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日本の不幸と救済への方途(みち) [置賜自給圏構想]

昨晩、おととい届いたCIA秘録』の第12章「自民党への秘密資金」の章を読み、今の日本が全くそのままの路線をあたりまえのこととして歩んでいるという現実に、救いがたいどうしようもなさに落ち込んで眠りについたのだったが、今朝『井筒俊彦』(道の手帖)の表紙に「中島岳志」の名前を見つけて「『東洋の理想』の行方 大川周明と井筒俊彦」を読み、ぞくぞくした思いになって、この思いを書き留めておかねばと書きはじめました。


ぞくぞくしたのは最後の結びを読んだからです。「大川周明は朝鮮支配を肯定し、中国のナショナリズムを見誤っている。」とした竹内好の論を受けての文章です。


《しかし私たちはもう一歩先を問わないといけないであろうと思います。大川の考えた「宗教」と「政治」が一体化するのは具体的にどういうことなのか。それは本当に全てが危険な道なのか。大東亜戦争のようなものを必然的にもたざるを得ないものなのか。また、他方でそうでない道がありえるのか。私はそうではない道がありえると思っています。しかしそれは二十一世紀の今、最も可能性のあるヴィジョンの一つでありながら、最も危険なヴィジョンでもあるでしょう。しかしこれこそが井筒俊彦と大川周明の二人が立ち、そしてこれから先を示す地平なのではないかと思っています。》

 

中島は、大阪で二十歳になる直前体験した阪神大震災から語りはじめます。高速道路の倒壊映像を見て「このコンクリートを抱きしめて生きてどうするんだ」と思わされます。しかし中島のそれ以上の衝撃は、瓦礫をかき分けているお婆さんが、「何を探しているんですか」というアナウンサーの声に、「何をこの人は当たり前のことを訊いているんだ」という驚きの顔で「位牌を探しています」と言ったことだったのです。

 

《ちょうど戦後五十年目を迎えた九十五年、私の感じた「この五十年とは一体何だろう」という疑問がその後、私自身の大きな課題になり、テーマになったんだと思います。》

 

戦後日本を象徴するのが「それを抱きしめてどうするんだ」でしかないコンクリートです。ひたすらその路線を進んできたのが、アメリカと蔓んだ自由民主党政治でした。CIA秘録』はその路線が岸信介によって敷かれたことを明らかにしています。岸は岸で日本の行く末について必死で考えていたはずです。その結果としてアメリカに縋ったのだと思います。東條英機等A級戦犯7名が処刑された翌日、児玉誉志夫とともに巣鴨拘置所から釈放されます。「釈放後岸は、CIAの援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座にまでのぼりつめるのである。」(218p) 岸にあったのは決して「命惜しさ」だけではなかったはずです。その明晰さ(トップを競った我妻栄とは親友でした)は日本の将来を見据えていたはずです。その中で自分が何を為さねばならないかについての冷静な認識があったはずです。自分の命を自分だけのものとは考えてはいなかったと思います。しかし日本の不幸は、アメリカと「蔓む」ことで、大東亜戦争が内包したはずの「東洋の理想」がすっぽり抜け落ちてしまったのです。阪神大震災で中島を襲ったのはその欠落についての気づきでした。そこから井筒俊彦と大川周明との出会いが始まります。

 

大川周明の先覚者として岡倉天心が登場します。若松英輔さんの「岡倉天心『茶の本』を読む」を読みおえたところでした。そのこともあって中島さんの話(多摩美術大での講演録です。2012.4.28)にはぐんぐん引き込まれました。「井筒俊彦と大川周明の二人が立ち、そしてこれから先を示す地平」、置賜自給圏構想はその地平にあると私は考えます。


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めい

《安倍総理の目指す日本の軍国化のイメージは安倍氏の兵器に対する認識を偏狭・陳腐にするようコントロールされています。》
祖父岸信介にはあったかもしれない戦略眼を安倍総理はどれだけもっているか。

