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60年経って・・・(幼稚園創立60周年) [幼稚園]

この季節になると毎年卒業文集の文章を書かされます。今年度は60周年、今年はいろいろばたばたしたので、記念行事は落ち着いてからと思っていたのですが、今年度が最後の卒園生とその保護者にとってみればそういうわけには行かなくて、ぎりぎりの3月23日に開催することになりました。記念講演は最初の先生である芦名(結婚して宮越)能子先生の甥御さん、芦名定道京都大学キリスト教学教授にお願いして、快くお引き受けいただきました。「60年のあゆみ」のDVDをつくることになり、なんでもぎりぎりにならないとできなくて、いよいよ切羽詰まってきているところです。

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光の子どもH24.jpg

         六十年経って・・・

 ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。             平成二十四年度で宮内幼稚園はちょうど六十周年になりました。この一年の間、六十年間培ってきてこれからも伝えてゆかねばならない宮内幼稚園らしさとは何だろうかを考えてきました。その一つの答えとしていま言えるのは「お祈りの習慣」です。あるとき、こんな言葉に出会いました。アメリカのエマソンという人の言葉だそうです。 「祈りとは、人生のいろいろな事実を至高の観点から思いみること」

 

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平成24年度入園式挨拶 [幼稚園]

 毎年のことですので、今日行われた入園式の挨拶をアップしておきます。
 
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本幼稚園入園のみなさん、そして保護者の皆さん、おめでとうございます。そして一緒にお祝いしてくださるご来賓のみなさん、ほんとうにありがとうございます。
 
みなさんのスタートを祝福するように、すばらしい青空の朝を迎えました。今日のこの日を待って春がやってきてくれました。
 
昨年の三月十一日以来、地震や放射能といった、不安な雲はいまだに深く重く垂れ込めたまま、今年の冬も長く厳しい冬でした。そうした中でも必ず巡って来てくれる春の訪れは、私たちみんなの気持をほんとうにうれしく浮き立たせてくれます。
 
本幼稚園は、途中入園の十一名も入れて三十八名のお友だちを加え、六年ぶりに百名を超す子どもたちで新しいスタートを切ることになります。
 

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(ミヒャエル・エンデが『モモ』で描いた、シュタイナーに通ずる)たしかな心の世界 [幼稚園]

幼稚園の卒業文集のために書いた文章です。

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ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。

 昨年の三月十一日からもう一年、あの日を境に私たちの心の持ちようも大きく変わったのではないでしょうか。電気が停まってしまい、小さな光とわずかな暖房をたよりに家族みんなが一所に寄り添ってすごしたあの晩のことは、子供たちの心にも深く刻み込まれたことと思います。

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入園式挨拶 [幼稚園]

本幼稚園に入園のみなさん、そして保護者の皆さん、おめでとうございます。そして一緒にお祝いしてくださるご来賓のみなさん、ほんとうにありがとうございます。

春の訪れは、思いがけなかったあの大雪もどんどん溶かしてくれています。私たちは暖かな春を待って厳しい冬を耐えていました。しかし、あの三月十一日以来、それまでの自然を信頼しきった安穏な日々は遠くに行ってしまったように思えます。本幼稚園にも石巻から二人の御兄弟をお迎えすることになりました。津波の被災地や原発近くの方々の悲しみやご苦労には比べるべくもありませんが、私たちも先行き見えない不安の中にあります。

しかし、大揺れの後近所同士お互い気遣いあうことで、また、ロウソクの光の下、反射式のストーブに寄り添って家族が寒い夜を過ごすことで、これまでとはまた別な大切さにも目が向くようになりました。

今から六十年前、お互いが助け支えあって日本から貧しさをなくそうと奔走された賀川豊彦先生のよびかけで開園した本幼稚園は、心の優しさや人と人との絆の大切さにしっかり目を据えて子どもさんを育ててきました。環境が大変になればなるほど、みんな自分のことで精一杯になってしまうと考えがちですが、本来人間の心はそうではなくて、かえってお互い思いやりの心が育ってくるものです。不安な時代の中で始まる幼稚園での生活になりますが、こうした時こそ、本幼稚園での体験は生涯の力となって人生を支えてくれるはずです。きっと、いい幼稚園を選んでよかったと思ってもらえるはずです。

