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mespesadoさんによる経済談義(101)【シリーズ:検証!消費税⑥⑦】 [mespesadoさんによる1億人のための経済講]

中小業者が苦労して納めた消費税収19兆円から3割以上の約6兆円が大企業の懐へ、消費税の輸出還付金は大企業への補助金 http://editor.fem.jp/blog/?p=2912 より





*   *   *   *   *

832:mespesado:2019/06/30 (Sun) 09:14:27

>>825
【シリーズ:検証!消費税⑥】

 さて、今回は湖東さんの講演のうち、「付加価値税の導入はフランスの悪巧み」云々についての検証です。
 この話、実はある著者による著書に書かれています。それは、次のブログ記事によると、岩本沙弓氏の『バブルの死角・日本が損するカラクリ』という著書だそうです↓

https://ameblo.jp/kiho-te7/entry-11947083315.html
輸出還付金のために導入された付加価値税

 このブログ記事に、同書から重要な部分が引用されているので、以下孫引きで引用します:

----------------------------(引用開始)----------------------------
 さて、ここでもうひとつの疑問が浮かんでくる。日本の消費税や海外の付
加価値税に、なぜ輸出還付金という制度が内臓されているのか。

 結論から先に言うならば、欧州では付加価値税がここまで普及した背景に
は、輸出企業への補助金としての役割が最初から期待されてのことだった様
子が、歴史的経緯からうかがえるのである。

 消費税は国民からまんべんなく徴収できる、安定した財源となる税制だか
らこそ採用されてきた、という既成概念を持つ日本人は、輸出還付金のため
にの税制であると指摘されても、おそらく即座に納得はしないだろう。考え
違いではないのか、あるいは消費税増税反対の意識が高じたあまり、反対の
ための理由をつくりだそうとしているのではなかろうか、と受け取られるか
もしれない。

 輸出還付金の存在をまずは確認して、どうやらそれが輸出企業への多大な
るメリットらしい、というのはわかったとしても、それだけでは政府の財源
確保という目的よりも、消費税が輸出企業への還付金目的のものであるとす
る十分な証拠とはなりえないだろう。

 そこで論拠を求め、国内外の資料を検索したところ、数十年前のアメリカ
の公文書や議会報告書にたどり着いた。そのなかでは、アメリカと欧州の間
で、「輸出」をめぐる熾烈な攻防が繰り広げられていた。その内実を見れば、
消費税の正体が輸出企業への還付金目的であることが明らかとなろう。

 ▼輸出還付金の起源

 付加価値税(日本の消費税)の歴史的な経緯を見ると、嗜好品(しこうひ
ん)などの特定の商品にかける間接税を除いて、現在の付加価値税の起源は
意外に最近のものである。実際の制度として最初に導入したのはフランスで
ある。1954年のことだ。

 その6年前にさかのぼろう。1948年に、自由貿易を推進するGATT(関
税と貿易に関する一般協定)が発足すると、各国が個別に採用してきた自国
の輸出企業への補助金などは基本的に協定違反となった。

 たとえば、戦後復興のためにフランス政府は輸出を伸ばそうとルノーなど
お輸出企業への補助金を出していたが、それは協定違反となったのだ。

 そこで、1960年になってフランスはGATTに「ある文官」をすべりこま
せることに成功した、輸出品として国境をまたぐモノの税に関して、直接税
での「調整」は認めないが、生産→卸売→小売といった段階を踏んだ間接税
での「調整」ならば認めようというものだった。

 つまり、貿易競争において自国の企業を優位にさせるために法人税を下げ
るような調整は認めないが、国内で段階的に徴収された間接税の調整ならば、
国内での資材調達で重複課税となるのを防ぐことになるので調整してもよい、
という解釈だ。

 そして、この調整には、GATTが採用する「消費地課税の原則」も一枚噛ん
でいる。

 海外から入ってきた輸入品には自国の税制をもとに課税し、輸出品につい
たは税を免除するという原則である。消費地課税主義にもとづいて輸出に関
して税は免除したうえで、国内での間接税分を「調整」してよいとなれば、
生産→卸売→小売の各段階でいったん徴収した税金を、輸出企業に還付する
ことができるようになる。

 前述した日本の輸出大企業が受け取っている輸出還付金はこのようにして
始まった。日本だけではなく、GATTで間接税での調整が認められて以来、各
国は自国の輸出が優位になるよう、とくに間接税である付加価値税導入を積
極的におこなってきたのだ。
----------------------------(引用終り)----------------------------