   *   *   *   *   *

新ベンチャー革命2015年1月6日 No.1037

タイトル:日本をステルス支配する米国某勢力は新手の“沈黙の兵器”で日本を攻撃し続けていることにみんな気付くべき:このままでは日本人は全く浮かばれない

1.米国政府は新手の頭脳的国防戦略“相殺戦略”を構想中

 昨年末、米国防総省は“相殺戦略”(注1)なるものを発表したようです。

 この相殺戦略は、米国の新防衛構想・DII“The Defense Innovation Initiative”(注2)とリンクしているようです。

この防衛構想は米国戦争屋ネオコン・シンパの元国防長官・ラムズフェルドがその回顧録(注3)で述べている内容とよく似ています。ラムズフェルドは典型的な米国技術覇権主義者であると本ブログではみていますが、彼の発想は、限られた国防予算で米国が世界最強の軍事力を維持するには、米国の持てるハイテクを駆使して、頭脳的に敵と対峙すべきという構想です。そのために国防予算のうち、兵士の人件費を削減し、浮いた分を軍事ハイテクの研究投資に回すというものです。

 ちなみに、安倍総理が今、米戦争屋から強要されている集団的自衛権行使、すなわち、自衛隊の米軍傭兵化は、上記、米兵削減の穴埋めを目的としていると知るべきです。

要するに、相殺戦略とは、国家の軍事力を兵員数や兵器装備量など定量的かつ物量的な可視的兵力のみで評価せず、ハイテクや頭脳など非可視的な質的競争力を加味して評価することと理解できます。たとえば、米国の兵員数(150万人)が中国(230万人)に比べて大きく劣っていても(注4)、その劣勢を相殺する質的軍事力を向上させて米国の対中競争優位を確保することです。

 オバマ政権が今、実行している米防衛予算のリストラは2011年段階では今後5年で1800億ドルの圧縮とのことです(注5)。そのコスト圧縮の肝は兵士の人員削減であり、兵員5万人削減を計画しているようです。

 オバマ政権下で行われている上記の防衛予算リストラを当然ながら、米戦争屋は了解・納得しているはずです、なぜなら、米国政府が米民主党政権下であっても、米国防総省の実権は米戦争屋が握ってきましたから・・・。米民主党は、米国の防衛戦略に関して、米戦争屋に逆らうことはできません、オバマがもしそれをやったら、かつてのケネディ(JFK)と同じ運命です。

なお、上記、米国戦争屋(世界的寡頭勢力の主要構成メンバー)およびそのロボット・悪徳ペンタゴンまたは悪徳ヘキサゴンを構成する日本人勢力の定義は本ブログNo.816の注記をご覧ください。

2.日本を属国支配する米国戦争屋は兵器の概念を広域化していると知るべし

 陰謀論の世界には“沈黙の兵器”という概念があります(注6)。米国戦争屋は米国の持つハイテクを駆使して、沈黙の兵器のカテゴリーを包含して、極めて広域の兵器概念を確立しています、知らぬはわれら日本人のみです。

 この概念に従えば、地震・津波、気象異変、伝染病の蔓延から国民の洗脳まで、兵器の概念は極めて広域となります。

 上記、DIIはハイテクを中核とする兵器概念の広域化とみなせます。

 本ブログでは、航空機テロ、地震津波、気象異変、伝染病、麻薬、洗脳、プロパガンダ、金融操作、経済操作などは、米国戦争屋CIAネオコンにとっては沈黙の兵器そのものであるとみています。

 したがって、本ブログでは、航空機事故はまずテロを疑います。巨大な地震津波や異常な気象異変は彼らによる人工操作を疑います、また伝染病の蔓延も生物兵器の使用を疑います。そして日本のマスコミ報道も彼らによる洗脳や軍事プロパガンダを疑います。さらに言えば、今、日本で起きている経済不況や巨額の財政赤字も彼ら米戦争屋や欧米銀行屋による金融操作や経済操作とみなし、それらの人工操作を彼らによる対日攻撃の一種と捉えます。

