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安倍さん自身も気づいていない、「瓢箪から駒」の現状日本 [現状把握]

「国家資本主義」のコメント欄にメモったのですが、ものすごく大事なところなので記事にしておきます。熟読玩味必須の内容です。
(以下、コメント欄より)
mespesadoさんの議論に納得です。「政治制度」と「経済制度」の原理的なちがいを根底に、日本の現状が見事に解き明かされています。
   *   *   *   *   *
277:mespesado : 2017/07/23 (Sun) 14:16:35 host:*.itscom.jp
 水野和夫さんの本を読んで自分なりにいろいろ考えてわかったこと
があります。それは
 ~「政治制度」はある日突然、人工的に激変させて、それが定着す
   ることがありうるが、「経済制度」については人工的な激変が
   定着することは無く、必ず失敗する。~
という原理です。
 政治制度の激変というのは、大きなスケールのもので言えば、古代
における王朝の交代、近代における封建主義から民主主義への移行の
ような、主権者の変更や、議会政治、政党政治の導入、選挙制度の変
更(中選挙区から小選挙区への変更など)のような細かなものまであ
りますが、いずれもある日突然、人工的に変更したものがそのまま定
着しています。
 これに対し、経済制度の変更というのは資本主義の貧富の格差を解
消しようとして導入した共産主義とか、高度成長が行き詰ってそれを
既得権益者のせいだとみなして徹底的なな規制緩和による新自由主義
を採用するなどの変更のことです。これらはいずれも「予期しなかっ
た」副作用があまりにも強すぎたために世界の趨勢からは失敗とみな
され、流行らなくなってしまいました。
 これは、政治制度の変更の場合は、見かけ上の激変にもかかわらず、
「国家の長」が必ずいて、実際に政治をやっているのは「国家の長」
の周りにいる「政治の専門家達」すなわち「政権」であり、国民の要
望は、それが「政権」がそれを尤もなものと判断すれば、その意見が
聞き入れられて、その結果が政治に反映する、という点では、古代王
政であろうが専制政治であろうが立憲君主制であろうが民主主義であ
ろうが実態としてはほとんど変わらないからです。
 ところが経済制度の変更というのはカネまわりの欲望に関する人間
の心理というか、人間の性(さが)というようなものに引っ張られ、
学者が考えているように都合よく世の中が回ることはまずないからで
す。
 水野さんが、最近のインタビュー記事:
「世界は閉じた地域帝国に再編、経済成長は終わる」水野和夫氏に聞く
http://diamond.jp/articles/-/135740
において、
> 資本主義経済が、グローバル化のもとで行き着くところまで行って
> しまったということでしょう。資本主義というのは資本が自己増殖
> していく。常に利潤を求めて、植民地支配をしたり、消費者の欲望
> を刺激して新商品を売ったりといったことをしながら新たな市場を
> 開拓してきた。「実物投資空間」(実物経済)での「拡大」が難し
> くなると、90年代からはITや金融というバーチャルな「電子・金
> 融空間」へと向かってきた。しかし、それも「リーマンショック」
> によって限界が見えました。
>  金利がゼロという状況は、常に利潤を得て資本を増やさなければ
> ならない事業家や企業経営者、そして投資家などにとってはゆゆし
> き事態です。しかし、無限に財産を増やす必要はない一般の人々の
> 生活には支障はない。むしろ、金利がゼロというのは、欲しい商品
> やサービスがもうなくなったというぐらいに、みんなの欲望が満た
> された状態と考えてもいいのではないでしょうか。
>  今の日本はどちらかというと、まだグローバル化や自由貿易、成
> 長戦略といった「拡張」を志向する層が多い。それで頑張るのはい
> いのですが、現実は拡張を志向すればするほど悪くなっています。
と述べているのは、現状分析と理論的な考察からすれば、確かに全く正
しい分析だと思います。そして、冒頭付近の
> ほとんど成長のない「定常経済」に落ち着いていくということです。
という結論も必然的に出てくることになります。ところが、ここから
> 「定常経済」と言われる利潤や成長を求めない経済では、市場は、
> 資本の利潤を生む場ではなく、単純に資本やモノを交換する機能だ
> けでいいと思います。地域で得られる原材料や食材などをもとにし
> た生産品や、地域の労働力を使ったサービスをその地域で提供して、
> それで得た所得を地域で消費する循環型の経済を目指すことが重要
> なのです。
と述べているのは「新しい経済システムへの変更の提案」ですが、それ
を人為的に行おうとしても、先述引用部分にあるとおり
