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「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」を読んで [現状把握]

日本はなぜ、・・・.jpg

矢部宏治著「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」については「舟山やすえ」という武器を得た!に書き始めたのでしたが、あらためて書き直してアマゾンにレビューしてきました。「日本属国」説は副島隆彦氏の『属国・日本論』(五月書房 1997)を嚆矢とします。当時としては十分衝撃的でしたがまだ傍証的でした。この著で矢部氏は日米外交史の内側に深く分け入って、日本とアメリカのほんとうの関係を立証しました。「保守的」であり「愛国的」であるはずの「(日本会議→)安倍政権」が「売国的」にならざるを得ない戦後日本の逆説性、そんなことも考えさせられています。とにかく日本という国が現実どういう国なのかについて思い知らされます。この著をふまえた議論が湧き上がることを切望します。

 

*   *   *   *   *


「戦後日本」のいかがわしさ


日本は米国に対し、領土を自由に使う「基地権」と、自衛隊を米軍の指揮下で自由に使う「指揮権」という二つの治外法権を許している。このことによって日本は、アメリカの属国であり独立国ではない。しかもその治外法権は国民公認の法的手続きを経たものではなくて、その時々のいわば「密約」に拠る。


9条理念の決定的転換となった警察予備隊(75,000人)創設(併せて海上保安庁8,000人増員)も、吉田茂首相への一通の手紙に拠るものだった。


《「朝鮮戦争がはじまったから、しかたがなかった」というだけで、いったいどのような論理にもとづく方針転換だったのか、明確に語られることがありませんでした。そのため憲法の安全保障条項(9条2項)という、国家にとってもっとも論理的整合性の必要な問題が、その後、議論の足場を完全に失い、合理的に議論することがまったくできなくなってしまったのです。》188p


以来「戦後日本」とりわけ政治の世界では、論理(筋道)の通用しない国になって現在に至る。その場限りの言葉でまっとうな議論から逃げまくる安倍政権にその典型を見る。論理(筋道)などはどうでもいいのだ。


ではいったい、スジを取り戻すにはどうすればいいのか。

 

A:「史上最大の軍事力をもち、世界中に出撃して違法な先制攻撃をくり返す在日米軍」と、 B:「いっさいの軍事力をもたないことを定めた日本国憲法92項」という巨大な矛盾》《これほど大きな矛盾を国家の中心にかかえこんだ国》は他にあるだろうか。《そのなかで私たち日本人は、みずからはBの理念を誇りにしながらも、現実にはAの論理が世界を支配していくプロセスを、物質的にも金銭的にも強力に支援しつづけてしまった。それが「戦後日本」という国のほんとうの姿だったのです。》46p


まずはこのことのただならぬ「いかがわしさ」を深く認識し、「戦後日本」のあまりの能天気から覚醒すること。道は遠い。しかしそこからしか「敗戦日本の再生」はないことを思い知らされた本でした。必読です。



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コメント 6

かなり前に朝出会った者

いかがわしさの認識がたりない。

 読ませていただきました。残念ながらほとんど同意することはできません。
9条2項を持ちながら、米国や連合軍(一般的には国際連合というようですが)の軍事作戦に加担するいかがわしさはその通りでしょう。しかし、いかがわしさの本質はこのような現象面にあるだけではありません。日本国憲法に内在するいかがわしさこそが本質だと考えています。
 そもそも、日本が独立国であるなどとどうしていえるのでしょうか。日本国憲法がマッカーサー草案をほぼ丸写しした憲法である限り、その解釈権は起草者である米国にあると考えるのが当然ではありませんか。自民党政権であれ、民主党政権であれ、米国の呪縛から逃れることなどありようはずがありません。


 具体的に指摘しましょう。憲法9条では、その1項に、
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
と記述しています。これを文脈通りに解釈するなら、戦争・威嚇・武力の行使を「国際紛争を解決する手段としては」放棄するということです。それ以外、例えば自衛のためには放棄してはいないのです。

 このことは、次の点からも確認することができます。9条1項が、昭和4年のパリ条約のブリアン=ケロッグ規約によっていることは明らかです。その一条には、
 締約国ハ国際紛争解決ノ為戦争ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互関係ニ於テ国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳粛ニ宣言スル
とあります。ところがこの条約は、各国の軍備を否定するものではまったくありませんでした。このへんはウィキ先生が手際よくまとめていますので引用します。

