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収入のない高齢者が不安なく老後を過ごせるにはどうすればいいか [としょり園]

われわれも老後について考えねばならない年代になってきました。「収入のない高齢者が不安なく老後を過ごせるにはどうすればいいか」、このテーマで考えてみる機会がありました。まとめたものの一部を掲載しておきます。ご意見ください。


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授産的複合老人施設(就労・生産機能を備えた総合的高齢者施設)についての提案
       
1. 高齢化の実態

① 山形県の高齢者人口は平成16年10月現在30万5千人で県人口の25.0%(全国19.5%)、平成37年の高齢化率は32.0%になると予想されている。(平成16年置賜25.6%)
② 山形県の一人暮らし老人は平成2年9,600人、平成7年13,480人、平成16年21,637人と増加の一方である。(平成16年全県7.1%、置賜7.5%)
③ 高齢者の就業割合は平成12年全国平均22.2%に対して山形県は23.6%(全国19位)、中で東置賜地区は南陽市24.3%、高畠町28.4%、川西町24.7%で比較的高い水準にある。
④ 介護保険の要介護認定状況は、平成16年12月末で全県14.8%、置賜15.8%であり、8割以上の高齢者が自力での生活が可能であり、また働く意欲を持つ高齢者も多いと考えられる。
http://www.pref.yamagata.jp/kf/choju/1199000/koureika-map.pdf

2. 高齢者の収入

① 全国の60歳以上の男女2,862人を対象とした「平成16年度高齢者の日常生活に関する意識調査」によると、1ヶ月の平均収入は、10万円未満15.2%、10~20万円未満29.8%、20~30万円未満28.4%、30万円以上16.0%、収入がない1.3%、わからない9.3%で、「家計にゆとりがなく心配」は26.7%に及ぶ。平成11年のデータと比べると、6.7ポイント増加している。
② 国民年金の老齢年金の平均年金月額平成14年度末現在で5万2千円。基礎のみ・旧国年の受給者については4万6千円。また、平成14年度新規裁定者は、5万4千円。
③ 調査対象を国民年金第一号被保険者1,652万3,000人とする平成12年国民年金被保険者実態調査によると、納付者は前回1996年の調査に比べ56万7,000人減の1,116万7,000人。しかし未納者は前回比92万人増の、264万6,000人と大幅に増加。 年齢階級別にみると、20歳代24.4%、30歳代18.8%、40歳代11.8%、50歳代8.3%。将来的には年金を受給できない高齢者が確実に増加してくる。

3. 高齢者と就労の問題

厚生労働省平成16年高年齢者就業実態調査によると、日本の高齢者の就業意欲は男性において65~69歳でも約7割と非常に高いことがわかる。このことは、日本の高齢者が定年してからも何らかの収入を得て働きたいという意志のあらわれである。日本の場合、約8割が「65歳くらい」より上の年齢を理想引退年齢としており、世界と比べても日本の高齢者は世界に類を見ない就業意欲を誇っている。また、日本では平均寿命が延びている。平均寿命が延びたということは、健康で過ごせる時間が伸びたということである。実際に高齢者について普段の健康状況をみると、男性は「元気」の割合が75.5%で、60~64歳は75.7%、65~69歳は66.0%と高い値をつけている。また、こういった高齢者の肉体的な面からみた就業の可能性をみると、男性は「フルタイムで働くことが可能である」と答えた割合が59.3%で最も多くなっている。
日本の高齢者はなぜ就業意欲が高いのか。就業者が仕事を希望した主な理由をみると、「経済上の理由」と答えた割合は55~65歳までの平均で男性が79.2%、女性が67.6%と男女いずれも最も多い割合を示した。(いきがい、社会参加のためを挙げた割合は男性が6.5%、女性が10.6%、「頼まれたから、時間に余裕があるから」を挙げた割合は男性が4.8%、女性が8.1%、「健康上の理由(健康に良いからなど)」を挙げた割合は男性が4.2%、女性が5.1%)
「経済上の理由」の具体的理由の内訳をみると、各年齢階級、男女いずれも「自分と家族の生活を維持するため」とする割合が最も多くなっている。少子高齢化が進むこの国で、社会保障財源の不安が叫ばれる中、公的年金だけでは十分な生活ができないと感じている人が多いのである。
 特に問題として上げたいのが、就業希望者が雇用を実現できなかった理由である。その理由の内訳は、男女ともにいずれの年齢階級も「適当な仕事が見つからなかった」という割合が最も多く、男性はおおむね6割、女性はおおむね5割となっており、高齢者の就業意欲と雇用機会の提供にミスマッチが起こつている。
 日本の高齢者は健康体であり就業意欲も高い。経済上の理由から就業を希望しているのに雇用が実現されない。高齢者の割合は今後ますます増え続ける。この問題は放っておくといずれは日本社会の大問題になる。
(参考:「高齢者雇用のあり方」同志社大学伊多波良研究室 2005.12
http://www.isfj.net/isfj2005/newreport/ronbun/syakai/rodo/Itaba_rodo.pdf