 また、たとえば、米戦争屋や欧米銀行屋は石油価格を操作することによって、彼らの仮想敵国経済や日本など彼らの属国経済に打撃を与えることができます。今、世界規模で起きている原油暴落で、産油国・ロシアの経済が弱体化されています、さらに、石油価格暴落に伴うルーブル下落で、ロシア国民の生活が悪化していますが、これもロシアという彼らの仮想敵国の国力を弱体化する攻撃の一種です。

3.安倍総理やキムジョンウンの頭脳をコントロールするのも新手の攻撃法の一種

 安倍総理やキムジョンウンは米戦争屋の傀儡ですが、二人の頭脳は米戦争屋によって巧妙にマインド・コントロールされているとみなせます。

 安倍総理の目指す日本の軍国化のイメージは安倍氏の兵器に対する認識を偏狭・陳腐にするようコントロールされています。また、キムジョンウンは核兵器保有やミサイル保有にこだわっていますが、彼のもつ兵器イメージは実に古臭いものです。

 米戦争屋による属国指導者のマインド・コントロールは、属国支配のための攻撃手段の一種とみなせます。

4.日本を属国支配する米戦争屋の攻撃法はステルス化している

 3.11事件における巨大な地震津波や、最近の日本の異常な気象異変と自然災害は米戦争屋がハイテクを駆使して実行しているステルス攻撃ではないかと疑う習慣をわれら日本人は身に付けるべきです。

 また、米戦争屋は日本のマスコミをコントロールしていますが、それは、米戦争屋が日本をステルス支配し、その資産を奪うため、日本を絶えずあの手この手でステルス攻撃している現実に、日本人を気付かせないようにするためです。

 以上にように日本政府も日本国民も米戦争屋に巧妙に支配されているのです。そのことに気付かないと、われらの国富はとことん吸い上げられ、われらの国力は決して向上しません。米中のGDPは順調に伸びているのに、日本のGDPがドルベースで縮小しているのは、米戦争屋や欧米銀行屋に国富がこっそり奪われているからです。われら日本人が怠慢なのでは決してありません。米戦争屋は日本が再び、米国の脅威にならないよう、日本を封じ込めているに過ぎません。

 われら日本人はこのような日本のお粗末な現実に一刻も早く気付くべきです。そして、米戦争屋の支配から自立すべきです。さもないと、いくら東京オリンピックをやっても、日本人に未来はないと言えます。

注1:Offset Strategy
http://en.wikipedia.org/wiki/Offset_strategy

注2:The Defense Innovation Initiative
http://www.defense.gov/pubs/OSD013411-14.pdf

注3:ラムズフェルド回顧録、幻冬舎、2012年

注4:アメリカ軍 装備と組織
http://us-military.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27

注5:本ブログNo,263『復権著しい米国戦争屋の防衛戦略とは』2011年1月8日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/21931109.html

注6:阿修羅“静かなる戦争のための沈黙の兵器”
http://www.asyura2.com/data002.htm

ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
by めい (2015-01-08 00:10) 

めい

《現在の人を縛るシステムからいかに脱出するか、、、それを個々が考え、実行し、助け合う、、、その形を示す時期に来ています。》
http://www.love-ai.com/diary/diary.cgi?date=20150107

by めい (2015-01-08 00:30) 

めい

マドモアゼル愛さんが20年前に描いた夢をメモしておきます。

1月20日に、松尾雅彦さん(元カルビー社長、「日本で最も美しい村」連合副会長)のお話を聞き、そしていま氏の著書『スマート・テロワール』を興奮しながら毎日1章ずつ読んでいます。20日に松尾さんから二つの宿題が出されました。そのひとつが、「30年先の未来の夢を具体的に思い描いてみること」です。そんな中で出会ったマドモアゼル愛さんの夢です。

『スマート・テロワール』を読みながら、この本を評する言葉として浮んだのが「読む前と読んだ後で世界が変わる!」。そこからだいぶ読み進んだいま、「確実に」という言葉を付け加えたい。それほどすごい本です。