この条約はその後の国際法における戦争の違法化、国際紛争の平和的処理の流れを作る上で大きな意味を持った。一方で加盟国は原則として自衛権を保持していることが交渉の過程で繰り返し確認されており、また不戦条約には条約違反に対する制裁は規定されておらず、国際連盟規約やロカルノ条約など他の包括的・個別的条約に依拠する必要があった。そのほかにも自衛戦争の対照概念たる「侵略」の定義がおこなわれておらず、第一次大戦で多大な効力を発揮した経済制裁(ボイコット、拿捕や敵性資産の没収等)が戦争に含まれるのか不分明であり、また戦争に至らない武力行使、国際的警察活動(海賊やテロリストの取締、とくに他の締約国内での武力行使を伴う)、中立国の権利義務など不明確な点を多く含んでいた。

つまり、戦争を国際的紛争を解決する手段として放棄することと、軍備を保有することはまったく別のことなのです。むしろ、9条1項は、自衛力としての軍備力を保有することを前提とした条文なのです。第2項は

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

としるしています。この「前項の目的を達するため」がいろいろと問題とされていることはご存知のことでしょう。日本語として、文脈にそって理解するなら、 「前項の目的」とは、戦争・威嚇・武力の行使を「国際紛争を解決する手段としては」放棄すること以外には考えられません。したがって、自衛のための戦争は放棄していないわけですから、次の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とは完全に整合しません。一切の戦力の保持を認めていないから、第1項はすべての戦争を否定しているのでという憲法学者がいますが、これは明らかに論理が逆転しています。1項と2項の論理的矛盾をみるべきなのです。戦後日本のいかがわしさの本質はここにあらわれています。


憲法には、他にも様々ないかがわしさが露呈しています。2つばかり例をあげれば、

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

上が14条、下が97条です。どこに相違があるのでしょうか。 同じ条文が二か所にあらわれる憲法とはどういう憲法なのでしょうか。



第七条には、天皇はの国事に関する行為を10項目あげています。その4項に「国会議員の総選挙の施行を公示すること」をあげています。いうまでもなく、「総選挙」は衆議院に関するもので、参議院選挙は「通常選挙選挙」です。通常選挙に関する規定がないのです。

日本国憲法第七条及び第四十六条並びに公職選挙法第三十二条によって、平成二十八年七月十日に、参議院議員の通常選挙を施行することを公示する。

上は、今回の参議院選挙の天皇陛下の公示です。「通常選挙」を公示することは、陛下の国事行為にはありません。とすれば、今回の参議院選挙は、定数問題など以前に、憲法違反であったことになります。憲法学者は「国会議員」とあるのであるから、参議院選挙も含むといっていますが、これは屁理屈でしょう。「国会議員の選挙の施行を公示すること」とすれば何の問題もないのですから。


誤解を恐れるで、最後にしるしますが、私は、すぐに憲法を改正しろなどといっているのではありません。もっともっといかがわしさの認識を持たねばならないということをいいたかったのです。
by かなり前に朝出会った者 (2016-07-17 10:51) 

めい

「かなり前に朝出会った方」への返信
http://oshosina.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17-1
by めい (2016-07-18 04:29) 

めい

「この著をふまえた議論が湧き上がることを切望します。」とは書いたものの、あまりアテにできることではないのかも、とあいば達也さんの文章を読んで思いつつも、ただたしかにトランプ氏の当選がその機会を与えてくれるのかもしれません。

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●米大統領選、トランプに一票! 国民は考える機会に遭遇する
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/9efbbe98b07c56d4081af7764c1568bd
 自ら変わることが出来そうもない「日本」と云う国は、海外の圧力によって、変ってゆくしかないだろうかと思う昨今だ。いや、明治維新以降、「日本」は、おそらく、その繰り返しだったのだろう。鎌倉、室町、江戸と幕藩政治の時代が、「日本」の最高到達点であった感慨すらあるわけだ。参議院選の結果を見ても、都知事選の状況をみても、変ろうと云う、自意識が国民の側にない雰囲気が充満しており、理論的に、その将来的リスクを説明しても、至るべき結果を見た上で、何となくの「空気」が次のフェーズを、何となく創ってくれるだろう。おそらく、今後50年以上、その傾向は変らないと確信すらしてしまう。

