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徳洲会問題の射程 [徳田虎雄]

本澤二郎の「日本の風景」(1428)がこう指摘している。
証拠のねつ造事件という信じがたい東京地検特捜部の捜査方法の発覚に衝撃を受けた日本国民は、新たな宝の山を射止めた同特捜部の事件捜査の行方を注視している。医療ビジネスで生み出した膨大な利権の一部が、政界・官界の中枢などに流れているからである。石原慎太郎だけではない。暴利を可能にしている医療行政の実態解明が、このさい何としても不可欠である。日本が誇る皆保険制度のもとでの不正・不当な暴利がなぜ可能なのか。法制度にもメスを入れる必要があろう。単なる選挙違反事件を超えた重大事案なのだ。》
開業医師の訃報が新聞に記事として掲載されるようになったのはいつからだろうか、とふと思った。
かつて医師は「人を助ける」聖職として一目置かれていたが、必ずしも「金持ち」であるわけではなかった。貧しい医師もあったと思う。それが「医師=金持ち」としてほかの職業からぶっちぎりで抜け出していったのは武見太郎日本医師会長の出現によってのことだった。25年間の会長在任中(昭32-56)、平均して毎年20%の医療費増を実現したという。保険医総辞退や学校医引き上げを武器に医師優遇税制を認めさせたのも武見太郎だ。徳田虎雄が医師として世の中に登場したのはまさに武見体制の時代だった。われわれが徳田理事長と出会った頃、徳洲会は医師会から目の敵にされており、そのドンとして武見がいたが、武見が徳田を敵視していたわけではなかった。地区医師会レベルでは徳洲会の進出に全力を挙げて反対運動を展開しているその時にあって、武見医師会長は「徳洲会のやり方には無理がある」と言いつつ「新しい地域医療体制を作ろうという勇気には喝采をおくりたい」とのエールを送ってもいる。そういえば徳田理事長の口からしばしば田中角栄金権政治批判を聞くことはあったが、その底に角栄さんに対する親和性を感じ取っていたものだった。だからだったろう、実現はしなかったものの、世の中あげて田中角栄排斥ムードの時代に、徳田理事長の音頭で結成したわれわれ置賜獅子の会が越山会にあてて角栄さんに講演をお願いすする手紙を出したこともあった。「まずは金、とにかく経済的な力があってこその政治活動であり票集め、そしてその政治力をも駆使することで命を賭けるに値する社会活動が可能となる」が持論の徳田理事長であったから、「医療→金になる」は徳田理念と矛盾するものではなかった。ただし、それは決して目的ではなかったはずだった。まともな社会づくりを本気で目指す限り。しかし組織の肥大化による原点からの乖離は必然だったのだろうか。
なぜか能宗さんが書いた「直言」のコピーがとってあった。
直言22.8.2能宗.jpg

01年の自由連合で戦った参院選は、徳洲会全体が結果を恐れずに燃えた熱いものでした。・・・「なぜ?」と心の中で思い、当選できないとわかりながら、徳田理事長に押し出される形で立候補しました。/選挙では、職員と患者さんの立場が逆になりました。電信柱に頭を下げてでも投票をお願いする状況になり、否応なしにその中に徳洲会の全員が投げ込まれました。その結果、病院では聞くことのできない生の声にじかに触れて、病院の地域での位置や今までの自分たちの過ちが理解でき、あらためて社会性をもつことができたのです。》

しかし、


《今回の選挙で、徳洲会の組織の硬直化を感じました。グループは大きくなり、決められたことはちゃんとできる組織になりつつあります。職員は、質が高く、専門性のある業務をこなし、効率よく仕事をします。しかし、01年の参院選のような当落を考えず、ひたすらで、がむしゃらに「全力投球」したような熱が感じられなかったのです。・・・徳洲会は、これから29ないし30病院の新築移転を実現しなければなりません。並大抵の努力では達成はとても難しいでしょう。徳田理事長はそれを実現するため英知を絞っています。/私たちは、自らが勝手につくった限界の範囲の中でしか努力をしていないのかもしれません。徳田理事長は、限界を破って先の世界に行こうとしています。新しい世界に進むために、徳田理事長が言う「努力、努力、また努力、無理な努力、無駄な努力、無茶苦茶な努力」が、今まさに必要となってきました。》

