁じている。アメリカ合州国は禁じていない。TTIP文書で、化学工業業界が、TTIP交渉担当官の顧問役であることが明らかになったのは重要だ。

ウオール街の産物たるオバマは、大統領の立場を利用して、もしも来る“Brexit”国民投票で、イギリスがEU離脱賛成投票をすれば、アメリカ合州国との個別の自由貿易協定交渉をする行列の最後尾に、また並ぶことになると、イギリスを脅した。オバマは、2014年の独立に関する国民投票前にも、スコットランドに対して、同様な恫喝をした。

イギリス人は、イギリスの公共医療サービスを、アメリカ企業に開放すれば、国民健康保険制度の民営化に至ってしまう可能性を正当に懸念しているのだ。教育や水道のアメリカ民間企業に、イギリスへの自由参入を認める同様な計画は、イギリス人にとって、教育費や水道代の高騰をもたらしかねない。EU中の国営医療制度も、もしアメリカの多国籍企業が参入して、医療や処方薬で高額な請求を始めれば、民営化に直面しかねない。医療サービスを配給制にし、同時に医療保険の掛け金を高くし、患者の“一部負担”費用を高価にした“オバマケア”のもとで、これがおきたのをアメリカ人は経験している。

TTIP文書の公表は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相にも問題をもたらした。TTIP交渉における、ヨーロッパに対するアメリカの圧力が暴露されたのは、ハノーバー国際見本市で、メルケルがオバマの横に立ち、TTIPを称賛してから一週間後のことだ。TTIP文書の骨子で、メルケルが、これまで思われていた以上に、アメリカ合州国にとっての、おそまつなポチであることが暴露されたのだ。

240ページの文書が大衆に公開されるまでは、大西洋両岸の議員は、上着や電話や書類かばんや電子機器を議員監視担当の警備員にゆだねるという条件で、厳重に警備された特別な部屋で、ようやく最大二時間貿易協定文書を読むことを許されるだけだった。議員たちは文書の内容に関して話すことも禁じられている。ゴールドマン・サックス、モンサント、エクソンモービルや、コーク・インダストリーズの取締役なり、テロを支援しているサウジアラビアの独裁支配者なり、世界のグローバル・エリートが、大西洋の両岸、そして実際、世界中で、統治の基準にしようとしている機微な文書について、議員たちが発言することが禁じられているのだ。

頁岩からガスを採取するための“水圧破砕”という、アメリカ天然ガス採掘企業お得意の作業に反対しているヨーロッパ司法当局も、TTIPの下では、そうした行為を止める力を失いかねない。ブルガリアやリトアニアやベルギーの国民も、水道の蛇口をひねると、水の代わりに、炎が吹き出すペンシルバニア州民と同じ苦境に陥る可能性がある。

ヨーロッパで、左右双方の政治指導者たちがTTIP反対論を奉じているのみならず、アメリカの州や領土における、憲法上の権利に対するTTIPの脅威を認識しているアメリカ指導者たちも納得していないのだ。例えば、自治体による商品やサービス調達の法律や規制に“バイ・アメリカン”条項を規定しているアメリカの州がある。もしTTIPが施行されれば、こうした条項は無効となり、ルーマニアやポーランドの請負業者が、アイダホ州のダム建設プロジェクトや、メーン州の橋梁建設契約への応札が可能になる。こうした可能性は、アメリカの中小企業にも、アメリカの安全、健康、環境監督機関や、労働護団体、環境護団体や、作業安全保護団体にも極めて不人気だ。

アメリカ各州の司法当局や、ドイツやオーストリアの(レンダー)州や、スペインの州(レギオン)や、アイルランドの州(カウンティ)の司法当局も、事業を規制する自分たちの権限が、責任を負わないTTIP仲裁廷に奪われてしまうのではないかと恐れている。アメリカ最高裁判所を含め、国家の裁判制度さえもが、TTIPの超国家的権限によって手を縛られてしまう可能性がある。