 情けない状況だが、それが明治以降の日本の中枢の意志であり、国民は、鬼畜米英と叫びながら、天皇陛下か、鬼畜米英が、国民を解放し、救い出してくれると、何の根拠もなく感じていたのだろう。それ程、自意識と云うものが欠落した民族なのである。ただ、筆者は、そのことを、非難もしない、自虐する気もない。世界一長い期間、国家であり続けた「日本」と云う国は、“犬が西向きゃ尾は東”当然のことを当然と受けとめ、四季折々の風情や過酷を、それなりに受け入れてしまう、自然国家独特の特性を持っている。さらに、島国であり、大陸の権力闘争からも、一歩引く独自のポジションを、地政学上与えられてきた。

 しかし、日本人の自然任せ、運任せの、或る意味で、最も美しく、争うことを是としない文化は、欧米文化が謂うところの、考える葦と云った国の動かし方とは異なる思考経路で動く傾向がある。ゆえに、欧米民主主義を持ち込み、選択の自由を与えても、その選択は、あるがままを好むことに、概ね収れんされる。自民党、民進党どちらが政権を取ろうが、第二次大戦後の日本の政権が、向いている方向は、太平洋の彼方の東を向いている。明治大正昭和においては、欧米諸国のあちらこちらを向いていたが、いまや、悪女の深情けと云う言葉がピッタリなほどアメリカ様を見つめている飼い犬だ。

 国民の国政における興味も、地方自治体に対する興味も、所詮、「生活に関わること」のみが興味の対象で、リアリティーを持って、民主主義とか、国の将来とか、憲法論や外交軍事など、興味の埒外にある。象徴化した天皇の権力が、アメリカ様に移ったのだなと云う程度の感想であり、感慨のレベルでもない。しかし、それで、上手く国が回っているのだから、「別に?」と云うのが現実だろう。どれほど、外で、政治論や社会問題を論じたとして、根っこには、権力が、実はアメリカ様に握られている現実を自然現象のように受け入れてしまうのが、日本人なのである。

 であるならば、日本の政治家も、官僚も、企業人も、国民も、興味を持つべきは“米大統領選挙”に収斂されて然るべきだ。しかし、景気だ、社会保障だ、子育てだ、消費税の数パーセント方が需要だと言い募るのである。参院選が、都知事選が……。以前にも書いたが、グローバル世界、グローバル経済と慣用句のように日常生活で使いながら、何ちゅうことはない、世界の傾向には無頓着なのだ。まあ、”ゆで蛙”になっても構わないから、自己判断で、自分の生き様が大きく変わることが嫌いなのだろう。他力で、酷くなっても、文句は言うが、それではどうしようと、自発的に動くことはしない。

 その国民性を、何度も言うが、悪いとは思っていない。自然に寄り添って生きてきた縄文人そのもであり、日本人の原点なのだから、そう云う生き方も、潔しと考えている。まあ、このように考えると、「日本」が他力の強い影響を受けて、無意識的に変わることが起きる以外、変り様はない。たまたま、筆者個人は、現状であれば、アメリカの選択に影響を受ける「日本」であるなら、既得権益の方向性を原則踏襲するクリントンでは、単なるリピート権力に縛られるだけで、安全だが、ワクワクドキドキの時を過ごせない。

 その意味では、まったくの未知数だが、ドナルド・トランプへの期待が大きい。未知数よりも毒がありそうだが(笑)。無論、日本の既得権益グループは、こぞって変りたくないのだから、ヒラリー・クリントン候補の応援だろうが、他力本願で構わないので、チェンジが欲しい。最低でも、日本人が今後とも「民主国家」として、世界の立ち位置を決めたいのであれば、生活感一辺倒から、デモクラシー的思考の世界に一歩踏み出すキッカケが欲しい。そもそも我々は、とデカンショな時間を持って貰いたいものである。トランプが大統領になれば、危機的状況も生まれるかもしれないが、喉もとに匕首を突きつけられるのだから、多少は考えるだろう。いや、それでも考えないかもしれない……。

by めい (2016-07-28 05:13) 

めい

山本太郎議員、参院特別委であらためて日本の属国性について指摘したようです。
《「国民の命と財産を守るため」とか「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している」とか、安倍首相は二言目にはそう語るが、なんのことはない。アメリカのジャパンハンドラーのみなさまに気に入ってもらいたいだけなのだ。》

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山本太郎が安倍首相の「ネタ元」リポートを暴露! 安保法制はすべて米国のリクエストだったという証拠が
2015.08.21
http://lite-ra.com/2015/08/post-1410_4.html


