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世界はまともになりつつある [イハトビラキ]

平成9年(1997)の武藤嘉文国務大臣国会発言オーストラリアへ参りましたときに、オーストラリアの当時のキーティング首相から言われた一つの言葉が、日本はもうつぶれるのじゃないかと。実は、この間 中国の李鵬首相と会ったら、李鵬首相いわく、君、オーストラリアは日本を大変頼りにしているようだけれども、まああと三十年もしたら大体あの国はつぶれるだろう、こういうことを李鵬首相がキーティングさんに言ったと。》に発して、バブル後の日本に中国脅威論が広がった。パソコン通信の時代だったが、私もその雰囲気をよく記憶する。歴史教科書見直しの気運はその中で広まった。副島隆彦著「次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた」が出たのが平成18年(2006)、中国は驚異の成長を遂げて今、最も焦点の国である。

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372:堺のおっさん :2018/08/02 (Thu) 13:40:46
host:*.ocn.ne.jp

米朝会談、米ロ会談と大きな節目が立て続けに続いた。
その結果、世界はどうなるのだろうか?
今アメリカは覇権国家の座を降りようとしているが、
アメリカ後は中国が覇権国家として登場する…、というのが
一般的な見方であった。しかし、もっと掘り下げなければ実像が見えない。

まず世界は中国の覇権国家化を望んでいるかというと、ほぼ拒否。
北もロシアも望んではいない。
それでも習近平は中国が覇権国家になることを宣言してしまった。
これには、もう一つの意味があって、中国国内に向けたものでもある。
中国の膨張主義は中国政府から発されているというよりも、
むしろ富裕層を中心とした層に突き動かされていると見たほうが正しい。
中国も一枚岩ではないようだ。

プーチン・トランプは先の首脳会談で長時間の密談を行った。
内容は一切不明であるが、おおよその推測はできる。
その肝は、北朝鮮を起点とした極東開発にアメリカも乗ってこい!
これは両者の利害が完全に一致するテーマでもある。

どうであろうか。中国の膨張主義を押さえて、覇権国家化を阻止する。
それほどにもプーチンは危機感を抱いているということだ。

覇権国家が登場すると、その他の国家は基本的には発展できない。
これからの世界はどこであれ、覇権国家の登場を拒否していくだろう。
多極化ともいうが、それは不安定化を意味するものではなく、
各国家が成長していくための舞台でもある。
アメリカも多極化の中でこそ復活する条件ができるというものだ。

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そんな中、副島氏の重掲版で、王岐山国家副主席についての記事を読んだ。「ようやく 中国の一番の大物の人物が、表に出てきた。真打ち登場、である。」との紹介だった。その記事を読んで、中国には中国の必然性に基づいて今の中国がある、「覇権」という言葉に過剰反応しない方がいい、そう思った。「世界における正当な場所を求める善意のパワーだ」との言葉に、大丈夫、世界はまともになりつつある、そう思えた。

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「米中貿易戦争、解決のキーマンは 王岐山 副主席か」
2018年8月2日 WSJ (ウオールストリート・ジャーナル紙)
https://jp.wsj.com/articles/SB11443694453778813656304584383691732929568

◎王氏は米国に舞台裏でメッセージを伝達する役割を果たしている
 貿易をめぐる米中の緊張が高まった今年5月、中国の王岐山(おうきざん)国家副主席は米実業家らとの会談の場で、中国の産業政策に対する米国の批判に反論した。中国の歴史に関する米国の無知について詳しく説明したのだ。

  この会談の内容を知る関係者によれば、王氏は貧困から抜け出そうとする中国の苦闘を理解しない米国の姿勢をたしなめた。米国が中国の苦闘を理解すれば、中 国共産党とその政策についても理解が進むだろうと話したという。王氏は、孫武の兵法書「孫子の兵法」の「敵を知り、己を知れ」の格言を引用し、自らのメッ セージを強調した。

 習近平国家主席の腹心である王氏は短期間政界から退いた後、今年3月にそれまで儀礼的役割だった国家副主席の座に就いた。

◎舞台裏でメッセージ伝達
  王氏は副主席として、訪中する米国人らに舞台裏でメッセージを伝達する役割を果たしている。習主席の経済アドバイザーである劉鶴(りゅうかく)副首相が、 貿易紛争をめぐる米国との交渉を主導している。一方、王氏は、外圧に屈することなく自らの発展の道を進む中国の決意を伝えている。