TTIP文書を暴露した人々は、協定が、ヨーロッパ人とアメリカ人にもたらす危険を見てとったのだ。法律がどうであれ、全ての機密文書を公表させるという現在のグローバル精神を踏まえて、TTIP文書を漏洩した人々は、TTIPの心臓に止めの杭を打ち込んだことになるのかも知れない。同じような将来の暴露で、同様に危険なTTPをも窒息させ、息の根を止められると良いのだが。

記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2016/05/08/americas-ttip-trojan-horse-being-forced-upon-europe.html
----------
都知事問題や広島訪問、タレント復帰は言い立てるが、遥かに重要なTTIPについても、TPPについても、そしてそのトンデモ交渉をし、睡眠障害になったとされる人物についてはまったく報じない洗脳機関大本営広報部。読めばよむほど、みればみるほど〇〇になること確実。

ようやく【決定版TPP】 “貧困・格差・TPP” 「月刊日本」5月増刊号が発売になった。

ベスト・セラーになることを期待している。何冊か購入し、知人にさしあげるつもり。

2016年5月15日 (日)

by めい (2016-05-16 04:06) 

めい

《TTIPは、政府と国民に対する説明責任のない権力を大企業に与えるものだ。》

   *   *   *   *   *

2016年5月16日 (月)
今こそ、TTIPを潰そう
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/ttip-818f.html

Paul Craig Roberts
2016年5月12日

2016年5月9日のヨーロッパの医療専門家に対する講演で、ヨーロッパに対するTTIPの結果は医療制度の民営化で、関連する経費は高騰すると、マイケル・ハドソンは指摘した。

TTIPに関するハドソンの正確な説明は、欧米“民主主義”の中で、政治的に強力な大企業が、諸国民や諸国や社会に対する費用がどうなろうとも、利益を求める大企業強欲のために、全ての国民の福祉を犠牲にする権力を得たことを示している。

アメリカ“民主的資本主義”の悪は、完全で救いようがない。TTIPは、政府と国民に対する説明責任のない権力を大企業に与えるものだ。大企業は、厳しく批判され、強硬に規制され、長い懲役の脅威によって、1パーセントを構成する重役や株主の収入ではなく、公共の利益のために尽くすよう強制されるべきだ。

ハドソンの分析は下記にある。

英語原文The Dangers of Free Trade Agreements: TTIP’s Threat to Europe’s Elderly
日本語翻訳 自由貿易協定の危険性: ヨーロッパの高齢者に対するTTIPの脅威

Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/05/12/kill-ttip-now-paul-craig-roberts/

by めい (2016-05-16 04:11) 

めい

《ここに来て、民主党大統領候補のヒラリーまでが、改めて、明確にTPPへの反対を表明した。・・・「本気で、TPPには反対です」と言わざるを得ない状況に追い込まれたと解釈して良いだろう。》
《99%の確率で、米国両議会が「TPP」の審議に入る可能性はなくなった。本家本元の米国が両議会で審議さえしない「TPP」を、幾ら安倍一強状況だからと言って、駄馬の先走りを演じて、強行採決まで行ってしまうほど、自民党も馬鹿ではないだろう。》

最後のPaul Craig の記事も重要です。
《我々は、結論は崩壊しかないワナにはまっているように見える。もし金利が本当のインフレ率を反映すれば、何百兆ものデリバティブ は吹き飛び、株式市場は崩壊し、過小評価で失業を隠蔽することもできなくなり、財政赤字は増大する。・・・更なる紙幣が印刷されるのだろうか? お金は消費者価格へと向かうのだろうか? 大インフレと大量失業を同時に経験することになるのだろうか? こうした疑問のどれひとつとして、売女マスコミや政治家やウオール街が立ち向かうなどと期待してはならない。
 危機が起きれば、ロシアか中国のせいにされるだろう。 》!!