 また、同じ岩本沙弓氏の『日本経済の憂鬱と再生への道筋』という著書の内容を紹介したブログもあります↓

https://belalugosi.exblog.jp/22662357/
「日本経済の憂鬱と再生への道筋」岩本沙弓 著 前編
https://belalugosi.exblog.jp/22714148/
「日本経済の憂鬱と再生への道筋」岩本沙弓 著 後編

 そこには湖東京至氏の名前も出てきます。同書の「解説を担当している」のだそうです。
 ここでは著書の内容そのものではありませんが、内容を要約しているのでその中から重要な部分を引用します↓

> 歴史はフランスの1967年が初めてである。
> 輸出業者からの請願で国際競争に勝てないから何とかしてくれ!!と泣き
> つかれ還付金を支給する。
> そこである問題が起こる。それは付加価値税のように直接税には補助金・
> 還付金を支払うのはWTO違反になるからだ。
> そこでフランスは苦肉の策として「付加価値税は間接税だからWTO違
> 反には当たらない」と得意満面の論点をスリ替えた。
> 「売上や購入(消費)に対してではない。+αの価値に対してのみ課税
> 対象だ!!」と言い張った。
> 何とヨーロッパ諸国がこれに賛同して、形勢が逆転して賛成多数でゴリ
> 押しされてしまった。
> ヨーロッパでは次々と付加価値税を導入するにいたる。
> 但し、事情は判らないでもない。
> 1967年当時はどこの国も外貨を稼ぎたかった。
> 輸出企業に還付金を渡せば国際競争力も強まるし、雇用も確保できた。
> そのまま国内の好循環に役立ったのだ。
> 日本の場合は消費税は間接税と言われているがこれは大きな間違えであ
> る。
> 現に判例でも示されている。
> 1989年消費税導入後に消費者が「これは私達が消費税を負担した額だ。
> この額がそっくりそのまま税務署に行かないのはおかしい!!」と東京地
> 裁と大阪地裁に提訴した。
> 1990年に判決が出て、その理由が「消費者が事業者に払った金額は税金
> ではなく、商品やサービスの提供に対する物価の一部に過ぎない」と付
> けた。
> つまり我々が支払い続けている消費税は=法人税の一部なのである。
>(この後に提訴されていないのでこれで判決が確定している。)
> 法人税だから直接税ですよ!!補助金や還付金は堂々と貰えるわけである。
> 大企業は海外に輸出する⇒還付金を受領する。だから、経団連等の団体
> からは「消費税反対!!」どころか「消費増税歓迎!!」なのである。
> 経団連の大企業から消費税の反対の声が聞こえないのはこれが理由であ
> る。
> すると決まって大企業からは「我々は下請けに購入した時の支払いに消
> 費税を支払っている」と豪語するが、いやいや、冗談じゃない。
> 消費税は価格の一部にすぎないから下請けに「(消費税)込みにしてく
> れ」と恫喝じゃなかった交渉する。
> 泣きを見るのは下請けの中小企業である。
> 消費税の滞納率は40%超である。家まで差し押さえられた例は星の数ほ
> どある。
> 私は趣味でスキーを若い頃やっていたが、馴染みの店はこの例で家も資
> 産も勿論貯金までも全てを失って廃業している。
対外的には“間接税”で還付金を貰い、国内の税務署には法人税の一部
> であると直接税を主張する。