 王氏 が政治の最前線に復帰したことは、過去半年間で習氏が中国の政治的序列をいかに変えたかを物語っている。この間に習氏は、自らを政策立案のトップに据え、 周囲に同志や子飼いを配置してきた。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、今年3月、国家主席と副主席の任期制限を撤廃した。 習氏と王氏は、無期限に現職にとどまることができるようになった。

 米国は7月6日、340億ドル(約3兆7800億円相当)の中国産品への追加関税を発動し、貿易戦争をエスカレートさせた。その数日後、王氏はシカゴ市のラーム・エマニュエル市長、 テスラ のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と個別に会談した。

 エマニュエル氏との会談は王氏の要請によるもの。エマニュエル氏の報道官によれば、会談で王氏は、「米中関係の現状は中国側が望んでいるものではない」としながらも、「中国は自国経済を強化するビジョンを思いとどまることはない」と述べた。

 上海に電気自動車(EV)工場を建設する計画を発表するため中国を訪れていたマスク氏は、ツイッターで、王氏と面会したことを明らかにし、「歴史や哲学に関する非常に興味深い話し合いをした」と書いた。

◎米国で一目置かれる存在
 一部の米当局者や企業経営者は中国当局者に対し、貿易摩擦解消のため王氏が訪米して交渉に当たるよう要請している。王氏は1990年代以降、銀行家や政府高官として多くの米側関係者と交流してきており、米国の金融界や政界で一目置かれる存在だ。

 ただ関係者によれば、王氏は5月に北京の中南海(ちゅうなんかい)で米経済界の首脳らと会談した際、自らが対米関係を統括することは否定。習氏が望むことならば何でもするのが、国家副主席としての職務であると語った。

 副主席としての王氏は、前任者をはるかに上回る名声と影響力を持って外交上の職責を果たしている。昨年10月に共産党政治局常務委員から退任したものの、今も重要会議には出席しており、党の外交政策を担う新設の中央外事工作委員会の事実上のトップに就任している。

 習主席にとって、王氏を副主席として置く意味は、米国に対する洞察力を持つ貴重な人物を、実績あるトラブルシューター、かつ忠実な部下として身近に置くことにある――。これが中国政治ウォッチャーたちの見方だ。

 また、潜在的ライバルとなり得る年下の幹部を、次の国家主席をうかがうポストに就かせる、のを回避するのにも役立つ。現在70歳の王氏は習氏より5歳ほど年上で、後継者になるには高齢過ぎると考えられている。

  王氏は、経済政策通の銀行家および政治家としての長いキャリアに定評があるが、その後は汚職撲滅(おしょくぼくめつ)運動も指揮した。この反腐敗(はんふ はい)闘争により、習氏は就任1期目の5年間で、政敵を追い払い、党員たちに忠誠を誓わせることが可能になった。王氏を知る人々は、正直者だという評判が あって、子供がいない同氏が、この職務にうってつけだったと述べる。

 1990年代半ばに、大手国営金融機関のトップだった王氏は、米モルガン・スタンレーと交渉し、同国初の合弁投資銀行である中国国際金融(CICC)を創設した。

  1995年のCICC創設時、株主の1人が王氏に高価なゴルフクラブのセットを贈った。当時、CICCのCEOを務めていたハリソン・ヤング氏によると、 「倫理・優待規則によって受け入れも拒絶もできない贈答物に相当した」ため、「董事長だった王氏は、これ見よがしにゴルフクラブを自分のオフィスの目立つ ところに置き、我々は、これに触ってはいけない、と職員に告げた」という。

◎文化大革命の頃から盟友
 習氏と王氏は、少なくとも1966年から76年の文化大革命の頃から互いを知る間柄だ。2002年に習氏にインタビューしたチャン・シーミン氏によると、このとき両氏は、毛沢東の命令の下、都会から農村地帯に下放した何百万人もの若者の一部だった。

  1980年代、習氏が地方の党トップだったとき、王氏は中央政府で農村政策を勉強していた。農村政策で王氏と緊密に協力していた経済学者の黄江南(こうこ うなん)氏によると、王氏は北京で開催する討論会に参加するよう習氏ら地方行政官をしばしば招いていた。黄氏は1979年、党指導部に提出された経済政策論文を、王氏らと共同で執筆したこともある。