   *   *   *   *   *

●米国経済だけが好調というカラクリ グローバル経済の終焉
2016年08月13日
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/389dbb38b5671aa50028875bbcb58e1c

 筆者は数カ月前から、「TPPはアメリカで成立しない」と主張してきた。ここに来て、民主党大統領候補のヒラリーまでが、改めて、明確にTPPへの反対を表明した。巷の予測では、「彼女は、反対姿勢で大統領選に臨むが、大統領就任後、適当に修正を加えて、態度を変えるに違いない」と言われており、この巷の予測が、11月の大統領選において、ヒラリーの致命傷になる虞が出てきたことで、「本気で、TPPには反対です」と言わざるを得ない状況に追い込まれたと解釈して良いだろう。

≪ TPP暗雲さらに クリントン氏反対明言
 世界の自由貿易体制が「負の連鎖」に陥る懸念が高まっている。米民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏が環太平洋経済連携協定(TPP)反対を改めて強調。TPP承認後に交渉を妥結させるのが基本シナリオの日欧経済連携協定(EPA)なども影響を受ける可能性が出てきた。  日米欧を主軸に新たな貿易秩序をつくる動きは正念場を迎えている。英国が欧州連合(EU)を離脱した後の域内の貿易の枠組みも不透明だ。
 日本政府は、11月の米大統領選後から来年1月の新大統領就任までの「レームダック国会」での米議会のTPP関連法案承認に望みを託してきた。TPP発効に不可欠な米国の承認が早期に終われば、交渉中のほかの大型貿易交渉を加速する推進力になるためだ。
  ところが、クリントン氏は11日、TPPについて「選挙後も大統領として反対する」と反対の姿勢を一段と明確にした。さらに「雇用を減らし賃金を下げるすべての貿易協定を止める」とも語った。共和党だけでなく、民主党内の早期承認への機運がしぼめば、TPPを起点とするシナリオは修正を余儀なくされる。
  まず懸念されるのが臨時国会の審議への影響だ。政府・与党は9月召集予定の臨時国会で、TPP協定の承認と関連法案の成立を目指している。米国の議会手続きの遅れは国内の慎重論を勢いづかせることになりかねない。既に自民党の一部からは「日本だけ無理して先行して承認する必要があるのか」(幹部)との慎重論も浮上している。
 TPP承認にメドがつくことが前提の日欧EPA交渉も綱渡りとなる。日本はEUに工業品の関税撤廃を求め、EUが農産品の自由化を求める構図で交渉は進んでいる。ただ日本政府はTPPの国会論議に波及することを恐れ、現時点では農産品分野で着地点を探るカードを切りにくい。来年になるとフランスやドイツの選挙の影響で交渉が停滞する恐れがあるだけに、短期間で交渉をまとめる必要がある。
 さらに米欧間の環大西洋貿易投資協定(TTIP)も、米議会がTPPの承認手続きを終えないと交渉は加速しない見通しだ。TPPにタイやフィリピンなど新規参加国を取り込む動きも含め、TPPの停滞懸念が多方面で貿易交渉の勢いを鈍らせている。
 一方で中国はTPPが停滞する間に、自国が参加し、自由化の水準も低い東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の妥結をはかりたい考えだ。日米欧のトライアングルによる大型貿易協定の軸が揺らぐと、中国主導の貿易協定が幅をきかせる事態にもなりかねない。  ≫(日経新聞電子版)