4. 就労・生産機能を備えた総合的高齢者施設

収入のない高齢者が不安なく老後を過ごせるにはどうすればいいか。この課題はこれからの日本にとって極めて切実な課題となるはずである。その課題解決に応えるものとして考えられるのが、働けるうちは働くことのできる高齢者施設である。

① 就労可能な高齢者と不可能な高齢者が共に生活できる環境をつくり、就労可能な高齢者が働けなくなっても同一区域内でそのまま生活をつづけることのできる複合施設を目指す。
・ 高齢者向け優良賃貸住宅 http://www.koujuuzai.or.jp/html/page07_02_02.html
・ ケアハウス http://j-net21.smrj.go.jp/venture/startup/welfare01.html
・ 特別養護老人ホーム http://www3.nit.ac.jp/~matsuda/fukusi/TOKUYO.html
・ 老人保健施設http://leo.nit.ac.jp/~matsuda/fukusi/rouken.html
② 就労の場を区域内に確保する。
・ 入所者介護等も含む区域内労働。区域内で必要とされる作業はできるだけ入所者が行うこととする。
・ 区域内に生産の場を設けることで生産的収益の確保を図る。
・ 区域内労働の報酬については「地域通貨」的機能をもつ「区域内通貨」の導入を図る。
http://www.d4.dion.ne.jp/~v_rougin/index.html 
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%CF%B0%E8%C4%CC%B2%DF
・ 区域内通貨による入所中必要な経費決済を可能とする。区域内通貨に保険的貯蓄機能を付与することで、働けなくなった将来の経費決済に充てることも可能とする。
③ 法的・制度的な補助金・助成金及び融資の十全な活用
・ 高齢者福祉施設に対する補助制度の活用
    http://www.mhlw.go.jp/index.html
・ 高齢者福祉施設に対する助成制度の活用
http://www.toyohashi-shakyo.or.jp/joseikin/index.html
http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/kikinjigyou/main_03_1.html
http://www.nara-shakyo.jp/fukusi03_minkan.htm
http://www.aosyakyo.or.jp/fukusi_se/minkan.html
http://www.dewa.or.jp/syakyo-1/boran/vjosei/chihobun/index.htm
http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/kikinjigyou/main_04.html
・ 高齢者向け優良賃貸住宅制度の活用
    http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/seido/12elderly.html
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/tori04.html
・ 高齢者福祉系施設についての融資制度の活用
    http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/fukushikashitsuke/index.html

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ある事情があり、なんとかこの具体化を進めたく働きかけもしているのですが、まだその反応はいまいちです。この提案を一つのたたき台として、実現できる方向に進むといいのですが。


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めい

元気な60代の移住促進=「共同体」構想本格化-政府
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015010400114