 同氏によると、若い頃に出会った習氏と王氏は「強い親近感を抱き、互いの考え方を理解し、同じような政治目標を共有していた」という。

  外国の賓客との会談で、王氏は、中国について、「世界における正当な場所を求める善意のパワーだ」と説明している。大学時代に歴史学を専攻した王氏は、フ ランスの思想家アレクシ・ド・トクヴィルの「アメリカの民主政治」から、ハーバード大の哲学者マイケル・サンデル氏の「これからの『正義』の話をしよう」 に至るまで、数々の著作を渉猟してきた。中国史や世界史に言及することもしばしばだ。

 王氏は今年5月、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで国家副主席として初めて公の演説を行い、「あらゆる国には独自の歴史と文化と同様に、独自の現実がある」と主張。あらゆる国は「自国に適した開発の道を追求すべきだ」と説いた。


【追記 30.8.6】

久しぶりの田中宇氏。田中氏にとっても世界は《BRICSを見ると、軍産に牛耳られた米国など同盟諸国以外の諸大国は、戦争より協調を好み、最も仲が悪いインドと中国の間すら、何とか一緒にやっていける。軍産以外の人類は、戦争を好まない。軍産を覇権運営から外せば、世界は平和になり、多極化を推進しやすい。》 の方向です。ただし《米国が地域覇権国として軟着陸したとしても、その前に起きる金融バブル崩壊によって、米国も日本も財政難がひどくなり、日本は思いやり予算を出せなくなるし、米国も海外派兵を続ける余力がなくなる。》という田中氏は「財政破綻は不可避」の緊縮派のようですが。

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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2018年8月5日 http://tanakanews.com/

●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)
最期までQEを続ける日本  http://tanakanews.com/180801boj.php
トランプはイランとも首脳会談するかも  http://tanakanews.com/180729iran.php
金相場の引き下げ役を代行する中国  http://tanakanews.com/180718goldchina.php

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★米国の破綻は不可避
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米国が中国などに輸入関税引き上げの貿易戦争を仕掛けるなか、7月末に
BRICS諸国(中露印ブラジル南ア)の年次サミットが南アフリカで開かれた。
中国は、BRICSの5か国の中で最も経済力があり、BRICSを隠然と主導
している。今回のサミットで中国の習近平は、中国など世界に貿易戦争を仕掛け
て保護貿易(=悪)の姿勢を強めるトランプの米国を間接批判し、BRICSは
自由貿易(=正義)を信奉する機関であるとぶち上げた。トランプの就任以来、
米国は保護主義で、トランプに敵視される中国やドイツが自由貿易主義という
構図が定着している。善悪関係から見て、これは中国に有利だ。

http://www.atimes.com/article/china-builds-a-wall-of-brics-to-help-counter-us-trade-war-barrier/
China builds a wall of BRICS to help counter US trade war barrier

http://m.scmp.com/news/china/diplomacy-defence/article/2157111/brics-nations-pledge-unity-face-us-china-trade-war
BRICS nations pledge unity in face of US-China trade war

BRICSは今回のサミットで、自由貿易の理念に基づきつつ、5か国相互間の
貿易関係を強化することを決めた。新興市場諸国である5カ国は従来(冷戦後)、
世界最大の輸入消費国(経済覇権国)である米国に輸出して経済成長するモデル
に沿ってきたが、トランプによる米国の保護主義化に伴ってこの従来モデルを
あきらめて離脱し、5か国合計で世界の総人口の4割を占めるBRICSの消費
市場としての潜在的な力を利用し、BRICS内部や他の新興市場諸国との貿易
で経済成長していくモデルに移行していくことにした。その主導役は中国だ。

http://www.news18.com/news/world/brics-nations-call-for-strengthening-multilateral-trading-system-amid-rising-trade-disputes-1825005.html
BRICS Nations Call for Strengthening Multilateral Trading System Amid Rising Trade Disputes

http://www.ecns.cn/m/news/politics/2018-07-18/detail-ifywhfmh2711709.shtml
BRICS to seek unity on trade

今後の世界経済は、牽引役が、高度成長期を終えて少子高齢化も進む先進諸国か
ら、BRICSなどの新興市場諸国に転換していく。トランプの保護主義は、こ
の転換を加速している。中国は、この転換の中心にいる。トランプの貿易戦争は、
中国を弱体化するどころか逆に、中国を今後の世界経済の主導役へと押し出して
いる。南アでのBRICSサミットは、中国主導のBRICSがこの転換を積極
推進していくことを宣言した点で画期的だ。

http://www.telegraph.co.uk/news/world/china-watch/business/brics-summit-2018/
Brics on right track to the future

http://www.economist.com/free-exchange/2018/07/27/has-brics-lived-up-to-expectations
Has BRICS lived up to expectations?

