SSブログ

昭和天皇御製「最上川」絶唱 [詩吟]


一昨日の616日、日本詩吟学院吟道岳鷹会の昭和25年度温習会が、われわれ南陽宮内岳鷹会が当番で熊野大社證誠殿で行なわれた。温習会参加148名懇親会参加140名と、近年にない多数の参加だった。

 

懇親会司会を髙橋桐風さんと共に務めることになり、その中でいかに宮内らしさを出すかに腐心した。そもそも酒の席をそうそうコントロールできるのか。最後まで心配だったが、さすが詩吟愛好者の集まりで、最後の「最上川」は、私がこれまで体験した中で最高の絶唱だった。胸が熱くなって涙が出てきた。懇親会を終えて宮内のメンバー全員でお見送りをしたが、ほんとうに喜んでいただいたことが確認できた。何人の方と握手を交わしたことか。

 

以下、実際は必ずしもこのままではありませんでしたが、用意した司会原稿です。

 

   *   *   *   *   *

 

1. 本日は、吟道岳鷹会の温習会そして懇親会にご参加いただきありがとうございます。 

 宮内のしころ泰山の皆さんによる勇壮な太鼓の演奏は、宮内にまつりの季節の到来を告げる響きでした。

 明治以来の太陽暦の導入によって、旧暦と新暦と月遅れとのごちゃまぜになり、日本人の季節感も狂いがちですが、725日熊野の夏祭り例大祭、旧暦の時代は615日でした。

 今日616日、すばらしい吟詠の数々に酔ったあと、これからの楽しい懇親会の司会を務めさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 

(しばらく歓談の後)


 

2.「置賜はくにのまほろば菜種咲き若葉茂りて雪山も見ゆ」

 この歌は、戦争の記憶もまだ生々しい昭和22年の春、結城哀草果が長井での講演の帰り、長井線の車中から見た置賜の美しさに感動してつくったといわれています。この年8月の昭和天皇行幸に際して哀草果が編んだ「山形県景観歌集」置賜平野の部に収められています。ここ熊野大社から1キロほど北にある長谷観音に、いちはやく昭和34年に歌碑が建てられたこともあり、宮内に住むものにとっては大変なじみ深い歌です。宮内岳鷹会10周年の平成19年、平岳謙先生に節を付けていただきました。置賜を代表する歌として岳鷹会みんなの財産になっていただければと思います。


(カラオケ等あって中盤ぐらい)

 

3. 平成23311日、突然襲った東日本大震災。死者・行方不明者18,559人、建築物の全壊・半壊は合わせて398,436戸。そしていまなお、福島原子力発電所の事故は解決の目処も立っていません。あれから2年、まだまだ辛い日々を送る人もたくさんいます。しかしこの歌は、先の見えない暗闇の中に、たしかに少しずつ広がる希望の火を灯してくれました。

「かなえたい夢もあった 変わりたい自分もあった 今はただなつかしい・・・」

 過去を乗りこえて未来へ。今のせつなさをなつかしさへと変えてくれる歌なのかもしれません。

 思いを込めて歌っていただきたいと思います。


(平吹岳導会長の相撲甚句の後、最後の「最上川』へ)

 

4. 今年宮内に、昔の七夕がよみがえります。

 暑い夏の真っ盛り、86日から7日にかけて各地で行なわれていたナノカビという行事がありました。宮内の旧家には古来、熊野大社の御神体とされる御獅子様に似せた獅子頭が所蔵されていました。宮内のナノカビには町内のあちこちで、青竹に川の名前を書いた短冊を下げ、祭壇がつくられ、獅子頭を飾ってお祭りしたのです。

 御獅子を前ににぎやかな一晩を過ごし、翌朝はやく、竹飾りを持って吉野川に向かいます。竹を川に流し、身体を水で清めます。この日の朝の川には薬水が流れていて、この水につかると一年間病気をしないと信じられていました。川の側に小屋掛けして夜を過ごし、暗いうちに川に飛び込むこともありました。

 家に戻ると、この日はお墓の草刈りです。身を清めてお盆の準備が始まります。お盆はお正月と共に、御先祖様や神様の魂をお迎えするたいせつな行事です。

 80代の方の記憶にたしかに残るナノカビも戦争と共に忘れられ、60年ぐらい前までなんとか子供会の行事としてつながっていたものの、今ではもうすっかり途絶えています。何十年も御獅子たちは宮内のあちこちの家に眠ったままなのです。

 その御獅子たちが、今年目をさまそうとうずうずし始めています。今年の87日、熊野大社にその御獅子たちがはじめて一堂に会することになりました。私たちにも、御獅子たちのゾクゾクしている気持ちが伝わってきます。身を清めてあらためて御先祖や神様の御霊(みたま)をお迎えする、日本古来の七夕の行事が、今年宮内によみがえります。皆様のお手元にチラシをおあげしておりますので、ぜひご覧になってください。

 

5. 置賜に発し、日本海酒田の海に注ぎ込む最上川。七夕に宮内の穢れを祓い清めてくれる吉野川は、最上川の上流です。川は人の世の穢れを洗い流し、魂の世界を身近にしてくれます。昭和天皇は、皇太子だった大正14年、最上川に川の偉大さを実感され御製として私たちに残してくださいました。縁(ゆかり)深い私たち山形県民としてほんとうにありがたく誇らしく思います。昭和天皇の思いを後世にいつまでも伝えてゆかねばなりません。今日の温習会そして懇親会の最後は、山形県民歌「最上川」で締めたいと思います。宮内岳鷹会会長鹿又源風が伴奏(ハーモニカ)を務めます。


宮内七夕チラシ表.jpg

宮内七夕チラシ裏.jpg

昨日気づいたのですが、8月7日は日曜でなくて水曜日でした。



 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。