千葉県柏市では60歳代のシニアの生きがいづくりに、保育や介護の仕事を紹介している。(同市提供)
 人口減少と高齢化が急速に進む日本。今後、地方では高齢者人口すら頭打ちになり、介護関連を中心に雇用が縮小に向かう一方、高齢化が加速する大都市では特別養護老人ホームなどの不足が深刻さを増す。政府は、大都市の60代のシニアが健康なうちに地方に移住するのを促そうと、高齢者が地域活動を通じて生きがいを感じつつ、安心して暮らせるまちづくりを進める考えだ。
 政府が参考にするのは、米国を中心に広がる「CCRC」。高齢者が余暇を楽しみながら暮らし、必要に応じて在宅で医療・介護のケアが受けられる共同体を指す。全米に約2000カ所あり、計75万人余が暮らしている。
 日本版CCRCとして注目を集めているのが千葉県柏市だ。同市は東京大学と独立行政法人都市再生機構(UR)と協力し、2009年からシニア世代の生きがいづくりと在宅医療・介護サービスの整備を柱にまちづくりを進めている。
 生きがいづくりは、シニアに保育や介護などの仕事を紹介するもので、地域課題の解決も同時に狙う。市の担当者は「東京に通勤し、これまで近所と交流がなかった人も、就労をきっかけに地域デビューができる」と話す。
 これに加え、市内のUR団地を老朽化で建て替えるのに合わせて、高齢者向けのバリアフリー住宅に24時間対応の訪問介護・看護事業所などを併設した施設も整備した。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、1947~49年生まれの団塊の世代が全員75歳以上になる25年に、全国の75歳以上の後期高齢者人口は10年の1.54倍に増える。ただ、首都圏の各都県が1.60倍~2.00倍なのに対し、秋田や島根など14県では1.30倍以内にとどまる。
 政府は柏市のようなまちづくりを地方で進め、大都市の高齢者の受け皿とする考え。安倍政権が掲げる「地方創生」の一環で、15年3月までに有識者による検討会を立ち上げ、16年度から複数の自治体でモデル事業に着手する方針だ。
 地方も動きだしている。人口減少率が日本一の秋田県。県の試算では、現在の103万5000人から40年には約70万人に落ち込む。秋田銀行(秋田市)は、14年8月にCCRCの研究会を発足。県出身者にUターンしてもらうため、16年秋以降、空き店舗や空き家が目立つ秋田市中心部へのサービス付き高齢者向け住宅整備に着手する。担当者は「Uターン者が現役時代に培った経験を生かした地元企業の活性化と、介護関連産業での雇用創出を同時に目指したい」と話している。 (2015/01/04-16:48)

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シニアの地方への移住促進は、珍しく良い政策です、シニアが大量移住すれば、企業も若者も後追いする事になります。
http://www.asyura2.com/14/cult13/msg/834.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2015 年 1 月 07 日 08:48:29: 4sIKljvd9SgGs

被害妄想的ですが、日米委員会は、移民促進の前段とか、他に意図があるとは思いますが、それでも60代の移住促進は、理にかなった政策です。
都会で年金世代が通勤時間にブラブラしていると若者の神経を逆撫でするようですし、天下りは別問題として、彼らが若者の仕事と賃金を奪う形になっているのも不幸な話で、能力の高いシニアが後身の為に地方に下れば、地方がシリコンバレーのようになっていきます。
姥捨てという見方もあるようですが、今のまま若者の移住を望んでも大した人数が移住するとは思えませんが、シニアが移住すれば、その老親も団塊ジュニアも移住がしやすくなり、地方がバランスのとれた年齢構成になります。
そして、シニアもかつて憧れた別荘ライフを時期と形を変えて実現できる訳で、発想を変えて、東京をリゾート地と捉えて、頻繁に遊びに来ればいいのです。
そのうち、東京も大した事はない、と思える筈でネット時代なら尚更です。  

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シルバーではなくシニアホームの全国設置は、滞在と旅行の半定住を可能にし、全国を満遍なく再生させます。
http://www.asyura2.com/14/cult13/msg/849.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2015 年 1 月 09 日 14:47:05: 4sIKljvd9SgGs

現役時代の転勤みたいですが、老人ホームみたいですが、シニアはピンピンしており、無理に一ヵ所の田舎に定住する必要はなく、住居は立派な一軒家である必要もなく、シェアハウスみたいなネットカフェの個室みたいな個人スペースと共用スペースがあれば十分で、ドミトリーを泊まり歩いて旅行するみたいな形になり、その中で、定住したい場所も決まるかもしれないし、無職の寅さんみたいに転々とする生き方もあっていいと思います。
お恐らくは、健康なうちは全国を散歩するような生活で、仕事の引き継ぎのように共同農園を耕し、漁村では釣りを楽しむように漁船の補助要員をやり、全国どこの漁村でも農村でも真似事ができるようになり、自信があれば独立して定住してもいいし、次のシニアホームに移動してもいいし、第二の青春48切符というか、シニアの街コンというか、東京で若者に白い目で見られて退屈に暮らすより、水戸黄門漫遊記的に、全国のコンビニのレジでモンスター客をやるのも面白いと思います。
書いてて自分が早くじじいになりたくなりましたが、要は、命令で転勤するでもなく、ローンの残る東京郊外にへばりつく必要もなく、実家の近くだけにUターンする訳でもなく、全国自由に滞在できるという事で、晩年を旅しながら臨終を迎えるという事で、とりあえずは国内だけですが、今に中国やロシアも延いては全世界が移住先になり、子供や孫も当然遊びに来ますから、受け入れ側が心配するような姥捨てにはならず、爆発的な経済効果を生むと思います。  


by めい (2015-01-10 01:58) 

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