能宗氏がこう訴えねばならなかった時、徳田理念の実現と表裏一体であるべき「努力、努力、また努力、無理な努力、無駄な努力、無茶苦茶な努力」は、2万人を超す徳洲会のスタッフにとってもはや理解の彼方に遠ざかってゆきつつあったのだろう。だからこその能宗事務総長の就任であって、徳田理念のあらためての組織への注入が期待されていたのだと察する。徳洲会をやり玉にあげつつの「暴利を可能にしている医療行政の実態解明」とは、本来徳洲会理念からすれば不本意であるに違いないが、当初より徳洲会が抱え込んでいたいわば業(ごう)であったのかもしれない。自らを苛(さいな)みつつ、特権的医療界を糾(ただ)すこともあるいは徳洲会の隠された使命であったのか。しかしそれにしても、徳洲会本来の理念までもが潰されることがあっては決してならない。その実現がこれまでどれだけ日本の医療界を変え、そのことによってどれだけ多くの命を救ってきたことか。徳洲会正念場の所以である。
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本澤二郎の「日本の風景」(1428)

<前代未聞の徳洲会捜査の行方>
 証拠のねつ造事件という信じがたい東京地検特捜部の捜査方法の発覚に衝撃を受けた日本国民は、新たな宝の山を射止めた同特捜部の事件捜査の行方を注視している。医療ビジネスで生み出した膨大な利権の一部が、政界・官界の中枢などに流れているからである。石原慎太郎だけではない。暴利を可能にしている医療行政の実態解明が、このさい何としても不可欠である。日本が誇る皆保険制度のもとでの不正・不当な暴利がなぜ可能なのか。法制度にもメスを入れる必要があろう。単なる選挙違反事件を超えた重大事案なのだ。
<TPPとも関連>
 東京地検特捜部の捜査に固唾をのんで見守る医療関係者は、ひとり徳洲会の67病院施設関係者だけではない。
 人の健康を治療するという、崇高な職業に相応の利益がもたらされることに、国民は理解している。しかし、それ以上については、大いなる疑問を抱いている。高級車・別荘・メカケに象徴される医師を尊敬していない。政治と行政との太いパイプを活用すると、途方もない暴利を手にできる不思議な職業に疑問を抱いている。
 「都知事候補に4億円をポンを出す病院理事長は、病院を犯罪組織にしている」という内通者の指摘は的を射ている。

 目下のTPPにからめて米国は、日本に対して医療行政に規制緩和を求めてきている。安倍内閣はそれに応えるようだ。このことに日本医師会は、対応に大わらわだという。皆保険制度もピンチを迎えている。
 公正な医療制度確立の契機に出来れば、この徳洲会事件は、雨降って地固まるということになる。是非そうすべき役割も、特捜部は担っている。
<理事長調書の行方>
 選挙違反事件を含めて要を、一人理事長の徳田虎雄が担ってきたという認識で、病院関係者は口をそろえている。
 捜査当局は、徳田への事情聴取をどうするのか。最大の山場であろう。本人は声が出ない。「ASL患者で車いす生活。目で指示を出してきた。目で検察と戦うと宣言している。彼の通訳はNという女性だ。彼女が捜査に協力するのかどうか。最近、彼女の体調に異変が生じた、と伝えられている。いずれにしても、徳田の事情聴取は日本の捜査当局にとって前代未聞になる」と事情通は筆者に連絡してきている。
 理事長の調書の行方が注目される。脱税・贈収賄・選挙違反と事件は幅広い。悪役弁護士は「ドクターストップを乱用するだろう」とも予想する関係者もいる。この事件では悪役弁護士が跋扈するという。検察は正義を貫けるのかどうか、である。
<通訳の体調異変?>
 徳田の指令は一人の女性通訳によって具体化する。すごい女性がいたものである。目で合図すると、文字盤に活字となり、それを読み解くという。それが66病院長に伝えられるという。映画の世界のような事例だ。
 正に未知の捜査だ。そこで偽装も行われる、と事情通は懸念する。Nの体調異変も、捜査を混乱させている。異変の様子に関係者の関心が集まっている。
<司法取引も>
 10月15日から臨時国会が開かれる。その前に「一つの山場を迎えるかもしれない」という事情通の指摘は外れた。国会議員逮捕が消えてしまったことを意味する。
 通常、この種の事件では与党議員と野党議員を血祭りに上げて、衝撃を散らして均衡を取るが、今回はそれもなかった。司法取引が考えられる。徳田の理事長退任表明がその一つなのか?

