長白山行(6)白頭山天池④ [メモがわり]
この日(28日)はもうひとつの観光が用意されていた。錦江大峡谷だ。1400段の上り下りでくたびれ果てた身にはかなり辛かったが、渓谷に沿った木道を1500メートルほど、ところどころ奇岩を下に望みつつひたすら歩いた。天池体験のあとでは色あせた感じで、書き留めるほどの記憶もあまりないが、根っこで松と樺がくっついて生えている「松樺恋」が、わが町の「妹背の松(相生の松)」を思い面白かった。ただし、松はよく見ると折れて枯れかかっていた。
朝出たホテルに戻って荷物を持ち、チャーターした車で翌29日の北坂(北坡)口からの登拝を目指して二道白河の宿へ。車はベンツのワゴンで、運転は若い女性のリュウさん、これが見事な運転で一同しきりに感心させられた。さりげなく追越し、追い越されることはほとんどない、スピードはずっと一定に保たれていた。瀋陽の空港まで彼女の運転だった。風邪気味だったのが気の毒だった。
二道白河の街は元来林業が中心だったが、最近は長白山観光の基地として賑わうようになったという。気持ちのいいエネルギッシュな街だった。28日の宿は長白山王朝聖地温泉酒店。なんとも中国の勢いを感じさせられた新しいホテルだった。入ると正面に金ピカの布袋様。金を惜しまず最高を目指す、そんな心意気を感じさせる。男女混浴、パンツを穿いて入る温泉も楽しい。パンツを求めるのに一悶着あったが、日本語のできるスタッフは一人もいないようで苦労した。しかし次々繰り出す若いスタッフの対応は我々とのやりとりを楽しむ風もあって好感が持てた。そういえばこの旅、日本人とは瀋陽の空港に来るまで一度も会わなかった。
部屋は南向きでゆったりと気持ちのいいつくりだ。この日は39度の白酒だったが、疲れもあってシャワーする元気もなくすぐ寝入った。北緯42度4分とあって3時過ぎに目覚めるともう空は白みだしている。二十七夜のお月さまの写真は4時53分。朝日が昇り出したのは5時27分。この日は昨日よりずっと天気がいい。今日も大丈夫、綺麗な天池に会える。神事を終えて、ずっと気持ちに余裕がある。いい朝だった。前日の学習を生かし、この日は6時前に朝食場に入った。(つづく)
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