>  今の日本はどちらかというと、まだグローバル化や自由貿易、成
> 長戦略といった「拡張」を志向する層が多い。
というのが日本人(だけでないと思いますが)の人間心理だと思うので、
それに反したことを目指そうとしても、うまくいくはずがないと思いま
す。ではどうするか。
 現在の政権は年金ファンドを株に突っ込んでいますが、そもそもこれ
は株価が経済の指標だから、その株価を維持するためのPKO(Price 
Keeping Operation)のつもりでカネを突っ込んだだけだったはずです
が、結果として多くの企業の大株主になり、期せずして「国家資本主義」
を実施できてしまったわけです。まさに「瓢箪から駒」です。
 しかも、そもそも「株価が経済の指標である」というのは高度成長の
供給不足の時代の話であって、今のような供給過剰な時代には株自体が
本来のインフラの構築に必要なものとしての意味を失いつつあるわけで
すから、本来の「経済の指標」ではありえない。つまり二重の意味で偶
然うまく行っている、というのが安倍政権における経済施策なのではな
いでしょうか。
 私は、現政権での経済政策がこのような期せずして偶然うまく行って
しまうのは、やはり根底に何らかの「必然」があるからだ、と思ってい
ます。
 それは、今の政権が、清和会のメンバーであってかつ愛国保守の政権
であるがゆえに「すべての政策の選択は、(拡大志向という人間の本能
に基づいた企画立案能力が日本人より優れている)米国ネオコンの要求
に基づいたものであり、かつその要求を最大限日本の国益に適うように
改変して実施している」からこそ「うまくいく」のだと思っています。
 こういった経済政策は、経済学者を含む理想主義者にとっては現実と
の妥協が激しすぎて受け入れ難いとは思いますが、現実の政治でうまく
行くのは、むしろこういった人間の本性に基づいたものなのではないか、
と今では思うようになりました。そして日本人の「企画立案能力」の低
さとそれを米国に依存している残念さも改めて思い知るようになりまし
た。
   *   *   *   *   *
《現在の政権は年金ファンドを株に突っ込んでいますが、そもそもこれ
は株価が経済の指標だから、その株価を維持するためのPKO(Price 
Keeping Operation)のつもりでカネを突っ込んだだけだったはずです
が、結果として多くの企業の大株主になり、期せずして「国家資本主義」
を実施できてしまったわけです。まさに「瓢箪から駒」です。》
「瓢箪から駒」なのでだれも気づかない。「てげてげ」「放知技板」以外は。実は安倍さん自身も気づいていない。
 ↓今朝の「てげてげ」です。http://grnba.com/iiyama/index.html#aa07231
   *   *   *   *   *
◆2017/07/23(日)  世界も日本も大きく変わる! が…
99%は大変化が見えない
トヨタがエンジンやデフを↓作らなくなる日
クルマの概念が↓様変わりし,世界を変える
中国のEV(電気自動車)化は↓世界を変える
日本は,いま,国家として,巨大な変貌を(安倍晋三の主導で)遂げつつある.
①米国戦争屋を官邸から追い出し ②官僚支配を官邸主導型の政治構造に切り替え ③「フのホ」をロシアと協同で鎮圧する協定を結び ④ロシアおよびEUと緊密な経済協定を結んで巨大な経済圏(アベノ・フロンティア)の成立を目指し ⑤アメリカの内需復興とインフラ整備にも資本参加を開始した ⑥日本経済もアベノミクスによって順調に拡大の一途だ.
ところが,これほどの↑大変化なのに,キチンと論じているのは『てげてげ』と『放知技』と『亀さんのブログ』ぐらい.
ブログの大半は,「安倍晋三憎し!」を書きまくるだけの狂気.
世の中.99%は大変化が見えないのだ.
今回,中国政府はEVなど環境負荷が低い車を「新エネルギー車」と定義し,18年以降に自動車メーカーに一定規模の生産を義務付ける方針を示した.
中国主導のEV化により,クルマからエンジン,ミッション,デファレンシャルが消える.これで産業構造は大変化する.
街からガソリンスタンドが消えるだけではない.中東の油田が消える可能性もあるのだ.
暖房は,太陽熱とロシアの天然ガスだけで充分だからだ.
とにかく今後,世界は大きく変ってゆく! 間違いない.
世界の大変化を大きくリードするのは,先ずは日本だ!
クルマのEV化,ロボット,AI(人工知能),IoT(モノのインターネット,Internet of Things),緻密で丁寧な製造技術…,どれも日本の独壇場だ.
だっから,ハッキリ言っておく.日本の未来は明るい!と.
ただし,向上心がなく,いつも不満タラタラの人間は,負け組.
あ,向上心=自己研鑽のほかに,明るさと元気は,絶対必要!
飯山の爺さんみたいに無駄に元気なのも良し悪しだが脳www
                   飯山 一郎 (71)

