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伊藤哲夫氏への異和(『日本会議の研究』を読んで) [政治]

昨日「風の谷のナウシカ」舟山やすえちゃんを書いたあと、『日本会議の研究』にとりあげられた重要人物のひとりである伊藤哲夫氏に読んでいただきたいと思い立ち、アマゾンにレビューしてきました。かなりの部分、昨日の記事とだぶります。

 

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伊藤哲夫様

 

すっかりご無沙汰しております。伊藤さんが「安倍首相の筆頭ブレーン」として詳しく紹介されている『日本会議の研究』を読み、いろいろ懐かしく思い起こしております。15年ぐらい前のことですが、日本会議山形県支部発足の会で司会を務めさせていただいたこともありました。伊藤さんと最後にお会いしたのはちょうど10年前、平成183月の「立ち上がれ!日本」ネットワーク山形支部の設立の会合でした。あの時、伊藤さんのお話に異和を感じて質問させていただきました。「日本本来の保守の立場」とは何なのかを考えるきっかけになったものでした。その後の第一次、第二次安倍政権成立、伊藤さんの陰ながらの御尽力を思いました。とりわけ第二次安倍政権において繰り出される施策の数々に伊藤さんの熱い思いを感じ取っていました。しかし正直申し上げ、最後にお会いした時の「異和」の感じは膨れ上がる一方でした。


私たち世代はいろんな場で言いあい、議論をしたものでした。はじめっから丸く収めようなどとは決して思いませんでした。みんな言うだけ言いあえば、そこからおのずとひとつの道筋が見えてくる、けんか腰もありましたが、最後はちがいはちがい一致は一致でそれはそれ、たしかな魂のふれあいがありました。そうした言いあいの蓄積がひとりひとりの活力にも世の中全体の活力にもつながっていったのだと思います。

 

実はそうした思いからすると、施策のどうこう以前に、安倍首相の姿勢ががまんなりません。議論にならないというより前に議論しようとはしないのです。言いくるめる、はぐらかす、その場を切り抜けることしか考えていない。魂の在処がみえません。フクイチの現状を「アンダーコントロール」と言いくるめ、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」はずが、そんなことは忘れた振りでむしろTPP実現推進に様変わり、「経済第一」の行きつくところの軍事力増強、そのための安保法制、九条破棄、その先にあるのはいよいよ宗主国アメリカ様言いなりの「戦争のできる国」。「アベノミクス」「三本の矢」も所詮お題目、暮らしはさっぱり豊かにならず貧しさに向っているのが正直な実感、ごく一部の富裕層と残りの貧困層、中間層がぬけ落ちて二極化の進行です。伊藤さん、どっかで間違ったんじゃあないですか。かねて伊藤さんたちが唱えられ、私も共感していた「日本再生」どころか、大切な日本が足もとから壊れているんじゃあないですか。


伊藤さんを思い起こしながら2年前に書いた文章があります。


*   *   *   *   *

 

政治が民からどんどん遊離させられている。昔はそうではなかった。地域を思う、国を思うことにみんなもっとエネルギーを注いでいた。いつのまにかみんな個のタコツボに入ってしまっているのがあたりまえになり、政治は特別な人のものになってしまっている。権力をにぎる側にとっては好都合なことだ。いろんな面での二極化と軌を一にしています。

 

「国民の生活が第一」、政党名にもなった。遠い昔のことのように思えるが、2年前のことだった。政党名になる前、鳩山さんや小沢さんが民主党の実権を握っていたわずかな時代、この言葉をかかげたポスターがあちこちに貼られていたものだった。平成22914、民主党代表選で小沢さんが敗れた日、この日が日本の分水嶺だった。あの日まっとうに小沢さんが選ばれていれば東北大震災もなかった、そう思えてしょうがない。なぜ今更「集団的自衛権」なのか。自民党のなかにも「アンタらより若い人たちが戦場に行き殺されるかも知れないんだよ?そんな大事なことを・・閣議決定で簡単に決めて良いのか?」(村上誠一郎衆院議員)と正論を吐く人もいるにはいる。しかしそんな声は掻き消されてしまう。公明党も政権与党であり続けるために「平和の党」の大原則を脱ぎ捨てた。

 

安倍首相の陰にいつも思い浮かべる人がいます。日本政策研究センター所長の伊藤哲夫さんです。懐かしい人です。「新しい歴史教科書をつくる会」運動に関わる以前からの付き合いでした。私とは同年代、新潟大学の出身です。学生時代から「生長の家」に属し、大学紛争の時代右翼側で当時の全共闘と対峙したと聞いたことがあります。その後、「生長の家」の内部で政治に対する考え方の対立が生じ、「生長の家」から出て新たなグループ(ビジョンの会)を立ち上げました。私が市議をやっていた頃、その山形のグループ、山形ビジョンの会の方々と出会ったのでした。その会のK会長さんによって、「新しい歴史教科書をつくる会」運動の渦中に入り込むことになりました。山形県支部の活動は全国でもトップレベルだったと今も自負します。ほんとうに本気でした。それだけに当時の仲間は「同志」というのがぴったりで、今でもひとりひとりが懐かしい。

 

その伊藤さんの講演の中でだったと思います。「アメリカに一週間ほど滞在して、その間何人ものアメリカの要人と会ってきた。」と多少自慢げに話されたことがありました。その後あらためて「ジャパンハンドラーズ」の存在を知るに及んで、その時の「アメリカ要人」とは誰だったのか聞いておくべきだったと思ったのですが、もうお会いする機会もありませんでした。2006-03-21 に書いたこんな記事があります。

 

19日に伊藤哲夫日本政策研究センター所長が来られるとのことで、久しぶりにビジョンの会例会に参加してきた。会場で「立ち上がれ!日本」ネットワーク山形支部の設立の会合であることを知った。地方支部としては第一号とのことだった。はじめての顔ぶれも多かった。

伊藤所長の話の中で、中国、北朝鮮を批判するに「自由と人権」を持ち出されることに違和を感じて質問した。「もっと別の言葉はないのだろうか」と。伊藤氏も自覚しておられるようで、「しかし、『自由』と『人権』という言葉は国際的には力を持つ」と答えられた。私には、アメリカによる占領下の「ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム」を批判し、その流れでサヨクの持ち出す「人権」に異議を唱えつつ、中国、北朝鮮を「自由と人権」の視点で批判するというダブルスタンダード、結局アメリカの言い分に巻き込まれている今の日本の「保守」の姿が見えてくる。日本本来の保守の立場とは、そうではないはずなのだ。としたら、「日本本来の保守の立場」とは何なのか。「もっと別の言葉」を本気で探したいと思った。

 

このときがお会いした最後でした。ジャパンハンドラーズとのつながりを思わされます。本来あるべき「スジ」が失われています。「スジを通す」の「スジ」です。その場その場都合のいい論理をつなぎあわせるようになったら理論家(思想家)としてはおしまいです。伊藤さんは「理論家(思想家)」というより「オルガナイザー」だったかもしれません。

 

安倍首相が世の注目を集めるようになったのは、平成14年、副官房長官として小泉首相と共に訪朝し、拉致問題について強硬路線を主張したことからですが、伊藤さんと安倍首相とのつきあいはずっとそれ以前からです。安倍さんの初当選が平成5年、保守系議員のシンクタンク的役割を果たす日本政策研究センターの設立が昭和59年ですから、議員当選当初から伊藤さんは良きアドバイザー、あるいは指南役だったと思います。そうしたことから教科書問題に取組む私たちにとって、安倍さんは中川昭一さん等と共に最も信頼に足る国会議員と思っていたものでした。安倍さんの兄貴分といわれる衛藤晟一議員は、伊藤さんとは「生長の家」以来のいわば身内です。

 

私は、平成13年の9.11をきっかけに始まるアメリカによるイラク侵攻、小泉政権下の自衛隊派遣という流れの中で、少しずつ「つくる会」の運動から距離を置くようになります。並行して副島さんの文章をよく読むようになりました。西尾幹二先生に副島さんとの対談を提案したら、すごい剣幕で「あんな奴はわれわれの間では信用ない」と言われて驚いたことがありました。しかし私は、副島隆彦さんの説く「アジア人同士戦わず」に深く共感しました。副島さんの文章は「正論」では読んでいましたが、最初に買った本は『堕ちよ!日本経済ーアメリカの軛から脱するために』です。この本の発行が平成128月ですから、翌年9.11が起きたときにはかなり副島さんの愛読者になっていたと思います。『副島隆彦の学問道場』はいちばん先にチェックするサイトになっていました。一時は一年1万円の会員にもなっていました。今でも副島さんは良き水先案内人です。いま『ダヴィンチ・コード』をおもしろく読んでいますが、もとをたどると副島さんの『隠された歴史:そもそも仏教とは何ものか?』でマグダラのマリアについて教えられたことからです。

 

