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mespesadoさんによる1億人のための経済講座〈Ⅱ〉(番外編4)「エンゲル係数」の上昇が意味すること [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

たてつづけのmespesadoさんです。「エンゲル係数」の上昇(2016年は1987年以来の高い数字)をどう見るかから始まった議論は、所得が増えても可処分所得は必ずしも増えてはいないこと、その原因を探ると高齢社会化に伴う社会保障費負担の増大の問題、高齢者の介護と医療の問題にたどりつきます。「エンゲル係数」の上昇が意味するところ、満たされた豊かな世の中にあってもなお残る最後の課題がここにあるということでしょうか。問題の本質に迫るすごい議論です。

問題は、介護の仕事が他の仕事に比べて過酷な労働になっているか、あるいは全体の労働人口が減少する中で、介護という人海戦術的な仕事に十分な要員が回せるか、ということにすべてはかかってきます。》

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333:mespesado : 2018/02/04 (Sun) 13:24:29 host:*.itscom.jp
 内容は経済なんですが、ちょっと時事的な話題として「エンゲル係数」の話をしようと思います。もう既にご存知の方がいるかもしれません。エンゲル係数とは、衆知のように、家計の消費支出のうち、飲食費が占める割合のことを言いますが、食費(食糧・水など)は生命維持の関係から(嗜好品に比べて)極端な節約が困難とされることから、一般に、エンゲル係数の値が高いほど生活水準は低いとされています。ところがエンゲル係数は2005年まで低落傾向が続いたものの、以後はゆるやかに上昇、特に2010年代半ばからはそのペースが速まり、2016年には25.8%(2人以上の世帯)と、1987年以来の高い数字を記録しています。こんな状況のもとで、1月31日の参議院予算委員会で、民進党の小川敏夫議員が次のような質問をしました:
 「安倍総理、これは厳然たる事実ですよ。国の行った調査でエンゲル係数が上がっている、国民の生活は苦しくなっている。それがアベノミクスの実質じゃないですか」

 これに対して安倍首相は、エンゲル係数の上昇自体は「ファクト」だと認めつつ、その原因には「物価変動のほか、食生活や生活スタイルの変化が含まれている」と反論し、野田聖子・総務相も、高齢化や共働きの増加など、やはり「豊かさ」以外の要素がエンゲル係数の上昇に関わっているとの認識を示した、ということです。

 ところがここで「事件」が発生します。その翌日2月1日の午前中に、ウィキペディアの「エンゲル係数」の項目が、あるユーザーによって書き換えられたのです。どう書き換えられたのかというと、「値が高いほど生活水準は低い」とする「概要」の項を全面的に改稿して、エンゲル係数の重要性を否定する内容に書き換えるものだったのです。そして誰が書き換えたのかを巡って、twitter上で、アベノミクスに不利な事実だから官邸が書き換えたんじゃないか、などという陰謀論まで出て騒ぎになりました↓
https://twitter.com/HON5437/status/958917363910377472

 その後4時間後には、問題の記述は小説が出典だったということで、もとの記述に戻されたようですが、一時は英語版のエンゲル係数の項目まで書き換えられていたようですが、その記述は日本語版からのGoogle機械翻訳だったというからお笑いです。
【出典】「エンゲル係数」ウィキペディア書き換え合戦 首相答弁直後に...官邸の陰謀説まで
https://www.j-cast.com/2018/02/02320334.html?p=all

 さて、陰謀論はともかく、エンゲル係数の上昇は事実なのか?また事実としたらその原因は何か?ということの方が大事ですが、次のような記事があります:
エンゲル係数、29年ぶり高水準が裏付ける「ニッポン貧困化」のウソ
http://ironna.jp/article/6461?p=1