 参議院で安保法案についての審議が再開したが、19日の特別委員会でいきなり山本太郎議員の“爆弾”が炸裂した。「永田町ではみんな知っているけど、わざわざ言わないことを質問していきたいと思います」と切り出し、一連の法案が実はというか案の定、すべてアメリカからのリクエストだったことを暴露してしまったのだ。
 きっかけは、中谷元防衛相が7月30日の委員会で、福島みずほ議員から「なぜ米軍に対して弾薬の輸送や提供ができるようにするのか」と問われ、「『米軍のニーズ』があるから」と答えたことだった。米軍のニーズ、つまりアメリカの要請に応えるかたちで安倍政権は国のかたちを変えようとしていると認めたわけだ。しかも、弾薬の輸送・提供は法律的には核兵器も含まれる。それらはすべて、アメリカからの要請だったというのである。
 山本議員は、この答弁に追い討ちをかけるかたちで、かの有名な「アーミテージ・ナイリポート」を持ち出してきた。言わずと知れた、ジャパンハンドラーの代表格、リチャード・アーミテージ元米国務副長官とジョセフ・ナイ元米国防次官補(ハーバード大学教授)らが書いた日本の安全保障政策などに対する“提言”だ。
 このリポートは過去2000年、2007年、2012年に出され、日本の防衛政策に大きな影響を与えてきたと言われている。問題はその最新版、2012年に出された第3次アーミテージ・ナイリポートだ。山本議員はリポートの内容を抜粋したパネルを示してこう迫った。
「これを見ると、今回の憲法違反の閣議決定から憲法違反の安保法制まで、ほとんどすべて、アメリカ側のリクエストによるものだということが、よくわかりますね」
 例えば、と言ってリポートの一部日本語訳を読み上げた。
「〈皮肉なことに、日本の国益保護に必要なもっとも過酷な状況下では、米軍は自衛隊と日本の集団的防衛を行うことは、法的に禁止されているのだ。日本の集団的自衛権禁止を変えることは、こうした皮肉のすべてを解決するだろう。(中略)集団的自衛権の禁止は同盟にとって障害だ〉と書かれています」
 これまでの国会審議を聞いていて、国民がいちばん疑問に思っているのが、なぜいま集団的自衛権行使が必要なのか、ということだ。自民党がつくったアニメ「教えて!ヒゲの隊長」を見てもさっぱりよくわからない。正解は、山本議員の言うように、「アメリカのリクエスト」だったからということなのか。
 実際にリポートを読むと誰もがビックリするようなことが書かれている。日本が民主党政権だった2012年に出された報告書なのに、最近の安倍首相が口にしている言葉の数々が散りばめられているのである。
 例えば、安全保障問題を考える前提について同リポートは〈中国の台頭と核開発と敵対的意図を持つ北朝鮮の存在、そしてグローバル化した世界と、ますます複雑化する安全保障環境……〉と、まさに昨今の国会で耳にタコができるほど聞かされているフレーズが、ソックリそのまま出ている。あるいは、〈日本と米国は、民主主義、法の支配、開かれた社会、人権、自由で開かれた市場といった価値へのコミットメントを共有している〉と、これも安倍首相が好んで使う言い回しだ。安倍首相や安倍政権の「ネタ元」を見るかのようだ。その上で、リポートは日本に何を要求しているのか──。
 まず、安倍首相が日ごろから「一国平和主義でいいのか」と批判している専守防衛について「時代錯誤の抑制」だと牽制している。
〈日本の自衛隊は、現在日本でもっとも信頼されている組織であるが、時代錯誤の抑制を軽減できれば、日本の安全保障の向上に大きな役割が果たせるだろう〉
 早く専守防衛を捨て、いわゆる“積極的平和主義”に転換すべきだと言っているようにも読める。もっとも分かりやすいのが、次の部分だ。
〈ペルシャ湾は極めて重要なグローバル貿易とエネルギー輸送の中核である。イランがホルムズ海峡の封鎖をほのめかす言葉を発した場合、日本は単独で掃海艇を同海域に派遣すべきだ〉
 驚くだろう。安倍首相がなぜ、遠く離れたホルムズ海峡の掃海にあそこまでこだわっていたのか、その答えがここにあったというわけだ。それだけではない。
〈陸上自衛隊は価値あるPKO活動や災害復興支援に携わる一方、陸海空軍連携の拡大について検討するべきだ。陸上自衛隊を敏捷で配備可能な軍隊に方向修正することは、将来の編成に向けて同盟をより有意義にするだろう〉
〈日本の特殊作戦部隊の能力を加速させ、相互運用性を向上させる必要がある〉
 先日、沖縄で墜落した米軍ヘリに同乗していた自衛官が、陸上自衛隊の特殊部隊だったことがわかっている。なぜ、米軍ヘリに陸自の隊員がと思った人も多いはずだ。その答えも、このリポートの中にあったのだ。
 その他、〈防衛上の秘密情報を保護するための法的能力をもっと強化するべきだ〉〈日本の現在の法体制は米国標準と同レベルではない〉とあり、これは明らかに特定秘密保護法の制定を促したものだろう。あるいは、武器輸出三原則の緩和を強く求め、アメリカ以外のアメリカの同盟国にも技術の輸出をするようにするべきである、とも書いてある。いずれも安倍政権になってバタバタと実現していることばかりだ。