「日本をアメリカの属国にしておくための対日操作班ジャパンハンドラーズが存在する」。今ではもう「常識」と言っていいかもしれませんが、副島さんグループが最初に言い出したことでした。このことでハッと思い起こしたのが、伊藤さんの「アメリカの要人と会ってきた」という話でした。いつのまにか、伊藤さん、アメリカの操り人形にさせられているのではないだろうか。

 

平成189月、第一次安倍内閣誕生。「美しい国」「戦後レジームからの脱却」というテーマ設定に、

安倍さんらしいな、伊藤さん張り切っているんだろうな、と思っていました。しかし翌年9月、1年そこそこで体調不良を主な理由に突然の辞任、だれもがもう再起不能と思ったものでした。ところがどっこいそうではありませんでした。平成249月の自民党総裁選挙で石破氏に逆転勝利、12月の衆院選で294議席を獲得して圧勝、そして二度目の安倍内閣誕生。第一次安倍内閣の失敗からの学習効果は大きかったようで、たくましく変身を遂げていました。本来の安倍カラー満載、それは私がかつてその中にいた世界そのままでした。安倍さんがそうしたカラーを打ち出す度、伊藤さんの影を感ぜずにおれませんでした。

 

教科書運動に躍起になっていた頃のことですが、伊藤さんと話していて心配になったことがありました。米沢で教科書問題について講演していただいた時のことです。「われわれの歴史教科書が採用されたとして、現場の混乱が心配だけどどう思いますか。」と言ったとき、いとも簡単に「それは心配ない。」の言葉でとりつくしまもなかったのです。どういうふうに心配ないのか、いま安倍さんのやり方を見ていて、「反対するやつなんか無視してどんどん進めるから、心配ない」ということだったのかと理解できたように思うのです。「自分たちは絶対正しい、まちがいない」のです。

 

伊藤さんも安倍さんも善意の人です。いい人です。だから「たくらみ」に屈するのです。どうすれば気づくことができるのでしょうか。どうにも抜き差しならぬところまで行かねば気づけないのかもしれません。としたら国民にとって実に不幸なことです。

 

*   *   *   *   *

 

以上、2年前に書いた文章ですが、いま安倍さんのやり方を見ていて、「反対するやつなんか無視してどんどん進めるから、心配ない」ということだったのかと理解できたように思うのです。「自分たちは絶対正しい、まちがいない」のです。》と、安倍政権の危うさを指摘したつもりでした。あれから2年、多くの心ある国民はこのことに気づき心配しています。「心ある国民」とは、新聞テレビのマスコミ報道や日々の人間関係のみにどっぷり浸かることなく、ネット情報や書籍に拠る情報をもとに自分なりに「考える」ことのできる国民です。「考える」結果、目先のことだけに惑わされずに「自分の立ち位置が見える」ようになります。自己の相対化です。「知識」ではなく「知恵」の問題です。伊藤さん、やっとの思いで実現させた安倍政権の維持に汲々とするあまり、自らの立ち位置が見えなくなってしまっているのではないですか。

 

どうしてもお聞きしておかねばならないことがあります。伊藤さんが会って来られたという「アメリカの要人」とはどなたですか。

 


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めい

「反対するやつなんか無視してどんどん進めるから、心配ない」「自分たちは絶対正しい、まちがいない」の感覚。それが、
《①野党の質問の核心的な問題については、正面から答えようとしない
②議論の論点をずらして自説を繰り返し強調する
③鋭い批判やズバリと弱点を突く言葉に対しては「レッテル貼り」「誹謗中傷」などの決め付け擁護を自説の城壁にして、論理的に噛み合う議論をしない 安倍首相の粗野な権力主義的な政治姿勢・
④時折、相手を見下す言葉を投げつけて、優越感に満ちた表情をする。》となってあらわれています。

   *   *   *   *   *

「「柳田邦男の深呼吸[安倍首相の空疎な言葉]浮かび上がる権力主義的姿勢」『毎日新聞』:氏家法雄氏」
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/823.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 29 日 21:40:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
     
https://twitter.com/ujikenorio

正面から答えない・論点ずらし・レッテル貼り・見下して優越感:政治における言葉の空疎化は、政治の危機であり、国の未来の危機だ。

「柳田邦男の深呼吸[安倍首相の空疎な言葉]浮かび上がる権力主義的姿勢」『毎日新聞』2016年5月28日付。

安全保障関連法以来の国会における重要な政策課題をめぐる論戦を聞いていると、繰り返さえる政権側の言葉の空疎化と、論点のはぐらかし方には愕然とするばかりだ。

保育士の待遇改善をめぐる山尾志桜里政調会長に対する安倍晋三首相の答弁もまさにそうだった。

安倍首相の空疎な言葉=柳田邦男 安倍首相の粗野な権力主義的な政治姿勢

①野党の質問の核心的な問題については、正面から答えようとしない
②議論の論点をずらして自説を繰り返し強調する
③鋭い批判やズバリと弱点を突く言葉に対しては「レッテル貼り」「誹謗中傷」などの決め付け擁護を自説の城壁にして、論理的に噛み合う議論をしない 安倍首相の粗野な権力主義的な政治姿勢・
④時折、相手を見下す言葉を投げつけて、優越感に満ちた表情をする。

「政治における言葉の空疎化は、政治の危機であり、国の未来の危機だ」。

柳田邦男の深呼吸[安倍首相の空疎な言葉]浮かび上がる権力主義的姿勢:毎日新聞5月28日付。

改憲を望むのであれば、もう一度中学生に戻って三権分立と立憲主義を勉強し直してもらいたい。

「みんなの広場 安倍首相は『三権分立』の理解を」『毎日新聞』2016年5月28日付 https://t.co/4GUSambr1D

「私は立法府、立法府の長であります」:このような間違った発言を平気でしてしまう首相の主導で改憲することに私は断固反対する。

そもそも三権分立の基本原則さえ理解していないと思われる首相にその資格はないと思っている。

改憲を望むのであれば…三権分立と立憲主義を勉強し直してもらいたい。

by めい (2016-05-30 02:26) 

めい

『日本会議の研究』の最大のポイントは安東巌という人についての言及です。私はこの本で初めて知りました。

《「運動に参画する多数の人々の情熱を維持し続け、運動に従事する人々の胸を熱くし続ける、谷口雅春に匹敵するようなカリスマを持った人物」》
右傾化路線の淵源に立つ男――シリーズ【草の根保守の蠢動 第27回】
http://hbol.jp/82735

《“安東巌
昭和14年佐賀県鳥栖市に生まれる。9年間病に臥すも、『生命の実相』に触れ、病床より決然と起ち上がる。25歳で高校に復学し、27歳で長崎大学に入学する。当時学園紛争の最中にあった長崎大学の正常化を決意し、国立大学で初の民族派による自治会争奪を成し遂げ、連続三期自治会を掌握する。
昭和45年生長の家本部青年局に奉職し、同47年青年会中央事務局長となり、森田中央執行委員長(現、青年会会長)の下、『理想世界』百万部運動を推進する。同50年青年会副会長を経て、現在政治局政治部長。”》
「カリスマ」の来た道――シリーズ【草の根保守の蠢動 第28回】
http://hbol.jp/86127/4

《1966年(昭和41年)、ビートルズが来日したあの年に、安東巌は長崎大学に進学する。安保改定の1970年を4年後に控え、世情はまた騒乱の匂いを漂わせ始めていた。/ この長崎大学で、安東巌は、6歳年下の椛島有三と出会う。》
「神の子」の学生運動――シリーズ【草の根保守の蠢動 第29回】
http://hbol.jp/86633/3
大病克服体験に裏付けられた信仰をもつ6歳年上の同級生の存在、まさにカリスマです。私も同年代、同じような地方の大学で同じ空気を吸っています。その時代のその雰囲気がよくわかります。長崎の工業高校を卒業したあと三菱造船に勤め、それから大学に入って寮生活を共にした4歳年上の同級生がいました。数年前、奥さんと二人で山形へ訪ねてきていただきました。

安東氏の人となりについては下記記事が貴重でした。
私の知っている安東氏と森田氏 (2208)
http://bbs2.sekkaku.net/bbs/?id=sengen&mode=res&log=451


by めい (2016-05-31 05:04) 

めい

《伊勢志摩サミットでも広島でも、横にべったりとくっつく安倍晋三に、オバマは、まったくニコリともしなかった。苦虫をかみつぶしたような顔をしたまま、下手くそな英語で話しかけてくる安倍晋三をずっと振り切った。なんとか、画像(写真)で、自分がオバマに好かれている、大物政治家の恰好のつく瞬間を作ろうと焦っていた安倍晋三を、「お前は、ヒラリーたちネオコンやイスラエルの子分で、戦争をしたがる人間なんだよ」と、突っぱねた。この事実を、私たち日本国民は読み取り、確認しなければいけない。》!!   