 これは昨年2017年の5月に配信された記事ですが、筆者の田中秀臣さんによると、アベノミクスの成果を否定したい人たちは、所得が低下したから食費の割合が上昇したのだ、だからアベノミクスで私たちはより貧しくなったのだ、などと言うが、それは誤りであり、日本人一人当たりの生活水準を考えると2012年の一人当たり実質国内総生産(GDP)は390万円だったが、16年にはこれが410万円超にまで拡大しており、2017年は国際機関の推計では420万円を超えそうであり、一人当たりの所得水準は上昇している、と指摘します(mespesado注:この指摘はかなり不正確なので補足しますと、まずエンゲル係数の分母は家計の所得じゃなくて家計の消費です。所得は確かに増えていますが、エンゲル係数の分母となる消費は増えも減りもしていない、というのが正確な表現です)。
 そして筆者が指摘するエンゲル係数上昇の原因は「人口の高齢化」なのだそうです。つまり高齢者になると、若い頃のようなおしゃれ、交際にオカネを使うことが少なくなるから必然的に消費に占める食費の割合が多くなる、そこに人口の高齢化が加われば、このような結果は必然だ、というのです。
 田中さんはアベノミクス批判の誤りを指摘しようとしてこの記事を書いているようですが、それではこの田中さん自身の説は正しいのでしょうか?
 この話題をデータによってきちんと解析した記事があります:
エンゲル係数の推移をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2017年)(最新)
http://www.garbagenews.net/archives/2045697.html

 引用先の最初のグラフを見ればわかるように、確かに2014年ごろからエンゲル係数は急上昇を始めています。そして、この記事の筆者は、その原因を食品の価格上昇と高齢化に求めています。
 まず引用先2番目のグラフ「消費者物価指数動向」によれば、全体の消費者物価指数(青線)は2014年度からほぼ横ばい、光熱費(緑線)に至っては逆に急低下しており、一人食品の物価指数(赤線)だけが2013年度から上昇してきています。
 では高齢化の影響はどうなのかというと、引用先3番目のグラフ「世帯主の年齢階層別エンゲル係数の推移」からわかるように、確かに高齢者ほどエンゲル係数は高くなっていますから、高齢化が一つの要因であることは間違いありません。ですが、逆に年齢階層別に推移を追うことができたことによって、どの年齢階層でも2014年からエンゲル係数が急上昇していることがわかります。
 ですから、この上昇の原因は高齢化とは関係ないので、最初の田中さんの仮説は成り立っていないことが判明します。
 では、高齢化以外の理由は食品の価格上昇だけが原因でしょうか?ガベージ・ニュースの方は、それ以外に「惣菜などの加工食品、いわゆる自炊と外食の中間の『中食』」の利用が増えてきたことが食費の上昇にかかわって来ていることを指摘します。これについてはNHKの WEB NEWS でも指摘しています:
https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0217.html

 そして、円安の影響で輸入物価が高騰していることや夏の長雨の影響による農作物の不作などで食費が上昇していること、共働き世帯の増加による惣菜需要の増加に言及したのち、
> 低成長が続く日本経済。その大きな原因は個人消費の伸び悩みです。収
> 入が増えず消費にまわす余裕がない人もいれば、収入は増えても将来不
> 安や欲しいものがないなどの理由でお金を使わない人もいます。その中
> にあって、お総菜や外食の需要は、共働きや高齢者の増加にあわせて今
> 後も増え続けていく可能性があります。エンゲル係数上昇の背景をひも
> といていけば、消費回復につながるヒントが見えてくるかもしれません。
と結んでいます。
 これらの記事を読んで思うことは、安倍憎しでアベノミクス批判のためのネタ探しに情熱を懸けるよりも、現状を正しく分析し、どこに真の問題があって、事態を改善するにはどこをどうすれば効果的か、ということを考える方がはるかに有意義だし、また遥かにストレスフリーな生活が送れるのにな、ということです。
334:mespesado : 2018/02/04 (Sun) 14:39:02 host:*.itscom.jp
 前稿で2番目に参照した「ガベージ・ニュース」は、政府機関が正式に公表したデータに基づいた記事がたびたび配信されるので、客観的な議論が好きな人間にはなかなか楽しいニュースメディアです。
 そこで今度は「所得」に関する記事を見つけたので、その話をします。
 反アベノミクスの人たちは、安倍政権によって景気が改善したというけれど、自分は一向に生活が豊かになったという実感が無い、と不平を言います。
 これに対して私が経済本の書評にかこつけて指摘してきた事実によれば、そうは言うけど、現実の経済指標である雇用(失業率)や正規社員の増加、給与のアップは動かぬ事実でっせ~、ということでした。そして、但し書きとして、世帯の収入は増えているにもかかわらず、消費は増えも減りもしていないので、これが景気改善を実感できない原因ではないか、と言外に示唆してきたことでもあります。
 では、収入が増加したにもかかわらず、なぜ消費は増えないのでしょうか?
 これを私自身が「なるほど!」と実感できた記事があります。それが「ガベージ・ニュース」の次の記事です:
収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2017年)(最新) 
http://www.garbagenews.net/archives/2045729.html