 リポートはさらに安倍首相が常に口にしているのと同じ言葉使いで日本のPKO活動を賞賛したうえ、〈日本は必要であれば武力を行使してでも、(中略)平和維持軍を守れるよう、法的権限を与えることを推奨する〉とか〈PKOへのより充実した参加のために、日本は自国のPKO要員(自衛官)が必要に応じて一般人や他国のPKO要員を保護できるよう、法的許容権限を拡大する必要がある〉などとも書かれている。まんま、安倍政権が提案している安保法案そのものではないか。繰り返すが、これは2012年の報告書だ。
 山本議員は、こうした事実のいくつかを指摘しながら、「これらはほとんどすべて、今回の安保法制や日米の新ガイドラインに盛り込まれている」と岸田文雄外相に見解を求めた。岸田外相は「ご指摘の報告書はあくまで民間の報告書でコメントする立場にないが、新ガイドラインや法案は報告書を念頭に作成されたものではない」と一蹴する。あくまでも民間人がつくったリポートで、そんなものを安倍政権が参考にするわけがないという口ぶりだ。
 ところがである。山本議員の第2の矢が放たれた。なんとこのリポートの概要が海上自衛隊幹部学校のホームページにいまも掲載されていると暴露したのだ。民間のとるに足らないリポートなら、なぜその内容を自衛隊幹部に周知させなければならないのか。山本議員の追及に、中谷防衛相はタジタジになってこう答弁した。
「防衛省は幅広く世界のいろいろな方々から考え方も含めて情報収集、研究、分析をしています。平和安全法制はあくまでも我が国の主体的な取り組みとしてつくったもので、このリポートを念頭に作成したものではありませんが、政府は引き続き研究、検討しているわけで、結果として重なっている部分もあると考えておりますが、あくまでも我が国の主体的な取り組みとして、研究、検討してつくったものであるということでございます」
 語るに落ちたとはこのことだ。一国の安全保障政策はその国が主体的な取り組みとしてつくるのは当たり前だろう。わざわざそんなことを繰り返し2度もことわらなければならないほど、法案とリポートは「重なっている部分」が多いということだ。山本議員はこれを「『完コピ』っていうんですよ。こういうの。『完全コピー』」と声を荒らげた。「アメリカ軍の要請、ニーズには憲法を踏みにじってでも、国民の生活を破壊してでも、真摯に全力で取り組むって、これ、どういうことなんですか? これで独立国って呼べますか? 完全コントロールされてんじゃないか。誰の国なんだ、この国は、ってことですよ」とも。
 実は、質問の冒頭で山本議員はある1枚の写真を提示していた。首相官邸のホームページからの引用だという。複数の外国人が並んでいて、そのうちのスキンヘッドの一人が安倍晋三首相とにこやかに握手をしている。これが、リポートの作者、リチャード・アーミテージ氏で、ジョセフ・ナイ氏の後ろ姿も写っている。安倍政権が憲法違反の解釈改憲を閣議決定した直後に、官邸に表敬訪問に来たというのだ。あまりにわかりやすい構図ではないか。
 リポートは冒頭で日本にある選択を強く迫っている。〈世界が複雑化する中でさまざまな課題を解決するためには日米が一流国家としての視点を持つことが必要だ。米国が一流国家であり続けることには寸分の疑いもないが、日本は決定しなければならないことがある〉と前置きした後、〈日本は一流国家であり続けたいのか、それとも二流国家になり下がって構わないのか? 日本の国民と政府が二流のステータスに甘んじるなら、この報告書は不要だろう〉と。要は、日本が一流国家になりたいなら、言うことを聞けと言っているのだ。
 まさに、安倍首相が安保法制に前のめりになっている理由がここにある。安倍首相は、第2次政権が発足して初めて訪米した2013年2月、アーミテージ氏らが所属するシンクタンク(戦略国際問題研究所=CSIS)で「日本は戻ってきました」というタイトルで講演したことはよく知られている。動画と全文の文字起こしがこれまた官邸のホームページにアップされている。ぜひ、読んでみて欲しい。安倍首相は冒頭でハッキリこう述べているのだ。
「(前略)アーミテージさん、ありがとうございます。グリーンさん、ありがとうございました。そして皆さんがたが本日は、おいでくださいましてありがとうございます。
 昨年、リチャード・アーミテージ、ジョセフ・ナイ、マイケル・グリーンやほかのいろんな人たちが、日本についての報告を出しました。そこで彼らが問うたのは、日本はもしかして、二級国家になってしまうのだろうかということでした。
 アーミテージさん、わたしからお答えします。日本は今も、これからも、二級国家にはなりません。それが、ここでわたしがいちばん言いたかったことであります。繰り返して申します。わたしは、カムバックをいたしました。日本も、そうでなくてはなりません」
 ジャパン・イズ・バック。そうなのだ、アーミテージ・ナイリポートの実現は、すでにこの時点でアメリカ人を前に安倍晋三が約束してしまっていたのだ。時系列を整理してみよう。
・2012年 8月 「アーミテージ・ナイリポート」が発表される(アメリカからの指令)