   *   *   *   *   *

副島隆彦「重たい掲示板」http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
[1938]私たちの定例会は盛況に終わりました。あとは最新の情報。
投稿者:副島隆彦 投稿日:2016-06-03 03:33:21

副島隆彦です。 今日は2016年6月3日です。

 5月29日(日)の私たち学問道場の定例会(講演会)は、御蔭様で400人の会員を集めて盛況のうちに無事終わりました。あれから5日たってようやく、このようにご報告できます。急いで DVDに仕上げますので定例会に参加できなかった人たちはお待ちください。 

 私は、定例会で、トランプの真似をして5時間、大いに気勢を揚げた。そのせいで、そのあとまた、体調が悪くなってグッタリしていた。年を取るとほんとうに体が思うように動かなくなる。 今、書いている本は、書名を改名して、『トランプ大統領のアメリカの新時代』にしたかった。が、それよりは一歩手前の『トランプ大統領 と アメリカの真実(をえぐり出す)』で、目下(もっか)どんどん原稿を仕上げている。なんとか7月の頭には本屋に並ぶように気力を振り絞って書いている。乞うご期待。

 日本は、焦点ボケのような国になっている。指導者(首相)が、元気なさそうに、消費税増税を延期します」(6月1日、午後6時)と しょんぼりと言うような国だ。それを叱りつける勢力がいない。金持ち、自営業者は、さらに2%の消費税分を自分の懐(ふところ)から直接取られるのが、2年半先に延期されたので、確かに有り難いと、と感じる。私も自営業者だから分かる。サラリーマン(労働者階級)には分からない。

 このことが多くの国民には何の感想もない。貧乏がさらに続いてゆくだけの、情けない哀れな国だ。一番、いけないのは、今の指導者層の、アメリカべったりで、おカネを奪い取られるだけ取られて、何一つ文句も言えない。アメリカの言いなりになることしか脳(のう)がない、哀れな態度だ。低能(安倍晋三)と 暴力団(森喜朗、もりよしろう )が政治をやっている国だ。

 それと日本のメディア(テレビ、新聞)が、中国やロシアの経済停滞を報道することばっかりに終始して、自分たちの足元の、自分たち自身の国の経済の、この、あまりにもヒドイ現状を冷静に報道する能力も見識も自覚もないことだ。皆(みな)洗脳されたままの奴隷たちだ。

 オバマ大統領の広島演説を、勝手に持ち上げる、今や死にかけている日本の反戦平和勢力の古い世代の、生き残りたちがいる。オバマにしてみれば、もうすぐ終わってしまう自分の政権の自分の業績を遺産(レガシー)として残すことだけが目標だ。広島なんかただの、世界向けの象徴的な見世物だ。

広島と長崎で、原爆病院で、100歳を超して、いっぱい並んで、元気で生きている被爆者たち、というのは、どういう人間たちだ。こういうことは、、「絶対に」言ってはいけないのか。私、副島隆彦だけは、言うぞ。皆が隠す、この世の真実を 言うことしか他に、私が、この世に生まれてきた理由はない。

 原爆投下の一瞬の 爆発で、閃光(せんこう)を浴びました、と証言するが、ケロイドになっているの肌は、爆風の熱を浴びたからであって、放射能の放射線の被害、というものではない。このことを、東大放射線の専門医の 中川恵一(なかがわけいいち)教授が、直接、私に言った。

 オバマが、今も人気があって、最後まで「レイムダック(死に体、しにたい。びっこのアヒルちゃん)の大統領」と言われないのは、まさしく、今から3年前の、2013年の4月と8月の2回。シリアの首都ダマスカス郊外で撒かれた、サリン爆弾の被害に対して、「急いで、バシャール・アサド政権のダマスカスの中枢を爆撃しましょう」 と、オバマを嗾(けしか)けた、アメリカのネオコン・イスラエル勢力の手先の閣僚たち(ヒラリー派。サマンサ・パワー国連大使 と スーザン・ライス安全保障担当大統領補佐官 ら)を、物凄い剣幕(けんまく)で、叱りつけて、「アサドたちがやった証拠はない。私はシリア政府爆撃の署名はしない」と、いきり立って、反対したからだ。 

(誰か、あの、アルル君が見つけてきた、貴重な サマンサ・パワーを叱っているオバマの真顔の画像をここに貼ってください)

 このとき、オバマを擁護して米空軍による、ダマスカス爆撃(アサド政権の壊滅)反対に回ったのは、ジョン・ブレナンCIA長官だけだった、と古村君が私に教えてくれた。ブレナンは、ドローンでの精密爆撃で、アラブ中東の原理主義の指導者たち(ISの幹部たちを含む)を、ピンポイント爆撃して殺すことの責任者で、評価を揚げた軍人上がりだ。オバマは、ブレナンに、このドローン攻撃だけは、250回ぐらい、どんどん攻撃の許可を出している。

 その代わりオバマは、「絶対にアメリカ軍を、中東に派遣することはしない。私が、苦労して、せっかく2012年末までに、イラク駐留米軍をすべて完全に撤退(ウイズドロー)させたのに」 とオバマは、激しく政権内で言い続けた。 

 オバマが、サマンサ・パワーに向かって、恐ろしい表情で、「おまえなあ。いい加減にしろよ。お前たちのその好戦的な態度が、世界を不安定にするのだ」 と、指導者は我慢に我慢で、上に立つ者の唯一の修養は我慢だ、と知っているオバマが、あれほどの怒りを爆発させたのは、この時だけだ。

 だから、「私は、戦争はしない。米軍を海外に出兵しない。アメリカの若者を外国の戦場で死なせない(これがイソレーショニズムだ)」と、オバマは、今も言い続けるから、だから、アメリカ国内を含めて世界中で最後までオバマの人気は衰えないのだ。

 伊勢志摩サミットでも広島でも、横にべったりとくっつく安倍晋三に、オバマは、まったくニコリともしなかった。苦虫をかみつぶしたような顔をしたまま、下手くそな英語で話しかけてくる安倍晋三をずっと振り切った。なんとか、画像(写真)で、自分がオバマに好かれている、大物政治家の恰好のつく瞬間を作ろうと焦っていた安倍晋三を、「お前は、ヒラリーたちネオコンやイスラエルの子分で、戦争をしたがる人間なんだよ」と、突っぱねた。この事実を、私たち日本国民は読み取り、確認しなければいけない。

 今日(3日)から、毎年恒例になった( 「三極会議=トライラテラル・コミッション=の後釜。デイヴィッド・ロックフェラーとキッシンジャーも高齢で日本くんだりまで、もう来れなくなったので )「富士山会合(ふじさんかいごう)」が開かれる。

 ここに、いつもの顔ぶれが集まっている。アーミテージと、マイケル・グリーンと、CSIS会長のハムレと、ジョゼフ・ナイもか? それから、ミシェル・フロノイ(ヒラリー政権で国防長官になる予定だった凶暴な女。国防省次官だった女)やら、ぞろぞろ来ている。 彼らは、日本の経団連と日経新聞と(農協と電力各社はもうカネを出せない)から、たんまりカネをもらいに来ている。いつものことだ。

 ところが、アーミテージとグリーンは、果たして、安倍晋三に向かって、一昨日、日本到着と同時に、「アベよ。俺たちの勢力が、ワシントン政治で負けそうだ。どうもトランプが勝つ。キッシンジャーと、キング・ダビデ(=世界皇帝デイヴィッド・ロックフェラー)が、ヒラリーを切り捨てた。俺たちも困っている」 と、正直に、言ったか、どうかだ。 安倍がしょんぼりした顔をしているのは、この世界最高情勢の大きな変化のせいだ。

ゴールドマン日本支社に22年もいたキャシー松井は、笹川財団から資金をもらって、さっさとシンガポールに逃げ出すようだ。

 今、アメリカの首都ワシントンの、政府高官たちが、泡を食って大騒ぎになっている。おそらく、各省の局長(ディレクター、一応、長官)クラスの、高官どころか、部長級(マネージャークラス)までが、数千人が、動揺している。 「勝負は俺たちの負けだ。ヒラリーの目がなくなった」と、急いで匙(さじ)を投げる者たちたが、相次いでいる。おそらく早い者は、もう逃げ出す準備を始めただろう。

 アメリカの権力者層は、帝国(エムパイア)の気風だから、勝負に負けたと分かったら、即座に逃げ出す。研究所か、大学に逃げるか、大企業の副社長に逃げるか、自分の伝手(つて、コネ)を頼って、急いで再就職先を考える。

 アメリカの大学の副学長や、研究所長で年収50万ドル(6千万円)ぐらいだ。アメリカ人は、個人の年収がはっきりしていて、「この人は、年収8万5千ドル(一千万円)の人。まあまあ 」「この人は、20万ドルで、アッパー・ミドルクラス」とか、人間にそれぞれ値段がついている。人間にもそれぞれ値段(プライス)が付いているのだ。

 下積みで、長年、ヘイコラしながら生きてきた、年収8万ドルクラスのノンキャリ(課長から下)は、そのままワシントンの官僚社会の下層職員を続けることができる。ただし、その程度の下っ端(したっぱ)人間だと、自分も周(まわ)りもよく知っている。