 まずは「勤労者世帯(=勤め人がいる世帯)」における収入の推移がどうなっているか、という分析です。
 「勤労者世帯」の厳密な定義は、「世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯のことを意味し、役員や個人経営者、農林漁業従事者、自由業者、そして無職(年金生活者など)などは含まない。」というものです。
 では、まず最初にこの勤労者世帯の「実収入(いわゆる税込み収入)」とその内訳である「可処分所得」と「非消費支出(税金、社会保険など)」の推移のグラフを見てみましょう(参照先の最初のグラフ)。
 なんと、国民全体で見ると2015年あたりから所得は増え始めた、と述べたのに、勤労世帯に限って言えば、安倍政権に変わった2012年以降はずっと横ばいで、2016年に至っては微減となっています!
 ただし、誰がが指摘していたように、日本は年功序列賃金ですから、雇用が改善されて、新卒者の雇用が増えると全体の賃金水準は下がりますから、年齢構成の要素を加味して考えなくてはいけません。
 そこで、総務省統計局が発表した2016年の「家計調査報告」を見てみましょう:
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gk00.pdf

 参照先のレポートの24ページに「図Ⅱ-1-2」として、世帯主の年齢階層別の可処分所得と対前年増減率のグラフが出ています。
 これによると、50~59歳については可処分所得も多く(これは年功序列から考えると当然ですが)、対前年増減率で見ると、この年代のみがプラスで、それ以外がマイナスになっていることがわかります。
 日本では、今でも家計を預かるのは主に主婦でしょうから、例の安倍政権の不支持率が、30代、40代の女性で支持率を上回ったという記事も、実はこんな事実と連動しているのかな、と考えると非常に納得できますね。
 さて、最初のガベージ・ニュースの記事に戻り、当記事が次に問題としているのは、実収入から可処分所得を差し引いた「非消費支出」の推移です。
 これは最初の参照先の2番目のグラフで見ることができますが、まあ、縦軸のスケールの原点がゼロでないので少し誇張されてはいますが、2005年あたりからは一貫して上昇しています。そして更に内訳として「税金」と「社会保障費」に分けてトレンドを見たのが次の3番目のグラフです。
 税金の伸びは、直接税だけなので消費税は含んでいないのがややインチキですが、この直接税に比べても、社会保障費の伸びの方が上回っています。
 記事ではこの社会保障費の増加が人口の高齢化による高齢者医療の増加を支えるためという原因分析を行っていますが、それだと何となく「それじゃあしょうがないな」と諦めてしまいそうですが、そこで思考停止していてはイケマセン。
 オカネで考えると思考はそれ以上先に進めませんが、例によってオカネを消去してものごとを眺めて見ましょう。
 高齢者が増えることによる国民のモノやサービスにおける負担とは何でしょう?
 結局は高齢者の医療と介護の問題に尽きますよね。だって、通常の衣食住は、日本では有り余るほど供給されているんですから。
 では医療についてはどうかというと、治療薬が必要とかいったって、その原料が希少だとか合成に膨大な作業が必要ってことはないんですから、薬品の供給に問題があるわけじゃありませんよね。
 ということは、病院・在宅にかかわらず、「介護・看病」の人手が足りるかどうか、という問題に尽きると思います。これに対して介護給付の引き下げだ何だといって人件費の問題として考えるとまたややこしくなります。だって人件費が安くて人が集まらないってだけならオカネなんて刷って渡せばよいので本質的な問題じゃないんですから。
 問題は、介護の仕事が他の仕事に比べて過酷な労働になっているか、あるいは全体の労働人口が減少する中で、介護という人海戦術的な仕事に十分な要員が回せるか、ということにすべてはかかってきます。もしそれが足りないならどこを機械化するか、という問題が次に来ます。介護が人間としての尊厳というデリケートな問題を抱えている以上、「切符の改札の自動化」とか「宅配のドローン配達や自動運転車化」の延長線上の発想である「介護ロボット」の開発の問題で済むというような単純な問題では済まなそうです。
 政治家には、ぜひともその辺を頭を使って(自分で考える必要は無く、民間にアイデアを出させる仕組みを考える、というのでもよいし、むしろそっちの方が有意義)政策を考えてもらいたいものです。