今日入園したみんな、明日からひとりでお家を離れても大丈夫です。本幼稚園の先生方はみんな一人一人を大事に大事にしてくれます。お友だちもいっぱいできます。安心してひとりで幼稚園に来てください。そしてみんなとお友だちになってください。

子どもさんにとっても、親御さんにとっても新たなスタートとなるこの日、理事役員を代表して歓迎のあいさつとさせていただきます。
 
平成二十三年四月九日


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「世の中のため」 [幼稚園]

御無沙汰してしまいました。

幼稚園の卒業文集(保護者の文章と園児の絵)に寄せた文章です。

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   「世の中のため」
                 
ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。

陰極まれば陽生ずと言います。「無縁社会」についての報道にふとこの言葉が思い浮かんだのです。敗戦後の日本の教育は、その根底に「自分がいちばん」という思いがあって、そもそも縁をわずらわしく思う気持ちが巾を利かしてしまうような隙があったのではないでしょうか。「なんで勉強すんなねなや?」の問いに「自分のためだごで」としか答えることの出来なかった戦後の日本。どうして「世の中のためになるように」と答えることが出来なかったのか。そう言ってもらえばもっともっとがんばれたのに…。いつのまにかひとりひとりの自分を狭く狭く閉じ込めるようになってしまった結果の無縁社会。そのことの異様さにようやく気づき出した――まちがいが見え出したときこそ、光が見え出すときなのです。

今からちょうど六十年前にこの地に講演にお出でになり、本幼稚園誕生のきっかけをつくって下さった賀川豊彦先生は、「貧しい人、恵まれない人のため」「世の中のため」の社会運動に生涯かけて走り回った方でした。賀川先生を駆り立てる思いの根底にあったのは、イエス・キリストという二千年前のユダヤ人でした。当時のユダヤはローマ帝国の支配下にあり、苦しむ人の立場に身を置き、ユダヤ解放のための救世主として崇敬されつつ十字架に架けられた方でした。宮内幼稚園には、こうした賀川先生、イエスさまのDNAが脈々と流れています。

四十年前、若い人たちの「世の中のため」の行動が悲惨な結末に至った連合赤軍事件という出来事がありました。以来日本社会から、若者の「世の中のため」の行動はすっかり影を潜めるようになったのです。しかし、当時の若い人たち、いわゆる団塊世代が定年の年令になり、その世代を中心にあらためて「世の中のため」の動きが出てきています。まだあまり知られてはいませんが、全国のあちこちでデモが行われるようになっています。それはマスコミや検察や増税を推し進める勢力への批判だったりするのですが、行き着くところ、敗戦の結果としてのアメリカによる支配からの脱却、働いたら働いただけ報われる日本のほんとうの独立を求めての動きです。今の日本が二千年前のユダヤに重なって見えてきます。

Y.さんのぼり.jpg国民生活第一こそ.jpg

昨年来チュニジアに始まった世直しの動きは、エジプトに波及しさらに中東地域全体に広がりつつあります。日本も、この揺れ動く世界と無縁ではありません。「世の中のため」を思って、縁でつながる広い世界に目を向ける動きがあちこちで生れようとしています。タイガーマスク現象も根っこではつながっています。

個を原理とする考え方の限界が誰の目にも見え出した時、きっと、人と人とのつながり、そこでの共感こそがたいせつと思える世の中に変わってゆくはずです。

本幼稚園の教育によって、小さな子どもたちの心に新しい時代に向かうための種が蒔かれました。たいせつに育ってくれることを願ってやみません。

(引き続き、のぼり等カンパやってます。ご連絡ください。http://oshosina.blog.so-net.ne.jp/2010-10-27


ロバストネス頼みの時代は終わった [幼稚園]