 アメリカ人の上の方は、博奕(ばくち)打ちの気風を持っているから、「今の職よりも、最低でも2割増し、本当なら、収入倍増でしか、自分は次の職に移らない。そうでないと、自分の能力が、そこで終わりで、足元を見られる」と考えている。「公職=高官の職に、安い公務員の給料で我慢していたのは、自分の名誉のためだ」と考える。 ところが、再就職先は、アメリカの権力者層でも、今は簡単に見つからない。

 自分の部署の、自分より年下の、30代、いや20代でも、はっきりと言う。「局長、お前よう。威張るだけ威張って、次もヒラリーで民主党だから、と言っていたよな。次は、共和党のトランプなんだよ。だから、その椅子をどけよ。さっさといなくなれ。そこは、今度は俺が座るんだよ。ジジイ、出ていけ 」 と、 おそろしまでの権力闘争、椅子争いをやる。それがアメリカの組織社会だ。

 だから、今、ワシントン はテンヤワンヤの大騒ぎになっている。「この勝負は、俺たちの負けだ。ヒラリーの目はもうない。民主党の政権は続かない」と判断したら、急いで、より高額の年収の民間の職に移ろうとする。勝負に負けたと分かったら、さっさと投げないといけない。そうしないと、「自分という商品」に傷(きず)がつく。

 学問道場の会員たちよ。分かりますか。それから泥棒でここを盗み読みに来ている、情けない人間たちよ。私、副島隆彦が、世界で最先端の情報分析能力を持ち、それをみんなに伝えているのだ、ということを。

 私は、このあと、「トランプ本」を仕上げなら、「セブン・イレブンのセブン・アンド・アイの内紛で、簒奪者・鈴木敏文(82歳)が、創業家の伊藤雅俊=まさとし=の執念の前に敗れさった事件。 それと三菱自動車の初めからの仕掛けのカルロス・ゴーン=ルノー、フランス政府による強制買収の件。それと石油元売りの合併、日本からの脱出のこれらすべても、デイヴィッド・ロックフェラーの死期が決まったので、財団の収支を合わせるための資産と負債の“圧縮”の為の相続税対策の動きに一環だ」などを、今日のぼやきに書かなければ。 それから、ほかにいくつか書きたいことがある。

 昨日、おとといは、「これが北アメリカの本当の歴史だ。歴代アメリカの大統領たちはどういう人間たちであり、何をやったのか。 それから、今年のアカデミー大賞映画“レヴェナンド、甦りし者” の出てくる、仕掛け罠で動物の毛皮をとる荒くれ者たち。とその毛皮を買う交易所のユダヤ商人(これが、ウォルドルフ・アストリアホテルの大富豪アスター家を作ったのだ)」も書かなければいけない。 

それから、 「大阪が分かった。ようやく私、副島隆彦は、40年かけて、大阪とは何か、を書いた。
さあ、どうだ。大阪人どもよ。私の大阪理解(歴史と地理からのすべて)に向かって、『そこは違うよ』と言えるか。言えるなら言って、さらに穢(きたな)い大阪の裏の秘密を教えてほしい」を会員ページに載せます。

 私は、まだまだ書きたいことがたくさんある。どんどん書いてゆく。 私は、『 取り付け騒ぎが起きる 下(お)ろせ隠せ 個人資産』の本ももう2か月、ほったらかした。なんとか急いで出さなければ。

 ドナルド・トランプは、ここの↓ 「 」番 で、日本で、いや世界でも、おそらく咄嗟に最初に私が決断して報告した通り、5月18日に トランプが、キッシンジャーとダビデ大王(デイヴィッド・ロックフェラー、6月で101歳)の「軍門に下った」と報告した。が、トランプは、まだ、元気のようだ。

(転載貼り付け始め)

●「トランプ氏、報道陣との「全面戦争」突入か 募金めぐる会見で」

2016年6月1日 CNN
http://www.cnn.co.jp/usa/35083581.html?ref=rss

 米大統領選の共和党候補に確定している実業家ドナルド・トランプ氏は31日、
ニューヨーク市内での記者会見で報道陣を「不誠実」「たちが悪い」などと正面
から執拗(しつよう)に攻撃し、全面戦争の態勢を示した。

 会見はトランプ氏が所有する高層ビル「トランプ・タワー」のロビーで約40分
間にわたって開かれた。同氏はかねて公開を求められていた献金の収支を発表す
る目的でこの場を設けたのだが、実際には記者らに対する批判や侮辱にほとんど
の時間を費やす結果となった。

 トランプ氏は今年1月、退役軍人のための支援集会を開いて600万ドル(約6
億6000万円)を集めたと主張した。ただ、どの団体に寄付したかについては
明言を避けてきた。報道陣はこの献金の収支を発表するよう繰り返し求めたが、
トランプ氏や同氏の陣営は応じようとせず、総額の数字も二転三転していた。

 同氏はこの日、最終的な総額は600万ドルを超えると発表し、寄付先となった
40団体以上のリストを公開した。続いて、寄付金をめぐる前向きのニュースを
否定的なニュースに仕立て上げたとして報道陣への攻撃を開始。情報開示を迫っ
た報道の姿勢を非難し、「寄付金は全て渡した。記者たちは恥を知るべきだ」と
語った。

 また「記者たちは自分でもうそと分かっていながらそれを記事に書いている」
「政治記者は私がこれまで会ったなかで一番不誠実な人々だ」などと述べた。特
定の記者を名指しして「下劣なやつ」などと攻撃する場面もあった。

 さらに「退役軍人のために600万ドルの資金を集め、退役軍人団体から一斉に
喝采(かっさい)を浴びながら、報道陣には結局たたかれるなんて世界でも私く
らいのものだ」とぼやいてみせた。

 同氏が大統領に就任した場合、ホワイトハウスでも記者団に同様の態度を取るの
かという質問には「そうだ。こんな感じになる」と答え、「私が変わると思って
いるのか。変わりはしない」と言い放った。

 トランプ氏は出馬当初からずっと、報道陣に対して批判的な発言を繰り返してき
た。街頭演説でも記者らを「くず」「ヘドロ」などと罵倒することはよくある。
だが、支持者の多くから大統領にふさわしい言動を求められているこの時期に、
敵対姿勢をさらに強めたのは意外な動きといえる。
(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。このように、ド腐(ぐさ)れメディアなんかは、この程度で、痛めつけてやればいいのだ。トランプなら、メディア各社を束にしても、トランプ劇場の威力で負けない。それから、以下の WSJ(ウオールストリート・ジャーナル)紙のコラムニストの文が、一番、最新の政治情勢を鋭く分析して予測している。

(転載貼り付け始め)

「寄稿文。 クリントン氏は本当に指名を獲得できるのか バイデン氏は出馬を見送ったことを「毎日」後悔していると述べている 」

2016年6月1日 WSJ
http://jp.wsj.com/articles/SB11290027141701334812004582102013165671198

 米大統領選でヒラリー・クリントン前国務長官が民主党候補に指名されない可
能性は理論上のものにすぎないとは必ずしも言えない。

 メディアや民主党内のほぼ全ての人がクリントン氏の指名獲得は確実とみてい
る中、どうしたらそのようなことが起こるのだろうか。いくつかの可能性を考え
てみよう。

 クリントン氏が6月7日のカリフォルニア州予備選でバーニー・サンダース上院
議員に負けた場合、指名獲得の必然性は大きく崩れかねない。そうしたシナリオ
は十分あり得る。

 PPICの最新世論調査によると、クリントン氏の支持率はサンダース氏を2ポイ
ント上回っているにすぎない。FOXニュースの調査でも同じ結果だった。たとえ
僅差でもサンダース氏が勝てば、250人以上の一般代議員を獲得することにな
り、代議員数を大きく積み増すことができる。カリフォルニア州では明らかにサ
ンダース氏に流れが傾いている。

 党員でなくても参加できるオープン型の予備選 を見ると、サンダース氏は投票
前の世論調査の支持率は芳しくないものの、予備 選・党員集会当日は新たに登録
した有権者や若者の票を集めて健闘する傾向がある。

 カリフォルニア州では1月1日から5月半ばまでに150万人近くが民主党の有権者
登録を行った。これは2012年の同じ時期の3.18倍に上り、サンダース氏にとって
は大いに励みになる兆候だ。

 カリフォルニア州でサンダース氏が勝利した場合、本選の候補者としてのクリ
ントン氏の弱さが際立つことになる。今のところクリントン氏支持が圧倒的に多
い民主党の特別代議員は、このまま同氏を支持すべきかどうか真剣に考えざるを
得なくなろう。

 サンダース氏は党大会で、特別代議員に予備選あるいは党員集会で勝った候補
者への投票を義務付ける規則の変更を提案する可能性がある。そう信じるに足る
十分な理由がある。規則変更案の採決はほぼ確実に行われるだろうが、これはク
リントン氏の指名獲得に対する信任投票にもなる。

 サンダース氏が7日にカリ フォルニア州、モンタナ州、ノースダコタ州で勝ち、
ニュージャージー州で健闘 すれば、クリントン氏との獲得代議員数の差は200人
を切るかもしれない。そう なれば、特別代議員に関する規則変更案が通る可能性
も高まる。