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めい

「満たされた豊かな世の中にあってもなお残る最後の課題」に日々直面する介護の現場からの発言です。副島隆彦氏の「重掲板」で、これまで軽く読み流してきたのですが、mesさんのこのたびの結論にあらためて引っ張り出してみました。http://www.snsi.jp/bbs/page/1/

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[2165]今こそ姥捨山の復活を
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-07-26 16:19:23
このタイトルの由来は、今回は言わない。私の職業、介護の本質を言う。それは「医療の尻拭い」「医療の奴隷」だ。去年の障害者施設の大量殺人やら、ボケ老人施設の虐待事件の類は、今後も続くだろうが、その根底にあるのは、介護という過酷な仕事ゆえのストレス、なんてものだけでなく(介護とは、土方仕事だ。これが介護業の、もうひとつの本質だ)、医療従事者側の、自分達が到底出来ない無茶な汚れ仕事を介護業に押し付けて知らん顔をしている、この事を、よく覚えておいて頂きたい。

[2166]今こそ姥捨山の復活を 2
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-07-31 01:15:43
医療サイドが、介護業に無茶を押し付け、知らん顔をしている(全部介護業のせいにしている)一例を挙げる。老人は、本当に、食べない。食ベたいという自然の本能が、消滅している。という事は、もうお迎えが近い、という事だから、食べないままにして、静かにその時を待っていれば良い。しかし、これを現代日本社会は「介護放棄」「老人虐待」と言う。だから、医療サイド(医者や看護師)は、食べない老人に「食事介助しろ(食べさせろ)」と言う。どうしても食べたがらない老人に、介護士が食べさせているのを医療従事者達が見て「無理矢理食べさせている」「虐待だ」「利用者(介護サービスを受けている人の事)を、人間扱いしていない。物として扱っていると言う(笑)。

[2169]今こそ姥捨山の復活を 3
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-08-03 06:39:19
・・・狂暴なボケ老人達が、面会に来た家族の前ではおとなしい、という現象が、しばしば見られる。これは、介護の現場で働く者は、みんな知っている。で、みんな言う「ボケたふりしてんじゃないの?」と。以前、女優の、故高峰秀子が、ボケたとばかり信じこんでいた養母が、実はボケたふりをしていた事がある時分かり、この時程、養母を憎いと思った事は無い、と書いていた(高峰秀子は、日本の歴史上、名子役から大女優になった、稀有な女優として名高い。高峰秀子には、子役時代から養母がステ-ジママとして張り付き、この養母との愛憎関係は有名)。私も、80とかまで生きたら、都合が悪くなったら、ボケたふりをするだろうな―と思う。老人の特権だ。多分ボケ老人ならぬボケたふり老人の数は、相当だろう(彼らも、国からのカネで生きている)。

[2173]今こそ姥捨山の復活を 4
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-08-14 07:04:28
2169で(彼らも、国からのカネで生きている)と書いたが「ボケた親の為に、私はいくら払ってると思ってんだ、ふざけるな!」と怒る人もいるかもしれない(勿論、国からのカネ、だけで生きている、とは言っていない)。で『ボケた親の為に子が出すカネ』について。介護保険施設というものは3種類ある。私の勤め先は、この介護保険施設の一つ、介護療養型医療型施設だが(老人病院と呼ばれてきたのは、この医療型施設である。実体は老人ホ―ムだが、病院と呼び、住んでいる人達の事も、老人ホ―ムのように利用者ではなく、患者と呼んでいる。病人でもない、ただの老衰した老人を患者と呼ぶ事が、私は物凄く嫌だが。介護保険制度施行前は、病人でもないボケ老人が、受け入れ先がなく、病院に居座る、という事が多かった。これを業界用語で、社会的入院と呼ぶ。医療型施設は、この社会的入院の名残りだ。病院と老人ホ―ムのあいの子のような中途半端な施設だから、もう何年も前から、国は、医療型施設は廃止すると言って、廃止の時期は、延び延びになっている)、かつては、10年以上入院している、などという人が、珍しくなかった。1ヶ月の入院費は、15万円どころではない。そんな大金を払える人など、その辺にいるわけがない。入院している本人の年金と、介護保険と、あとは家族の負担だろうが「かかったカネは、1千万以上です」と言った家族がいたそうだ。家一軒立つくらいの金額が、軽くかかるだろう。恐るべき無駄遣いだ(これでも安楽死、いや、自然死を否定するのか)。去年の障害者施設の大量殺人から一年たったとかで、その関連の報道で、殺された障害者の中に、姉だか兄だかがいた、という人が、犯人に面会した、という記事を朝日新聞で見たが、その遺族が犯人に「姉は職員さんに迷惑もかけていないのに、何で殺したんだ」と言ったら、犯人は何も答えなかった、と出ていた。私ははっきり言う「職員に迷惑をかけるような人間ではないと言うなら、何であなた、自分で面倒見ないのよ」綺麗事を言って救われる人は、一人もいない。

