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mespesadoさんによる経済談義(113)「日本経済復活の会」講演会 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

「日本人はMMTのような『自国通貨はいくらでも発行できるからデフォルトしない』みたいな「楽していいんだ」的な話は受けが悪いから、MMTを日本に移植するなら、供給力こそが命だからそこをむしろ破壊するような緊縮財政は国を亡ぼす、という方向で説得した方が絶対にいい」

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176:mespesado:2019/08/19 (Mon) 08:47:55
 昨日は「日本経済復活の会」主催の定例講演会を聴きに行ってきました↓
https://www.facebook.com/events/453020865532542/

 前半は小野盛司会長『お金がなければ刷りなさい』と題する講演、後半は『これは、もはや宗教戦争である。~国債発行スンナ派(緊縮財政派)と国債発行シーヤ派(積極財政派)の政治思想の違いについて~』と題する池戸万作さんの講演でした。
 前半の講演は、AIの発達で労働者が要らなくなり、一部の資本家による富の寡占が益々ひどくなり資本主義が崩壊するのをどう対処したらよいか、という内容で、すぐ思いつくベーシックインカムについては、太平洋の小国であるナウル共和国がリン鉱石の輸出による外貨のボロ儲けを原資に国民にオカネをバラ撒いて事実上のベーシックインカムを導入したが、その結果誰も働かなくなり、労働はすべて外国人労働者に任せて、リン鉱石が尽きてきたら誰も働くことを忘れてしまって困ってしまった、という例を挙げながら、ベーシックインカムは良くない、そのかわり「解放主義社会」がよい、という提言でした。その解放主義社会とは、労働者がいなくなってロボットだけが生産している会社を株を国が買い占めることで国有化し、その配当利益を財源にして希望者全員を公務員にして国が雇う。その際、職業は好きなものを自由に選んでもらい、今まで趣味とされてきたものや、家事・育児などもすべて正規の職業と認める、というものでした。

https://pbs.twimg.com/media/D-zo9aYU4AA7QEI.jpg


 後半の池戸さんの講演は、池戸さんの発案による4象限のグラフである、横軸に「働くべき」派と「働かなくてもよい」派の対立を、縦軸に「国債発行スンナ派」と「国債発行シーヤ派」の対立を取って、米国政治家の例、フランス政治家の例、イギリス政治家の例、そして日本の政治家の例、都知事候補だった人の例、そして経済学者の例をこおの4象限に当てはめる、という話でした。
 そしてその後の懇親会。懇親会だけで17名が集まり、いろいろな話に及び、気が付けば2時間が過ぎていました。
 さて、感想ですが、小野さんの講演は、ベーシックインカム論を、より現実に即して改良していくにはどうすればよいか、という話の一つだと思いました。必ずしも小野さんの方法がベストではないが、いろんなアイデアを出していくのが大事なので、これはこれで一つの重要なアイデア出しだな、と思いました。
 次に池戸さんの話ですが、「スンナ派」と「シーヤ派」というのはもちろんイスラム教の宗派をモジったものですが、その後調べたところ、実際のイスラム教の中でも原理主義に近い「スンニ派」が9割を占め、より世俗的な「シーア派」が1割くらいで、まさに「国債発行スンナ派(=緊縮派)」が圧倒的な多数派で、「国債発行シーヤ派(=反緊縮派)」が少数派であることと呼応している話とか、「スンニ派」が親米、「シーア派」が反米であることと「スンナ派」が親グローバリズムで「シーヤ派」が反グローバリズムであることと似ている、とか、結構笑わせてくれる講演でした。
 あと、懇親会の方ですが、一部の参加者は私がフォローしている反緊縮ツイッターの中の人が結構いるみたいでした。確かに彼らに限らず今回の参加者の意見はそうしたツイッターに日ごろ私が感じていたのと同じ傾向が感じられ、反安倍、反ウヨクという傾向が見られたのは興味深かったです。この手の反緊縮派の会合は、今までに自民党の安藤衆議院議員主催の講演会や松尾匡氏主催の講演会などを聞きに行ったことがありますが、今回のは松尾さんのに近く、リベラル系が多かったわけですが、どうもリベラル系の人達はとにかく現状に違和感を感じたところから入る人が多いからでしょうか、政治のマキャベリズムを理解できる人がほとんどおらず、「消費増税を含む縮財政の黒幕は自民党でも安倍政権でも安倍晋三個人でもなく、実は財務省やその背後にいるDSが本当の黒幕であり、政権はその要求を実現するためのパペットに過ぎない」という事実が理解できず、そのような圧力下でもなお2度消費増税を阻止した安倍政権を評価する声が上がらなかったのは残念でした。あと、その場で「MMTというが、現代貨幣の一つである『円』が価値があるのは、円の流通域である日本の生産・供給力がその価値を裏付けているのだ。しかしMMTは米国起源だから、米国は供給力は不十分で、そのかわり基軸通貨であるという事実で価値が裏付けられている。しかしそんな事実は自慢できないからその一番肝心な話を欠いている。日本人はMMTのような『自国通貨はいくらでも発行できるからデフォルトしない』みたいな「楽していいんだ」的な話は受けが悪いから、MMTを日本に移植するなら、供給力こそが命だからそこをむしろ破壊するような緊縮財政は国を亡ぼす、という方向で説得した方が絶対にいい。」という話を私がすると、そこは気が付かなかった、と感心したように聞いていました。
 というわけで、放知技のレベルを上回る印象は無く、ちょっと(ある程度想像はできましたが)残念な会合でした。

P.S. ちなみに講師の方や一部の参加者には、先日の東北での私の講演録の冊子をお渡ししました。この冊子を作っていただいたはぐらめいさんには改めてお礼申し上げます。

A4冊子1P-P52表紙裏表紙 [更新済み].jpg

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小野盛司

日本経済復活の会の定例会の講演に対するコメントを有り難うございました。大変参考になりました。2度消費増税を阻止した安倍さんをそれなりに評価はしますが、それだけでは日本経済復活にはまだ物足りないと思います。やはりインフレ率2%、実質成長率2%、名目成長率3%が達成されるまで減税・財政拡大をやってほしいと思ってます。供給力こそが命だからそこをむしろ破壊するような緊縮財政は国を亡ぼすという方向で説得するわけですね。我々が2003年にこの会を立ち上げ、説得の材料としたのはマクロ計量モデルを使ったシミュレーションで、どうやって日本経済を復活させることができるかを示すことでした。100名以上の国会議員が賛同してくれ会の顧問になってくれましたが、政治を動かすことはできませんでしたね。政治のマキャベリズムですか。今後もご指導よろしくお願いします。
by 小野盛司 (2019-09-16 18:24) 

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