・2012年12月 第2次安倍政権が発足する

・2013年 2月 安倍首相がCSISで「日本は戻ってきました」と講演する
・2013年12月 特定秘密保護法が成立する

・2014年 4月 武器輸出三原則を緩和した「防衛装備移転三原則」を閣議決定

・2014年 7月 集団的自衛権行使容認を閣議決定

・2014年 7月 閣議決定から2週間後、アーミテージ氏らが官邸を表敬訪問(よくやった!)

・2015年 4月 安倍首相が米上下院合同会議で安保法制の成立を約束

・2015年 5月 安保法制に基づく関連法案を閣議決定
 もう、おわかりだろう。すべての始まりは、アーミテージ・ナイリポートだったのだ。「国民の命と財産を守るため」とか「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している」とか、安倍首相は二言目にはそう語るが、なんのことはない。アメリカのジャパンハンドラーのみなさまに気に入ってもらいたいだけなのだ。こんな後ろ暗い法案はとっとと廃案にして、今こそもっとまじめに真剣に、日本の安全保障について考えるべきときではないか。
(野尻民夫)
by めい (2016-08-24 03:00) 

めい

《対米従属の日米関係が、実は米国のせいではなく、みずからの利益と保身の為に米国の威を借りて国民を裏切るこの国の日米同盟最優先を唱え続ける指導者が作り出したものである》

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高江ヘリパッド建設の不条理はこの文章の中にあるー(天木直人氏)
http://www.asyura2.com/16/senkyo211/msg/784.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 27 日 02:21:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU    

高江ヘリパッド建設の不条理はこの文章の中にあるー(天木直人氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1sp1slf
26th Aug 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks

まず、つぎの文章を黙ってお読みいただきたい。

  ・・・1995年、3人の米兵が12歳の少女を集団レイプする事件が起き、8万5千人が結集する県民大会が開かれた。日米同盟への危機を感じた日米両政府は、普天間基地を返還し、沖縄の負担軽減を図ると発表(SACO合意)。しかし、これには裏があり、県内移設の条件付きであることがすぐに明らかになった。この時、同時に北部訓練場を半分返還することにも合意し、その返還地域にある7つのヘリパッドのうち6つを、
返還しない半分の地域に移設する条件が付けられた。あらたなヘリパッドの移設先が、東村高江の集落周辺とわかるのは、それからさらに10年後の事である。

これにも裏があって、従来型の直径35メートルのヘリパッドではなく、75メートルと倍以上に拡大、地盤も厚く頑強なものになっていた。移設先と称して古くなった普天間基地を見限り、高機能・最新鋭の新しい基地を手に入れる(しかも日本のお金で)という辺野古新基地建設と全く同じ「手口である。北部訓練場の一部返還には、更に隠された裏があった。