[2178]今こそ姥捨山の復活を 5
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-08-20 04:45:31
癌は、放っておくと死に至る病、というのは大噓だ。高齢者は、癌になっても死なない。この恐ろしい事実は、業界の人間なら、皆知っている。私は職場の介護施設で、癌にも関わらず、平気で何年も生きていた人を、何人も見ている。体が鈍い高齢者は不死身なのだ、癌になったって死ねない(こういう高齢者の死因は癌などではなく、ただの老衰だ。でも正直に老衰などと言っても、家族が納得しない、世間が納得しないから、医者は、肺炎などと適当な病名を付ける)。だから80過ぎた高齢者が手術を受けたばっかりに、手術の負担に耐えられず、寝たきり老人になって、介護施設に来る羽目になる、というのが珍しくない。「寝たきり老人」という言葉の実体を、業界外の人は知らない。意識もなく、体だけが生きている状態(ドデ―ンと寝っ転がった、カチカチに固まって変形した体。これが、介護側がいくら工夫しても、どんどん進行していく)に、経管栄養なるものを、日々、鼻チユ―ブか、胃ろうから流されて生かされる。

[2184]今こそ姥捨山の復活を 6
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-09-02 22:46:23
業界用語で『便こね』という言葉がある。ボケ老人は、自分のオムツをいじって、そこいらじゅうクソまみれにする事が珍しくない(その後始末をするのは、介護士である。後始末をするだけでは無い、後始末する為には、暴れ回る老人を、取り押さえなければならない。だから、介護士は、生傷が絶えない。だからといって、労災など下りない。そんなの当たり前、である。そして殆どのボケ老人の家族は「うちのお母さんは暴力なんて振るわない、介護士が虐待しているから、そういうことをするんだ」という発想をする)。自分のクソを食べるボケ老人を「あんな汚い事してて、よく病気にならないわね」と介護士仲間みんなが言うので「何言ってんのよ、みんな同じだよ。結婚してる人は、日常的に、あそこ舐めたりしてんでしょう、でも病気にならないじゃない」と言ったら、みんなニヤニヤして黙った(笑)。

[2187]今こそ姥捨山の復活を 7
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-09-17 01:55:53
今更だが、現職の介護福祉士の私が、こういう発言をするのは、下手をすれば措置入院ものの、物凄くヤバい事だ。こんな危険な言論を公表させて下さる人は、日本にただ一人、副島先生だけだ。感謝の念に堪えない。
人間の原型をとどめていないような、無残な寝たきり老人になっても、ボケ老人になっても、生きていて欲しいと何故思う家族が多くいるか?その理由は『カネ』だ。戦争に行って死んだ人の妻やら、子供やらは、戦後72年たった今も、その年金を貰っている。そうした年代の人達が、寝たきり老人、ボケ老人になって、たくさん生きている。正直な家族は、はっきり言う。だから死んで欲しくないんです、と。