   *   *   *   *   *              

■ たった100億円 New! 2015年01月23日(FRI)
http://www.love-ai.com/diary/diary.cgi?date=20150123

10万坪に300人程が暮らして、文化や芸術活動を行う、、

朝から晩まで大好きな芸能や芸術活動に明け暮れる、、、空いている時間には、自然を復活させたり、食糧をつくったり、生きるための営みを協力して行う、、、

歌が好きな人は合唱団で歌を歌い、目標を抱きつつ努力し、楽しむ。

夜には10万坪の敷地内のどこかで、必ず、コンサートがあり、合唱が起こり、森でのオペラが繰り広げられる、、

独自の芸能が生まれ、発達する、、、大好きな芸能芸術をみっちり生活の中でしこまれるのだ、、、自然と高度な芸術に育っていくことになる。

それを目当てに人が集まってくる、、、夜な夜な繰り広げられる歌の催し、、、300人の大合唱、、、

水辺で、、山の奥から、、船の一団、、それぞれが歌を歌いつつ集まる様子は、自然の美しさの中で、この世のものとも思われない、、、

地を這うように始まった母音トーニングは、いつしか天の高みまで昇っていく澄んだ音の渦となる、、、

そこには音柱が立ちあがり、宇宙からのメッセージを受け取らんばかりの荘厳さとなるだろう、、、

子供たちは、子供時代からそうした様子を体験しながら育つ、、、自分の生まれた山、、、自分が育った土地、、自分を育んでくれた音、、、

彼らは本当のふるさとを持つのだ。

その山に世界から人が訪ねてくるようになるのも道理だろう。カーネギーホールでも体験できない自然と人と音が一体となった高度な芸術を味わいたいと、世界中から人が集まってくる、、、

山に暮す300人はやさしいホスピタリティの持ち主でもある、、楽しい暮らしが、意義ある暮らしが、彼らを一流のやさしい人物へと育てる、、、

10万坪の土地の移動は馬車である。御者はきれいな少女であり、少年だ、、、歌を歌いつつ馬車は進む。

馬も幸福だ、、

老人が死んだ、、、山は悲しみに包まれる、、、裾野からはじまった人々の歌は、大地や山を包み込むように轟く、、

一日中、夜中まで、生前に老人が愛した歌が歌われる、、、たいまつを抱きながら老人の棺が運ばれる、、、人々の歌声の中を棺は行く、、

生前ともに歌い踊った少女は、老人の棺に泣きつきながらも踊る、、生前ともに歌い踊った少年は、老人の棺を担ぎながらも、歌う、、

なんと豊かな死、、、幸福な老人、、


私がもう20年近く前に書いた、森と平野に分化定住する時代、という本のイメージです。

私はこうした時代がいつかやってくる気がしています。

こうしたことを実現するのは、割と簡単なんです。まず、お金の面から見てみましょう。

10万坪の土地の購入代金  10億円(坪1万円として。実際はもっと安いと思う)

300人が暮らす家の建造費  15億円(150件分の家が一軒1000万として)