今後、米国の経済覇権の根幹にある債券金融システムがいずれ(前回の記事に書
いたように2020-24年ごろか??)バブル崩壊し、それが米国覇権の終わ
りにつながると予測される。リーマン危機後にQEなどによって再膨張した米国
中心の金融システムのバブルは巨大で、ひどい金融危機を起こさずに軟着陸する
ことが不可能だ。米国の政府と金融界は、バブルを縮小する気が全くない(日本
政府も)。バブルの危険性を無視して、どんどん膨張させている。政治的にも、
トランプは、いずれバブル崩壊を引き起こして米国覇権の解体につなぐべく、
高リスク投資に対する銀行規制を緩和し、バブルを意図的に膨張させている。
米国のバブル崩壊はもはや回避不能であり、いずれ必ず起きる。この大きなバブ
ル崩壊が起きると、世界経済の中心が、米国など先進諸国から中国など
BRICS・新興市場諸国に転換する流れが一気に進む

http://tanakanews.com/180801boj.php
最期までQEを続ける日本

http://sputniknews.com/analysis/201807281066765965-trump-trade-wars-benefit-brics/
'Trump's Trade Wars Could Be Beneficial to BRICS'  IR Specialist

BRICSは、今回のサミットで、この転換の準備を進めていく態勢づくりを加
速することを決めた。BRICSは、加盟諸国間の貿易で使う通貨を、米ドルか
ら、人民元など加盟諸国の5つの通貨に替えていく動きを続けている。いずれ米
国が金融崩壊したら、従来の米ドルの貿易決済システムへの信用が低下し、各国
が外貨備蓄を米国債の形で持つことも減る。戦後の世界経済の根幹が崩れる。
BRICSは、その後のことを考えている。

http://www.businesslive.co.za/fm/features/2018-08-02-ways-to-cement-brics/
To strengthen Brics, the bloc first has to improve trade and investment between its members

米国が金融崩壊すると、その後、ドルの究極のライバルである金地金が、富の備
蓄や国際決済の手段として見直されるだろうが、金地金の国際的な価格管理の主
役は、今年初め、それまでの米英金融界から、中国政府へと、ほとんど知られぬ
まま、交代している。国際金相場は現在、人民元の為替と連動している。人民元
の為替は、金の価格にペッグしている。米国が中国の対米輸出品に高い関税をか
ける貿易戦争を仕掛けたのに対抗し、中国は、人民元の対ドル為替を意図的に下
落(元安ドル高)させ、対米輸出品の価格を下げることで、関税の引き上げを穴
埋めする策をとっているが、この元安の影響で、ドル建ての金相場が下落を続け
ている。

http://tanakanews.com/180718goldchina.php
金相場の引き下げ役を代行する中国

http://tanakanews.com/150314gold.php
金本位制の基軸通貨をめざす中国

中国はすでに世界の金地金取引の中心にいる。そしてBRICSは今回、5か国
の金鉱山の協力関係を強化し、BRICS内の金取引の制度を整えることにした。
世界最大級の金地金の消費国である中国やインドと、地金の大きな生産国である
南アやロシアとの結束が強まる。BRICSの金地金流通の新体制が、金本位制
を意識して金相場にペッグする人民元を裏打ちするようになる。当面、米中貿易
戦争の絡みで、人民元も金地金も安いままだろうが、いずれ米国がバブル崩壊す
るとともに、人民元と金地金の国際地位が上昇する。この上昇は、中国やBRICS、
非米諸国の、国際政治における地位の上昇や、覇権の多極化につながる。
いずれ米国のバブル崩壊とともに「金地金の取り付け騒ぎ」が起きるだろうが、
その時、金の現物の国際管理権は、中国が握っている

http://www.miningreview.com/brics-gold-new-model-multilateral-cooperation/
BRICS Gold: A new model for multilateral cooperation