 次は「後編」から↓。今度は日本における経緯です。

> 不思議な事に総理大臣や経産大臣が「法人税を引き下げる」と発言する
> のが先か!?それとも総理大臣か財務大臣が「消費税を引き上げる」と発
> 言するのが先か!?
> 卵が先か!?鶏が先か!?論ではないが、これはほぼ同時期に発言と施行が
> 重なる。
> なぜか!?この著書では以下の通りに説明している。
> 27年前に対談者(富岡氏)が文藝春秋で「税金を払わない大企業のリス
> ト」を公表。
> そのおかげで1987年には売上税(今の消費税の原型)導入に歯止めをか
> けた。
> その後、大蔵省(現在の財務省)は海外に拠点を持つ企業に対し、ゼロ
> ではバツが悪いので10%だけ法人税を払うように経団連と交渉した。
> このような協議をきっかけに大蔵省が法案を作る時には全部経団連の了
> 承を得て、経団連の審査を受けて国会議員に渡り、審議が始まる。
> このようなシステムが出来上がったらしい。
> 「政治献金を介した政官業癒着の構図です。だから税制というのは、基
> 本的には経済界、経団連の意向によってできている。」P110-111
> 我々の本当の敵の正体は国会議員でもなければ、財務官僚でもない。
> それは庶民のなけなしの所得から吸い上げた税金をグローバル企業が補
> 助金や還付金としてだけでなく、法人税の引き下げ等にみすみすくれて
> やっているのだ。
> この顔のない独裁者(グローバル企業)こそが敵の正体である。
> これは日本だけの特殊な事情ではなく、世界中の国家という国家、国民
> という国民が相対する悪腫瘍である。特に開発途上国になればなるほど
> …。
> このままでは法人税のディスカウントを更にするために国民に負担を増
> 税を強要する事になる。
> 「引き下げなければ海外に拠点を移す!!」と恫喝し、仕舞には法人税0
> %。
> いやっ、そんなことでは守銭奴たちは収まらない。
> 「更に還付金を寄越せ!!でないと海外に拠点を移す!!」「今度は補助金
> だ!!でないと海外に拠点を移す!!」
> あり得ない話ではない。
> この著書の中で一番興味を惹いたのは消費税と米国の年次改革要望書の
> 関係である。
> 米国の公文書には「消費税を導入するのなら報復措置と取る、3~5%程
> 度までなら我慢できる範囲だ。」
> この公文書を著者は発見して来た。
> 3%消費税が導入されたのが1987年、5%に消費税へ増税されたのが
> 1994年3月。
> 米国からの年次改革要望書が初めて提出されたのが1994年11月。
> 偶然の一致もあり得るだろう。
> ところが、毎年この年次改革要望書が提出されていたにも関わらず2009
> 年にはパタリと無くなった。
> この頃は日本の政治は民主党政権で鳩山政権の頃である。
> 思い出していただきたい。
> あの頃鳩山代表(後の総理)は「消費税は上げない、議論もしない。」
> と豪語し、当時の愚民達の圧倒的な支持を得て政権が誕生した。
> 「消費税は上げない、議論もしない。」=「年次改革要望書なし。」
> 翌年2010年の菅政権で参議院選挙では「消費税を上げないとギリシャみ
> たいになってしまう。」と発言、ここで米国は日本にTPP参加を強制
> し報復に出る。
> 翌年2011年の野田政権では「政治生命を懸けて消費税増税を法案を可決
> させる。」そしてTPPへの参加表明をさせられる始末。
> 安倍政権でも同じである。TPPでは7項目が聖域だ!!と言って政権を
> 奪取したにも関わらず、景気が回復しなければ8%に上げない!!と言っ
> ていたにも関わらず…。
> 実際には早い段階から(8%増税)決めていた。(青山繁晴氏談)
> 途端に聖域は7項目から5品目に全滅状態なのである。

 引用だけでかなり長くなってしまったので、一旦切ります。   (続く)

833:mespesado:2019/06/30 (Sun) 11:56:45

>>832
【シリーズ:検証!消費税⑦】

 この岩本沙弓氏の著書の信憑性云々の話は後回しにして、まずはここに書いてあることの解説から。
 2番目の引用記事によると、

> そこでフランスは苦肉の策として「付加価値税は間接税だからWTO違
> 反には当たらない」と得意満面の論点をスリ替えた。

> 「売上や購入(消費)に対してではない。+αの価値に対してのみ課税
> 対象だ!!」と言い張った。
> 何とヨーロッパ諸国がこれに賛同して、形勢が逆転して賛成多数でゴリ
> 押しされてしまった。
> ヨーロッパでは次々と付加価値税を導入するにいたる。
> 但し、事情は判らないでもない。
> 1967年当時はどこの国も外貨を稼ぎたかった。
> 輸出企業に還付金を渡せば国際競争力も強まるし、雇用も確保できた。
> そのまま国内の好循環に役立ったのだ。

…ということで、欧州各国はこぞってフランスのマネをして「付加価値税」を導入していきます。するとどうなるか。当初フランスは一人だけ付加価値税を導入していたので、>>825 で論じたとおり、国内販売価格 P と輸出価格 P' がどりらも消費者の支払う金額であるからということで P と P'を同列にして比較するべきだ、ということで、