幼稚園の卒業文集(保護者の文章と園児の絵)に寄せた文章です。

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ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。

近年園児募集の厳しさを痛感させられている中、自分自身やわが子の幼稚園時代をふりかえりつつ、教育のあり方について切実に考えさせられています。

 子どもに備わっている「自分で育っていく力」の力強さをあらわす言葉としてrobust()robustness(名)という英語に出会いました。世界中の子ども達はそれぞれ多様な環境に育っているにもかかわらず、最初の一〇単語が出るのにかかる期間が五ヶ月前後であるのは、日本でもアメリカでも同じ。子ども達の発達は、周囲の環境がどうあれ、それによって大きく進路を狂わせることがなく、人として生きていくための知識とスキルを獲得するように調節されているというのです。子どもは小さければ小さいだけ成長発達の度合いは大きい。それはまわりの教育力というよりも子ども自身に備わったロバストネスによるところが大きい。だから、幼稚園や小学校ではことさら目的意識など云々しなくても教育の結果は出たように見えてしまう。

ハッとしました。教育、教育と言いながらロバストネスに甘えてしまっているのが日本の教育の現状のように思えたのです。その結果、六十三万人(2007)のニートNot in Education, Employment, or Trainingです。

昨年夏、テレビで横峯さんの保育園を知って矢も楯もたまらず鹿児島まで行ってきました。横峯方式はマスコミによってセンセーショナルな取り上げられ方をしたために誤解されている面もあるようですが、私にとっては時間が経つほどに、幼児教育の根幹を押さえた教育法であると思わされるようになっています。その本質は「最後に勝つのは独学の力」と「時機を逃すな」という二つの言葉でくくられます。自分自身を振り返って、学んできたことで身に付いているのは、結局のところ自分自ら関心をもって学んだことです。小さなうちに自分で学ぶ力をつけてやるのです。さらに「臨界期」ということが今後、最新の脳科学研究の成果を受け、今後重要な言葉としてクローズアップされてくるはずです。「脳が一時的に、乾いたスポンジのように、吸収力が非常に高まった状態」の時期です。その時機を逃してはならないのです。

敗戦後65年間、良きにつけ悪しきにつけアメリカの庇護の下にあった日本ですが、もうその時代も終わり独り立ちせねばなりません。教育もロバストネス頼みではこぼれ落ちるものが多すぎます。いま目の前にいる子どもに何ができるか、真剣に向き合い着実に積み上げてゆく努力が求められています。

    
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なんで勉強するの? [幼稚園]

幼稚園の辞令交付式で話す時間を与えられたので、以前書いたものを引っ張り出してみました。全員に感想を聞いたところ、思いがけないほどいい評価を得ることができました。

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「なんで勉強するの?」

なんで勉強するの
  「いい人」になるためよ
「いい人」ってどんな人
  みんなを大事にできる人
みんなを大事にできる人?
 
 そう その人は
  自分を大事にできる人
 そう その人は
  いつも笑顔でいれる人
 
なんで勉強するの
  あなたのことを知るためよ
私を知るってどうゆうの
  父さん母さん知ることよ
父さん母さん知る人は?
 
 そう その人は
  広い世界が見える人
 そう その人は
  遠い歴史もわかる人
  
なんで勉強するの
  いろんなことができるため
いろんなことってどんなこと
  からだと頭を使うこと
からだと頭を使うこと?
 
 そう その人は
  自信が腹から湧いてくる
 そう その人は
  いつもみんなと生きている
 
*  *  *
 
 

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時代の変わり目の中で     [幼稚園]

幼稚園の卒業文集(保護者の文章と園児の絵)に寄せた文章です。

この発想を起点にした今後の構想がないでもありません。

いま読み返すと場違いな感じもしますが、限られたスペースの中でいちばん伝えたいことを書いた結果です。

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   時代の変わり目の中で 

ちょうちょう組のみなさん、そして保護者のみなさん、ご卒園おめでとうございます。

昨年来「恐慌」という言葉が出てくるほどの大変な時代になってきました。何十年後、何百年後に今の時代を振り返ると、きっと、すごい変革期だったといえる時代なのだと思います。これまで大切だと思ってきたものが大切でなくなり、これまで見過ごされてきたものがあらためて大切になってくる、そういう時代の真っ只中です。