http://tanakanews.com/130424gold.php
金地金の売り切れ

米国の経済覇権の根幹にある債券金融システムがいずれバブル崩壊し、それが米
国覇権の終わりになる。このとき、日銀のQE(量的緩和策)によって米金融シ
ステムをテコ入れしている日本は、米国のバブル崩壊によって大打撃を受ける。
中国やBRICSは、米国の金融崩壊後に備え、ドルの使用を減らし、金地金を
備蓄しており、きたるべき米金融崩壊から受ける打撃も少なくなる。中国や
BRICSは「ノアの方舟」を建造し始めている。日本は、米国とともに溺れる
運命にある。先日、中国がBRICSサミットでドル崩壊への準備加速をを決め
たのと同時期に、日銀がQEを2020年まで続けることを決め、崩壊が不可避
なドルの延命に邁進することにした。中国は賢い。日本は馬鹿だ。

http://tanakanews.com/180801boj.php
最期までQEを続ける日本

日本はほかにも、米国崩壊と中国BRICS台頭という、きたるべき転換への流
れの中で、何重もの意味で「負け組」に入っている。その一つは、日本が「高度
成長期を終え、少子高齢化が進む先進諸国」の範疇のまっただ中にいること。も
う一つは、戦後の日本が、圧倒的な単独覇権国である米国に対して頑強に従属す
る対米従属策で発展してきたこと。日本は、対米従属以外の国策が(ほとんど)
ない。トランプの覇権放棄策は、米国の覇権を自滅させ、日本を無策で弱い国に
変える(もうなってるって??)。3つ目は、中国が台頭してきたこの四半世紀、
日本が中国敵視策を続けてきたことだ。これは対米従属の維持のために必要とさ
れた。中国と仲良くすると米国(軍産)からにらまれ、対米従属が難しくなる。
米中の両方とうまくやるバランス策は(小沢鳩山とともに)排除された。日本は、
中国と一緒に発展していく機会を失い、米国覇権の消失とともに孤立し弱体化
する道に入った。

http://tanakanews.com/150322china.htm
日本から中国に交代するアジアの盟主

http://tanakanews.com/141112japan.php
中国敵視を変えたくない日本

米国の上層部は、覇権を維持したい軍産複合体と、放棄破壊したいトランプとの
激しい暗闘が続いている(暗闘はケネディ以来70年間、断続的に続いてきた)。
今のところトランプが優勢で、軍産は劣勢が加速している。今後、米国の中間選
挙や大統領選挙でトランプ側が負け、軍産傀儡的な民主党側が盛り返せば、米国
の覇権が維持再生し、日本も対米従属を続けられるかもしれない。だが、米民主
党内では、上層部の軍産傀儡勢力(エスタブ、ネオリベ)を批判する草の根の
左翼勢力が強くなり、こんご内部紛争が激化しそうだ。草の根左翼が勝つと、軍
産は民主党内でも傍流になり下がる。トランプは負けにくく、米国の覇権は復活
しにくく、日本は負け組から脱しにくい。

http://tanakanews.com/180724trump.htm
軍産の世界支配を壊すトランプ

「軍産は、完敗する前に大きな戦争を起こして米国の政権を事実上乗っ取るはず
だ」という考え方がある。しかしこの道は、すでにトランプによってふさがれて
いる。トランプが(70年代のカーター流に)平和主義者として振る舞って覇権
を放棄していこうとしたのなら、戦争を起こして妨害できる。だがトランプは逆
だ。軍産以上に好戦的なことを言いつつ、北朝鮮やロシアといった大規模戦争の
敵になりそうな諸国と首脳会談して個人的な和解ルートを築き、軍産の戦争戦略
を無効化している。トランプは、イランのロウハニ大統領とも首脳会談しそうな
流れを作っており、イランとも会談してしまうと、軍産が戦争を起こせる敵が世
界にいなくなる。トランプは巧妙だ。

http://tanakanews.com/180729iran.php
トランプはイランとも首脳会談するかも

http://tanakanews.com/180711korea.htm
意外にしぶとい米朝和解

軍産は、自作自演的な911テロ事件でブッシュ政権を見事に乗っ取ったが、ト
ランプとその背後の勢力(米諜報外交界の中に混じっている隠れ多極主義者たち)
は、911の教訓を踏まえて今の戦略を練ったのだろう。(すでに何度も書いた
ので隠れ多極主義については今回説明しない。「トランプ対軍産」は、正確に言
うと「軍産・米諜報外交界の内部の多極主義と米覇権主義との暗闘」である)

http://tanakanews.com/1710hegemon.htm
世界帝国から多極化へ

▼米国を内戦にして覇権を完全喪失させたいトランプたち

米国が覇権を喪失して世界が多極化しても、米国が軟着陸的に覇権を縮小し、西
半球と太平洋の地域覇権国として残り、米国の覇権領域が「英国以西、日本(シ
ンガポール豪州)以東」になるなら、日本、英国、カナダ、豪州、NZといった
同盟諸国(ファイブアイズ+1)は引き続き、縮小した米国覇権の傘下に残れる。
この場合、縮小した米国の覇権は、NAFTAと米英同盟と「トランプ就任前の
TPP」が合体したものになる。だが、トランプは、この地政学的な線引きも破
壊してしまった。トランプは、大統領就任と同時にTPPから離脱し、NAFTA
も解体しようとしている。英国との関係も疎遠だ。