 

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めい

猿都瑠さんのいい文章です。
http://grnba.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16155707

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290:猿都瑠 : 2017/07/24 (Mon) 14:47:58 host:*.au-net.ne.jp
今の状況を変えたい。そう願う場合どうするのか。
現状に甘んじて、誰かが何かを変えるまで待っているのか。
それとも自分で変えようと行動をするのか。

今の政治に対する考え方でそれが簡単に判ります。
前者は、安倍晋三が悪い。とにかく安倍政権を崩壊させたい。
以前なら政治を変えたい、日本を変えたい。
その為には自分が政治家になって日本を変えて見せると言っていた筈です。
ところが今ではどうでしょうか。
曲がりなりにも自分達で選んだ政治家を卑怯かつどんな手段をも選ばず、執拗に疑惑追求で引き摺り下ろそうとしている。
政治家が自分達の願いを叶えないなら何をしても良い、不要だと言っている。
最近では安倍晋三以外なら誰でも良い。そうすれば日本が良くなると言ってる連中が居るそうです。
もし安倍晋三時代より悪化する事がある、そうとは考えていません。
安倍晋三が最悪なんだ、それ以下は無いと。
これは安倍退陣の後は誰がやっても同じって事ですよ。
日本の未来に対するヴィジョン1つ自分達で考えられない事を自白している。

つまり自分自身の未来をどうしたいのか。
その目的すら描けていない。
だから政治家は誰がやっても同じ、そんな結果を求めているんですね。

要は自分の未来を誰かが汗水垂らしてレールを敷いて、楽に不満なく人生を送りたい。
自分は真っ平御免ですけどね。

ここでもそうでしょ?
飯山一郎が自分達の未来を導かないと不満を漏らしてる訳でしょ?
人間腹が立つって事は、大体が自分の思い通りに他人が行動しないからなんですよ。
自分に腹が立つ、他人は関係ないって態度は真のプロフェッショナルだけです。

飯山先生は世の中の仕組みが、日本の統治機構が変わりつつあると言ってるだけです。
何度も繰り返していますが、戦後70年のアメリカ支配から簡単に脱け出せると思ってる方がおかしい。
散々書かれている筈なのに、どうやってその結論に辿り着いたのか。
それを自分自身の頭で考えていないと思います。
飯山先生がヒントを与えているのに、答えだけを求めていますよね。
自分がどうしたいのかも分からないのに答えが出る筈が無いじゃないですか。