◆トランプ氏に勝てない可能性

 もう一つの問題は、ここ数週間、クリントン氏はドナルド・トランプ氏に対抗
できる最強の候補者との見方が薄れつつあることだ。政治専門サイト「リアル・
クリア・ポリティクス(RCP)」がまとめた各種世論調査の平均支持率ではクリ
ントン氏とトランプ氏が肩を並べている。

 また、ABCニュースとワシントンポス ト紙が共同で実施した世論調査と、FOX
ニュースが実施した世論調査では、クリ ントン氏の支持率はトランプ氏をそれぞ
れ2ポイント、3ポイント下回った。

 クリントン氏の指名獲得の必然性を崩す要因は他にもある。本選でトランプ氏
との対決となった場合の支持率では、サンダース氏は常にクリントン氏を上回
り、最新の世論調査ではトランプ氏より約10ポイント高かった。

 サンダース氏の勢いを恐れて、クリントン陣営と民主党全国委員会は同氏に譲
歩し始めており、党の政策綱領にサンダース氏が関与を強めることを認めた。考
え方の異なる哲学者のコーネル・ウェスト氏とキース・エリソン下院議員が政策
綱領委員に任命され、民主党のさらなる左傾化が確実となった。政策綱領をめぐ
る話し合いでは、サンダース氏の社会主義的な考え方が披露されるほか、米国と
イスラエルの関係をめぐる醜い言い争いが起きそうだ。 

 クリントン氏が直面している法的な問題も深刻化しつつある。クリントン氏が
国務長官時代に私用メールサーバーを公務で使用していた問題について、国務省
の監察官が先ごろ報告書を発表した。これにより、同氏が規則を破り、公の場で
の発言には裏があったことが明々白々となった。党内では、クリントン氏とその
側近たちがどこかで責任を認めない限り、政府の調査を乗り切れないのではとの
懸念が強まっている。

 クリントン氏が近く連邦捜査局(FBI)の事情聴取を受けると報じられている
ため、捜査は終わりに近づいているとみられ、7月25日にフィラデルフィアで行
われる民主党の党大会の前に司法長官が最終的な判断を下す可能性がある。監察
官の報告書を踏まえると、クリントン氏が「無罪放免」されるとは考えにくい。

 最後に、クリントン氏の不支持率はトランプ氏と同じくらい高く、クリントン
氏を信頼していると答えた有権者は4人に1人に過ぎない。民主党員はゾッとする
ような可能性に直面している。ほんの1~2カ月前、彼らは共和党の党大会が混沌
(こんとん)としたものになりそうな様子にほくそ笑んでいた。だが今や、自分
たちの党大会がそうなるかもしれない。

◆バイデン氏が救世主に?

 党内では党大会で新しい候補者が登場するかどうかについて、さまざまなうわ
さが広がっている。04年に民主党候補になったジョン・ケリー氏がその候補の1
人だ。だが、最もありそうなシナリオはジョー・バイデン副大統領の立候補だ。
バイデン氏は出馬を見送ったことを「毎日」後悔していると述べている。

 バイデン氏は、トランプ氏の大統領就任から民主党、そして米国を救う救世主
の役どころを与えられるだろう。彼はサンダース氏の支持者を取り込むため、党
内の左派に尊敬されているエリザベス・ウォーレン上院議員のような人物を副大
統領候補に選ぶ可能性が高い。

 こうした状況の中、オバマ大統領はどこにいるだろう。オバマ氏は今のとこ
ろ、大統領選から距離を置いており、クリントン氏が私用メールサーバーで国家
安全保障の機密情報を漏らしたとは考えていないとしか語っていない。

 しかし、 世論調査でクリントン氏の支持率が下がり、法的問題が深刻化し、サ
ンダース氏 が盛り返し、トランプ氏がオバマ氏の「レガシー(政治的遺産)」
のレッキング ボール(建物解体用の鉄球)として迫る中、オバマ氏とバレリー・
ジャレット大 統領補佐官は民主党全国委員会とバイデン氏に対し、バイデン氏に
よる「救済」 はホワイトハウスの機嫌を損じるものではないというシグナルを
送り始めるかも しれない。

 今まで述べてきたことはすべて「可能性」にすぎない。だが、法的問題あるい
は政治的事情によって、クリントン氏が民主党候補に指名されないというシナリ
オを想像するのは、これまでになく容易になっている。

 (筆者のダグラス・E・ショーン氏は1994~2000年にビル・クリントン大統領
の政治顧問を務め、世論調査を担当した) 

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 私は、あと一本載せたかった。 トランプが、ローリングストーンズが、「私たちの曲をおまえ(のような人種差別の右翼人間)には、使わせない」と偉そうに、言ったのに対して、「何を言うか。この芸人ども。威張るなよ。お前たちの曲を流す権利は、私はちゃんと金を出して買っているのだ」と倍返しで、トランプが勝った件の記事を載せるのを忘れた。次回載せます。 

 ローリングストーンズ(ミック・ジャガーその他の、あばら骨が見える、70歳のジジイ・ロッカーども)が、自分たちが世界のリベラル言論の主導者だ、と勝手に、威張っている鼻を、トランプがへし折った。いい気味が。 何が、「私たちの曲をおまえには使わせない」だ。 

 このストーンズまで含めて、プロモーター(芸能人の興行主、やくざ者たちの世界)までトランプはやってきたから、ストーンズごとき、河原乞食(かわらこじき)のいちゃもんに、トランプは負けない。私は、こういうトランプが、大好きだ。

 それから、トランプは、2001年9月11日の、WTC(ワールド・トレイド・センタービル2棟、200階建て、地上400メートル)の倒壊”やらせ”事件を、「セッテンバー・イレブン」と言わすに、「セブン・イレブン」と言った。まったく素晴らしい男だ。 私、副島隆彦は、この言い間違いを、アメリカの 戦争ごろ、どもに対する、半ば無意識での 強烈な皮肉だと、判断する。

副島隆彦拝


by めい (2016-06-03 05:26) 

めい

「民主主義」と「天皇制」は矛盾するものではありません。しかし、本来「天皇制」はどうあるべき、ということも含めて傾聴に値する議論です。

   *   *   *   *   *

問題は安倍晋三個人の資質ではなく、明治クーデタ派の支配が150年も続くのを許していること。
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/410.html
投稿者 晴れ間 日時 2016 年 6 月 07 日 20:37:17: FhUYgDFvAt2/E kLCC6orU

以下の本投稿は、他の方の投稿記事へのコメントとして書き始めたものであるが、多少長くなったので、ここに独立させて投稿する。

*-------------------------------------------------

安倍政治に関して、安倍ひとりを批判しても始まらない。安倍のような人間が首相になるような、この国の政治的後進性が問題なのだ。今では有力な海外メディアで「日本会議」や「電通」が論じられるようになっているくらいだから、ネトウヨ首相アベの人となりとその背後関係、アベの「歴史修正主義」の背景は広く国際社会でも知られるところとなっている。

アベを好むと好まざるとにかかわらず、アベが「合法的に」日本国の首相に選ばれている限り、G7でも欧米の各国首脳は「アベだから日本には行きたくない」とは言えないわけだ。それは外交上の儀礼なのだ。しかしこういう人物が日本の首相では、選挙でそれを許す日本国民が世界から尊敬を得られないのも当然だ。それも全ては日本国民の責任なのだ。

問題の根本は、近年の日本が自己の問題、とりわけ社会経済問題を解決できないのは、日本の政治体制が時代に合っていないことを示している。日本には「近代民主主義」が根付いていない。日本は「天皇制と世襲議員」の国なのだ。そのどこに民主主義があるというのか。
確かに日本は、米国に従属している。しかしその米国と米軍を引き留めることに必死になっているのは、外ならぬ世襲議員と皇室自身だ。
日本は、皇室と世襲議員と財閥と官僚に支配されている。米国(米軍)も加えて、この五者が日本という国と国民を支配している。電通とマスゴミは彼らの洗脳・広報機関であり、政府は彼らの統治機関、米軍は彼らの「傭兵」(本質は武力=暴力装置) なのだ。
そしてその中核に「明治クーデタ派」の末裔たちがいる。主要財閥は明治クーデタ派のオリガルヒであり、官僚機構の中枢も含めて、彼ら四者は150年間にわたり閨閥や縁戚関係で支配階級を形成してきた。アベや麻生が低学力・低人格にもかかわらず政府の要職にあり、皇室とも縁続きであり、自民党と財閥と官僚機構が一体なのも、そういう150年にわたる人脈的・家系的要素があるからだ。