10万坪内の道路、電気、水道の施設費 10億円

コンサートホール 3か所建造費  15億円

ホテルや宿泊棟建造費  10億円

馬車、道具類、馬の施設、色々な工芸や文化事業のアトリエなどの建造費     10億円

以上で70億円。予備として30億円。合計100億。

次に運営費用は、下記です。
300人の給与が各月25万円。 合計 月に7500万円

電気、材料費 馬車の運営 アトリエの運営 5000万円

合計、月に12500万円 年間15億円です。

10年まったく売り上げがなくても150億円。

実際には、魅力的な工芸品及びコンサート活動、その後の食堂、レストラン、ビヤホール経営、ホテル収入などで、おそらく黒字になるでしょう。

定住しているので、本物の芸術に育ちますから、吸引力があるはず。必ず黒字になります。しかも大黒字でしょう。

こんな可能性がある事業が、わずか100億円で現実のものとなるのです。

トヨタの年間利益はいくらでしょう、、、おそらく2兆円ほど。こうした次の時代を作る型を、200個も一年で作れる。驚きです。

金だけ儲けて一体何だというのでしょう。大企業が本気で将来の可能性を追求するなら、こうしたことがあっという間に実現できるのです。

フリーエネルギーだけを追求する10万坪があってもいいと思うし、色々な山ができるはず。

国も大企業もやろうとしない、、、金だけを追いかけても、結局は紙切れなんです。紙切れを未来に使ってもらいたい、、、

たった100億の投資で未来の人間の生き方が見えるようになっていく、、、トヨタさん、そろそろ、そうしたことを実行してください。国もそうしてね。

戦闘機一機より安いんですよ。何か間違っているよね。

by めい (2015-01-25 06:54) 

めい

三原じゅん子議員の「八紘一宇」発言が論議を呼んでいます。「八紘一宇」の本来の意味に沿った議論がありました。田中良紹さんです。「排除の論理」で動く安倍政権は、「八紘一宇」の精神からは最も隔たっている政権であることを理解せねばなりません。本来「八紘一宇」に込められた精神を捩じ曲げてはなりません。今の時期「八紘一宇」を持ち出すことで、このまま宮沢賢治までその流れに引き込まれるようなことになるとしたら言語道断、決してあってはならないことです。

   *   *   *   *   *

アメリカにすり寄る安倍政権に「八紘一宇」を説く愚  田中良紹
http://www.asyura2.com/15/senkyo181/msg/678.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 19 日 00:05:05: igsppGRN/E9PQ    
アメリカにすり寄る安倍政権に「八紘一宇」を説く愚
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20150318-00043976/
2015年3月18日 22時12分 田中良紹 | ジャーナリスト

国会は参議院予算委員会の基本的質疑が終わったところだが、補助金交付企業から献金を受けて辞任した西川前農水大臣をはじめ、「税金の還流」を疑われる安倍総理以下閣僚の面々は「知らなければ違法ではない」と開き直り、いまだに全く「説明責任」は果たされていない。

アベノミクスや安保法制を巡る議論も堂々巡りを繰り返し、春めく季節のせいか眠気を誘う国会質疑が続いてきた。ところが16日に突如として眠気を吹き飛ばす発言があった。基本的質疑で自民党の三原じゅん子参議院議員が安倍総理に「八紘一宇」を世界に広めよと迫ったのである。

「八紘一宇」は戦前の日本がアジア侵略を正当化するために使ったスローガンとして、日本を占領したGHQが公文書に使用する事を禁じたいわくつきの言葉である。それを三原議員は「グローバル資本主義」に対抗するための「日本建国以来の大切な価値観」と紹介し、2年前「ナチスのやり口を学んだらどうかね」と発言した麻生副総理と安倍総理に考えを質した。

戦後70年に当たり安倍総理の歴史認識が問われる時期に、自民党の中から「八紘一宇」が肯定的に取り上げられた事で、背景に何があるのかを探りたい気持ちになった。しかしその後の展開はさっぱりだ。麻生副総理は戦争を知らない世代が「八紘一宇」を評価している事に「驚いた」と発言し、安倍総理は「八紘一宇」に全く言及しなかった。ウラがあるような話ではないようだ。

そもそも「八紘一宇」は軍部に利用された事で「侵略」を正当化するスローガンとみなされるが、元は大正期に日蓮宗の僧侶であった田中智学が創設した宗教団体「国柱会」のスローガンである。「世界を一つの家のようにする」意味だが、田中によれば「国家も民族も領土も人種もそれぞれがそのまま特色を発揮しながら世界が一つの生命体になること」と解説されている。「侵略」を肯定するものではない。

「国柱会」の信者には詩人の宮沢賢治や軍人の石原莞爾がいて、その石原が1931年に起こした満州事変が日本の侵略戦争の始まりとされる。では石原が満州事変を起こした理由とは何か。直前の1929年にアメリカ発の大恐慌で世界は失業と貧困に苦しんでいた。資本主義経済は破綻の危機に瀕していた。