それに答えを知る以上に、答えに至る過程が重要なんですよ。
政治は過程がどうでも良く、結果が全てですから真逆なんです。

今ある環境を変えたいなら、もがき苦しむ事です。
殆んどの方々が他人に見せていないだけで、みんなそうですから。

まずは安倍政権によってどうやって変わって行ってるのかの過程を読んでいって下さい。
劇的に効果が出て欲しいとは思ってるのでしょうが、そんな物は強烈な副作用がある薬物か毒物しかありません。
それが許されるのは政治の世界においてのみです。
そして見事に強烈な副作用や毒が充満してるじゃないですか。

国家の元首や指導者によって世の中は変わっていく。
自分に変える力がないなら、その潮流に乗って生きていく。
不満や不平を言う前に環境の変化に順応する最適解を求める。
そうやって人類は進化してきたのですから。

by めい (2017-07-25 02:57) 

めい

現状日本をどう理解するか。飯山一郎氏とmespesadoさんの答え。
http://grnba.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16155707

   *   *   *   *   *

283:mikionz: 2017/07/24 (Mon) 09:28:35 host:103.26.196.126
飯山一郎様、
「だっから,ハッキリ言っておく.日本の未来は明るい!と」
私もそう思いたいです。しかし外から日本を見ていると、少なくとも日本に住む人々の生活は苛斂誅求によりどん底で、さらに沈みつつあるようにしか見えません(前にも書きましたが、日本よりマレーシアの方でがずっと余裕のある暮らしができます。日本人にできる仕事も沢山あります。語学力も中学程度の英語力があればOKです)。
次の記事の中に引用された中国共青団のコメントによれば、日本は「前途の希望がまったくない(国)」になっています。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50460
中国において親日本的な姿勢が強いこの団体ですら日本に対してこのような認識です。
私も、本当に日本の未来が明るくあってほしいです。いつになったら日本での生活は上向きになるのでしょうか。とりわけ地方に住む人々の生活です。

◉飯山一郎氏の答え

293:飯山一郎 : 2017/07/24 (Mon) 19:43:02 host:*.dion.ne.jp
>>283
mikionzさんは,考え方・ものの見方が相変わらず暗くて後ろ向きですな.
昨年,中国の東営市に私を訪ねて来た以降も,mikionzさんは,♡えりりん♡と一緒になって,ブツブツと文句ばかり言っていた.
♡えりりん♡夫妻の部屋は,(一時的な理由で)6階でしたが,エアコンから内装や家具一式まで全て無料で用意してあげた.
だから,♡えりりん♡夫妻も,最初は感謝感激雨あられでしたが…,当時のワシは出張が多くて,話し合う時間はなかった.
5日後,♡えりりん♡夫妻が初日から公道で濃厚キスを繰り返していたという件で,やんわり注意すると,♡えりりん♡夫妻は態度豹変!
(詐欺罪犯として)住所がバレたこともあって,東営市に来てから20日後には,夜逃げ!

♡えりりん♡夫妻に対して,処遇と費用の面で充分な面倒をみてきたワシを,mikionzさんは本スレ上で非難した.
mikionzさん,あなたは一方的な見方しか出来ないシトです.

日本の現在の経済状況は,非常に良好です!
株高を含めたアベノミクス政治によって,日本経済には400兆円~600兆円!!という物凄い波及効果・相乗効果が生まれ…
今や,人手不足もあって,大学生のバイト代が,関東地方では時給1800円を超えた業種もある.
ワシが4~5日前にネット販売した高級焼酎480本は,2日と6時間で完売! み~んな豊かなのです.
日本は,いま,実際に,豊かな社会へと様変わりしています.

mikionzさんの>>283は,ほとんどがウソです.
マレーシア移住も,絶対に避けたほうがE~です.>皆の衆

mikionzさんってシトは,ワシにとっては「アラシ」みたいな人物なので,あまり相手にしたくないのですが,>>283で指名されたので,ズケズケと言いたいことを書きました.
いじょ.