 P = P'  ……… ①

という条件の下で国内販売の場合の利益単価 D と輸出による場合の利益単価 D' を比較するのが正当で、国内販売と輸出の利益単価の差は

 D' - D = P - ( 1 - α* ) × P = α* × P  ……… ②

となって、輸出企業は国内販売の時より α* × P だけ丸儲けになる、という結果が得られたのでした。
 ところが貿易相手国も付加価値税を導入する、というのであれば話は別です。この場合、各国は輸入品には自国の消費税率を上乗せして国内に販売します。従って、相手国の消費税率を β とすれば、相手国の消費者が当該輸出品を購入するときの価格は P' ではなく P' × ( 1 + β ) となるわけです。つまり、消費者から見た販売価格となる国内販売価格 P に対応する輸出時の価格は P' ではなくて P' × ( 1 + β ) になるわけです。ですから国内販売の場合の利益単価 D と輸出による場合の利益単価 D'を比較するには、① の条件ではなく、

 P = P' × ( 1 + β )  ……… ③

あるいは同じことですが、国内販売額 P に対する相手国消費税 β × P'の割合のことを β* で表せば、

 P' = P × ( 1 - β* )  ……… ③'

という条件で比較しなければなりません。
 以上の考察により、国内販売の時の利益単価

 D = P - C - T = ( 1 - α* ) × ( P - C ) ……… ④

と、輸出時の利益単価

 D' = P' - ( 1 - α* ) × C ……… ⑤

の差を計算すると、C に比例する項はキャンセルするので

 D' - D = P' - ( 1 - α* ) × P

となり、右辺の P' のところに ③' の右辺を代入すれば、

 D' - D = ( 1 - β* ) × P - ( 1 - α* ) × P

すなわち

 D' - D = ( α* - β* ) × P

 つまり、α* の方が β* より大きければ輸出業者の利益になり、逆ならば損になる、ということです。α* と β* の大小関係は α と β の大小関係と同じですから、これはつまり、自国の輸出業者が得をするためには、自国の消費税率を他国の消費税率より常に高く保つ必要がある、ということになります。
 こうしてひとたび欧州各国が付加価値税を導入するようになると、各国は消費税率の引き上げ競争に走ることになります。
 こうして見てくると、欧州の付加価値税の税率が20%超とか、日本人の目からするとトンデもなく高くなっているのは、実は消費税率引き上げ競争の成れの果ての姿である、ということがよくわかります。
 さて、以上のようなカラクリを見ると、輸出業者は消費税率が競争で高くなっていくのはありがたいとしても、その煽りを受ける消費者はたまったものではないように見えますよね。日本人の目から見たら、欧州の消費者はよく20%とかの消費税に我慢しているなあ、と。
 ところが、これは見かけほど消費者にとって酷ではないんですね。というのは、次のようなカラクリがあるからです。
 彼らはいわゆる「税込み価格」(実は「単なる販売価格」)を景気に見合った物価上昇率に従って値上げしていきます。そしてその場合のナンチャッテ「課税前価格」(実は単なる「課税標準」)は、この「単なる販売価格」を「消費税率」で割り引いて逆算しただけのシロモノですから、見かけ上いくら消費税率が高くなっても、この「課税標準」が下がるだけですから、消費者の負担は実は付加価値税を導入しなかった場合と比べて大して変わらないのです。
 しかも欧州では、日本の「失われた20年」のような停滞はありませんから、景気はそこそこ順調で、安定した「良性インフレ」の状態にあり、物価は毎年数%以上上昇していました。ですから、「付加価値税率」の引き上げ幅が物価上昇率の水準未満のであれば、販売価格を税率で割り引いて逆算した「課税標準」の数値も物価上昇率と税率引き上げ幅の差分だけわずかながら上昇することになります。だから「課税標準」のことを「課税前価格」だと勘違いしている消費者にとっても不自然ではありません。これで付加価値税が実態は輸出業者への補助金であるという仕組みも庶民にバレずに済むわけです。消費者は不当に価格が高くなることは逃れても、巡り巡って実質的に輸出補助金該当額を支払わされているということには気づかず、オメデタい存在として輸出企業に良いように搾取されていますね。
 さて、今最後に「付加価値税が実態は輸出業者への補助金であるという仕組みが庶民にバレずに済む」と書きましたが、ここで >>821

> これらの税額を最初に与えられた P と α1 と α2 だけを使って表す
> と、

> T1 = P × α1 ÷ ( 1 + α1 + α2 )

> T2 = P × α2 ÷ ( 1 + α1 + α2 )

> となります。ややこしいですね。そんなややこしいことをするくらいな
> ら、何で最初から P のことを「標準税率」と定義して、そのかわり税
> 率を α1に対する 6.3% とか α2 に対する 1.7% とかで規定する
> んじゃなくて、

> α1* = α1 ÷ ( 1 + α1 + α2 )

> α2* = α2 ÷ ( 1 + α1 + α2 )

> のことを税率と呼んで、それぞれ具体的な税率は 6.3% ÷ 108%
> 及び 1.7% ÷ 108% と規定する、というのでもいいはずですよね。

> え?割り切れなくて端数が出るから?でも、そもそも消費税率の 6.3
> %とか 1.7% なんて、厳密にこの値に設定する必要があるわけじゃな
> いんだから、逆に α1* や α2* を端数の付かない切りのいい数字で定
> めればいいだけであって、その方が消費税率が陽に、しかも②と③のよ
> うな簡単な掛け算で計算できるわけだから、そうすればいいのになぜそ
> うしなかったのか?