 かつて息子がオウムに関与していたことが発覚、父親の国会議員が辞任したことがある。司法取引で息子は逮捕を免れた。同じような事例は、ロッキード事件捜査で頭角を現した検事の息子が麻薬におぼれていた時も。検事退任と息子の免責でチャラにした。事情通が教えてくれたものだ。
 司法取引というと、アメリカのハリウッドの世界だと思い込んできた筆者だが、日本でも真似ているらしい。
 それとも、捜査当局に対して政府与党からの圧力があったことも考えられる。目の離せない捜査は続いている。
<正念場の検察庁>
 正義の検察というメッキがはげてしまった日本の検察庁である。その多くが政治捜査であったりする。
 権力を握った側が、意図的に捜査当局に捜査を指示する。これを国策捜査と呼んでいる。そこに不正・犯罪があれば、法の下に従うことは当然で、犯罪者が国策云々を叫んでも説得力はない。
 問題は証拠である。憶測捜査は捜査権の乱用であって、この場合が国策・政治捜査である。徳洲会事件は宝の山だ。脱税・詐欺・贈賄と限りなくある。日本の検察庁にとって、この山を登頂できるのか、正に正念場なのだ。
2013年10月13日10時13分記

 


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めい

「放知技」板で医療が問題になっていて、「病気を治す」医者は要らないが救急医療は必要ということで、徳洲会の名が浮上、「本澤二郎」の名が出たのでこの記事を思い出した。

   *   *   *   *   *

629:ぎのご怪獣 : 2017/09/21 (Thu) 13:36:46 host:*.eonet.ne.jp

大けがや突発性のものは
救急医療が必要ですが
その救急医療をつぶしまくり
救急車でたらいまわしの上手遅れ死。

救急に対応できないヤブ医者まみれ。

それなのに、薬物散布医療のためだけに
税金を要求する
何もせず座ってるだけで儲けようとする
医療業界の姿勢こそが
「いかがわしい」と思うのですが。

救急のプロ、徳洲会を
自民党議員の公職選挙法違反で因縁つけて
ぶっつぶした「徳洲会事件」こそ
突っ込み入れればいいのに。

あんときも、モリカケ騒動のように、
民主党ががんばってたねぇ。

632:飯山一郎 : 2017/09/21 (Thu) 14:07:45 host:*.dion.ne.jp
>>629 ぎのご怪獣姐さん
>救急のプロ!=徳洲会を
>自民党議員の公職選挙法違反で因縁つけて
>ぶっつぶした「徳洲会事件」

>あんときも、モリカケ騒動のように、
>民主党ががんばってたねぇ。

 ↑↑そ~だった.

あんときも「憎悪感と正義感」ムキ出しの評論家が,民主党にチョ~チンつけてた.
藤原肇の腰巾着だった本澤二郎なんかもシャカリキになってた.

安倍晋三に対しては,藤原肇も憎悪心ムキ出しだった.
金欠病の藤原肇に,ワシは物心両面の応援をしたんだが…
上から目線の「憎悪感と正義感」がムキ出しの知識人てのは…
結局は「目明きメクラ」ってことを…
ワシは,(反面教師)藤原肇から教えてもらったww

by めい (2017-09-21 18:51) 

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