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あかきこころ [神道天行居]

先日書いた「追悼 熊野秀彦先生(9) お別れ会(仙台)」の中で、初めて友清歓真先生の文章に触れたときのことを思い出しつつ、《「宗教的」といっても、決して自己を絶対化することなく、常に自らを相対化して止まない基調音に何よりも好感をもつようになっていました。友清神学の基底をなす審神(さにわ)の精神が文章のいたるところから伝わってきました。ウソやハッタリではない、信ずるに足るホンモノだと確信できました。》と書いた。その時は頭になかったのだが、今日たまたま昭和十年八月の御神示に行きあたって「あっ、これだった!」と思い、書き留めておくことにします。友清先生にはその記録を積み上げれば背丈を超えるほどの御神示があったそうですが、石城山開山後そのほとんどすべて焼却されたそうです。『同志必携』(手帳判)には三つの御神示のみが載っており、その一つです。


  昭和十年八月三日神示


あかきこころをあかしとすれぼきたなし。


きたなきこころをきたなしとすればあかし。


あかきこころをあかしとせざればあかし。


きたなきこころをきたなしとせざればきたなし。


あかきこころをきたなしとすればけがる。


きたなきこころをあかしとすればきたなきくにへゆく。


「あかきこころ」とは。友清歓真全集を典拠にそれぞれの用語について明らかにした『天行居用語辞典』から引いておきます。「雑念がとれたところの清浄心なるものは雑念の本家である。」との言い切りは、友清先生のレトリックの真骨頂です。高僧の「悟り」にふれた最も深い「吉本隆明論」(若松英輔さん)を思い出しました。「悟ったと思う妄念という危うさ」です。この危うさの自覚を友清先生は決して忘れません。熊野先生もきっとそうでした。傲慢さとはもっとも無縁に見えました。求めるべきはるかな道がはっきりと見えていたからにちがいありません。その道をしっかり歩んでおられたのです。


  あかきこころ 清明心→慢心→祓ひ→みそぎ→平心→禁厭


 神道で「あかき心」いふのは清明の心で、「大学」首章の「明徳を明かにす」といふにあたるもので、寸毫微塵の邪心無く、憎む心も怨む心も慍(いか)る心も嫉む心も惜しむ心もないことをいふのであるが、なかなかさうは行かぬので「ハラヘ」をするのである。十言神咒奉唱も「おとたま」も「天乃咲手」も簡易なはらへの方法の一つといふ意味もあるのである。「自分だけは正しい」と思ふほど思ひあがつたことはない。この慢心のためにあらゆるマガコトが起り、自分の言動を正義づけ、他を不正呼ばはりしたいばかりに心は益々くすぶって行くのである。⑤二八八頁


 アカキココロはキヨキココロと訓んでも同じことで要するにキタナキココロ(黒心)に対する清明心である。—略ー応神紀には「丹心を明めたまへ」とあるが其れも同じことである。—略—アカキ心、又はキヨキ心が意志行動にあらはれたのがマコトである。これを目的とするのが我が神道人の修行であり「いはとびらき」の修行とも「天関打開」の修行とも申すのである。この修行は古神道特有のものでなく大学前章でも「明徳を明らかにす」といって居るのが其れであるから儒道でも同じことであらう。仏教でも「自浄其意」といふから同じことであらう。バテレンの経典でも心を清くせよといふ思想が随所にあらはれて居り、心の貧しきものが神仙界に入り得るといふのは妄想妄念あらゆるキタナキ心(黒心)の少いことを理想としたものであらう。③二三九頁


 わが神典に於て古来「清明心」と云ってるのは世俗の所謂「良心」といふやうなものではない。心の奥の奥の奥座敷も打破した神光独朗のところをいふので其れは何とも彼とも言葉を以て講釈の出来るやうなことではないのである。雑念がとれた清浄な心が清明心だと考へてる人が多いが、それは奥座敷のことである。その奥座敷を打破しなければ清明心に見参は思ひも寄らぬ。十年前に発表された天行居の信条第二十七に「清明も亦だ無き清明」とあるのがそれで、そこはかとなき神道学者など言ふものの夢想だも及ばざるところである。雑念がとれたところの清浄心なるものは雑念の本家である。③三〇七頁


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めい

あなたがいちばん望むのはなんですか?
https://www.youtube.com/watch?v=p3kOhdBy39E&feature=youtu.be

「かけがえのないもの」というタイのコマーシャルです。
どこかにメモしておきたくてここにメモしました。

この青年にとってたいせつなことが何かをさりげなく示唆しています。
きっと時代は、この方向を向いています。
そんな気がしました。
by めい (2015-08-14 04:47) 

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