植民地支配というのは、支配(の対象である)民族の一部の者だけを優遇し(あるいは内部対立を利用し)、彼らを手先として用いることで、支配を容易にするのが常道だ。米国も対日政策において、この常道に沿って行動している。それに呼応しているのが皇室と世襲議員、そして官僚だ。
電波を特定業者に独占させ、記者クラブ制を維持し、電通にマスゴミを支配させているのは、米国と世襲議員等の国内従米勢力が、一般日本人を洗脳支配し続けたいから。
選挙の供託金制度を維持して貧乏人が立候補できないようにしているのは、議員職、特に政府閣僚職を世襲議員が占有し続けるため。
天皇制が維持されているのは、日本国民の意識と心理を前近代状態に押しとどめ、「お上」に逆らわない従順な「臣民」として効率的に統治するため。米国にとっては「間接統治」を容易にするため。
天皇がことある毎に「平和」を唱えるのは、明治憲法下で引き起こされた太平洋戦争の記憶を遮断して、「現在の皇室は違う」と印象づけたいから。また「国民のみなさん」への「深き心」(大御心?) を表明するのは、革命等が起きて天皇制が廃止され、財産や特権を奪われ、亡命等に追いやられたくないから。
米軍が銃(核ミサイル) を向けているのは、中国やロシアに対してだけでなく、日本国民に対してもそうだということは、民主党政権下で示された米軍と外務官僚の態度でも証明されている。そしてその米軍を引き留めているのは、やはり天皇と世襲議員と官僚だ。

このカラクリと矛盾が今日ほどあからさまになったことはない。それらは過去長い間見えなくされていたが、ネットのおかげで大衆の前に広く知られることになった。だから、現体制を存続させ自分らの特権を守ろうとする彼ら支配層も必死なのだ。国民が「覚醒」すれば、特権の維持が難しくなるからだ。

日本人は「井の中の蛙」だから、憲法が変えられるとは思っていない。日本の憲法は「硬性憲法」だと、学校でも教えられなかったか。だから、憲法、特に憲法九条を変えさせまい、と必死になる。それが平和を守るための唯一の方法だと信じている人も多い。
しかし、彼ら「支配階級」はそう考えないだろう。世界を見れば、体制が変わり、憲法が変わる国はいくらでもある。それを知っているから、日本の皇室は「日本国憲法を守り.....」と繰り返すのだ。現憲法は皇室を安堵しているから、それが皇室の生き残る道なのだ。
それを知っているから、アベら極右は、日本を過去の大日本帝国のような、個人の人権よりも国家主義の国に戻したい、と考えている。
それを知っているから、財界は黙っている。カネ儲けさえできれば、資本主義さえ維持できれば、政治体制などどうでもいいのだ。

しかし考えてもみよ。明治維新(1867年を採るとして) から第二次大戦敗戦(1945年) まで、78年間だった。終戦から今年(2016年) までで、71年だ。通算すれば、明治クーデタ以来、149年が過ぎた。一国の興亡としては十分過ぎるほどの長さだ。
この間、政治体制の大きな断絶はあったか? 確かに憲法が変わったり、米国の支配下で農地改革等の戦後改革も行われた。しかし今露呈されているのは、日本の政治が相変わらず「明治クーデタ派」に支配されていることではないか。皇室と政商(財閥) と世襲政治家の支配は、(明治憲法下の軍事支配に代わり) 今では米国(米軍) によって補強されている。そしてこの体制の下では、日本は直面する困難に対処できないということだ。(なお、国家論のイロハで言えば、階級間で「政治権力の移行」がない限り「革命」はない。つまり近代日本では歴史の断絶はなかった。)

先のG7でも、日本の経済成長率が最下位で「突出」しているという事実が明らかになった。国民生活が圧迫されているから、貧困化が進み、内需が縮小・停滞したままなのだ。アベノミクスでトリクルダウンなど起きず、格差社会化と国民大衆の窮乏化、少子化が進んでいることは、誰にも否定できない。
世襲議員に、貧困や社会格差等の社会問題を解決できると考えること自体、根本的に間違っている。妄想ないし空想以外の何ものでもない。

しかし全ては「国民の責任」なのだ。自民党ではない野党議員にも、「天皇制を否定する共産党とは一緒にやりたくない」と公言する議員は少なくない。自分は「天皇制を支持する穏健派」だと主張することで何が言いたいのか。「保守的な国民」の受けをよくしたいのか。
阿修羅には「陰謀論」を唱える者、あるいは陰謀論に引き寄せられる脳弱者が大勢いる。両者に共通するのは、「世界は強者に支配されている」「強い者は強いのだ」「強者には逆らえない」「政治を変えることはできない」「運命は変えられない」という「弱者の敗北主義」だ。(「憲法九条死守」という袋小路に逃げ込んでいる人もいる。)
陰謀論者はフランスでテロが起きると条件反射的に「偽テロだ!」と叫ぶ。しかしフランス人が自らの政治運動・社会運動で革命や社会改革を幾度も行ってきたことを知っている私は、「偽テロではない!」「偽デモではない!」と言い続けてきた。彼らと私の違いは、「井の中の蛙」とそうでない者との違いだ。日本で陰謀論が蔓延るのは、日本の民主主義が弱すぎることの証左だ。陰謀論は「仮想の敵」を作り出して、「本当の敵」から人々の目を反らさせる役目を果たしている。

明治クーデタ派の世襲政治とその中心にある天皇制を廃止するために、心ある人は起ち上がるべきだ。闘いの照準は、憲法九条ではなく、現下の政治支配体制(/構造) そのものだ。日本を米国から独立させ、明治クーデタ派の手から奪い返し、憲法をアベらの意図とは真逆の方向に変えねばならない。

by めい (2016-06-08 05:49) 

めい

上記コメントの「晴れ間」さんの過去投稿http://www.asyura2.com/acpen/kLCC6orU.htmlの中に、
《ここ阿修羅でも、天皇制に反対する声がどれだけあるか。非常に少ない。これは民主主義の根幹(普遍的価値としての「平等」) に関わる問題であるにもかかわらず、だ。陰謀論者にとどまらず、天皇制に奇妙な親近感を抱いている向きは多い。(天皇が現憲法擁護と平和を唱えるのは、昭和天皇とマッカーサーの取引により、憲法によって天皇家が安堵されたからに他ならない。勿論、天皇の名において先の戦争で死地に追いやられた多くの日本人への贖罪意識もあるだろう。しかしそれ以前に、現天皇[私は今上天皇の語は使わない]には、ロマノフ王朝やパフラヴィー朝の運命を辿ることへの恐怖があるようだ。)/(私が言いたいのは、民主主義を唱えたいなら、天皇の束帯の陰に隠れるようなマネはするな、ということ。それではまるで、子供が母親のスカートの陰に隠れているのと同じではないか。もっと「自立心」を持て。大人になれ。)/天皇制と世襲議員制が壊れないうちは、日本にはまともな議会制民主主義すら存在しない、ということ自覚すべきだ。》
というのを見つけました。http://www.asyura2.com/15/warb16/msg/675.html#c37
戦後民主主義の行き着くところです。しかし、極右と極左はいずれつながります。その媒介となるのが「天皇」についての理解です。

ちなみに不破共産党委員長の発言がありました。
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/412.html
《「30年余にわたる共産党を除くというアレルギー体制を社会の流れと運動が打ち破った。それには安倍氏の暴走が貢献した。彼がいい政治をしたらこうはならない」
―主観条件はどう整えたのか? 2004年の不破議長時の綱領変更で、天皇制と自衛隊を容認したことが大きい、といわれる。
「憲法の天皇条項は君主制条項ではないとの解釈を明確にした。国政への権能を持たない君主はありえない。それを保障された英国に比べ、天皇は象徴だからその権能がない」》

by めい (2016-06-08 06:21) 

めい

日本を席巻する「悪の陳腐さ」「凡庸の悪」!!
≪アーレントは、「悪の陳腐さ」という言葉で何を言おうとしていたのでしょうか。批判への応答のなかで、彼女は、「悪の表層性」を強調しています。悪は 「根源的」ではなく、深いものでも悪魔的なものでもなく、菌のように表面にはびこりわたるからこそ、全世界を廃墟にしうるのだ、と述べています。アーレントは、20世紀に起こった現代的な悪が、表層の現象であることの恐ろしさを、述べようとしたといえるでしょう。……「底知れない程度の低さ、ドブからうまれでた何か、およそ深さなどまったくない何か」が、ほとんどすべての人びとを支配する力を獲得する。それこそが、全体主義のおそるべき性質……≫

   *   *   *   *   *

●“あきらめ”に救われている安倍 「凡庸の悪」に加担するな!
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/e3ffc8c8d3490b3d2823860e12d15b7b

日刊ゲンダイが「右翼なのか、保守なのか…今も50%「安倍支持派」の正体」と云う記事を書いている。たしかに、考えてみれば、日本人の半数以上が、「日本会議」の会員であるわけはないし、民主党の鳩山内閣の発足時の内閣支持率は“72%”達していたのだから、国民の半数以上が保守であるとか、右翼的思想に絡めとられていると云うこともないだろう。7年間で、世代がある程度は変っただろうが、劇的に変る要素とは思えない。先ずは、半分ヤケクソな気分で書いている日刊ゲンダイの記事を読んでいただこう。