◉mespesadoさんの答え

304:mespesado : 2017/07/24 (Mon) 22:13:42 host:*.itscom.jp
>>283
> 次の記事の中に引用された中国共青団のコメントによれば、日本は「前途の希望が
> まったくない(国)」になっています。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50460

 引用先を読んでみましたが、日本は「前途の希望がまったくない(国)」になっている、と主張しているようには全然読めなかったです。単に高度成長の最中にある中国と、高度成長を終えて、低成長時代に達して久しい日本の違いが述べられているだけだと思いました。人間の心理ってのは面白いもので、生活水準の絶対値が豊かで満たされているよりも、生活水準の絶対値が低くてもその毎年の改善率が高い方がウキウキするものです。
 ですが、もし現代の絶対値的に恵まれた日本人が、タイムマシンで日本の過去の高度成長の時代にタイムスリップしたら、現在なら当たり前に手に入るものがなかなか手に入らなくて、唖然とするのではないでしょうか。もちろん、過去と現在では科学技術の進歩の差はありますが、それでは現在の日本人が、貴方の言うように、高度成長真っ最中のマレーシアに住んで、日本より豊かだと感じるでしょうか?国産品の品質に拘る日本人が、海外では日本製は輸入品のワンノブゼムでしか手に入らない状態で、日本以上に豊かさを感じられるのかどうか、私には疑問です。それから、
> 少なくとも日本に住む人々の生活は苛斂誅求によりどん底で、さらに沈みつつあるよ
> うにしか見えません

というのは、GDPかなんかを見て言ってるんでしょうかね? でも、GDPって経済の活動量を全て金額換算するんですよね。今の日本みたいに超デフレだと、同じモノ・サービスが享受できていても、物価がどんどん下がるので、金額換算するとGDPが下がっていくのは当たり前です。GDPが豊かさの指標として適しているのは高度成長期に限った話であって、日本みたいに生活必需品も高級品も行き渡るところまで行き渡ってしまった世界では、経済水準を計るのに、別の基準が必要なんじゃないかと思いますけどね。

by めい (2017-07-25 03:09) 

めい

「外資資本主義」が「(日本)国家資本主義」に代わる仕組み、そして
そこからわかる 安倍政権の長所と短所。
すごくよくわかるmespesadoさんの見事な説明です。

