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60年経って・・・(幼稚園創立60周年) [幼稚園]

この季節になると毎年卒業文集の文章を書かされます。今年度は60周年、今年はいろいろばたばたしたので、記念行事は落ち着いてからと思っていたのですが、今年度が最後の卒園生とその保護者にとってみればそういうわけには行かなくて、ぎりぎりの3月23日に開催することになりました。記念講演は最初の先生である芦名(結婚して宮越)能子先生の甥御さん、芦名定道京都大学キリスト教学教授にお願いして、快くお引き受けいただきました。「60年のあゆみ」のDVDをつくることになり、なんでもぎりぎりにならないとできなくて、いよいよ切羽詰まってきているところです。

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光の子どもH24.jpg

         六十年経って・・・

 ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。             平成二十四年度で宮内幼稚園はちょうど六十周年になりました。この一年の間、六十年間培ってきてこれからも伝えてゆかねばならない宮内幼稚園らしさとは何だろうかを考えてきました。その一つの答えとしていま言えるのは「お祈りの習慣」です。あるとき、こんな言葉に出会いました。アメリカのエマソンという人の言葉だそうです。 「祈りとは、人生のいろいろな事実を至高の観点から思いみること」

 

 祈る時、たいてい目を閉じます。目を閉じたからといって、そう簡単に目を開いて過ごす日常の雑念から離れることができるものではありません。でもその時、気持ちは目を開いているときとは別の方向を向いています。「至高の観点」とは、その気持ちが向かう先の先にあるものを指しているように思えました。「祈る」という行為は、五感を働かして過ごす普段の行為とは別次元です。人間の五感を超えた世界への参入です。目には見えない、いわば「真理」に通ずる世界です。幼稚園でのお祈りの習慣を通じて子どもたちは、「目には見えないけれども存在するほんとうの世界」への切符を手に入れているのです。


 私が生まれる二年前に日本は戦争に敗れました。われわれが受けた教育のあり方の基本はアメリカの占領下に形づくられました。今もそれは続いています。それがもうあたりまえになってしまっているので、どこがよくてどこがおかしいのか判断がつかなくなっています。ただ、公立の学校教育から「祈り」という行為がすっぽりと抜け落ちてしまっていることはたしかです。そのことは想像以上に、日本人の心の深い部分に、ひいては日本の社会の深層に大きく影響を及ぼしているように思えます。このことの結果は今後ますますはっきり現れてくるような気がしてなりません。(ただし私は、にもかかわらず日本人はそれを乗り越えるにちがいないと確信しています。)


 幼稚園はいつも神さまに守られた世界でした。しかし小学校に入ったらそういうわけにはいきません。その中でどう生きてゆくか。いろんな試練が待っています。神さまから遠い世界では、自分自身が強くなければなりません。その強さをどうやって身につけてゆくかがこれから大切になります。 とはいえ、宮内幼稚園で育った子どもたちにとっての強さとは、決して人を押しのける強さではありません。共感し、共に歩める強さです。その中で自分らしさを磨いてゆく強さです。そして、ともに喜び合えるようになる強さです。

 私たちの幼稚園時代、能子(よしこ)先生という当時のだれもが忘れることのできない先生に出会いました。ものすごく厳しかったのだけれども、その底には愛が溢れかえっていたのだと思います。学生時代に佐賀まで会いに行ったことがありました。ただ、そういう先生のもとでの幼稚園生活だっただけに、学校とのギャップは大きく適応が大変でした。そこのところを思い出しながら書いています。あのときの幼稚園体験は自分にとってよかったのかどうか、ずっと自分の中で問いつづけてきたような気がします。そしてあっちにぶつかり、こっちにぶつかりして六十年経った今、なんとか、「よかったのだ」と、本心から言えるようになったようです。


 卒園式の翌日、創立六十周年記念行事があり、芦名定道京都大学教授に講演していただきます。芦名先生は、能子先生の甥御さんです。演題は「子どもたちの未来へ―幼児期、そして人生における『祈り』の意味」です。ぜひ聴いていただきたいです。

芦名先生講演会チラシ表.jpg

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