≪ 米のTPP承認、狭き道 オバマ氏意欲も民主党内には反対論  
【ワシントン=河浪武史】オバマ米大統領は2日の記者会見で環太平洋経済連携協定(TPP)に関し「大統領選が終われば真の利点がわかる」と強調し、早期に議会の承認を得ることに改めて意欲をみせた。11月の選挙後、議会に法案を出す考えだが、民主党は与党にもかかわらず支持基盤の労組の反対で賛成票が そろわない。大統領選候補2人の反対姿勢も強く、年内承認は狭き道だ。
 オバマ氏は訪米したシンガポールのリー・シェンロン首相との共同記者会見で「米国はグローバル経済の一部であり、後戻りはできない」と述べ、強まる保護貿易主義に強く異論を唱えた。
 TPPを政権のレガシー(遺産)としたいオバマ氏は、選挙後から自身が退任する来年1月までの「レームダック国会」で関連法案を審議し、承認を得たい考え。ただ野党・共和党だけでなく、与党・民主党議員すら賛成票がまとまらない。
  ヒラリー・クリントン氏を大統領選候補に指名した7月25~28日の民主党大会。オバマ氏らの演説中に「反TPP」のプラカードを掲げる支持者が目立った。一方の共和党大会でも大統領選候補のドナルド・トランプ氏が「TPPは米産業を破壊する」と訴え、支持者の歓声を浴びた。
 米国では大 統領選と同時に上下両院の改選も予定され「各議員がTPPへの賛否を選挙で問われる」(全米商工会議所幹部)。民主党議員には全米自動車労働組合などが 「自由貿易協定で米雇用が失われた」と激しいロビー活動を展開している。共和党議員には新薬のデータ保護の拡充を求める製薬業界などが再交渉を促して圧力をかける。
 このため選挙後にTPP法案を提出しても「議会で賛成多数を得られる見通しが立たない」(米政府関係者)。昨年6月にはTPP法案の前哨戦といえる大統領貿易促進権限(TPA)法が成立した。オバマ氏に交渉権限を一任する法案だが、賛成票を投じた民主党議員はわずか2割。自由貿易推進派の共和党議員の8割が賛成し僅差で成立したが、今では両党の賛成派も切り崩しに遭う。
 多数派・共和党の議会指導部は「TPP法案は賛成多数が見込めなければ審議にはかけない」と公言する。短期間のレームダック国会は、予算審議なども必要で「そもそも時間切れになるリスクが高い」(米当局者)。  
「ヒラリーは私より大統領に適任だ」。オバマ氏は民主党大会でクリントン氏を称賛し、世論に強く支持を訴えた。借りを作った形のクリントン氏は同大会で 「不公平な貿易協定をなくすために戦おう」と述べたものの、TPPには直接言及せず、年内承認というオバマ氏のレガシーづくりに配慮をにじませた。

*筆者注:このオバマ大統領のレガシー作りへの協力と、オバマのヒラリー強力支持が、単なるバーターと捉えかねない状況に至ったヒラリー候補は、前記日経の報道のように、このオバマとのバーターを反故にした。

  だが、ライバルのトランプ氏は「TPPは最悪な協定だ」と強硬発言を繰り返す。大統領選を決する「激戦州」のオハイオ州やペンシルベニア州は鉄鋼業など不振産業が多く「反自由貿易論が票になる」(日本政府関係者)ためだ。オバマ政権下で議会承認に失敗すれば、次期政権下での道筋は全く見通せなくなる。  オバマ氏は「米国がTPPから離脱すれば、通商ルールの主導権は中国が握ることになる」と危機感を強めるが、反対派議員への同氏自らの説得が成否のカギを握る。  ≫(日経新聞電子版)

 つまり、99%の確率で、米国両議会が「TPP」の審議に入る可能性はなくなった。本家本元の米国が両議会で審議さえしない「TPP」を、幾ら安倍一強状況だからと言って、駄馬の先走りを演じて、強行採決まで行ってしまうほど、自民党も馬鹿ではないだろう。安倍としても、ここで今井経産省天皇の尻馬に乗って、内閣支持率を大幅に減らしたくはないだろう。グローバルに展開する世界経済こそが、カオスの上にカオスを乗せるような、愚かな行動であることに気づいた民衆がいると云うことだが、米国の格差社会の是正に見向きもせず、金融経済界の走狗になったオバマの最後の醜態なのだろう。

 このレームダックしていたオバマ政権と歩調を合わせ、こま鼠のようにチョロチョロ動き回った経産省と甘利だったが、思わぬところで頓挫するようだ。今井秘書官の信頼度ランキングも、一等を減ずと云うことになるのだろう(笑)。政府・与党は9月召集予定の臨時国会で、TPP協定の承認と関連法案の成立を目指しているらしいが、天皇の「譲位問題」が議論を独占する可能性もあるような国会審議に、「駄馬の先走りTPP」審議と云うのは、相当の蛮勇が必要だ。「そもそも論」になるが、日欧中及び資源国家である露・ブラジル・サウジ等経済も絶不調。にもかかわらず、米国経済だけが好調と云う話を真に受けること自体、どこか滑稽だ。幾分、暴露嗜好のある “Paul Craig Roberts氏”だが、言っていることは、「そもそも論」からも、当を得ていると考えて良さそうだ。

