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世川行介著「泣かない小沢一郎(あいつ)が憎らしい」を読む [小沢一郎]

いよいよ今日、民主党代表選。日本の道筋を考える上で、この選挙ほど、日本にとって重大な岐路と意識される選挙は私にはかつてなかった。その朝、世川行介著「泣かない小沢一郎(あいつ)が憎らしい」を読み終えた。

小沢一郎という人をすんなり納得させてくれた。あわせて小沢一郎とともにあった政治ドラマの流れのひとつひとつが腑に落ちた。

「『かれ』はね、まあ、ぼく(羽田孜)もそうだけど、政治改革を実現させるために、自分なんか、とうの昔に捨てているんだよ。/一口に、自分を捨てると言ったって、人間、なかなかできるものじゃないさ。/たとえば、普通の政治家は、仮に政権実現交代の日が来たら、まあ、総理大臣になるのは無理としても、閣僚とか党の要職とかに就きたいと思うものだ。それがあたり前の政治家心理だ。/だけど、『かれ』は、そんな欲をまったく持っていない。かけらも持っていないんだよ。そんな嘘みたいな男が、『かれ』なんだ。」(151P)

このことを、「個」を原理としてすべてを組み立ててきた戦後日本は決して理解しようとはしなかった。しかし、日本人の、いやすべて人間の根底の感覚はこの感覚なのだ。このことを私はメルロ―・ポンティから学んだのだと今思う。人間の根底にあるあたりまえの感覚をあたりまえと思えなくしてきたのが戦後日本の教育であり、敗戦ゆえの戦後日本だったのだ。

「あの頃。/あの昭和四〇年代―。/ぼくたちは、みんな、/<彼方の夢>を見ていた。/田中のおやじさんも。/竹下さんも。/金丸さんも。/ぼくも。/『かれ』も。/敬和さんも。/梶さんも。/誰も彼も、みんな若く、<同じ一つの夢>を見て、同じ一つの道を歩き、毎日を瑠璃色に輝かせていた。/そうだ。/今なら断言できる。/あの頃こそが、ぼくたちみんなにとって、幸福な『黄金の日々』だった。

だけど、田中のおやじさんの内閣が、あんな不本意な終わり方をさせられて、あそこで、何もかもがねじれてしまった。/あのねじれが、本当の意味で、全ての始まりだった。」(317P)

覚醒しつつあった日本をさらに悪い方向へと捻じ曲げてしまったのが「ロッキード事件」だった。徳田虎雄という人もその中での登場だった。もしロッキード事件がなかったら・・・、徳田さんの政治的役割ももっと別の(もっとまっとうな)ものになっていたに違いない。

日本が敗戦のつけを払い終えるのはいつになるのか。そもそも精算しようとする正気の感覚が残っているのかどうか、今日の代表選はそのことが問われる選挙のような気がしている。


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コメント 5

めい

私にはあまりに思いがけない結果だった。
副島さんの言う通り、時代を待つしかないのだろうか。それまで日本がどう持ちこたえることができるか。
by めい (2010-09-14 15:46) 

めい

どっしり構えた田中良紹氏の正論です。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/09/post_233.html#more

   *   *   *   *   *

やはり「政治文化」を変える必要がある

 民主党代表選挙が終わった。メディアは「菅総理が大差をつけて小沢氏に勝利した」と報じている。では菅氏は党内の強い期待を受けて再選されたかと言えばそうではない。「まだ3ヶ月しかやっていない」という消極的な支持で再選された。

 総合得点は菅氏721ポイント対小沢氏491ポイントで確かに大差である。差が付いたのは党員・サポーターの票の249対51だが、これは300選挙区を総取り方式にしたためで、得票率で見ると菅6対小沢4の割合である。地方議員票も6対4の割合だった。一方、国会議員票ではわずかに6票差で菅氏が勝利し、党内の支持は二分された。

