構成吟 『最上川 置賜を行く』 [詩吟]
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この機会に西村久左エ門、黒井半四郎について知ることができました。久左エ門が開削した黒滝の岩盤に立ち、300年前の工事の御苦労に想いを致しました。水量の少ない時期を選んで、岩盤の上で火を焚いて砕けやすくしての手作業でした。
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半四郎については、あらためて黒井堰32キロの一部を辿ってみました。糠野目橋の西側に見えるのが松川を横断する黒井堰であることを、迂闊にもこれまで全く意識していませんでした。半四郎はその段取りを終えたところで亡くなるのですが、飯豊の山をくり抜いて、新潟村上に流れる水を置賜に流し込むという穴堰の工事もすごい。とにかく重機も何もない時代です。20年の歳月を要したとのことです。
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米沢の会場までの車中、最上川でいちばん上流の集落である李山出身のY氏と一緒で、李山にも山をくり抜いて水を引いたところがあると聞きました。今は減反と高齢化でやっていないが、数年前までその水路の整備を地元の人たちでやっていたとのこと。また近くには直江兼続が今後の治水について思いを巡らしたと伝わる場所もあるとも聞きました。実は先日、猿尾堰と「龍師火帝」碑を探して迷い込んだのがその李山地区でした。昭和25年生まれのY氏、対岸の「龍師火帝」碑のことを知らなかったとのことで、この度自分の無知を痛感したことも思いあわせて、郷土史教育の必要性を考えさせられています。
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郷土の歴史は知れば知るほど奥が深いです。郷土史を学ぶということは、先人の御苦労にどこまで想いを致すことができるかということだと、この度つくづく思い知りました。全国一律の受験体制下の歴史教育では、郷土史は全く漏れてしまいます。身につかない知識だけの歴史教育がおそらく今の現状です。郷土史をしっかり組み込んだ歴史教育からこそ、身近な暮らしに通ずる「生きる力」も身につくはずなのです。この度の体験を通して、このことを深く思わされています。
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