経済面だけを見ると、とんでもない大変な時代になっています。でも「お金万能」という思い込みから目が醒まされようとしているのではないかと思い直すと、また別の世の中が見えてきそうです。

ある時、食卓に並んだものを見ていたら、買ったものより貰ったものの方が多いことに気付きました。もちろん、貰いっ放しというのではなく、こちらからも何かをあげているはずです。そこにはお金のレベルではない、人と人とのつながりによる物のやりとりがあります。

「相手に喜んでもらえる」ということを第一義にしたお金抜きのおつきあい、食卓に並ぶ貰いものはその表れともいえます。そこには「助け合い」という隠し味も加味されているかもしれません。都会はいざしらず、この辺にはそういう人間関係がまだまだ健在です。

考えてみれば、人間の社会生活はまず、あげたり貰ったりから始まっています。お金が出て来たのはずっと後のことです。ましてお金自体が目的のよう思い込む世の中になったのはごく最近のことです。その挙句が今回の金融危機なのです。私には、本来の人間関係が息を吹き返すチャンス到来のように思えてなりません。お金が大変になればなったで、それぞれの紆余曲折を経ながらも、かえって人間本来の社会生活に戻ってゆく、そんな気がするのです。

金の切れ目が縁の切れ目とよく言われてきました。しかしこれからの時代は逆に、経済的に厳しくなればなるほど絆(きずな)が強まるような、そういう時代にならざるを得ないような気がします。なぜなら、助けを求めざるを得ない人がこれからどんどん増えてくるはずですし、また困っている人には助けてあげたいというのが人間として自然だからです。そして、決して助けっぱなしでもないし、助けられっぱなしでもありません。長い目で、広い視野で見ればきっとお互い様です。だから、助けてあげたからといって恩着せがましくふるまう事もないし、助けてもらったからといって卑屈になることもありません。みんな自然にそうしてしまう、いずれそういう温かい世の中になる、そのための禊(みそ)ぎ、試行錯誤の時を迎えているように思えます。


平成20年度入園式祝辞 [幼稚園]

宮内幼稚園に入園のみなさん、そして保護者の皆さん、おめでとうございます。そして一緒にお祝いしてくださるご来賓のみなさん、ほんとうにありがとうございます。

宮内幼稚園は、今から五十七年前、宮内で講演された賀川豊彦先生のよびかけがきっかけとなって開園されました。賀川先生は、日本の貧困問題への取組みをご自分の社会運動の出発点にして、ノーベル平和賞の候補にも推薦された方でした。本園には、宮内にお出でのとき賀川先生が残された色紙がたいせつに保存してあります。その色紙には、

「幼な児を我に来たらせよ 

天国に入るもの かくの如し」

と記されています。

宮内幼稚園では、小さなお子さんに本来備わった思いやりの心を大切に見つめ育てます。「生きる力」を育てる教育の大切さが語られますが、宮内幼稚園では、「おれが、おれが」と人を押しのける力を「生きる力」とは考えません。「生きる力」とは、人と心を通わせあうことのできる力です。友だちや先生方と心通わせあい、お互いが助け支え合う幼稚園での体験は生涯の力となって人生を支えてくれるはずです。

今日入園したみんな、明日からひとりでお家を離れても大丈夫です。宮内幼稚園の先生方はみんな一人一人を大事に大事にしてくれます。お友だちもいっぱいできます。安心してひとりで幼稚園に来てください。そしてみんなとお友だちになってください。

希望あふれるこの日、理事役員を代表して歓迎のあいさつとさせていただきます。

 

平成二十年四月十日

 

        学校法人南陽学園理事長


「お祈り」の習慣 [幼稚園]

幼稚園の卒業文集「光の子ども」に書いた文章です。

 

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