どうやらトランプ(ら多極主義者たち)は、米国を世界的な単独覇権国から地域
覇権国に格下げして残りの地域の覇権を中国やロシアやEUなどに分散するシナ
リオだと、米国が担当する地域の覇権運営を手がける勢力が依然として軍産(単
独覇権主義者たち)のままで、彼らはいずれ機会を見て中国やロシアと恒久対立
する冷戦体制を復活し、元の木阿弥になると考えているようだ。多極化は、極と
なる地域覇権諸国どうしがずっと仲良くないと成り立たない。

BRICSを見ると、軍産に牛耳られた米国など同盟諸国以外の諸大国は、戦争
より協調を好み、最も仲が悪いインドと中国の間すら、何とか一緒にやっていけ
る。軍産以外の人類は、戦争を好まない。軍産を覇権運営から外せば、世界は平
和になり、多極化を推進しやすい。

つまり、世界を多極化するには、米国を中心とする同盟関係をすべて破壊し、米
国の覇権をゼロにする必要がある。最も確実な方法は、米国民の内部対立を扇動
し、米国を内戦状態にして20年ぐらい「失敗国家」の状態を維持し、その間に
米国以外の諸大国がそれぞれの地域覇権体制を確立して多極化を定着させる「米
国リビア化」のシナリオだ。トランプになってから、米国では貧富格差の拡大に
拍車がかかっている。中産階級から貧困層に転落した人々が、金持ちを憎む傾向
が増している。トランプを支持する人々と、トランプを敵視する人々の対立も激
しくなっている。これらが意図的な謀略の結果であるなら、その謀略の目的は、
米国を失敗国家の状態に陥らせ、米国を覇権から切り離すことにある。今はまだ
妄想と笑われるだろうが、いずれ米国の金融が再破綻すると、米国のリビア化が
現実味を帯びる

http://www.zerohedge.com/news/2018-08-01/number-americans-living-their-vehicles-explodes-middle-class-collapses
The Number Of Americans Living In Their Vehicles "Explodes" As The Middle Class Collapses

http://www.zerohedge.com/news/2018-07-24/researchers-warn-income-inequality-us-getting-worse-it-was-intentional
Researchers Warn Income Inequality In US Getting Worse, It Was "Intentional"

今後、米国(と日本)の金融バブルの崩壊は不可避だが、その後、米国の国家的
なちからがどこまで落ちるかによって、日本が対米従属を続けられるかどうかも
変わってくる。米国が軟着陸的に覇権縮小していくなら、米国は引き続き太平洋
地域の覇権国として残り、いずれTPPにも再加盟し、日本が対米従属を続けら
れる可能性が強くなる。

半面、米国が内戦になって「失敗国家」に成り下がる場合、米国は外交どころで
なくなり、日本は対米従属できなくなる。この場合、日本は、豪州や東南アジア
の海洋側の諸国、カナダなど米州の太平洋諸国との連携(日豪亜同盟)が、外交
戦略の基盤となる。この領域は、現在の米国抜きのTPPと同じであり、その意
味でTPPが日本にとって重要な存在だ。日豪亜やTPPは従来「中国包囲網」
として語られてきたが、今後、米国覇権が失われると、もう米国覇権の維持のた
めに中国敵視が必要だという軍産の論理も消失し、日本や豪州は中国を敵視する
必要がなくなり、日豪亜やTPPは中国とも協調するようになる。すでに安倍晋
三は、その手の親中国的なことを何度も表明している。

http://tanakanews.com/170731abe.htm
中国と和解して日豪亜を進める安倍の日本

米国が地域覇権国として軟着陸したとしても、その前に起きる金融バブル崩壊に
よって、米国も日本も財政難がひどくなり、日本は思いやり予算を出せなくなる
し、米国も海外派兵を続ける余力がなくなる。在日米軍は、2020-25年の
金融危機後、大幅縮小もしくは総撤退する可能性が高い。

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