≪ 経済の実態は一体いつまで無視されるのだろう?
 トランプとヒットラリーは、“経済政策”を提示した。両者いずれも、また両者の顧問も、実際に何をなすべきかについて、何も分かっていないが、マスコミにとって、それは問題ではない。
 “金がものを言う”が、売女マスコミの作動原理だ。連中は、それを言うように、金をもらっていること言うのだが、それは何であれ、大企業と政府のためになるものだ。つまり、売女マスコミは、ヒットラリーの経済政策がお気に入りで、トランプの経済政策はきにくわないのだ。
 トランプは、自由貿易を支持しているふりをしているが、NAFTA、環太平洋連携協定などのあらゆる自由貿易協定に反対なので、本当は反対なのだと NPR売女マスコミが言うのを、昨日私は聞いた。売女マスコミは、こうしたものが貿易協定ではないことを知らないのだ。NAFTAは“アメリカの雇用を手 放す”条約であり、いわゆる連携協定は、グローバル大企業に法律からの免責特権を与えるために、国々の主権を手放すものなのだ。
 何度も報告させて頂いている通り、少数独裁政府は、経済統計を含め、あらゆることに関してウソをつく。例えば、2009年6月以来、我々は経済回復を享受していて、失業率は5%以下で、おおよそ完全雇用状態にあり、インフレはないのだと聞かされる。失業率は23%で、インフレはひどいのに、インフレ 率の過小評価に基づく“回復”だという事実にもかかわらず、そう聞かされているのだ。
 GDPは、現行の価格で計算される。もしGDPが、昨年よりも、今年3%増えれば、本当の製品とサービスの生産が、3%増えたのか、価格が、3%上 がったのか、あるいは、本当の生産は減ったが、価格上昇によって見えなくされているかだ。実際に何が起きているのかを知るためには、名目GDP数値は、イ ンフレ率分だけ、引き下げなければならない。
 昔は、インフレ尺度が妥当だったので、経済状態が一体どうなのかについて妥当な考えを得ることができていた。今はもはや、そうではない。様々な“改 革”で、インフレ尺度から、インフレが外されてしまったのだ。例えば、もしインフレ指標中の品物の価格が上がると、その品物は外され、代わりに、より安い もので置き換えられる。あるいは、価格上昇は“品質向上”と呼ばれ、価格上昇とは見なされない。
 言い換えれば、インフレを定義上、排除することで、価格上昇を実際の生産の増大に変身させているのだ。
 同じことが、失業の尺度についても起きている。報じられている失業率では、失業が数にいれられていない。失業者が、いくら長期間懸命に職を探して も、その人物が、過去四週間に職探しをしていなければ、その人は失業者と見なされないのだ。就業率が崩壊している中、失業率が5%だと言われている理由は これで、25歳のアメリカ人の半数が両親と同居しており、更により多くの24-34歳のアメリカ人が、自立でなく、両親と同居している。
 一体なぜ、政府統計が、経済の不正確な様相を示すよう作られているのかという質問を、経済記者連中は決してしない。食べ物や衣類を購入し、ホームセ ンターに行き、修理費や光熱費を支払っている人なら皆、大変なインフレであることを知っている。処方薬を例にとろう。全米退職者協会は、退職者が使う処方 薬の年間経費が、2006年の5,571ドルから、2013年の11,341ドルに上昇したと報じているが、彼らの収入は追いついていない。実際、インフ レ尺度“改革”の主な理由は、社会保障支給に対する生計費調整を無くすことだった。

https://www.rt.com/usa/334004-drug-prices-doubled-years/

 チャールズ・ヒュー・スミスは、本当のインフレ率を推計する賢い方法を考え出した。ブリート・インデックスだ。2001年から、2016年までに ブリートの値段は、2.50ドルから、6.50ドルへと、160パーセント上がった。ここ15年間、公式に測定されたインフレ率は35パーセントだ。
 しかもメキシコ料理のブリートだけで済まない。2000年以来、高等教育の費用は137%上がった。ミリマン医学指標は、医療費が、2005年から 2016年の間に、公式インフレよりはるかに上がっていることを示している。医療保険、ゴミ収集の費用、何もかも、公式インフレ率よりも劇的に高い。

