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全共闘挽歌/安藤孝行 [大学紛争]

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全共闘挽歌(1969.8.25)

おろか者め
お前はまだ目がさめぬのか
はじめて口にした一杯の酒に酔いしれて
お前のわめきちらしていることばの
あさましさに気づいたら
お前は恥づかしさに髪をかきむしるだろう

お前はうすぎたない居酒屋の片すみで
安酒と大言壮語にあけくれるだろう
お前の耀かしい星は
永久に去って帰らない

お前は人類のくず歴史の汚辱だ
子供たちはお前を見てはやし立てる
”あのぢぢ 昔は大学生
大学行って何なろた
石なげ火つけひとごろし
ABCさえおぼえちゃいない”


  *   *   *

たまたま読み出した白崎秀雄著『当世畸人伝』の「安藤孝行」の中にあった。学園紛争当時岡山大学哲学科の教授だった安藤は、篭城学生の説得を試みたが「インチキ教授」「かえれ」の罵詈雑言を浴びせられ、そのとき殴り書きしたメモという。あのときの学生がいまちょうど「ぢぢ」になっている。

安藤教授はその前々年1967年の10月、立命館大学から岡山大学に赴任されていた。赴任されてすぐの講義、「古代哲学史」を受講している。そのころのノートを見たら、教授の思想的雰囲気にえらく共鳴している文章があった。

翌年度1969年の1月にストライキが始まった。3月に酔っ払ってこう書いていた。

おれにも言わせてくれ
 雲母の暗黒を包んだ
 貴様のむなぐらをつかんで
 思いきってぶんなぐってやりたい

(闘争に向けて)とある。だから、安藤教授の「全共闘挽歌」はよくわかった。1968年度は「魂について」の英書購読を受講した。どこかに本があるはずだ。しかし、後期試験の前に紛争が始まって、安藤教授の講義もその後聴くことはなかった。『当世畸人伝』であらためて安藤教授のただならなさを知った。この本で初めて知った安藤教授の余技の著作、『唐詩唱和』と『唱和の遊び』を注文した。(つづく)


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