なぜ新しいヘリパッドなのか?
それはオスプレイの使用に耐えられる機能強化と大きさが必要だったからだ。当初、そのことに疑いを持った市民団体が何度も問いただしたが、日本政府は『知らぬ存ぜず』を押し通した。これは米政府をおもんばかってのことではない。逆に日本側が『沖縄で反対運動が起こるので、オスプレイのことは内緒にしてほしい』と米国に頼み込んでいたことが、アメリカの情報公開で明らかになった。それでもなお国はしらを切りとおした・・・

これは、ある護憲団体の会報誌に掲載されていた、事情通が書いた「そもそも高江ヘリパッド問題とは」の解説記事の一部である。

ここには日本の米軍基地問題のすべてがある。

対米従属の日米関係が、実は米国のせいではなく、みずからの利益と保身の為に米国の威を借りて国民を裏切るこの国の日米同盟最優先を唱え続ける指導者が作り出したものであることがわかる。

 もし大手メディアが一度でもこのような解説記事を書いたなら、国民は目覚めるに違いない。しかし、メディアは決して書かない。国民は本当の事を何も知らされないまま、昔も今も、冷戦が終わって二十年以上たつというのに、国際情勢がここまで激変しているというのに、日米同盟は日本の為にいつも最重要であると思い込まされている。

by めい (2016-08-27 03:08) 

めい

トランプ効果か、日本が属国であることの実態が、だれの眼にも明らかになりつつあります。

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気になることを動画で伝える
12月7日 5:50 ·
憲法を越える存在!?非公開の日米合同委員会
これが許されている「民主主義国家」日本。
秘密裏に、決められている、鳩山元首相も中身を知らされなかった
報道ステーションらしい特集を放送
12・6報道ステーション
以下のリンクからも視聴できます
http://www.dailymotion.com/video/x54jwia