 この結果を見て政治の世界の選挙はいつもながら見事なバランスを作ると感心した。国政選挙は別にして、永田町の選挙は終わってみるといつもバランスが取れているというのが私の経験則である。勝者には確固たる勝利を与え、しかし敗者を決して潰さない。

 今回の選挙で勝利した菅氏は党員・サポーター、地方議員、国会議員のいずれでも勝利した。もし国会議員票だけ小沢氏が勝つようなことになれば、メディアは「民主党議員は世論と乖離している」と猛烈に攻撃しただろう。後に混乱をもたらすようなややこしい勝ち方はさせないのが永田町である。

 だから国会議員票でも菅氏は勝利した。しかしその差はわずかである。総合得点で菅氏大勝を印象づけ、一方で小沢氏は党内に確固たる力を有していることを証明し、なおかつ選挙後の政治を混乱させないバランスを保っている。小沢氏が国会議員票で菅氏の数字を上回っても少なすぎても党内は混乱した筈である。

 逆に小沢氏が勝利する場合も国会議員票だけで勝利することはあり得ない。その後の政権運営のためには党員・サポーター票でも勝利する必要があった。それが見込めないのなら敗者になって党内に確固たる力を持つ方が自分自身も民主党もダメージを受けない。

 前に「この国の政治文化をどう変えるか」を書いたが、いまだに「政治とカネ」の呪縛から解き放たれていないこの国では、やはり2週間程度の選挙期間で国民を説得する事は難しかった。結局、司法が「シロ」を証明するのを待つしかないと言うことである。小沢氏は検察審査会が議決するまで待つしかないと考えたのかもしれない。

 この選挙結果を受けて大変なのは菅総理である。選挙戦でやたらと「雇用」を叫んでいたが、そのための経済政策をどうするのか、小沢氏との違いを強調したが故に採れる道は狭い。同様に普天間基地の問題、尖閣諸島を巡る中国との関係、来年度予算編成など難問山積である。そして来年3月、本当に予算関連法案を成立させる事が出来るのか。その手腕が問われる。

 選挙で小沢氏の政治手法を批判した以上、政権運営で小沢氏に協力を要請することは難しい。そうなると来年度予算を成立させるためには自民党に協力してもらうしかない。大連立と言えば世間から批判を浴びるから、裏でこっそり手を組むのである。昔の自民党と社会党の関係再現である。表で激しく批判し、国会で激突して見せたが、自民党と社会党はしっかり手を組んでいた。国民の判断を誤らせるために存在するメディアが報道しなかっただけである。

 自民党に協力して貰うというのは民主党が自民党の要求を飲む事である。論理的にはそれ以外に予算を通す方法を私は考えつかない。よく話し合えば理解してくれる野党などある筈がない。お前が出来ないなら俺にやらせろとなる。

 菅氏をはじめ前原氏や枝野氏などはかつて自民党と連立を組んだ経験がある。自さ社の連立政権で、細川政権から自民党が政権を奪い返した時に重要な役割を演じた。その時の自民党の中心人物は加藤紘一氏であり、現在の谷垣総裁の後見役として控えている。

 「テレビ用の幹事長」に就任した石原伸晃氏が「菅政権となら手を組める」と口走ったそうだが、それはそういう話が進行していることを伺わせる。表に見えないようにしながら協力するには綿密な裏の連携が必要である。一両日中に決まるだろう人事にはそういう要素も加味される可能性がある。

 政治の動きを考えるとそのようなシナリオが見えてくるのだが、民主党代表選で党員や議員の判断材料は「政治とカネ」と「ころころ変えて良いのか」だけだったようだ。代表選の最中に厚生労働省の村木局長が無罪になった。その事件は、昨年の総選挙前に東京地検と大阪地検がそれぞれ民主党幹部をターゲットに捜査を始めた事件と見られていた。

