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北町遺跡がすごい!「縄文のタイムカプセル」 [歴史]

北町遺跡1山新.jpg北町遺跡2Scan 33.jpg

9月18日、年2回開催される「南陽市文化財保護協力員会議」、北町遺跡発掘調査についての報告に驚いた。8月10日と21日、2回山形新聞記事になっていた。見出しは見たが迂闊にもすっ飛ばしていた。

・内陸にマグロ!?遺跡から骨出土 南陽、縄文草創期に海岸部と交流の可能性https://www.yamagata-np.jp/news/201908/10/kj_2019081000184.php(8月10日付)

・二つ目の竪穴住居跡を確認 南陽・北町遺跡、縄文草創期は発見例少なくhttps://www.yamagata-np.jp/news/201908/21/kj_2019082100369.php(8月21日付)

下水道工事の際、北町一帯の遺跡の存在が確認されていたが、今回ここまで深い層(4〜5m)からの発見は、防火用貯水槽工事によってとのこと。角田朋行補佐の勘、「もっと深く掘り進め」の判断が生んだ大発見だった。現在、愛知学院大長井謙治准教授のもとで発掘品の調査が行われている。今回はわずか数平方メートルの範囲内からの発見であり、範囲を広げれば何が出てくるか、一体これからどんな展開になるのか、国レベルの調査になるだろう。また、白竜湖がいつどのようにしてできたのかの謎にも深く迫れそうだとのことだった。置賜盆地形成の歴史へと視野は及ぶ。

5月19日の考古学協会研究発表のために作成されたものか、非常にわかりやすいレジュメをいただいたので、転載させていただきます。

また、長岡南森遺跡についても、その後、東西でほぼ対称的な人工地形が確認されたこと、くびれ部に相当する地形が確認されたこと、盛り土が確認されたこと、底部穿孔土器(底に穴が空いているという事は、実用には供さない、すなわち祭祀用という事)の出土等により、古墳認定に向けて大きく前進したようだ。

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北町(低湿地)遺跡一縄文のタイムカプセルー

 北町遺跡は、赤湯地区北町集落の下に眠る白竜湖の湖岸に栄えた縄文草創期~縄文中期の低湿地遺跡です。北町遺跡では、平成28~29年度に市教委による試掘調査が実施され、平成30年度からは大学と市の連携による学術調査団によって発掘調査が進められ、今年は第2次学術調査が実施されました。

北町遺跡位置Scan 34.jpg

 北町遺跡Scan 34.jpgこれまでの調査で、 全国的にも非常に貴重な遺跡であることが判明しました。大谷地にある低湿地遺跡であるため、普通なら腐ってしまう遺物が残っており、まさに縄文時代のタイムカプセルと言った遺跡で、 第1次調査では縄文草創期(12,000年前)の竪穴住居が見つかり、 そこから多くの土器や石器、植物の種子や魚の骨等が見つかりました。中でも特に注目されたのがマグロの骨の発見でした。

 この発見により、 縄文時代草創期の内陸と海岸部との流通、外洋魚を捕獲する技術などが推測されることとなり、日本人がいつからマグロを食べていたか?という年代も、従来は5千~6千年前とされていたものが、一気に縄文草創期(12,000年前)にまで遡ること等、様々なインパクトのある調査となりました。
北町遺跡Scan 35.jpg 今年実施した第2次調査では、新たに堅穴住居跡が2棟確認され、住居跡は3棟となりました。縄文草創期の遺跡でこれほど密に遺構が存在すること自体が珍しく、それらが後世の撹乱を受けずに、良好な層位関係を保持している点も特筆すべきことです。(※縄文草創期後半の地層を、さらに細かく区分できるほどの状態です。)
 また、貴重な石器や土器が多量に出土しましたが、層位関係が良好なことから、土器と石器の時代毎の組み合わせが、これまで分からなかったところまで細かく分類できる可能性があり、この点でも稀有な遺跡といえます。
 さらに泥炭層にバックされていたことにより、普通は溶けてしまう有機物が数多く残されており、今回も数多く
の有機物が確認されました。その詳細は大学で分析されることになっており、今後、さらなる発見が期待されます。
◎北町遺跡のここがポイント◎
1.縄文草創期後半の遺構(生活の跡)が良好に残る。
縄文草創期の遺跡は、「遺物は出るが遺構が見つからない」ことが多く、堅穴住居跡は全国的に発見例が少ない。北町遺跡では、堅穴住居跡がわずか数mの範囲から計3棟も発見されました。
2.低湿地(泥炭層)の遺跡である
低湿地遺跡は、通常腐って残らない有機物が残ることから重要な遺跡と位置づけられています。全国の縄文遺跡数は9万箇所でそのうち低湿地遺跡はわずか0.2%に過ぎず、そのうち縄文草創期の遺跡は数えるほどしかなく、 さらに遺構まで確認された低湿地遺跡は全国的にも稀有といえます。
3.繊文草創期~縄文前期まで続く遺跡が確認された。
縄文草創期·早期·前期の層があり、縄文草創期も複数の層が存在します。
北町遺跡マグロの骨Scan 36.jpg4. 各時代の置が上下を無遺物層にパックされている
他の時代の遺物が混入することが無いため、正確な遺物の組み合わせを証明できる環境にあり、学術的に他の遺跡では見られない責重な堆積環境です。
5.動植物が残存している。
縄文草創期の整穴住居跡から植物の種子や魚の骨(マグロの骨)等が見つかりました。また、貴重な土器や石器も多量に見つかっています。


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