≪ 右翼なのか、保守なのか…今も50%「安倍支持派」の正体
参院選を目前に、安倍内閣の支持率が軒並み上昇している。メディアによっては、50%台に乗せている世論調査結果もある。

 「では、極右政権に支持率を与えている50%の人が右翼なのか、保守なのかといえば、決してそういうわけではないでしょう。支持率アップの理由は伊勢志摩サミットと米オバマ大統領の広島訪問とされています。サミットでは世界経済危機をデッチ上げて天下に恥をさらしただけだし、オバマ大統領の広島訪問も内容は空虚なものでした。なのに、大メディアは大きな外交成果を挙げたように報じる。それで多くの人は、なんとなく仕事をしてそうなイメージに誘導されて、内閣支持率がハネ上がるという仕組みです。いわば大メディアの自作自演みたいなもので、多くの国民は、内心では安倍政権の戦前回帰路線に疑問や不安を感じているはずです。しかし、参院選の野党共闘に対して“民共”だの野合だのといった批判をメディアが垂れ流すから、野党の支持率は伸び悩み、ますます内閣に支持が集まる。たとえ消極的な支持であっても、この内閣に高い支持率を与えれば、国民の多くが反対する右翼政策をゴリ押しする力を与えることになる。原発再稼働や安保法がいい例です」(政治評論家・本澤二郎氏)

ここで登場するキーワードが「日本会議」だ。
 安倍の政策には、ことごとく日本会議の存在がついて回る。「美しい国」も、「日本人の誇りを取り戻す」も、 もともとは日本会議の理念である。集団的自衛権の行使解禁、憲法改正、愛国心教育、“自虐的”な歴史教育の是正、戦後レジームからの脱却――これらの政策 もすべて日本会議が提言してきたものだ。高支持率を維持する安倍政権の“黒幕”とされる右派組織への関心が高まっている。

■事実より「物語」を重要視
4月末に発売された「日本会議の研究」(扶桑社新書)は、発売前から重版が決定。たちまちベストセラーだが、著者の菅野完氏が3日付の本紙インタビューで語った真相は驚くべきものだ。日本会議は決して巨大な組織ではない。「中身は空っぽ」だというのである。
〈彼らは平気で資料を無視する。事実より「物語」を重要視する。「国家の誇り」が事実より大事だという〉
〈日本会議周辺の人々の意識には、“国家”しかない。その意味では彼らのよって立つところは、本来の右翼でも保守でも何でもない〉
〈日本会議が唱えている「改憲」「靖国参拝」「愛国教育」などは、非近代的で、思想的にも政治的にも目新しさがまったくありません。組織の中核を担っているのは70年安保の学生運動のときに左翼学生と戦った「右翼学生運動」のメンバーたちで、運動のモチベーションは突き詰めると「反左翼」「反戦後民主主義」に過ぎません。単に「壮大なる反対運動」に過ぎない。だから中身が空っぽなんです〉

  事実を直視せず、物語に酔いしれる情念の世界。そこに論理性はなく、彼らのよりどころは反左翼のみ。要するに新興宗教とネトウヨを掛け合わせたような集団なのだが、こういう人々に支えられ、戦前回帰路線を突き進んできたのが安倍政権だ。

「なんとなく保守」をなんとなく支持する思考停止
 菅野氏の著書によれば、日本会議の会員数は約3万8000人。改憲などをテーマにたびたび「1万人大会」を開催し、その都度きっちり事前予告通りの数字を出すという。この能力が選挙でも発揮されるため、政治家が群がり、全有権者の0.1%にも満たない人数の組織が政権の政策決定に大きく関与することになる。そこが空恐ろしい。
 ジャーナリストの青木理氏による「AERA」誌上の連載「安倍家三代世襲の果てに」は、安倍の大学時代の恩師で政治学者の宇野重昭氏の〈彼(安倍晋三)の保守主義は、本当の保守主義ではない〉という言葉を紹介していた。
 宇野氏は東大卒業後、外交官を経て成蹊大学法学部の教授に就任。法学部長から学長、成蹊学園専務理事まで務めた学園を代表する最高碩学である。母校の元トップが、教え子の安倍に対し、時おり涙を浮かべながら、こう訴えたというのだ。
〈彼は首相として、ここ2、3年に大変なことをしてしまったと思います。平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった〉
〈彼らの保守は『なんとなく保守』で、ナショナリズムばかりを押し出します〉
〈もっとまともな保守、健全な意味での保守になってほしい〉

■1億人の有権者が諦めたらオシマイ
 「野党が無力だし、大メディアが政権を批判しないから、国民が問題意識を持たず、漫然と支持を与えてしまっている。本来、参院選の争点は『憲法無視の安倍政治を放置していいのか』『民主主義と立憲主義が破壊されていいのか』ということに尽きるはずなのに、争点を経済にすり替えようという政権の思惑にメディアが加担している状況です。そういう報道に騙されて、安倍政権を“なんとなく”支持していれば、被害を被るのは当の国民なのです。冷静に考えれば、アベノ ミクスはデタラメで、負担ばかりが増え、生活は貧しくなる一方じゃないですか。沖縄県議選の結果を見れば分かるように、有権者がマジメに考えれば、こんな政権を支持できるはずがないのです。安倍首相は支持率さえあれば何をしても許されると考えている。参院選に勝てば、ますます独裁色を強めるでしょう。改憲勢力に3分の2の議席を与えれば、いよいよ日本会議の悲願である憲法改正です。戦争をする国になるのです」(本澤二郎氏=前出)

 日本の有権者数は1億人もいるのに、わずか3万8000人の日本会議が望む世の中になっていいのか。主権者である国民が政治への関心を失い、“誰が総理になっても変わらない”と斜に構えていたら、連中の思うツボだ。
 「誰がやっても同じと諦めるのは間違っています。そんなことは断じてない。政権トップの意向で経済政策は大きく変わるし、だからこそアベノミクスなどというインチキ政策がまかり通っているのです。安倍政権の経済政策を一言で表すと、日本の破壊活動です。このままでは、日本経済はメチャクチャに破壊されてし まう。国民生活を守るためには、こんな悪辣政権には一刻も早く退陣してもらうことが最大の経済対策なのです。それには選挙で引きずり降ろすしかありません」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 1億人が投票に行けば、自公政権を支える組織票に勝ち目はない。過半数割れなら退陣だ。
 大企業優遇で新自由主義の安倍政権では一向に生活が良くならないのに、大メディアが垂れ流すムードに流されて安倍政権に支持を与える有権者は、思考停止に陥っているのではないか。日本人はお人好しというが、虐げられてなお、お上に従順な愚鈍さは罪作りなほどだ。そういう人々が安倍の暴挙を許し、政権を支え続けている。たとえ安倍政権を不支持でも、選挙に行かなければ悪政を容認していると同じこと。政権がおかしな方向に向かっていると思えば、参院選で意思表示するしかないのだ。AKB総選挙なんぞに気を取られている場合ではない。  ≫(日刊ゲンダイ6月7日付)


ゲンダイさんが、自分のことのように大変怒っています。有権者の愚鈍さは罪作りだとまで断罪している。筆者も内心、そのような考えにも至るのだが、“憲法改正など出来るわけがない”、“戦争が出来る国になるって言っても、何処と戦争するんだ”、“今さら、経済重視で、アメリカでさえ中国と戦う気がないのに、日本が中国と戦う?非現実的だよ”、“生活重視で経済政策して欲しいが、誰がやっても、糞詰まり日本、政権変えるだけ面倒だろう”、“野党にも、これといった目からウロコのような経済政策も見当たらない”、“行きつくところまで行けば、世の中変るさ”、“骨折り損のくたびれ儲けなんかしたくない”、“選挙に行くのも億劫だ”‥等、多くの有権者は、諦めの境地と云うのが正解だろう。

民主党への政権交代以降、有権者の多くは、政治に騙され続けた。鳩山内閣、菅内閣、野田内閣、安倍内閣。どれもこれも、大枠において、日本の中枢を変革する器量は見せられなかった。そして、愚鈍になりたくなるほど、実生活に疲れてきている。こうなると、成り行き任せ、思考停止、凡庸な国民になると云うのは、一定の法則通りなのだろう。この凡庸さが「凡庸の悪」になるかならないかは、おそらく時代が持つ“運命”なのだろう。以下は、お馴染みハンナ・アーレントの「凡庸の悪」に関する論考。致し方なしと考えるか、いや、だから考えなければならない、となるのか。筆者は有権者に、考え、単純に行動してほしい(投票に行くだけ)と思うのだが、現時点では、その風を感じない。円高と株下落が“国民に幸運を運ぶ”。なんとも切ない世の中になったものだ。

以下の文中の言葉を引用してみると、
≪アーレントは、「悪の陳腐さ」という言葉で何を言おうとしていたのでしょうか。批判への応答のなかで、彼女は、「悪の表層性」を強調しています。悪は 「根源的」ではなく、深いものでも悪魔的なものでもなく、菌のように表面にはびこりわたるからこそ、全世界を廃墟にしうるのだ、と述べています。アーレントは、20世紀に起こった現代的な悪が、表層の現象であることの恐ろしさを、述べようとしたといえるでしょう。……「底知れない程度の低さ、ドブからうまれでた何か、およそ深さなどまったくない何か」が、ほとんどすべての人びとを支配する力を獲得する。それこそが、全体主義のおそるべき性質……≫
上記のアーレントのナチスが出来上がる過程の指摘なのだが、国家主義者の安倍首相や日本会議の人々の事を評論しているのではないかと、一瞬の錯覚に陥るのは、筆者だけだろうか?