 選挙直前に政治家をターゲットに捜査をする検察など民主主義国家ではあり得ない。それをこの国のメディアは騒がなかった。そしてその一方が無罪になった日、メディアは大阪地検の無能ぶりを言うだけで、同じ時期に東京地検が捜査していた西松建設事件には全く触れなかった。こうした体たらくを見るとやはり「政治文化」を変える必要があると思うのである。


投稿者: 田中良紹 日時: 2010年9月14日 23:33



by めい (2010-09-15 05:28) 

めい

「ラ・ターシュに魅せられて」より
http://latache1992.blog56.fc2.com/blog-date-20100915.html

想定外の・・ホントに想定外です・・。
大きな打撃を受けました・・。
しかし!
やられっぱなし・・というワケではございません。
収穫もございます。

もっとも大きな収穫は・・・
これほど確かな情報のリークで揺さぶられながらも・・
理念や友情に殉じ・・・
一致結束し、負け戦に臨んだ同志が200人いたことです。

見上げた根性と、ご覚悟です・・。

こうした・・
本物の国士がいる限り・・・
この国も捨てたもんじゃございませんし・・
将来へ・・
希望が繋がるってもんです。
彼らには・・必ずや出番が巡って参ります。
希望ってのはね・・・。
捨てちゃったら・・
そこでお仕舞いなんですよ。

* * * * *

ほんとうに「負け戦に臨んだ同志が200人」もいたことを思うとこみあげてくるものがある。たしかに、ここから始まるのかもしれない。



by めい (2010-09-15 17:03) 

めい

ほんとうにこの時が日本の運命の岐路だった。なすすべもない福島原発の現状、もしこのときまともな結果を出しておれば・・・、おそらくこの翌年の3.11もなかったにちがいない、そう思える。この日(2010-9-14)を忘れてはならない。

http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/898.html

   *   *   *   *   *

40. 2013年8月16日 12:33:47 : dRQMRm83JA
>「・・・今回のような大規模なスケールでの実績がないから、同じ失敗をする恐れがある。東電任せではなく、世界中から知見を集める必要があります」(増子輝彦・参院議員)
●これは当時の菅総理に小沢さんが進言したこと。

小沢さんは東電という一企業が営利を考慮しながら対処できるレベルではないことを理解していた。

それで当時の菅総理に進言した。けんもほろろであった。

だから、民主党代表選の不正選挙と幽霊(あるいは誘導)検察審査会で強制起訴して小沢総理が実現できなかっことが日本を危機に陥れる原因であったというのだ。

3年前から常識のある人には分かり切っていたことだ。

常識のない菅が事態を最悪の方に持っていき、常識のない野田が終息宣言をしてしまった。

危機的状況はなにも変わっていない。

仙谷一派(仙谷、菅、野田・・・)は民主党だけではなく日本を壊したのだ。

●小沢さんのフクイチ対応の考え方。

『誰が小沢一郎を殺すのか?』著者と小沢氏本人が対談 全文書き起こし』
http://getnews.jp/archives/132422

ここに小沢さんの原発事故対応の考えが表明されているので関連する部分だけ引用させていただきます。

----(一部引用します)

【小沢さんの発言】
 ただ、放射能汚染といういまだかつて(ない)、ある意味においてはチェルノブイリやスリーマイル以上に、非常に大きな危険性を秘めているこの原発の事故と放射能汚染の拡大――。

これほどの大きな深刻なことになると、単なる個人的な力の発揮ということ以上に、本来もっと国家として前面に立って、そして英知を集めて思い切って対策を講じていく仕組みと姿勢が必要だと思う。

けれども、どうもその意味において、政治の面だけではなくて、一般の国民の中からもそういった強い要求というか、動きというものがなかなか出てこない。まさに非常に日本的な現象だと思っている。ほかの国ならば、こんなに黙って現状を見過ごしているような国民は多分ないだろうと思う。大きな大きな国民運動にまで広がりかねないと思うが、そういう(大きな運動にならない)ところがちょっと日本の国民性というか不思議なところであって、「まあまあ」という中で個人が一生懸命頑張っている。

