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「にぎわった頃の宮内を思い起こしてみよう」(鍾秀学)(1) 製糸業で栄えた頃 [地元のこと]

宮内小146周年-1.jpg宮内小146周年-2.jpg宮内小146周年-3.jpg宮内小146周年-4.jpg

宮内小学校146周年の「鍾秀学」講師を務めてきました。昨年に次いで2回目です。昨年は欲張りすぎていたので今年は「何を伝えたいか」を絞って臨みました。「1.製糸業で栄えた宮内 2.「菊の宮内」 3.熊野大社のある宮内」です。流れを整理しておきます。(「こういう流れであればよかった」という反省もこめた「整理」なので、実際にはずっとドタバタです。)

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今の宮内はすっかり静かな町になっているけれども、私がみんなぐらいの時はずっと賑やかな町でした。昭和30年に宮内町、吉野村、金山村、漆山村が合併して新しい宮内町が誕生しました。そのことを記念して「宮内音頭」と「宮内小唄」が作られました。「宮内音頭」をyoutubeで聞いてみましょう。https://www.youtube.com/watch?v=01rKUVhNTo8 (昨年のクラスを想定して始めたのですが、昨年の担任はベテランの先生できっちりクラスがまとめられていましたが、今年の担任は転任してきたばかりの30歳そこそこの若い先生。「今年はちょっと手強いぞ」、youtubeを見る子どもたちの様子からそう思わされました。「宮内音頭」の感想を問うところから始めようと思っていたのですが、すぐ製糸業の話に入りました。)

宮内は明治時代から製糸業で発展した町でした。製糸とは、繭から糸を取ることです。蚕に桑の葉を食べさせて育てると、蛹になるために1本の細い糸を出しながら繭をつくります。その繭をお湯に入れてふやけさせて1本の長い糸を取り出すのです。そうしてできたのが生糸で、それが撚り合わされて絹糸になって繊維製品に加工されます。(このあたり、子どもたち、じっと聞き入る様子。私語もなくしずかに集中の雰囲気でいい感触。どの子どもにも理解させるには写真を用意すればよかった。一個の繭からどのぐらいの長さの糸ができるか調べておくべきだった。今いいサイトを見つけた→http://web.tuat.ac.jp/~kaiko/lecture/silk.pdf当時の日本で、製糸業は大事な輸出産業でした。今の日本でいちばん輸出が多いのは何ですか。(「機械」などの声。そのうち「車」)そう、自動車産業です。2016年の自動車輸出は16%。ところが生糸はというと、大正の中ごろは28%、大正のおわり、最盛期には43%にまでなります。宮内は、まさに輸出の花形産業を担っていたのです。宮内の当時(大正9年)のようすがわかる和歌が残っています。「小さなる町にはあれど中空に黒煙りはく煙突いくつ(上野甚作)」 なぜ煙突がいくつもあったのかわかりますか。(「繭をお湯に入れてふやけさせて」の話をしっかり覚えていてくれました。)漆山の製糸工場の写真が残っています。008製糸工場群.jpg当時のにぎわいを伝える文章があります。「朝夕製糸工女の往来繁し、殊に夏の月影涼しく秋葉の峰にかかり、街、紫に暮るる頃家居に急ぐ三千の工女亦当町の一名物たり。」製糸の仕事に従事するのは若い女の人でした。給料もよかったので「女三人いれば蔵が建つ」と言われていたほどでした。宮内小学校のことも書いてあります。「宮内尋常高等小学校は熊野山南麓にありて数年前の改築に係り土地高燥にして校庭の広大なる県下稀に見るべし。」いい環境にあってグラウンドも広いと当時から言われていたのです。

人口、児童数推移.jpg146年間の宮内の人口と小学校の児童数の推移をグラフにしてみました。私の祖父が生まれたのが明治22年(1889)、ちょうどこの頃から人口も児童数も増え始めます。この宮内で製糸業が軌道に乗り出した時期です。そして父が生まれた大正7年(1918)頃から人口の伸びがグンと大きくなります。昭和の初めの世界恐慌(1929)まで、製糸業最隆盛期です。女性の人口が男性の人口を上回るのが大正8年(1919)です。昭和15年(1940)までつづきます。昭和16年(1941)に戦争が始まります。昭和20年(1945)児童数2266名で最高です。なぜかわかりますか。アメリカによる空襲を逃れて都会から子ども達が学校ごと宮内に移って来たのです。「疎開」といいます。(「疎開」の写真をもって行けばよかった疎開児童到着.jpg) 私が生まれたのが昭和22年(1947)、児童数も人口もこの頃がピークでした。私が小学校の頃は1500人でしたが今は343人、実はこの数はちょうど私の祖父が生まれた頃の児童数と同じです。つまり製糸業が軌道に乗り出した時期です。まさにスタートの時期です。今みんなは、スタート台に立っているのです。(つづく)





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