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吉里吉里忌(5)置賜人 井上ひさし [井上ひさし]

きらめく星座is.jpg以前書いた「きらめく星座」観劇記のコメント欄に、東北芸工大教授の経歴ももつ田島正樹千葉大教授による容赦ない酷評がメモってあった。いわく人物造形はやりきれないほど類型的で、紙芝居のようにどれも薄っぺらく、ウソくさい。社会的背景もげんなりするくらいステレオタイプ的な描き方で、リアリティも生活臭もまるでない。》《私は当時が実際どうであったかを語る資格はないが、こんなものではなかったということは、はっきり断言できる。》《井上ひさしの劇が〈嘘〉なのは、それが〈今〉を感じさせない点にはっきり現れる。》《井上ひさしは、観客の知性を見くびっているとしか思えない。》《要するに、井上ひさしは人生を見くびっているのだ。》概ね私が先に吉里吉里忌(2)で書いた「つくりもの」説に対応する批判でわからないでもないが、それはそれ、七転八倒から生まれる井上戯曲の趣向のそれなりを楽しめばいいわけで、サヨク感覚が気に入らないと言えば言えるが、いずれ過去の遺物になるにしても、それも時代のひとつのあり方、時代の証言、何と言っても私にとって井上ひさしは「置賜人」としての共通感覚ゆえの共感によって井上ひさしなのだと思う。井上作品が古典になりえず、時代とともに忘れ去られるとしても、井上ひさし氏の置賜愛のゆえに、置賜人にとっての井上ひさしは永遠なのです、と思いたい。「週刊置賜」連載の井上ひさし南陽講演録の表題は「世界の中の置賜人」でした。
世界の中の置賜人得意泰然.jpg

講演録は20回にわたる連載となったが、終わって寄せられた読者からの感想、「こまつ座」構想を語り出した頃の井上ひさしを、置賜人がどう受けとめていたかの一端がわかっておもしろい。

井上ひさし講演感想2.jpg井上ひさし講演感想1.jpg

「録音禁止」に反したことへの負い目から、せっかく録らせていただいた以上できるだけそれを活かさねば、との思いになり、そのうち30年以上も前のことを懐かしく思い出すことになって「吉里吉里忌」と題して5回を重ねることになりました。おそらく、多くの思いを残されたまま亡くなられたのであろう井上ひさしさんの御冥福を、あらためて衷心よりお祈り申し上げたいと思います。井上さん、ありがとうございました。



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