> これは全くの謎です(本連載の後の方でこの謎解きをします)。

と書いた「謎」の謎解きをする時期が到来しました。
 そうなんです。消費税率を「販売価格」に対する率として(上記の記号で言えば α1* と α2* がそれですね)定めてしまうと、これが事業者への直接税であると露骨にバレてしまいます。なぜなら販売価格は事業者への収入でもあるのですから、消費税率を「販売価格」に対する率として定めると、これは事業者の収入に対する税率を乗じたものを徴税するという形になるため、それは明らかに事業者への税金、すなわち「事業税」の一つであると解釈されることになります。ところが、もし販売価格のうち消費税分を除いた額(税法では「課税標準」と呼んでいる)に税率(上記の記号で言えば α1と α2 がそれですね)を乗じたものを徴税するとなれば、この「課税標準」が課税の対象であり、それに対する消費税を「課税標準」と併せて消費者が支払った、ということになり、消費者がその消費税を負担した、と見做すことができるわけです。からくりを知ってしまえば何とこズルい計略なんでしょう!このようにややこしい「税率」や「税額」の定め方を採用したおかげで「付加価値税は事業税で事実上の輸出奨励金だ」と主張する米国にも反論できるし、一方で「課税標準」を「消費者への課税前の販売価格である」と税法上明記しなかったことにより、消費税の支払免除規定が消費者から見て不公平だ!という訴えをかわすこともできる!まさにワル知恵の天才ですね。付加価値税を作った人たちは
 さて、欧州が「越後屋、お主もワルじゃのう」の八百長をしていたとき、面白くないのが米国です。米国は消費税を実質的に輸出企業への補助金であるということを早くから見抜いていました。だから米国は自国に付加価値税を導入するなんてことは拒否するし、フランスの付加価値税の導入もGATT違反だと批判するのですが、フランスと同じ利益にあやかりたい他の欧州諸国は「米国の主張に理があるとわかっていながら」自国にとってもオイシイ付加価値税の導入に賛成して、米国の真っ当な主張を多数決で葬り去った、というわけです。        (続く)

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mespesado

 すいません。今回も私の記事を紹介していただいているのはありがたいのですが、冒頭で紹介されているリンク先:

消費税の輸出還付金は大企業への補助金
http://editor.fem.jp/blog/?p=2912

及びその中で参照されている引用先:

http://editor.fem.jp/blog/?p=1020

の岩本沙弓氏の主張には誤りがあります。この2番目のリンク先の記事によると、氏は米国が消費税を批判して「輸出還付金」が補助金であると主張した、と述べたとのことですが、これこそ私が【シリーズ:検証!消費税①】で述べたような勘違いであり、「輸出還付金」は、輸出企業が下請けに支払った消費税分を返してもらっているだけなので、補助金ではありません。
 実際の米国による批判とは、輸出企業が下請けに仕入れの消費税分を全額支払わず、「負けさせる」ことが多いのに、負けさせた分も含めて「輸出還付金」では「全額」を還付されるからその差額分が事実上補助金になっている、と批判したのです。この件について米国とフランスの間で、いや、負けさせるなんてことはしてない、いやしているはずだ、という「神学論争」が置き、結局米国が「負けさせている証拠」を提示できなかったため、フランスの主張が通り、付加価値税がGATT違反であるとの米国の主張は却下されたのです。このあたり、岩本沙弓氏も湖東京至氏も結構雑な議論をしているので注意が必要です。
 ちなみに私が本連載で主張している付加価値税の「輸出還付金」の真の問題点というのは、岩本沙弓氏や湖東京至氏の主張とは異なることはもちろん、米国の主張とも異なるもので、仮に輸出企業が仕入れ先に消費税分を負けさせるという事実がなかったとしても発生する問題点なのです。
 なお、今ここにコメントさせていただいた件は本連載の次の⑧で改めて解説する予定です。

by mespesado (2019-06-30 23:41) 

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