(略)

 私の場合は、かてて加えて原子力ということ、放射能汚染ということを強く主張している。

これはもちろん東京電力が第一義的に責任を持っていることは間違いのないことだけれども、日本が政府として国家として、原子力発電を推進してきたことも事実だし、原発の設置運転等については許認可を与えている。そういう意味から言っても、また今日の放射能汚染が依然として続いているという非常に深刻な事態を考えると、東京電力が第一義的責任者だといって済む状況ではないのでは。

東京電力にやらせておいて、政府はその後押しをしますよ、支援しますよというシステムでは、本当に国民・県民の生活を守っていくことはできないのではないか。

 やはり政府、国家が前面にその責任をもって、最も有効と思われる対策を大胆に(行う)。

これはお金がいくらかかる、かからないの問題ではない。メディアも含めてすぐ財源がどうだなんていう話が、また一般(財源)の時と同じような繰り返しの話ばかりしているが、そんな問題ではない。極端な言い方をすれば、財源があろうがなかろうが、放射能汚染は何としても封じ込めなければいけない話で、それは国家が政府が、前面に立って全責任でやる。

私はそういうシステムを、仕組みをもっともっと早く、今でも遅くないから構築すべきだと思っている。今なお、東京電力が第一義的責任というやり方をしていたのでは、多分解決しないのではないかと思っている。

【ウオルフレン氏の発言】

 小沢政権ができた場合に、この災害にあたってどう対応されたかのは分からない。けれども、私は小沢さんは「官僚を制する」というよりは、「官僚と一緒に仕事をする」能力がある方だと思っているし、権限の委譲もできるし、官僚の下に置かれることは絶対にない方だと思っている。小沢政権ができた場合には、きちんと然るべき人たちと協調体制のとれた対応をとっていかれるのではないかと思う。

--------

菅は「自分は原子力の専門家だ」と言ってヘリで現地に向かいベントのタイミングを遅らせた。

総理大臣に必要なのは原子力の専門知識ではなく、専門家を使った事実情報の分析と対策の検討、そしてリスクの大きさに見合った対応策の決断である。

もちろんその決断の根底には国民の安全と健康を守るという意識がなければならない。

菅のヘリを飛ばした決断のねらいは自分の政治的なパフォーマンスであった。

薬害エイズでの安倍医師追求パフォーマンス、カイワレ大根のかぶりつきパフォーマンス、四国巡礼お遍路パフォーマンス・・・常に自分しかない器の小さな人間であった。

つくづく小沢総理の実現が政治テロではばまれ菅、野田という最悪の官僚の手下総理大臣が続いたことは日本国民の不幸であった。

政治テロの実行者である仙谷一派と検察・最高裁の罪は大きい。
by めい (2013-08-17 04:28) 

めい

そして今・・・
http://grnba.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16237327

   *   *   *   *   *

681:ぎのご怪獣 : 2017/10/12 (Thu) 22:54:06 host:*.eonet.ne.jp
小沢・・・もうフィクサーとしての力はとうに失っているのに
共産極左プロ市民らの「囲い」に囲まれて
まともな情報も入らず、でもおだてられて
まだフィクサーであるかのように勘違い。

小池と前原と共産党をつないで、
一つにまとめようと意気込んだが、
囲われの身のおじいさんは、
昔の小沢人気のイメージを利用されようとしただけ。

ふたを開けてみれば、前原も小池も腹があった。
本人蚊帳の外だった。

結局コケまくって、自由党もなくなり本人は無所属で出馬。

根回しすら出来ない無力小沢。
「プーチンと世界情勢」すら見えていない。


こんな感じに見えてしまって
元小沢ファンとしては、がっくし。
by めい (2017-10-12 23:29) 

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