月に2回、行われている『日米合同委員会』全て非公開のため内容はほとんど知ることはできない。我々はアメリカで日米合同委員会に関する資料を発見。ここには会合は隔週木曜日11時に開かれること。公式な議事録は両政府にとって公式な文書とみなされ相互の合意なしには公開されないものとすること。合意に達した事項は拘束力を持つ。などとされている。
:
さらに、ウィキリークスが公開した外交資料にはアメリカ側が議会で合意内容を公表したことに対して日本政府が抗議したことが明らかにされている。
●文書から
「日本政府が過敏な反応を示すのは国会での野党への対応のため」
「もし、公開されれば政治的に大変なことになるだろう」とある。
2009年、政権交代で総理の座に就いた鳩山氏は…。
●鳩山由紀夫氏
「秘密裏に月2回ほど米軍のトップクラスの方々と日本の高級官僚の方々が
議論しているという実態は総理の私にも一切、知らされていませんでした。」
:
外務省安保課長時代合同委員会に何度も出席していた丹波實氏は…。
●元外務審議官 丹波實氏
「合同委員会で公表しないというのは都合の悪いというのはあったかもしれない。例えば基地の移転で、ことをやっていると地元がそれを聞きつけて反対運動をやるとかね。だけど、一義的に合同委員会が常に秘密裏なことをやっていたということはそれはまったく記憶にない。」
:
世界一危険とされた普天間飛行場。そのすぐ脇にある沖縄国際大学。合同委員会での「密約」が形になって現れたのが米海兵隊の大型ヘリが大学構内に墜落・炎上した。2004年の、この事故。このとき、私有地や公道にもかかわらず米軍が周辺を封鎖。警官やマスコミの立ち入りを許さなかった。
●沖縄国際大学教授 前泊博盛氏
「(当時)現場は大騒ぎでした。米兵達が中に入ってきて一生懸命 何かを調べている。最後は放射性物質が入っていたといわれる5つのカプセルの
一つがない という話になって土ことごつそりとはぐような形で周辺のものを全部持ち去ってしまった」
:
その根拠とされたのが「合衆国財産の保護をなすため事前の承認なくして
公有または私有の財産に立ち入ることが許されるものとする」という1953年の合同委員会の合意。
:
日本政府は60年経った2013年、初めてこの合意を公表した。沖縄返還や
日中・日露交渉を担当した丹波氏は外交で最も難しいのが裁判権の問題と語る。
●元外務審議官 丹波實氏
「公務中の軍人の地位というものは他国の裁判の対象とならないというのはもう100年以上前から一般国際法上確立された原則なんです。米軍が何か、例えば横須賀に入ってきて何か事件を起こした時にアメリカは、
日本に裁判させないというのは一般国際法上確立されたことなんです」
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アメリカで、長年、国家安全保障に関わったモートン・ハルペリン氏…。
●元米国防次官補代理
元大統領特別顧問
モートン・ハルペリン氏
「アメリカ軍は駐留する国の側に裁判権がある所に軍を駐留するのを非常に嫌がります。アメリカはイラクから完全撤退しました。(それは)イラク政府がその点での権利を譲らなかったからでした」
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問題は公務外での犯罪における〝密約〟です。沖縄など基地のあるところで多発する米軍関係者の犯罪。今年6月、米軍属に殺害された女性を追悼する県民大会の場に1人のオーストラリア人女性の姿があった。ジェーンさんは1980年代に来日しモデル活動などをしていましたが2002年4月、深夜横須賀基地の近くで米海軍の兵士にレイプされた。
●キャサリン・ジェーン氏
「(レイプ後)米軍基地に行って 日本の警察官が来た。そこで加害者が入ってきたんです。〝見つかった この人だ〟と言ったらその後に地獄が始まった。」ジェーンさんは神奈川県警横須賀署に連れて行かれ深夜に男性警官に囲まれて長時間、事情聴取を受けた。証拠保全のために病院に行かせてくれと頼みましたが断られた。
●キャサリン・ジェーン氏
「なぜ病院に連れて行かないのか?と聞いたら〝あなたはけがをしていないけがをしているなら見せろ〟と言われた。レイプの被害者に体を見せることが出来るんですか。」
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証拠を消さないためにトイレに行きませんでしたが、まるで加害者のような聴取が4時間も続き、ついに我慢ができなくなった。
●キャサリン・ジェーン氏
「神奈川県警の汚いトイレがあってさ自分で何か証拠を保つことが出来るものがないかと思って見つからなくてトイレのドアを閉めて(あの時)神奈川県警の中で一番安全な場所がトイレの中だったんですよ」
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さらに警察は現場で再現写真を撮ると言った。
●キャサリン・ジェーン氏
「私がレイプされた車にもう一度入って警察官ともう一回やって下さいというのは絶対に出来ませんと言った」
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ジェーンさんは事件発生から14時間経ってようやく解放された。それから3か月後横浜地検は理由を明らかにしないまま加害者を不起訴処分とした。
公務外の犯罪は地位協定で本来、日本側に第一次裁判権があることになっている。しかし、「日本にとって著しく重要と考えられる事例以外は第一次裁判権を行使するつもりがない」ということを合同委員会でアメリカ側に表明していたことが2008年に明らかになった。我々が外務省に確認したところこの表明について「否定するものがないので今も効力がある」ということだ。
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不起訴に納得のいかないジェーンさんは、東京地裁に民事裁判を起こす。
地裁は暴行の事実を認め加害者に損害賠償を命じたが加害者は審理の途中
軍からの指示でアメリカに逃亡。ジェーンさんは10年をかけて加害者がミルウォーキーにいることを突き止め現地で起こした裁判でついに勝利を手にした。ジェーンさんは今、レイプ犯罪根絶のため24時間態勢の緊急支援センター設立を呼びかけている。

合同委員会について日米双方の出席者の問題も指摘されている。
●元総理大臣 鳩山由紀夫氏
「本来 日本の役人が、高級官僚が出席するならアメリカ側も高級官僚が出席してディベートするはずですよね。しかしそうではなく、アメリカは軍人であって日本側は高級官僚である。まさにこれは占領されているに等しいと思う」:
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地位協定を変えることは出来ないのか
●元外務審議官 丹波實氏
「地位協定といのはアメリカが日本とだけ結んでいるものではない。NATO諸国とも結んでいるし他のアジアの国とも結んでいるでしょ。日本が、アメリカに変な変え方をすると全部波及するんですよ」
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実は、日本もジブチに設営している自衛隊拠点で同じ内容の協定をジブチ政府と結んでいる。:
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●沖縄国際大学教授 前泊博盛氏
「地位協定をいじろうとすると(日本も)他の国と結んでいる。お前達も、同じように結んでいるじゃないかというふうな指摘を受けかねない。
そういう状況になっていますね。これも地位協定改定問題を複雑にしてしまっている要因だと思う」

by めい (2016-12-28 07:38) 

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