   *   *   *   *   *

346:mespesado : 2017/07/29 (Sat) 00:58:13 host:*.itscom.jp
 最近の亀さんのblog(人生は冥土までの暇潰し)が非常に興味深
いので、これらをネタに思うところを書きたいと思います。
 まず最初は“青木理の『安倍三代』”について
 亀さんにより、青木さんの記事:
「祖父は反戦政治家」安倍首相が決して語らない、もう一つの系譜http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50968
の中の一節が紹介されています:
> 決して悪人でもなければ、稀代の策略家でもなければ、根っから
> の右派思想の持ち主でもない。
 この部分、安倍さんの評価としては全く正しいと思います、という
か、青木さんはこの点に関してはよく観察できていると思いました。
通常のリベラルなネット知識人なら、当然のように安倍さんのことを
「極右団体」である日本会議のお仲間で「右派思想の持ち主」だと信
じて疑っていないように見えますし、また、田中宇さんのように、安
倍さんのことを、相手の裏の裏をかいたことを実行する策士のように
考える人もいるからです。ところが、次の部分:
> むしろ極めて凡庸で、なんの変哲もなく、可もなく不可もなく、あ
> えて評するなら、ごくごく育ちのいいおぼっちゃまにすぎなかった。
> 言葉を変えるなら、内側から溢れ出るような志を抱いて政治を目指
> した男ではまったくない。名門の政治一家にたまたま生を受け、そ
> の“運命”やら“宿命”やらといった外的要因によって政界に迷い
> 込み、与えられた役割をなんとか無難に、できるならば見事に演じ
> 切りたいと思っている世襲政治家。
という評価には思わずズッコケます。安倍さんほど自分が正しいと思っ
たことは何が何でも鉄の意志を持って突き通す、という政治家は他に見
当たらないのに、それが青木さんには全然見えていないからです。
 一方、亀さんの記事の後半で、安西正鷹さんの記事の写真が転載され
ていて、そこに
> 安倍政権が国民の反発を買ってでも強権発動を繰り返すのは、表向き
> の強引さとは違って、その逆にある本当の目的を達するためではない
> か。
>  つまり、米国の指示通りに「こんなに一生懸命やっていますよ」と
> いうのは表向きのポーズであって、実はそれに反対しており、やり過
> ぎることでわざと失敗させようとする面従腹背が本音ではないか。
とありますが、この“やり過ぎることでわざと失敗させようとする”と
いうところはさすがに勘ぐり過ぎではないかと思うのです。まるで田中
宇さんの説みたいです。もしこれが安倍さんの真意なら、安倍さんはま
さに策士中の策士ということになりますが、もしそうなら何で都議会議
員選であんなに大敗したのか、また今頃になって(一部のネット情報に
詳しい人にとっては何も問題が無いことがわかっているはずの)加計問
題に何であんなにてこずっているのか説明が付きません。
 実際のところは、安倍さんは、変化球を投げない直球専門で、ただし
いつも全力で剛速球を投げる、(高校野球時代までの)星飛雄馬みたい
な人なのではないかと思います。では何でいかにも策士であるかのよう
に見えるのか?
 これを一例を挙げて分析してみることにします。
 私は >>277 で、安倍政権により、政府が多くの会社の筆頭株主になる
という「国家資本主義」が確立したが、これは予め意図したものではな
く、単に株価を支えるために実施したPKOがたまたまそのような結果
を生んだだけである、という“偶然の結果”説を解説しましたが、これ
をもう少し詳細に調べてみましょう。
 そもそも昔の日本では大企業の株式は、株主配当還元率も低く、利益
は株主よりもむしろ従業員に還元し、更に株式の相互持合制度により、
その資産の流れは日本の企業の間だけで閉じていました。
 ところがこれらの膨大な資産に目をつけた外資ネオコンが、何とかし
てこの富を我が物にできないかと考えて弄した策が、①株の持合を禁止
して市場に開放することと、②株主への還元を米国並みにするために株
主配当率を上げるようにと、これが“グローバル・スタンダード”だ、
というプロパガンダにより日本に対して猛烈な圧力をかけ、そのとおり
にしてしまいました。これで日本の企業の収益は、日本起業の株を市場
で買い漁ることによって外資ネオコンが収奪することに成功し、その結
果、日本企業の株価も自由にコントロールすることができるようになり
ました。というより、株価が自由にコントロールできるからこそ彼等の
好きなように利益を吸い取ることが可能になったわけです。ここまでが
外資ネオコンによる策です。
 ところが“日本の国益が第一”の安倍政権になって、日本政府が国益
のために日本企業の株価をコントロールするため、このコントロールの
部分だけ、そのお株を外資ネオコンから日本政府に奪い返します。そう
すると、予め外資ネオコンが彼等のために仕組んであった策である①と
②が自動的に起動して、「外資資本主義」のかわりに「(日本)国家資
本主義」が自動的に確立するようになったわけです。
 以上の例から分かるとおり、実は安西正鷹さんが「安倍さんの巧妙な
策士ぶり」だと思った部分は、実は「米ネオコンの巧妙な策士ぶり」に
他ならなかったのです。安倍さんは、とにかく一途にPKOで日本企業
の株価を維持すると言う“直球”、それも“剛速球”を実直に投げ続け
ただけなのに、外資が自分達が投げるときのためにその“ボール”に仕
組んであった仕込が発動して勝手に“大リーグボール”になってしまっ
た、というのが真相だと思うのです。
 こう解析してみれば、安倍政権の長所も短所も明確になります。
 安倍さんが清和会の総理として「策を弄することが上手な」米ネオコ
ンの政策を忠実に実行し、そこに“日本の国益が第一”の一途さを加え
ると、見事に国益に適った結果が得られます。
 ところが、今回の加計疑惑のように、「ネオコンが自分達のために仕
組んだ策の主体を安倍政権が奪う」スキームとは全く異なる「ネオコン
が直接安倍政権に対して仕組んだ策」に対しては、現政権は非常に脆弱
である、ということがわかるのです。

by めい (2017-07-29 01:49) 

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