≪ 視点・論点 「ハンナ・アーレントと"悪の凡庸さ"」
 今から50年ほど前の1960年代前半、ナチスの犯罪をめぐる裁判レポートが、大きな論争を引き起しました。これからお話しするのは、その裁判レポートの著者が何を語ろうとしたのか、ということについてです。 著者の名前はハンナ・アーレント。昨年、映画でも話題になったその人です。 1906年にドイツに生まれたユダヤ人女性で、政治哲学者です。彼女は、ヒトラーの反ユダヤ主義政策によって、ドイツから脱出せざるをえなくなり、 1933年にパリに亡命しました。しかし、第二次世界大戦によってフランスで生きることも危うくなり、アメリカ合衆国へと避難し、そこで1945年の終戦 を迎えます。
 ナチスの全体主義政権下では、ユダヤ人をはじめとする大量の人間が、強制収容所やガス室をともなう絶滅収容所で、生きる価値を奪われ意味なく殺戮される という事態が起こりました。人間を無用のものとするような言語道断の国家犯罪がなぜ起こったのか、どのようにして起こったのか。こうした問いが戦後のアーレントの思想の出発点でした。 彼女はこの「絶対の悪」と向き合い、1951年には『全体主義の起原』という大著を公刊しました。 
 アーレントは、戦後ドイツには戻らず、アメリカの大学で教えながらニューヨークで暮らしていました。1960年、あるニュースが彼女の心を揺さぶります。ナチスの官僚で、アルゼンチンに逃亡していたアドルフ・アイヒマンが、イスラエルの諜報機関によって逮捕されたというニュースでした。 アイヒマンは、ヨーロッパの各国から、ドイツ東部やポーランドにある収容所へと、ユダヤ人を移送する業務を統括していた、重要人物でした。前代未聞の犯罪を担った人間を、この目で見なければならないと強く感じたアーレントは、雑誌『ニューヨーカー』の特派員として、アイヒマン裁判を傍聴します。そして、裁判レポートを発表するのです。
 裁判レポートは、一九六三年二月から三月にかけて『ニューヨーカー』に連載され、五月には本として出版されました。タイトルは、「イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」というものでした。アーレントは、一人の報告者として、裁判が自分の目にはどう見えたかを語りました。しかし、彼女の見解は許されざるものとして、イスラエルやニューヨークのユダヤ人社会から、激しい非難と攻撃をうけることになりました。彼女は本を書いただけでしたが、猛烈な批判をうけ、それまで親しかったユダヤ人の友人をほとんど失いました。
 なぜそれほどの非難の嵐が起こったのか、主な論点をあげてみましょう。 問題の一つは、アーレントがユダヤ人組織のナチスへの協力にふれたことでした。アイヒマンが統括したユダヤ人移送業務において、効率的な移送のために必要な、一覧表の作成などを、ユダヤ人リーダーたちが行っていたということがありました。これはすでに他の歴史家によって指摘されていたことではありましたが、アーレントは総攻撃を浴びました。この問題は彼女の裁判レポートのテーマではまったくなく、ほんの数行しか言及されていない事柄でした。ところが、彼女の言葉は、ナチスの犯罪の共同責任をユダヤ人に負わせるものとして受け止められました。イスラエル国家では、そのユダヤ人リーダーたちが、主要なポストについていたということもありました。
 そして最大の、今でも論争が続いている論点は、「悪の陳腐さ」「悪の凡庸さ」という言葉にありました。裁判でアーレントが見たアイヒマンは、怪物的な悪の権化ではけっしてなく、思考の欠如した官僚でした。アイヒマンは、その答弁において、紋切り型の決まり文句や官僚用語をくりかえしていました。アイヒマンの話す能力の不足は、考える能力、「誰か他の人の立場に立って考える能力」の不足、と結びついている、とアーレントは指摘しました。無思考の紋切り型の文句は、現実から身を守ることに役立った、と彼女は述べています。ナチスによって行われた巨悪な犯罪が、悪魔のような人物ではなく、思考の欠如した人間に よって担われた、と彼女は考えました。しかしユダヤ人社会では、大量殺戮が凡庸なものだったというのか、ナチの犯罪を軽視し、アイヒマンを擁護するのか、 といった憤激と非難の嵐が起こりました。
 アーレントにとって、人間の無用化をはかったナチスの犯罪は、ユダヤ人に対する犯罪というよりも、「人類に対する犯罪」でした。政治によって生きる価値のない人種が定められ、官僚によって行政的に大量の人々が殺戮されるという現代の悪は、アーレントにとって許されざるものであり、なぜそのようなことが起こったのか、徹底的に向き合い、考えなければならない問題でした。しかし、それは被害者たちにとっては普遍的すぎる視点であり、アーレントはユダヤ人同胞から、ユダヤ人への愛はないのか、と批判されます。論争のなかでアーレントを擁護した社会学者のダニエル・ベルさえ、「彼女が要求する普遍的な正義は、世界を判断する物差としては厳しすぎる」と述べました。
 アーレントは、「悪の陳腐さ」という言葉で何を言おうとしていたのでしょうか。批判への応答のなかで、彼女は、「悪の表層性」を強調しています。悪は 「根源的」ではなく、深いものでも悪魔的なものでもなく、菌のように表面にはびこりわたるからこそ、全世界を廃墟にしうるのだ、と述べています。アーレントは、20世紀に起こった現代的な悪が、表層の現象であることの恐ろしさを、述べようとしたといえるでしょう。「悪の凡庸さ」という言葉で「今世紀最大の災いを矮小化することほど、自分の気持ちからかけ離れたものはない」と、アーレントは語りました。「底知れない程度の低さ、どぶからうまれでた何か、およそ深さなどまったくない何か」が、ほとんどすべての人びとを支配する力を獲得する。それこそが、全体主義のおそるべき性質である、とアーレントは考えました。
 アーレントにとって「思考の欠如」とは、表層性しかないということでもありました。 怪物的なものでも悪魔的なものでもない、表層の悪が、人類にたいする犯罪、人間をほろぼしうるような犯罪をもたらすという、前代未聞の現代の悪のありよう。それが、彼女の導き出した結論でした。
 アーレントはそうした悪に抵抗しうる可能性として、思考すること、考えることを追究します。「ものごとの表面に心を奪われないで、立ち止まり、考え始める」ことを彼女は重視しました。アイヒマン論争においては、アーレント自身が、そうした、自立的な思考をつらぬきましたが、彼女の事例は、表層的になった 社会のなかで自立した思考が孤立するとき、生きることはどれほど過酷で、思考はどれほど勇気を必要とするか、を表しています。こうした思考が孤立したり、 攻撃されたりしないような世界のあり方を、アーレントに学びつつ、考えたいものです。
≫(2014年06月25日 (水)NHK「視点・論点」フェリス女学院大学教授 矢野久美子)

by めい (2016-06-08 17:37) 

めい

2017.01.06 21:00|カテゴリ:政治経済| コメント(27)
【驚愕】新書「日本会議の研究」に出版差し止め判決!東京地裁「真実でない部分があり損害も著しい」
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-14978.html

安倍政権の支援団体である「日本会議」の取材結果を書籍化した新書「日本会議の研究」について、1月6日に東京地裁(関述之裁判長)が出版の差し止めを命じました。

出版差し止めとなった原因は、書籍に登場する男性が出版元の扶桑社に申し立てた仮処分です。男性の申し立てを受けた東京地裁は「真実でない部分があり損害も著しい」と指摘し、差し止めを命じる決定をします。

裁判所がベストセラーの出版を差し止めるのは異例で、扶桑社側は「当社の主張がほぼ認められた決定ではありますが、一箇所、約1行削除を求められたのは誠に遺憾です」とコメント。

作者の菅野完氏も差し止めの報道について「まるで完全に負けたみたいになってるけど、全然そんなことないよw 裁判費用もほとんど向こう側負担。修正を要求された場所もめっちゃあるのに、裁判所が認めたのは一箇所だけ。8割がた、こっち側の勝訴」などと発言しています。

ベストセラーに出版差し止め命令 新書「日本会議の研究」
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040002_W7A100C1000000/
 ベストセラーの新書「日本会議の研究」によって名誉を傷つけられたとして、書籍に登場する男性が、出版元の扶桑社に出版差し止めを求めて申し立てた仮処分で、東京地裁(関述之裁判長)は6日、真実でない部分があり損害も著しいとして、差し止めを命じる決定をした。

by めい (2017-01-06 22:52) 

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