[2204]今こそ姥捨山の復活を 8
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-10-18 05:03:08
羽田敦子さんの投稿を読み(と言っても、投稿の内容とは関係ない事を書かせて頂くが)、羽田孜氏死去の報を新聞で見た時、死因が『老衰』となっていたので「!?」となった。その後、亡くなった場所が、病院ではなく自宅だったと知り、ああ、だからか、と思った。『2178今こそ姥捨山の復活を5』で、高齢者の死因は大抵老衰だが、そう言っても家族が納得しない、世間が納得しないから、医者は肺炎などと、適当な病名を付ける、という旨を書いたが、羽田孜氏には、私は殆ど興味は無かったが、その死に様は見事だと思った。
所で、私は職場(老人施設)の、ある種の人を「老人性依存症」と呼んでいる。成人病を生活習慣病、と病名変更した人は、故日野原某氏だそうだが、認知症も、私が作った「老人性依存症」に、病名変更すべきだ。こういう事を言うと、医療関係者は「介護福祉士ごときが偉そうに何を言う」というかね。

[2221]今こそ姥捨山の復活を 9
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-11-27 21:43:34
藤森かよこ先生が、施設が老人を寝たきりにさせているのは、そのほうが管理しやすいからだ、という旨を述べておられたが、はっきり言うが、世間知らずのインテリに、こういう知ったかぶりをされるのは、現場の人間として、もの凄く迷惑だ。『寝たきりにさせている』のでは無い『最初から寝たきり状態』で、入所して来るんですよ(笑)。人間は、生物学的に言って、110歳以上は生きない、という話を聞いた事がある。どんなに丈夫な人でも、死なない人はいない。「金さえ払えば健康だって買える」というのは大噓だ。もっと正確に言うと「金さえ払えば健康にしてもらえる」なんて安易な事は存在しない。マスコミや、現場を知らない知識人の言う事を鵜呑みにしているのか、100近い婆さん、爺さんをつかまえて「うちのお父さん、お母さんは、施設の都合で寝たきりにさせられている」と言う愚かな家族が後を絶たない。100近い寝たきり老人が、本当は元気になれる筈なのに、施設が努力していない、などとオメデタイ事を考えている。どこまで他人のせいにすれば気が済むのか。以前、職場の上司に「病院も、病人は嫌なんですよね」と言った。上司は、笑って頷いた。

[2226]今こそ姥捨山の復活を おまけ
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-12-03 01:50:28
磯貝氏に、簡潔に答える。私が2221で批判した「施設が老人を寝たきりにさせているのは、そのほうが管理しやすいからだ」発言の出所は、学問道場のLINK集の『藤森かよこの日本アイン・ランド研究会』の『藤森かよこの日々の雑感ブログ』中の『私が買って良かったもの17ノルデイツクウオ―キングのポ―ル』である。私は以前、2120、2125『ママチヤリ(バカ親)を法律で処罰しろ』という投書をしたが、無名の一般人のやる事だろうが、無名の知識人の言う事だろうが、総理大臣の言う事だろうが、等しく、批判の対象になり得る。
磯貝氏は、私の「現場を知らない世間知らずのインテリに、こういう知ったかぶりをされるのは、現場の人間として、もの凄く迷惑だ」という言葉にムツとされたようだが、この事に、私は会心の笑みを浮かべた。私の狙いは、それである。

[2249]今こそ姥捨山の復活を 10
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2017-12-30 20:56:42
藤森かよこ先生の『施設が老人を寝たきりにさせているのは、その方が管理しやすいから』発言に関する話を、続けて、例として、取り上げさせて頂く。
『施設が老人を云々』の伏線として「隣の奥さんは、元体育の先生である。週に1回老人施設に行き、体操の指導をなさっている。ところが入居者が、どんどん元気がなくなっていく(略)何とかならないものだろうかと思うのですがと、隣の奥さんは悩ましげに語る」という話を、藤森先生はお書きになっている。はっきり言うが、この「隣の奥さん」のような、たまに老人施設に来て、短時間、ラクな仕事をしている人種というのが、一番タチが悪い。この程度で「私は介護の現場を知っている」と思い上がって「何とかならないものだろうかと思うのですが」などとカツコつけた、偽善的な事を言う。なぁにが「悩ましげ」だ、ふざけるな(私は本当に、怒りのあまり、こう書いていて息が上がってくる)。この『週1回老人施設に行き、体操の指導をなさっている元体育の先生』が、その老人施設に介護士として就職して、毎日8時間、夜勤で16時間、老人介護の現場で働けば「何とかならない」理由が、いやというほど分かります。シモーヌ・グエーユ(ウに、点々のカタカナが出ないので失礼)という学者は、労働者を本当に理解したいと、現実に工場労働や、農作業をした人だそうだが(それだって、所詮インテリが、上から降りて来てやった事だろうが)シモーヌさんを見習って、どうぞ是非、介護の仕事を、毎日8時間、夜勤で16時間、して下さい。でなきゃどうせ、こういう人は、理解出来ないんだから。以前働いていた特養(特別養護老人ホームの略)に、民生委員というのが来ているのを見たことがある。それが施設の老人と話しているのを見て「あんな人がたまに来て、ボケ老人と話して、何が分かるのかしらね」と、介護士仲間でせせら笑った。そして、こういう「たまに来て、ラクな仕事して帰って、それだけで、現場を知っている」とカン違いしている方々なんですね「介護士が老人を虐待している」とカン違いしている方々も。