http://www.oftwominds.com/blogaug16/brito-index8-16.html

 家計にとっては、食料と学費と医療費が主要支出だ。実質所得が停滞し下落する中、主要な経費増大に対処する問題に、貯蓄のゼロ金利が加わる。例え ば、ゼロ金利で、高インフレの時代に、基本的に凍結されている社会保障支給を補うため、祖父母は自らの貯蓄を下ろさざるを得ず、祖父母は孫の学費ローン負 債を助けてやることが出来ない。貯蓄は経済から外されている。多くの家族が、クレジットカードの未払い金の最低金額だけ支払ってやりくりしており、彼らの 借金は、毎月増えてゆく。
 本当の経済の姿を見つめている本物のエコノミストが、もしいるとすれば、彼らは、まん延した負債デフレと窮乏化へと経済が崩壊しつつあるのを目にし ているはずだ。負債デフレというのは、消費者が負債を返済した後、購買をして経済を動かすための可処分所得が残っていない状態だ。
 アメリカ人が、貯蓄から収入を得られないでいる理由は、当局が、ごく少数の“大き過ぎて潰せない銀行”の福祉を、アメリカ人の福祉より優先している ためだ。連邦準備金制度理事会が作り出した膨大な流動性は、金融体制の中に流れ込み、金融商品の価格を押し上げている。株式市場は回復しているが、経済は 回復していない。
 かつて、流動性は経済成長を意味していた。連邦準備金制度理事会が、金融政策を緩めると、消費者需要の増大が、商品やサービス生産の増大をひき起こ した。利益増大を期待して株価も上がった。しかし近年、金融市場は、不調なファンダメンタルズによってではなく、その全てが潰れるままにされるべきだっ た、ごく少数の巨大過ぎる銀行や保険業の巨人AIGなどを救うために、連邦準備金制度理事会が金融体制に注ぎ込む流動性で動いている。流動性は、どこかに 向かわざるをえず、それは株や債券へと向かい、大変な資産インフレをひき起こしている。
 高インフレがお金の本当の価値を浸食している時に、ゼロ金利にして、一体何の意味があるのだろう? 消費者市場が拡大できない時に、高い株価収益率にして、一体何の意味があるのだろう? 経済が製品やサービスを作り出す以上に遥かに大量のドルを連邦準備金制度理事会が作るなかで、ドルを安定させておくのにどういう意味があるだろう? 株式市場に対する確定利益ヘッジを無くして、年金基金や保険会社の財政状態を、ゼロ金利によって悪化させて、一体何の意味があるのだろう?
 全く意味などない。
 我々は、結論は崩壊しかないワナにはまっているように見える。もし金利が本当のインフレ率を反映すれば、何百兆ものデリバティブ は吹き飛び、株式市場は崩壊し、過小評価で失業を隠蔽することもできなくなり、財政赤字は増大する。当局は一体どうするのだろう?
 危機が見舞ったら、利益と借金を利用している大企業、つまり株価を高くしておいて、それで幹部のボーナスを上げ、株主を喜ばせ、企業買収支持の気を 削ぐため、借金で自社株を買い戻している大企業に一体何がおきるだろう? 混乱と、それがもたらす恐怖が満足にとって代わる。大混乱が生じる。
 更なる紙幣が印刷されるのだろうか? お金は消費者価格へと向かうのだろうか? 大インフレと大量失業を同時に経験することになるのだろうか? こうした疑問のどれひとつとして、売女マスコミや政治家やウオール街が立ち向かうなどと期待してはならない。
 危機が起きれば、ロシアか中国のせいにされるだろう。

Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。
彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/08/10/how-long-can-economic-reality-be-ignored-paul-craig-roberts/  

≫(「マスコミに載らない海外記事」様のサイト引用)

by めい (2016-08-13 07:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。