その前の第一次大戦で日本は戦勝国となり英米と肩を並べる大国の地位を得た。しかし一方で日本は資源のない「持たざる国」である。大恐慌が起こると「持てる国」は経済をブロック化して自己の利益を守ろうとする。そして「持たざる国」日本はそこから締め出された。日本は「持てる国」を目指すようになる。それが満州事変を引き起こした理由だが、「国柱会」信者の石原は日本が満州国を支配するのではなく「五族協和(満州人、日本人、漢人、朝鮮人、蒙古人が共生する)」を目指した。

さらに石原は満州で資本主義に代わる経済体制を作ろうとした。ソ連留学の経験がある満鉄調査部の宮崎正義に計画経済の青写真づくりを委ねる。それが「革新官僚」と呼ばれる国内の官僚たちに引き継がれ、年功賃金や終身雇用など独特の制度を生み出した。そしてこの「日本株式会社」と呼ばれる経済構造が戦後に日本を高度経済成長させる原動力となる。

ちなみに「革新官僚」の中に戦後社会党の理論的支柱となる和田博雄や勝間田清一、また自民党の中心となる岸信介や椎名悦三郎がいる。つまり自民党と社会党にはルーツが同じ政治家がいて、それが対立と協調を繰り返しながら、アメリカの要求をかわす政治術を駆使してきた。

「八紘一宇」のスローガンを作った「国柱会」の田中智学は戦争に反対した。石原も日中戦争に反対して東条英機と衝突し軍の中枢から左遷された。そして日本は無謀な戦争に突入する。一方で「八紘一宇」は軍部に利用され日中戦争が始まる昭和12年に国民精神総動員のスローガンとして、また大東亜共栄圏の建設と結び付けられ、国民を戦争に駆り出す役目を果たした。

そのため戦後はGHQが軍国主義を連想させるとして公文書に使うことを禁じ、また自民党の政治家も日本を過ちに導いた言葉として批判してきた。それが戦後70年の節目の年に突如として「日本の大切な価値観」として国会の論戦に登場したのである。

三原議員がどれほど「八紘一宇」を理解しているのか知らないが、それを持ち出したのはグローバル企業の納税回避を批判するためであった。グローバル企業はある国で利益を上げてもその国に税金を支払わない仕組みを作る。それを阻止するために「八紘一宇」の精神を世界に提案しろと安倍総理に訴えたのだ。

弱肉強食の国際社会がそんな精神論に耳を貸すはずはなく、日本のイメージダウンになるだけの話だと思うが、それよりも安倍政権が何を目指し、何をやろうとしているのかを吟味すれば、この政権がグローバル資本主義を拒否できる政権と考える事の方がおかしい。

冷戦後、グローバル資本主義を推進してきたのはアメリカである。平等主義を排し「頑張る者が報われる社会」を理想として弱肉強食を是認してきた。競争こそがアメリカ的価値観の土台である。そのためには常に格差を創り出す。格差のない平等社会に競争心が生まれる筈はないからだ。

21世紀はその価値観を国際社会に広げ、さらに競争の場を宇宙にまで広げて、限りなき競争原理の追及をアメリカは考えている。そのためにそれぞれの国家や民族が持つ固有の価値観をアメリカ的価値観に転換させる事を「改革」と呼ばせるようにしている。宮沢政権から小泉政権を経て麻生政権まで日本は「年次改革要望書」を突きつけられて「改革」を迫られた。

そして今TPPによる国家改造が突き付けられている。三原議員が「八紘一宇」を「日本の大切な価値観」と考えるなら、それは「競争社会」ではなく「共生社会」を目指そうと考えている事になる。しかし安倍政権のどこに「共生社会」を目指す政策があるだろう。ひたすらアメリカにすり寄る事で延命しようとする安倍政権は「八紘一宇」とは真逆の価値観を目指している。

三原議員がやるべき事はアメリカの要求に屈しない手練手管を持ち、「競争社会」ではなく「共生社会」を目指す政治家を自民党の総裁選挙に擁立し、安倍総理を交代させる事ではないか。

by めい (2015-03-19 05:57) 

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