[2266]俗ニーチエについて 付記 続き
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2018-01-27 00:21:14
・・・「どんな仕事にも職業病があり、皆、それにやられる」という、最近副島先生が度々仰っている事が身につまされる状態に「私ですら」今ある。介護士は、老若男女を問わず皆、この激しい肉体労働で、体がボロボロになる。それでも生活の為、こんな劣悪な仕事でも、やっていかなければならない。こんな仕事で食べて行くしか能の無い連中の集まりだ(はっきり言う)。モデルの誰かが「健康と美容に欠かせないのは、睡眠と食事と運動」と言ってたが、これは本当だ。でも,これを3つ全部満たすのは、仕事してたら不可能だ。それでも私は、若い時から、3つのうちの「食事と運動」は日々努力して、ハタが驚くほど、ストイックな生活をしてきた。病院にも薬にも、一切頼らなかった。そのおかげで、風邪すら滅多にひかない丈夫さを誇って来た。体の不調があっても、全て自然治癒してきた。それが、去年の6月から、突然、もう半年以上、全身にブツブツが出て消えない。本当を言えば、7年前から、時々全身にブツブツが出るようになったが、これまでは、自然に消えていた。しかし今回は、いつまでたっても消えない。で、とうとう皮膚科に先日行ったが、診断は案の定「原因不明(笑)」。自分で、分かる「これが更年期障害だ」と「そういえば死んだ母親も、私くらいの年に、突然、顎にブツブツ出来ていた」。自分のブツブツを見て、思春期の、赤く爛れたひどいニキビにそっくりだ、と思う(ニキビはかゆくないしね。私のブツブツもかゆくはない)。ニキビの原因は、ホルモンバランスの乱れだから、私のも、それと同じ、という事だ。今年50になる今まで、自分で、私は不死身じゃないかと思うくらいタフだったのに、である。そしてこれは、更年期障害であると同時に「とうとう私にも職業病が出た」だろう。介護という過酷な肉体労働ではなく、もっと肉体的にラクな仕事をして今まで生きて来ていたら、こんなブツブツに苦しめられる事は、なかったかもしれない。

[2271]今こそ姥捨山の復活を12
投稿者:8067浅川京華
投稿日:2018-02-05 21:41:26
・・・ある職場の暴力ボケ婆さんに「この生ゴミ」と言ったら、同僚が「よくこの仕事やってるよね」と言ったので「あなたに言われたくないね、自分の仕事を『私のやっている事は素晴らしい』なんて思ってる人間なんていないよ」と言った。で「本当にそうだな」と自分で思った(自分の仕事を『私のやっている事は素晴らしい』と思ってる人間に、ロクな奴はいない)。所で『ボケ』『痴呆』という言葉は、実は、今は使用禁止である。平成27年より『人間の尊厳』の見地より『ボケ』『痴呆』は『認知症』と、正式に名称変更したそうである(笑)。人間は、自力で排泄出来なくなった時点で、普通の意味での『人間の尊厳』など保てない。以前、、認知症という言葉はおかしいですね、との指摘を受けたが、その通り、意味不明である。『ボケ』『痴呆』(更に昔は『耄碌』と言っていた)私が作った『老人性依存症』、これらの言葉こそが的確だ。つまらない誤魔化しなんぞするな、そんなものは何の役にも立たない,だ。
by めい (2018-02-07 07:55) 

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